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詐欺集団のマニュアルを入手! あなたの「マイナンバー」が狙われている(週刊現代)
http://www.asyura2.com/15/hasan100/msg/603.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 9 月 16 日 10:57:10: igsppGRN/E9PQ
 

詐欺集団のマニュアルを入手! あなたの「マイナンバー」が狙われている
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/45290
2015年09月16日(水) 週刊現代 :現代ビジネス


10月から各個人のもとにマイナンバー通知カードが届く。同時に、怪しげな問い合わせの電話があなたのところにもかかってくるかもしれない。個人情報と財産を守るために気を付けておきたいこと。

■「連中は絶好のカモだ」

「いまはマイナンバー制度を使って、どんな方法で一儲けできるか、皆で知恵を絞っているところ。これほどオイシイ情報に直結した制度は今までなかったからね。

古典的な手法から、まったく新しい手口までいろいろなパターンが出てきそうだ。マイナンバー詐欺は、間違いなく今後一番の流行になるよ」

懐に入ってくるだろう儲けを皮算用して興奮気味に語るのは、これまでもオレオレ詐欺や還付金詐欺などに関わってきた犯罪グループの関係者X氏だ。

9月3日、マイナンバー改正法が衆議院本会議で成立し、いわゆる国民総背番号制度がいよいよ本格的に動き出すことが決まった。10月からは個人番号を知らせる通知カードが、市区町村からあなたの元にも届くことになる。そして来年1月には個人カードの交付が始まる。X氏が続ける。

「一般人のほとんどは、まだマイナンバー制度のなんたるかがよくわかっていない。なかには通知カードが届いて初めて、なにか新しい制度が始まるということを知る人もいるはずだ。そういう連中が絶好のカモになる。

うちのグループでもすでに現場のプレイヤー(電話をかける人)がマイナンバーに関する電話を高齢者にかけて、どのような反応があるか探っている。いろいろ試して、実際に相手をだまし、収益が上がりやすいスキームを練り上げている」

「これなら通用する」という水準に達したスキームは、マニュアル化されて、ワードやエクセルの文書で保存される。印刷する場合は、必ず水溶性の紙が使われ、原則持ち出し禁止。詐欺グループの事務所には、必ず水の入ったバケツと電子レンジが置かれている。

「突然の家宅捜索に対応するためです。プレイヤーはマニュアルを見ながら電話をかけますが、いざというときには、紙をバケツに放り込めばいい。携帯はまとめて電子レンジでチンしてしまえば、昔駄菓子屋にあった煙玉のような黒煙を上げて完全に壊れるんです」(X氏)

■詐欺グループの「マニュアル」

では、実際にはどのようなスキームで詐欺が行われるのか。本誌が今回、入手したマニュアルによると、現段階で行われる見込みが高いのは大別して2つ。

1つ目は還付金詐欺の応用だ。相談相手のいなそうな高齢者に「マイナンバー導入に伴ってお得な節税法があります」とアプローチするもの。

司法書士や税理士を騙り、「300万円節税できるから、保証金として50万円支払ってください」などといってカネを振り込ませる。

2つ目は「あなたのマイナンバーの情報が流出しており、犯罪に使われる可能性があります」と脅す手法だ。

この場合は役所の事務員や警察官のふりをして実際に家におしかけ、「流出を止めるためにすぐに動きますので、銀行の通帳と印鑑、暗証番号をお預けください」と迫るという。

「これらのスキームは、我々がこれまで行ってきた詐欺の延長線上にあるもの。その意味で古典的な手法だといえる。10月から、こういう電話をバンバンかけることになっている。

しかし今後、マイナンバーに銀行口座やクレジットカード、年金や保険といったさまざまな情報が紐づけられることになると、詐欺の手口はぐっと広がる。今まで考えられなかったような大胆な儲け方ができる」(X氏)

■アメリカで頻発している「なりすまし詐欺」

当面は、マイナンバーが利用されるのは税務処理や雇用保険、児童手当の給付など行政サービスの分野に限られる。だから、仮に個人番号を盗まれたところで、直接的に金銭的な損害を被る可能性は低いと考えられている。

