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原発、津波軽視の教訓:一部では錯誤で英雄視されているF1故吉田元所長への批判も
http://www.asyura2.com/15/genpatu43/msg/160.html
投稿者 あっしら 日時 2015 年 6 月 06 日 03:30:42: Mo7ApAlflbQ6s
 


[核心]原発、津波軽視の教訓
「まさか」へ備えはあるか 編集委員 滝順一

 東京電力・福島第1原子力発電所を襲った津波のことだ。同原発の所長だった吉田昌郎氏(故人)は政府の事故調査委員会のヒアリングで、こう話した。

 「日本の地震学者、津波学者のだれがあそこにマグニチュード9が来ると事前に言っていたんですか」。専門家にとってさえ、大津波は「想定外」だったとの指摘だ。

 3.11前に日本海溝を震源とするマグニチュード(M)9の大地震が起きると主張した専門家はいなかった。M9は想定外とした解説を読んだ人は多いだろう。しかしここに言葉の落とし穴がある。

 M9級については確かにだれも予想していなかったが、高さ15メートルにも達する大津波を起こすかもしれない地震については明確な指摘があった。

 地震の規模の割には大きな津波をもたらすタイプの地震がある。「津波地震」と呼ばれる。関東大震災は地震と津波の規模に大きな差異はないが、明治三陸地震は揺れの割に大きな津波が起きた。海岸地形のせいだけではなく、地震による海底の変形の仕方が異なるためだとみられている。

 文部科学省の地震調査研究推進本部などいくつかの公的な場で、地震学者ら専門家は津波地震の危険性を指摘していた。

 だから、東日本を襲った地震がM9だったという事実をもって、大津波への対策を怠った言い訳にはならない。吉田氏の主張は論点のすりかえだ。

 M9と津波地震の違いは専門家の間では周知のことだが、一般には十分に伝わっていない。

 日本経済新聞は2012年5月24日付社説「大津波は想定外だったのか」で、東京電力や政府が専門家の警告を軽視した可能性があると指摘している。だが、M9と津波地震の違いには触れていない。

 事故や失敗を研究する東京大学の中尾政之教授は「企業の人が持ち込む相談の中身が変わった」と話す。

 かつては、うっかり犯したミスで起きる事故をどう防ぐかに関心があった。最近は「まさかの事故をどう防ぐのか聞きたいという相談が増えた」そうだ。

 例えば10年前に起きたJR西日本の福知山線事故。最近では独ジャーマンウイングスの旅客機墜落。事前にはなかなか想定しにくい「まさか」が原因だったとみられている。

 「ハインリッヒの法則」という経験則がある。1つの重大事故の背景には29の軽微な事故があり、さらにその背後には300の異常があるとする。

 産業界の安全対策の多くはこの法則を参考にしている。常日ごろの軽微な異常やトラブルを見落とさず、それを教訓として対策を講じ、重大事故の回避を目指す。「うっかり」事故への対策だ。

 ハインリッヒの法則で前例のない「まさか」を防ぐのはむずかしい。さりとて福島第1で津波地震への警告があったように、「まさか」がまったくの想定外であるとは限らない。加えて、これだけ「まさか」の事例があるのだから「まさか」はまさかではなくなってきた。

 「企業にとって、想定外だから仕方がないという言い訳はもはや通用しない」と中尾教授は言う。企業の安全担当者が頭を悩ませる理由はそこにある。

 福島事故の場合、非常用電源がひとつでも生き残れば1〜3号機は炉心溶融を免れ住民も避難もしなくてよかったかもしれない。対策のため防潮堤を高くする大工事は必要なく、発電機や配電盤の配置を工夫すればよかった。あるいは原発に電気を送る変電所の耐震性を高くしておけばよかった。

 「後知恵だからいえることだ」と反論の声が聞こえてきそうだが、そうだろうか。東電は対応の必要性に気がついていた可能性がある。

 「まさか」の事故対策は「過去の知識に頼り切る秀才からは生まれない」とも中尾教授は指摘する。

 9.11同時テロの後、米政府はハリウッドの映画監督たちをホテルに缶詰めにして「米国への攻撃手法を思いつく限り列挙してほしい」と頼んだという。サイバーセキュリティー分野の起業家、斎藤ウィリアム浩幸氏に聞いたことがある。

