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あの「日陰」企業が大躍進 利益が積み上がる「驚異的サイクル」確立 30年の忍耐の果実(Business Journal)
http://www.asyura2.com/15/hasan100/msg/465.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 9 月 10 日 00:30:15: igsppGRN/E9PQ
 

                      IHI本社ビル(「Wikipedia」より/椰子之樹)


あの「日陰」企業が大躍進 利益が積み上がる「驚異的サイクル」確立 30年の忍耐の果実
http://biz-journal.jp/2015/09/post_11479.html
2015.09.10 文=福井晋/フリーライター Business Journal


 三菱重工業、川崎重工業と並ぶ「重工御三家」でありながら、これまでシェア世界一といえる製品がなかったため重工業界で影の薄かったIHIが、このところ投資家の間での存在感を強めている。「石の上にも30年」とばかり忍の一字で育ててきた民間航空機向けジェットエンジン部品(以下、エンジン部品)がシェア世界一になると共に、同事業が同社の花形になってきたからだ。

 同社が今年5月に発表した15年3月期連結決算は1兆4558億円、営業利益は632億円、純利益は90億円だった。だが、株式市場で注目されたのはそんな目先のことではなかった。同決算の営業利益の63%を占める396億円が「航空・宇宙・防衛」部門の稼ぎによるものであり、同部門の高収益に貢献したのがエンジン部品という地味な事業だったからだ。

 エンジン部品は事業サイクルの2巡目に入り、今後も安定した収益源になることが確実視されている。さらに、御三家のエンジン部品の世界シェア(推測)はIHIが70%と競合2社を圧倒(川崎重工が20%、三菱重工が10%)。「気がつけばIHIがわが国を代表する大型エンジン部品メーカーになっていた」(重工業界関係者)のだ。

 IHIは、いかにしてこの地味な端役事業を花形事業に育て上げたのか。

■特殊なビジネスモデル

 民間航空機のジェットエンジンメーカーは世界に数十社あるといわれるが、座席100席以上の中・大型機向け大型エンジンメーカーは「ビッグ3」の寡占市場。米ゼネラル・エレクトリック(GE)、米プラット&ホイットニー(P&W)、それに英ロールス・ロイス(RR)の3社である。

 民間航空機向け大型エンジンは、米ボーイング、欧州エアバスなどの機体メーカーが示した仕様に基づきエンジンメーカーが開発・生産するが、そのビジネスモデルは極めて特殊といわれている。まず開発費が数百億円から数千億円の巨額に上る。しかも、開発着手から投資回収までの期間が長く、15〜20年が通常といわれている。特に開発期と量産初期は巨額の投資が先行する。収支がトントンになるのは本格増産期に入ってからといわれる。

 次に開発期と量産初期の投資を回収できるのは、機体メーカーが開発した航空機が本格量産に入り、大量に就航した航空機のエンジンの定期分解整備、修理、部品交換などの需要が発生する「アフタービジネス期」に入ってからという息の長さだ。このため、エンジン開発に失敗したり、機体メーカーが需要を読み誤って航空機が計画通り売れないと、エンジンメーカーはたちまち経営危機に陥る。実際、ロールス・ロイスは開発の失敗で1971年に倒産、国有化(その後、サッチャー政権時代に再民営化)の辛酸を嘗めている。

 ビッグ3は80年代からこのビジネスモデルの開発リスクを分散するため、高圧タービンなどの中核エンジン部品の開発は社内に囲い込むものの、それ以外のエンジン部品開発は世界中から協力会社を募る国際共同開発方式を採用している。国際共同開発方式にはリスク分担度合いに応じて「リスク&リベニューシェアリングパートナー(RSP)」「プログラム・パートナー」「サプライヤー」「サブ・コントラクター」の4種類がある。
 
 RSPは開発費を分担出資する一方、量産期以降は出資比率に応じた売上高の配分を得る。開発失敗、開発計画遅延などで損失が出れば、出資比率分の損失も被るリスクを負っている。したがって、ビッグ3とRSPは開発プロジェクト単位の資本・業務提携関係といえる。

 プログラム・パートナーは、出資しないが開発から生産までの特定工程を一貫して分担する協力会社で、業務契約で定めた範囲の開発・生産・販売・為替に関するリスクを負う協力会社。

 サプライヤーはビッグ3やパートナーが定めた仕様に従いエンジン部品を開発・生産する協力会社で、サブ・コントラクターはビッグ3やパートナーが貸与した設計図に基づきライセンス生産を行う協力会社。いずれも出資とリスクの分担義務はない。両者は一般の下請けメーカーといえる。