だが油断は禁物だ。'18年以降、マイナンバーの民間利用が予定されており、銀行、保険などの分野で使用されるようになると被害は甚大なものになるからだ。白鷗大学大学院法学研究科の石村耕治教授が警鐘を鳴らす。

「マイナンバーと銀行口座が紐づけられると大変なことになります。実際、社会保障番号(SSN)の民間利用が進んでいるアメリカにおいては『なりすまし詐欺』が頻発して、大きな社会問題になっているのです」

マイナンバー先進国である米国における詐欺の状況に詳しい、ID管理のコンサルティング会社会長のアダム・レヴィン氏は次のように語る。

「代表的な例は税の還付金に絡んだものです。番号情報を盗み、本人が気づかないうちに所得税の確定申告を済ませて、勝手に払戻金を受け取ってからトンズラするというものです。被害にあった人は、自分が確定申告しようとしたら、税務署に『すでにその番号の人の書類は提出されていますよ』と言われて初めて気付くのです」

他にも勝手に自分名義のクレジットカードが作られて莫大な金額を請求されたり、身に覚えのない医療サービスの請求が届いたりする被害が相次いでいる。

アメリカにおけるSSN詐欺の規模は、日本人の想像をはるかに超えるもので、'14年には1200万人以上のアメリカ人がなりすまし詐欺の被害にあっている。同年、不正に支払われた税の還付金は、58億ドル(約7000億円)に上る。

■情報流出は防げない

今後、日本でもマイナンバーの利用が拡大するにしたがって、今まで想像もつかなかったような詐欺の手口で財産を奪われる人が続出することは間違いない。前出のX氏によると、詐欺グループはすでにマイナンバー情報を集める計画を進めている。

「例えば社員や取引先の個人情報をカネで売りわたしそうな経営不振の会社を探しています。

また、大量のアルバイトを雇う飲食店チェーンなどを狙う手もある。数ヵ月単位で雇われているアルバイトの個人情報は、正社員の情報よりも管理が杜撰になる可能性が高いですからね」

さまざまな個人情報に紐づけられたマイナンバー情報が流出したらどのようなことが起こるか。

「医療情報や保険情報をうまく操れば、本人が気づかないうちに勝手に保険金を受け取ることだって可能になる」(X氏)

家族が亡くなって、生命保険を受け取ろうとしたら、書類上、その人はすでに何年も前に亡くなっていてカネもすでに支払われていたなんてこともあるかもしれない。

さらにX氏が続ける。

「マイナンバーを使ったなりすまし詐欺は高度なテクニックが必要ですが、成功すれば本人に気付かれないうちに大きな儲けが得られる。住所を勝手に変更したり、年金の受取先を変えたり、いろいろな手口がありえますね」

もちろん、行政や企業はこのような犯罪を防止するために対策を練る。

だが、日本には中小企業が385万社もあり、町の鮨屋や青果店といった個人経営の店から、ブラック企業や犯罪に関わっている会社まである。彼らに個人情報管理を徹底させるなんて土台無理な話だ。

それどころか、情報管理を徹底するのは大企業にとっても至難の業である。あるゼネコン幹部社員が語る。

「給与や扶養手当を支払うにあたって、社員本人や家族の番号データを集めなければなりません。人事担当はセミナーに通って付け焼き刃の知識をつけていますが、最終的にどの部署が情報を管理するのか、あるいは会計事務所の管理に任せるべきなのかといったこともまだ決められていません。

番号は金庫に入れて厳重に管理しなければならないので、手間やコストもかかります。しかも、マイナンバーが流出したら、最大4年以下の懲役、200万円以下の罰金が科せられるので、たまったもんじゃない」

他の大手メーカー社員は次のようにぼやく。

「つい先日、部署でマイナンバー情報をまとめる際の注意点が通達されたのですが、絶対に番号が見えないように厳重に封をして、しかもそれが誰の番号が入った封筒かわからないように集めろと言われました。誰が提出したのかチェックするだけでも一苦労ですよ」