 原発の再稼働を目指す電力会社に「まさか」への備えはあるだろうか。新規制基準が想定した事態を超える「まさか」である。基準を満たすことは「必要最低限だ」(田中俊一原子力規制委員会委員長)。それを超えた事態への備えは事業者の自主的な取り組みに委ねられている。お手上げでは困る。

 5月27日、千葉市で開いた日本地球惑星科学連合の大会で科学ライターの添田孝史氏は「1997年以降、電力業界は4度にわたり政府の津波(の危険性)評価に正当でない手段で介入した」と発表した。

 添田氏は国会の事故調査委員会の調査員として、原発の津波対策を議論した電気事業連合会の内部資料(議事録)を読んだ。それが指摘の根拠になっている。

 添田氏の著書で内部資料の存在を知り確認のため電事連に問い合わせたことがある。返ってきた答えは「見つかりません」。文書は消えたという。

 本来は電力業界自身が検証しなければならない事柄だ。事故の教訓を求める真摯な姿勢なくして、「まさか」に対応できるだろうか。

[日経新聞6月1日朝刊P.2]

 

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コメント
 
1. 茶色のうさぎ 2015年6月06日 04:08:55 : qtmOTsgWNIsK2 : bwpBUtphEo

吉田って、稟議書(りんぎ)も、知らなかったのかなー。?

現場の緊急事態に、本店、本社に指示を受けるなんて、バカ、か。?

その間に、事故は進展しちゃうでしょ。! 人は死ぬね。!

12日の1号機が爆発なら、他の号機は。?って考えるのが普通でしょ。!

まだ、調書も確定してないから、なんとも言えないけど。!

13日なんて、丸1日なにやってたんだろー。?あほ

14日の3号機、2や、15日の4、他の5、6号機は安全かー。!って考えるのが普通でしょ。!

吉田の責任はあるね。! 建設現場の、監督や所長なら、クビ、だよ。! うさぎ♂


2. 2015年6月06日 04:18:33 : 0keOiSvotQ
この文章は他のところで見たんだが、
巨大な機械全体がガラス細工のようなものでは「ミスも複雑さに比例して増える」
と極めて示唆に富んだ技術論だと思う。

自動車の黎明期に動力源で、やれ電気だ、ガソリンだ、軽油だとなったとき、
ヘンリフォードがThe simple is better.を基本思想に置いて
ガソリンによるレシプロエンジンを採用した大量生産方式のT型をつくって
自動車普及の決定打にしたわけだ。
自動車の個人所有願望というものが現代資本主義の源流であると仮定した
ならば、その機械の複雑さ、その運用に要する専門的知識、その発電システムの中央集権性、
政府無しには成り立たない立ち上げを見ても、
原子力発電こそが共産主義的なものといっても良いような気がする。

やはり日本の保守層が原発にしがみついてる理由が分からない。
どうせなら各家庭に置く小型原発が安価で所有欲を掻きたてるような代物になってから、
せめて放射性物質なんか気にするなと主張してほしいものだ。


3. 2015年6月06日 04:24:43 : 0keOiSvotQ
かれら保守が大事に抱いてるその実態は
実はレーニンやスターリン、ないしはレーニン・スターリン的なものだとか
まるで馬鹿げた話じゃないか、北朝鮮もびっくりな倒錯だな。

4. 2015年6月06日 05:42:46 : v1gbxz7HNs
そのまさかの事態を考えるの禁止だ。原発は安全なのだから。
吉田?津波なんか来ないと言って対策を怠った張本人がなぜ英雄だ。
F2に逃げた作業員を空間線量が下がらなければ呼び戻さなかったろ。
さがったから呼び戻しただけで、そうでなければ逃げ出していた。
それどころか菅が乗り込まなければ逃げていた。
撤退は吉田ではなく本店が指示する。
予定通りなら自衛隊の管理下に入った後に爆発にいたり、その後の収束作業はすべて国に押し付ける予定だった。
だが東電は逃がしてもらえず破綻した。