 国内メーカーでは重工御三家のみがビッグ3のRSPとして、これまで各種の開発プロジェクトに参加している。

■ロングシャフトの製造技術

 IHIの航空機ジェットエンジン事業は、1950年代の米軍戦闘機F-86に搭載するエンジン部品のライセンス生産から始まった。そこで培った技術を踏み台に自衛隊の戦闘機向け小型ジェットエンジン生産事業に参入。自衛隊の主力戦闘機F-15J、支援戦闘機F-2、同F-4EJ、中等練習機T-4などに搭載するエンジンを生産していた。

 そうして蓄えた技術を引っ提げ、同社がエンジン部品事業に参入したのは83年だった。日、英、米、独、伊5カ国によるエアバス「A320」向けジェットエンジン「V2500」の国際共同開発プロジェクトにRSPとして14%の開発費を出資・参画したのが始まりだった。以降、ボーイング「B777」向けエンジン「GE90」(開発費9%出資)、カナダのボンバルディア「CRJ」向けエンジン「CF34」(開発費27%出資)、ボーイング「B787」向けエンジン「GEnx」(開発費15%出資)などの国際共同開発プロジェクトに参画、エンジン部品メーカーとしての頭角を現してきた。

 IHIがビッグ3の国際共同開発プロジェクトにRSPとして参画できたのは「ロングシャフト」(長尺の動力伝達装置)の製造技術に強みを持っていたからだ。エンジン1基に1個しか必要のないロングシャフトは生産効率が悪いため、国際共同開発プロジェクトに参画できるようなエンジン部品メーカー大手は内製せず、中小の部品メーカーに外注するのが普通。ところが、機械加工が得意なIHIのみは内製し続けていた。

 そして、エンジン本体の大型化が進むに従ってロングシャフトも長くなり、今では3m級が使われている。ところが、高精度で真っ直ぐな3m級のロングシャフト製造は技術的に難しく、これも気がつけば同社の製造技術が世界一になっていた。生産効率が悪くても愚直に内製と技術改良を続けた成果といえる。今では大型エンジンの約7割がIHI製になっている。

■収益安定確保のビジネスモデル確立

 RSPとしてエンジン部品の開発・生産に乗り出して足掛け30年。最初に手掛けた大型エンジンV2500は累積販売数が6000基以上(14年9月末現在、以下同)に達し、エンジン部品の増産に加えエンジンのアフタービジネスが最盛期の状態にあり、今や同社エンジン部品事業最大の収益源になっている。

 また、90年から開発が始まったGE90の累積販売数は約1920基、96年に開発が始まったCF34の累積販売数は約4000基で、いずれも部品増産とアフタービジネスがフル回転しているので、年を追うごとに利益が積み上がる収益構造になっている。

 04年から開発に着手、11年から量産が始まったGEnxは、日が浅いため累積販売数は約600基で、現在はまだ先行投資段階で収益源にはなっていない。ただ、GEnxを搭載するB787の受注が好調なので今後は相当な数のGEnx量産が期待されている。IHIの次期収益源になるのは時間の問題のようだ。

 「石の上にも30年」で取り組んできたエンジン部品事業が、V2500からGEnxまでを1巡目とするなら、同社のこの事業は今年から2巡目に入ったといえる。

 IHIは今年5月、エアバス社の「A320neo」向けエンジン「PW1100G-JM」の部品としてRSP方式で開発した「低圧圧縮機」の量産初号品を出荷した。10年12月に開発着手したA320neo(開発費15%出資)はすでに約4000機が受注確定しており、PW1100G-JMも約2000基の受注が確定している。このため、同社はこれからPW1100G-JMの本格量産期に入る。

 さらに14年から開発が始まったボーイング社B777の後継機「B777X」(19年から量産開始予定)向けエンジン「GE9X」のRSP方式開発・生産も決まっている(開発費12%出資予定)。こちらは開発プロジェクトがスタートしたばかりなので、当分の間は先行投資の重圧が続く。それもしばらくの我慢で、5〜10年後には果実の収穫期に入れる。

 全体的に見れば、IHIのエンジン部品事業は1巡目に投資した資金を回収し、その資金を2巡目に入った開発に再投資するパターンに入っており、「開発投資→量産投資→増産とアフタービジネスによる投資回収」のサイクルを安定的に回すビジネスモデルをすでに確立したといえる。

 需要が限定的な自衛隊の戦闘機向け小型ジェットエンジン生産事業(受注額は毎年1000億円程度の横這い)と比べ、民間航空機向け大型ジェットエンジン部品事業は投資額が巨額で、投資回収期間も長い。したがって事業リスクも高い。半面、参入障壁が高いだけに莫大な見返り(売上高約3000億円/15年3月期)を独占できる。ある意味で重工業界のハイリスク・ハイリターン事業といえる。それだけにIHIは「利益率が高い付加価値のある部品開発に絞って出資する」(同社関係者)などリスク管理も怠りなく進めているようだ。

 これまでほとんど注目されることがなく、日陰のような存在だった事業がIHI成長の新しい原動力になろうとしている。

(文=福井晋/フリーライター)
 

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