将来的に預金情報との紐づけが予定されているので、当然ながら金融機関は今まで以上に徹底した個人情報管理が求められる。メガバンクの業務担当者が語る。

「国としては、年金や税を正確に把握して、名寄せも簡単になるのでメリットが大きいのでしょうが、企業にとっては前向きになる理由が一つもありません。

情報管理を徹底するためには、システムを一から作り直す必要がある。平均的な大手金融機関で10億円以上のコストがかかるという見積もりもあります」

どれだけコストをかけても、最終的には情報のやりとりに人が介在せざるをえない。情報を流出させるかどうかは、担当者の胸三寸なのだ。さくら通り法律事務所の弁護士・清水勉氏が語る。

「弱みを握られたり、カネの問題がからんだりして、情報を提供する人は絶対に出てきます。流出した情報はデータベース化されて、裏社会で売買される。現在、出回っている大学や企業の名簿よりもずっと確かで、犯罪集団にとって価値のある情報がやりとりされる」

■身内に騙されるケースも

情報が流出するのは、行政や企業からだけではない。意外なことにアメリカでは、被害者にとって身近な人間によるなりすまし詐欺事件が多発しているのだ。在米ジャーナリストの飯塚真紀子氏が解説する。

「アメリカのなりすまし詐欺の被害者の30%以上が、家族や親密な友人、同僚などに騙されているのです。ちょっとしたおカネ欲しさに子供が親の番号を盗んでクレジットカードを作り、借金を膨らませてしまうなんてこともよくあります」

同様のケースは当然日本でも起きるだろう。このように、マイナンバー制度が動き始めたら、思ってもみなかった形で犯罪に巻き込まれる可能性が出てくる。詐欺被害に遭わないためには、何に気を付けておけばいいのだろうか?

監修書に『大事なことだけすぐにわかるマイナンバー制度』がある税理士の青木丈氏は次のようにアドバイスする。

「とにかく他人に番号を知られないこと。通知カードや個人番号カードを大切に保管するのはもちろんのこと、うかつに番号をメモなどしてもいけません。また、誰かから『マイナンバーを確認させてください』という電話がかかってきても、絶対に教えてはいけない」

もっとも前述のように、いくら厳重に警戒したところで、情報はどういった経路で漏れるかわからない。

X氏は次のように断言する。

「警察の取り締まりが厳しくなったこともあって、目端の利く人間は従来のオレオレ詐欺や還付金詐欺に代わる新しい儲け口を探している。そうしたグループが次に目をつけているのがマイナンバーであることは間違いない」

彼らの餌食にならないためには、制度の仕組みをよく理解し、銀行口座やクレジットカードに身に覚えのない変なカネの動きがないか常に目を光らせるしかなさそうだ。

「週刊現代」2015年9月19日号より

 

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コメント
 
1. 2015年9月16日 11:25:35 : OO6Zlan35k

「あなたに迫る 老後ミゼラブル」
健気なお年寄りがひどい目に遭うニッポン

高齢弱者を狙い撃ちする“外道犯罪”の実態

2015年9月14日(月)林 英樹

 「どうせ頭が悪いから詐欺に引っかかったんだろう。自己責任だ」「老人はお金をたんまりと蓄えているのだから、多少はいいんじゃない」

 高齢者を狙い撃ちする「オレオレ詐欺(振り込め詐欺)」。社会問題としてクローズアップされる反面、被害者に対する世間の目は厳しいのが現実だ。特に、若い世代には「自業自得」だと突き放した意見を持っている者が少なくない。

 自分たちが将来受け取るであろう年金は、今の高齢者の受給水準から大幅に下がることは確実だ。そんな世代間格差に対する詮方ない不満が、高齢世代への冷ややかな攻撃性の根底にあるのだろう。そうした世相が影響しているからか、近年、オレオレ詐欺の被害者が親族からの冷たい目に晒され、羞恥心や生活困窮から自殺するケースすら起きている。

 オレオレ詐欺を含む特殊詐欺の被害件数は、昨年だけで過去最悪となる559億円に上った。だが、数字の裏に隠れた「実態」に目を向けて欲しい。記者は2015年9月14日号特集「あなたに迫る 老後ミゼラブル」を通じ、オレオレ詐欺の被害者数人を取材した。いずれも、「自業自得」と放擲するには、余りにも弱々しく、ささやかに生きる健気な方ばかりだった。