だからこの4年で電力会社を守る制度整備が進んだ。
今後は原発事故が起きたら国が責任を持ち電力会社の責任は解除されるようになる。
ますます安全配慮の動機が薄れたというわけだ。
以前は国と電力の暗黙の約束だったものを明文化しただけだろうがね。


5. 2015年6月06日 05:59:30 : tctY4BgZcg

>自動車の個人所有願望というものが現代資本主義の源流であると仮定した
ならば、その機械の複雑さ、その運用に要する専門的知識、その発電システムの中央集権性、
政府無しには成り立たない立ち上げを見ても、
原子力発電こそが共産主義的なものといっても良いような気がする

          02氏 賛同

  小型原発とまで言わないが せめて 家庭用発電機 を開発すれば

  自動車で産業革命を起こしたことと同じ 新しい景気回復の起爆

 共産、社会主義が持っている 独裁官僚主義  

 日本が持ってる 皆が役人を目指し 食いっぱぐれ が無いこと これが共産  

 自分達の 餌はみんなから取り 特に多くもらえる大企業を優遇する

、      


6. 知る大切さ 2015年6月06日 07:52:38 : wlmZvu/t95VP. : rXmQVSTR26
営利企業である電力会社が招いた惨劇の尻拭いを政府がやる。
その政府は惨劇の処理代金の財源として国民からむしり取り徴収する。


その政策に有無を言わせない仕組みが今この国にはある。

でもその数少ない手でも声を上げ続けないと完全に閉じてしまう。

マズいだろ今のままじゃ。


7. 2015年6月06日 08:18:52 : iWAMfeP9QM
東京電力福島原発で
非常用発電機の点検・整備も怠っていたのではなかったのか。

吉田所長はそれを改善することが出来る立場にあった。


8. 2015年6月06日 10:01:36 : 6Oo9BkueBI
吉田一人に責任を押し付けたくない。
彼の判断が誤っていたことは確かだが、彼が就任したとき、すでにフクイチ原発はできあがっていた。

いったい、誰が最初にあの原発の立地をあそこまで低くしたのか。
GEと東電だ。
わざわざ海面から高い位置にあった場所を削りに削って、あんな低いところに、津波直撃できる原発を作った当事者は、GEと東電の当時の幹部。
もし、最初からフクイチを海面からの標高の高いもとのままの場所に設置していたら、津波の被害が軽減されたはずだ。
女川原発は海面から高いところにあるじゃないか。

>>>福島事故の場合、非常用電源がひとつでも生き残れば1〜3号機は炉心溶融を免れ住民も避難もしなくてよかったかもしれない。対策のため防潮堤を高くする大工事は必要なく、発電機や配電盤の配置を工夫すればよかった。あるいは原発に電気を送る変電所の耐震性を高くしておけばよかった。>>>

ガンダーセンの分析のほうが辛口だ。
あんな低いところに立地しているフクイチの設計自体がもとから問題ありだった。
海面に非常に近いところに設置したため、実際には大地震の直撃で、ポンプ自体が最初の衝撃で破損し、さらに津波でポンプ自体にダメージが来た。
おまけに、設置したのがGEの設計した原発の中でも、とくにだめな型、BWRの原子炉格納容器がMARK-I型だった。
原子炉の専門家たちは、チェルノブイリ事故のあと、今度どこかで事故が起こるとすれば、BWRの原子炉格納容器がMARK-I型だろう、と推測していた人もいた。

フクイチの設計自体が、
だめだめ立地 (大津波の来る地域で海面に近い)
だめだめ格納容器 (MARK-I型)

起こるべくして事故は起きた。


9. 2015年6月07日 10:46:04 : rwgORSmgTI
そもそもこの度の原発災害は津波が原因なのか地震が原因なのか?
その解析すらまともに行われない状況での原発再稼働などあり得ない。

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