 そんな一人が、米沢まさ子さん(83歳、仮名)だ。東京都多摩市内の最寄り駅から少し離れた閑静な住宅街の中で、場違いにぽっかりと残る、古びた市営住宅の1LDKに一人で住んでいる。

 米沢さんが被害に遭ったのは今年5月中旬のこと。犯人グループに、計430万円をだまし取られた。

「消費者センターの者ですが…」

 「消費者センターの者ですが、調べていることがあって米沢さんに電話しました」


自宅にかかってきた電話が悲劇の始まりだった
 5月14日午前、1本の電話を受けた。消費者センターは以前、健康器具のクーリングオフについて相談に乗ってもらったことがある。その時点では、家に電話がかかってきてもおかしくない相手だと、特に不審に思わなかった。

 話の続きを聞くと、「東日本大震災の被災地支援として、あなたの代わりに3000万円を寄付した人がいる。その人に連絡をとってほしい」と告げられた。米沢さんは以前、被災地支援で30万円を個人的に寄付していた。その話と混同しているのではないか、そう思った。

 その後、弁護士、そして代わりに寄付をしたという男性から立て続けに電話がかかってきた。要件は「立て替えた3000万円のうち1000万円分だけでも返してほしい」という内容だった。

 常識的に考えたら、まったく筋の通らない話だ。だが、米沢さんは「20回ぐらい色々な人と話をするうちに、気づけば、いくらをどのような形で払うかという具体的なやりとりの交渉になっていた」と振り返る。

「詰問役」と「なだめ役」

 立て続けに電話してくる人物がそれぞれ、「3000万円を寄付した」という冒頭の話を前提に話を進める。そうした流れの中で、「気づいたら3000万円の寄付について確認することができない雰囲気になっていた」(米沢さん)。

 犯人らは巧妙だ。「いつ返してくれるんだ」と厳しい詰問調で支払いを促す「寄付した人物」に対し、弁護士を名乗る男は「東京都知事の顧問弁護士をしているからコネが効く」「最後は半分ぐらい返すから俺に任せなよ」などと優しく語りかける。米沢さんは次第にこの弁護士を名乗る男に頼るようになった。

 結果、その日の昼過ぎに、弁護士の使いの者が米沢さんの自宅を訪れることが決まった。米沢さんは自宅の住所を教えていないのにも関わらず、弁護士の男との電話を切った数十分後、若い男がインターンフォンを鳴らした。早く帰ってもらいたいとの思いから、タンスにあった130万円を男に渡した。

 それだけで終わらなかった。弁護士の男の指示で翌日、銀行で300万円を引き出し、これも男に支払った。6年前に夫が他界して以降、月額13万円の年金で生活している米沢さん。詐取された合計430万円は、自らの入院費、葬式代として使うことを想定し、口座に残していた全財産だった。

 なぜ犯人らは米沢さんの自宅住所を知っていたのか――。事件が起きた10日後の5月25日、米沢さんは趣味で60年間続けてきた詩吟のリサイタルを初めて開く予定になっていた。近所の電柱や掲示板にリサイタルを告知するポスターを貼っていた。そこに問い合わせ先として氏名と住所、電話番号を書いており、警察は犯人グループがそれを見て米沢さんに接触したと見ている。

 米沢さんは詩吟リサイタルまでの10日間、警察はおろか親しい知人にすら、詐欺に遭ったことを話さなかった。体重はこの間、5キロ前後落ちた。知人には「何かあったのか」と尋ねられたが、口をつぐみ続けた。

 騙されたことを知られるのが恥ずかしいという思いはもちろんあった。だが、それ以上に大きかったのは、初めての詩吟リサイタルにかける強い思いだった。

 ここで米沢さんの半生に少し触れたい。

 「私は物心ついた時には養護施設にいた。一世一代の恥と思い、周囲には長いこと隠し通してきた」。

 唯一の肉親である母親は結核で遠方の病院に隔離されていた。そのため、米沢さんは生まれた直後から養護施設に入っていた。13歳の時に、東京大空襲が起き、病院は焼失。数えるほどしか会ったことがない母親を失い、戦争孤児になった。

孤児、介護、死別・・・

 15歳になると、何度か里子に出されたが、すぐに施設に戻される。おねしょ癖が治らなかったからだった。「あんなまずい顔をしたのは見たことない、よく表を歩けるものだ」。里親からは煙たがられ、時には暴力も振るわれた。


米沢さんと一緒に暮らす人形の「だいすけ」くん
 何度か自殺を図ったが、死にきれなかった。そんな時に出会ったのが詩吟だった。初めて自宅近くの公民館で詩吟を聞き、電気が走ったように体が動かなくなった。すぐに詩吟教室の戸を叩いた。

 子供の死産、2000万円以上貸した知人の失踪、脳梗塞で倒れた夫の13年間に及ぶ自宅介護、そして夫の死別・・・。その後の60年に及ぶ人生の中で、辛く悲しい出来事が幾度となく起きたが、詩を吟じることで何とか乗り越えてきた。

 そんな心の支えであり、自分を表現できるただ1つの手段だった詩吟。人生最大の晴れの舞台が直近に控えており、米沢さんはその成功を最優先に考えていた。だが皮肉なことに、心の支えである詩吟が結果としてオレオレ詐欺という更なる苦境を米沢さんに強いることになった。

 米沢さんにこれまでの人生で一番嬉しかった出来事を尋ねたところ、「18倍の競争率で市営住宅に入居できたこと」と笑顔で答えた。「入居当初は毎日が満ち足りていて、団欒室に行っては手芸に興じたり、夫や他の住民と旅行に出かけたりした。至れり尽くせりの恵まれた環境で、心から神様に感謝したい」。

 警察庁の調査では、2004年に詐欺被害者のうち65歳以上の高齢者が占める比率は14.1%。当時は全人口における高齢者の比率(19.5%)を下回っていた。だが、約5年前から被害件数が急増。詐欺被害者の高齢者比率は2014年、高齢者の人口比率(26%)を大きく上回る42.8%に達した。


詐欺被害の中でも「オレオレ詐欺」を含む特殊詐欺が増えている
[画像のクリックで拡大表示]
 警察幹部はこう打ち明ける。「オレオレ詐欺の被害に遭う高齢者の大半は社会的弱者だ。公営住宅の住民が多い。診断は出ていないが、軽度の認知症の高齢者も少なくない。犯人は電話でそういう人物を巧妙に嗅ぎ分け、ワナを仕掛ける」。

強者が富み弱者は貧す

 一般に、富裕層の高齢者は財をなした過程で幅広い社会経験を積んでおり、詐欺に引っかかりにくいといえる。米沢さんは働きに出ていた時期があるが、したたかに生きる知恵を備えていたとまでは言い難い。

 米沢さんのケースを見て、なぜ相手の言うことを鵜呑みにしたのか、もっと早く警察や知人に相談すべきだったのではないか、と指摘するのはたやすい。強い者が富み、弱い者が搾取されるというのは世の常なのかもしれないが、だからと言って、米沢さんのような人に対して「自己責任」と突き放すことができるだろうか。

 米沢さんは人形に「だいすけ」という名前を付け、一緒に暮らしている。「あの世に行ったら夫にどやされるわね」。「だいすけ」にそう弱々しく笑いかける米沢さん。取材中、最後まで犯人に対する怨嗟を口にしなかった。

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あなたに迫る 老後ミゼラブル

2040年、未曾有の高齢化社会がやってくる。首都圏も高齢者が大幅に増え、高齢者の入居する施設は今後、整備が追い付かなくなっていく。これから高齢者になっていく現役世代を待ち受けるリスクとは。足元に見え始めた「未来の兆候」を探りながら、検証していく、「日経ビジネス」2015年9月14日号の連動企画。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/090700033/091100002/

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2. 2015年9月16日 11:29:50 : OO6Zlan35k
「高齢者の貧困率9割」時代へ

老後は誰しも転落の淵を歩く

2015年9月15日(火)林 英樹

 日経ビジネス2015年9月14日号特集「あなたに迫る 老後ミゼラブル」では、「3大ミゼラブル」として、孤独死・認知症・犯罪を取り上げた。この3大問題の根底にあるのが、高齢者の貧困問題。一般的な民間企業で定年まで勤め上げた「中流層」は、定年を機に貧困に転落する可能性が極めて高い。『下流老人 一億総老後崩壊の衝撃』の著者、藤田孝典氏に話を聞いた。
(聞き手は林英樹)
日本の中流層である、平均給与414万円でも定年後は貧困化してしまうと訴えています。

藤田:ええ。今の40代前半に当たる団塊ジュニアは4割程度が非正規社員・従業員です。平均年収は200万〜400万円が中心帯ですが、この水準だと、定年後の年金受給額は月額8万〜10万円。生活保護を受給すべき最低ラインに掛かります。

とは言っても危機感は薄い。

藤田:老後には、病気や介護、認知症、子供が独立せずに家に居つくなど、現役時代には想像できないような“落とし穴”があります。なかなか実感として受け止めにくいので、危機意識が低いのではないでしょうか。


藤田孝典(ふじた・たかのり)氏
社会福祉士、ソーシャルワーカーとして生活困窮者を支援。NPO法人「ほっとプラス」代表理事。聖学院大学客員准教授。「反貧困ネットワーク埼玉」代表。著書『下流老人 一億総老後崩壊の衝撃』(朝日新聞出版)は発売から2か月で8万部を売り上げた。
 現在、私は埼玉を中心に生活困窮者の相談に乗っていますが、半分は高齢者です。そのうち、現役時代の年収が800万〜1000万円だった人も含まれています。以前は正規の仕事に就く子供がおり、手元には、貯金や持ち家があった。地域コミュニティーも支えてくれた。年金はあくまでプラスアルファの収入で、依存度はそれほど高くなかった。

それが変わってきたと。

藤田:今は違います。社会構造が変わる中で、年金依存度は飛躍的に高まっています。そうであるのにも関わらず、私たちが手掛けた独自調査で定年後もずっと中流意識を持っている人は多いことが分かりました。意識と実態のギャップから貧困化に陥るケースが増えています。

 現役時代は企業の部長さんで、毎週末にゴルフをするのが当たり前。車はクラウンじゃないとダメという人なんかも相談に来る。なかなか生活の質を下げられないようですね。

意識を変えられないことが問題なのでしょうか。

藤田:それもありますが、一番の問題は家庭と雇用形態の変化に、制度が対応し切れていない点です。家庭内で支えてくれる人がいない以上、国が社会保障として支援の枠組みを考えないといけません。それが抜け落ちています。

具体的に何をすべきでしょうか。

藤田:やるべきことは決まっています。住居です。家賃補助を入れるべきです。

 皆さんが何にお金をかけているかというと住まい。35年ローンを組み、定年までに払い終わらない人が多い。仮にローンを払い終わっても、老後の資金をすべて住宅につぎ込み、貯蓄額なんてありません。持ち家に資産価値があれば良いのですが、35年経つと目減りした不動産価値しか残らない。

持ち家が首を絞める?

 マンションも二束三文の価値になってしまいます。賃貸の場合、現役時代と異なり、定年後の年金支給額15万前後では、8万〜10万円の家賃は到底払えません。

金銭的支援は国庫財源を考えても限界があります。

藤田:家賃補助が難しい場合、フランスのように、公営住宅の絶対量を増やすべきでしょう。

 日本では、全住宅のうち公営住宅はわずか4%程度です。一方、フランスは40年前からインフラ整備を進めており、今は約20%に増えました。フランスの場合も老後の年金は月額10万〜12万円程度で日本と変わりません。ですが、家賃は月額5000〜1万円。手元に1カ月で9万〜10万円が残る計算になります。

持ち家は資産価値の希薄化問題だけでなく、老朽化による修繕費、固定資産税などの税金も重荷になります。

藤田:そうですね。老朽化した持ち家であっても資産と見なされるため、貧困に陥ったとしても、生活保護の申請が認められない事例が増え、問題になっています。

一方で、郊外を中心に空き家も社会問題になっていますね。

藤田:行政がゼロから公営住宅を作るのはコストがかかります。手元に今あるストック、つまり空き家をリフォームしながら使うことは重要です。それが実現するだけでも、相当な高齢者が救われます。

 我々の独自調査では年収200万円の若者の8割が実家に住んでいました。実家から出られず、結婚ができないし、子供も作れません。200万円でも独り立ちできるような政策を打たないと、彼らが老後に貧困に苛まれるだけでなく、彼らの両親の老後の生活すら苦しめることにもなります。

至る所でひずみが生じています。

藤田:マクロ経済スライドで年金はこれからどんどん減っていきます。月額8万〜10万円は当たり前。その範囲内で暮らせるビジョンを描き、「総下流化」時代に備えないといけません。個人の努力で資産を形成してください、というのはどだい無理な話になっています。

まずは危機感を持つところから始めるべきでしょうか。

藤田:先ほど危機意識が低いと話しましたが、実は多くの人は薄々、気づいているのだと思います。だからこそ、『下流老人』も2カ月で8万部売れたのではないでしょうか。自分もこうなるという危機感があると思います。それは1700兆円もの個人資産のストックにも表れています。

窃盗、強盗未遂も

日本人には、自分の資産を子供や孫に残さないといけないというマインドがあり、その固定観念が自らの首を絞めている面もあるように感じます。

藤田:そうですね。子供や孫の行く末が心配。非正規社員・従業員が増えているから、余計に心配、とすべてがつながっています。せめて家だけでも残しておきたい、というのが日本の持ち家信奉のベースですし。

高齢者による犯罪も増えています。これもベースに貧困がありますか。

藤田:はい。私は年間300件ぐらい相談を受けていますが、そのうち20件前後は犯罪がらみです。無銭飲食や詐欺、窃盗。窃盗は万引きもあるし、強盗未遂まで至ったケースもありました。


「生活保護は恥という考えを捨てて」と呼びかける藤田氏
 貧困から食事を採れない高齢者は刑務所や拘置所に入れば、1日3食を確保できる。彼らは、どうしたら刑務所に入れるかを考えて犯罪行動を起こします。犯罪に手を染めるのが嫌で自殺してしまう高齢者もいました。

犯罪までいかなくても、生活保護を受けるのは恥だという考えは日本で根強いですね。

藤田:本人の考えだけでなく、実際に周りの視線も冷たくなりますから。でもその考えは改めないといけません。恥ではなく努力した結果だという受け止め方をしてほしいと願っています。

犯罪絡みでは、高齢者が加害者ではなく被害者になるケースも増えています。代表例が「オレオレ詐欺(振り込め詐欺)」でしょう。

藤田:オレオレ詐欺の被害者には、軽度の認知症の人が極めて多い。犯人は一度釣れたなと思ったら、どんどん付け込んできます。

 軽度の認知症は専門の医師が診断しないと判別がつかないが、犯人は電話だけで敏感に嗅ぎ取ることができるようです。一人暮らしの高齢者で3000万円をだまし取られたり、訪問販売で高価な羽毛布団を3枚分も買ったりした事例もありました。年金支給日に全額を引き出し、そのままタンスに入れている高齢者が多いのも事実です。

 一人暮らしだと、あらゆる決定を自分で下してきた。だからこそ、加齢で自分の判断能力が崩れてきたことに気づきにくいし、認めにくい。よく「プライドを捨ててください」と言っています。

居住地が「居場所」とは限らない

政府の「地方創生」の一環として、定年を機に高齢者の地方移住を後押しする政策が本格化しそうです。この動きをどう見ていますか。

藤田:うーん。お金を持っている人は現実的な選択肢として考えたらいいと思います。共働き夫婦でともに公務員や一部上場企業の場合、年金受給額が高いので、どこに移住したとしてもやっていけます。

 問題なのは圧倒的多数である約9割の低年金層です。地方移住には住宅・引っ越し費用がかかります。車がないと生活できない。地元のコミュニティーになじまないと生きてはいけません。資金面だけでなく、制度面でもまだ整備しないといけない部分は残っています。

特集では「円の貯蓄より縁の貯蓄」というメッセージを打ち出し、「つながり」が問題解決の手段になると訴えました。ただ、コミュニティーは人工的には作れません。

 東京・新橋にある「東京囲碁会館」には郊外に住む70〜90代の高齢者が今でも電車やバスを乗り継いでやってきます。住まいの近くにいくつもコミュニティーがありますが、そちらでは溶け込めず、わざわざ足を運ぶそうです。


東京・新橋の「東京囲碁会館」。平日の昼間から多くの高齢者で賑わう(撮影:的野 弘路)
藤田:本人が「居場所」として感じている地域、コミュニティーはどこなのか。これは他人が決められる問題ではありません。住んでいる場所だからと言って、そこが必ずしも居場所にはなりません。

 私が支援活動をしている埼玉のような郊外は特にそうです。「埼玉都民」と呼ばれるように、地元の帰属意識は希薄です。地域づくりの政策の難しさを感じています。高齢者が初めて地域のコミュニティーに関わるようになるのは、介護が必要になった時と言われています。介護サービスを受けるようになれば、地域のデイサービスや老人ホームと関わるようになるからです。楽しそうなのは健康な高齢者ではなく、要介護者ですね。

それは皮肉な話ですね。地域コミュニティーの崩壊も問題点として挙がります。

藤田:民生委員は今や常に欠員が出ている状況です。

 社会福祉協議会は高齢者に貧困が広がっている事実に気づいていません。要介護、障害、母子家庭など制度の枠組みの中でしか考えていないからです。そこに引っかかったらすごく丁寧にやってくれますけれど。

 個人情報保護法の施行以降、住民の名簿をもらえないケースも増えました。行政からの個人情報の提供も遮断されており、仕方がない部分もあります。

生活のダウンサイジングを

貧困化を避けるために何をすべきなのでしょうか。

藤田:確実に言えることは、早い時期に決断することです。何を決断するか。最も重要なのは、生活スタイルの“ダウンサイジング”です。

 定年を見据えて、生活の質、趣味や消費サイクルなどを考え直すことです。老後は収入が思った以上にがくんと落ちます。体力や仕事がなく、収入を上げる方法はありません。病気や介護、認知症など想定外の出来事も起こります。手にするであろう年金の受給水準で生活するには、どうすればいいのか。50代できちんと考え、実行することです。

 住まいも重要な検討対象です。妻と子供がいると大きな家が必要だが、子供が独立すれば、使わない部屋が出てきます。手入れしないと荒れ放題にもなります。年齢ごとの生活に応じて、住まいも臨機応変に考えないといけません。

これから老後を迎える世代の環境・条件はより厳しくなります。

藤田:そうです。バブル雇用で安定した世代の高齢者ですら、今や貧困率は22%に達しています。40代前半に当たる団塊ジュニアが定年を迎えたら、9割が貧困化するのではないかと見ています。決して他人事ではありません。老後は誰しも貧困の淵を歩かなければならないということを、きちんと認識してほしいと思っています。

このコラムについて
あなたに迫る 老後ミゼラブル

2040年、未曾有の高齢化社会がやってくる。首都圏も高齢者が大幅に増え、高齢者の入居する施設は今後、整備が追い付かなくなっていく。これから高齢者になっていく現役世代を待ち受けるリスクとは。足元に見え始めた「未来の兆候」を探りながら、検証していく、「日経ビジネス」2015年9月14日号の連動企画。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/090700033/091400003

[12削除理由]:管理人:無関係の長文多数

3. 2015年9月16日 12:37:16 : jAdmYOHtYU
いくら自分で知られないようにしてても、会社のミスでおじゃんになるなんて。

しょっちゅう自分でチェックしても、異変に気がついて盗まれてることがわかっても、取り戻せるのか?


4. 2015年9月16日 20:26:15 : eYOBlOWYhI
裏社会 行政とグル マイナンバー


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