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中国経済がこれまでの成長路線に戻ることはない 「中国ショック」の鎮静化には何が必要か?(現代ビジネス)
http://www.asyura2.com/15/hasan100/msg/629.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 9 月 17 日 08:02:00: igsppGRN/E9PQ
 


中国経済がこれまでの成長路線に戻ることはない 「中国ショック」の鎮静化には何が必要か?
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/45336
2015年09月17日(木) 安達 誠司「講座:ビジネスに役立つ世界経済」 現代ビジネス


■中国当局の政策に大きな問題がある


「中国ショック」が内外株式市場の波乱要因となって久しいが、鎮静化の兆しは一向に見えない。


株式市場では、中国経済の減速を示す経済指標が発表されれば、株価が大きく調整し、中国当局による政策発動期待が高まると、大きく反転する、という状況を繰り返しており、株価の乱高下はおさまる気配がない。


特に、いわゆる中国関連銘柄や商社、鉱業といった資源関連銘柄のボラティリティ(価格変動率)の高さが目立つ。このボラティリティの高さを考えると、「中国経済の減速は株価に織り込まれつつある」という見方は現時点では適切ではないと考える。


中国経済は、賃金上昇によって従来の「薄利多売」型の成長モデルが維持不可能となっており、産業構造の転換を含む「構造調整」の局面に入っていると考えられる(いわゆる「ルイスの転換点」)。これ自体は、1970年代半ばから80年代代前半にかけて、日本経済が歩んできた道でもあり、中長期的にみれば、必ずしも悲観すべき事態ではない。


だが、現在の中国当局の政策には大きな問題点があり、この問題の解決にはもうしばらく時間がかかるのではなかろうか。


8月25日に中国人民銀行(中国の中央銀行にあたる)は、政策金利である銀行の貸出、及び預金の基準金利を0.25%引き下げると同時に、預金準備率を0.5%引き下げた。利下げは約2ヵ月振りだが、昨年11月以降で5回目となる。預金準備率引き下げは4月以来、約4ヵ月振りである。



「Shibor」のHPより


■市場の短期金利が上昇している理由


中国経済は、株式市場の大幅な調整に加え、実体経済でも減速が続いている。そのため、金融緩和は、オーソドックスな景気対策としての意味合いが強いと思われる。しかも、前述のように、利下げは昨年11月以降、5回目だから、中国はすでに本格的な利下げサイクルに入っていると考えられる。


だが、この利下げが効果を上げ、景気回復につながるかといえば、それは甚だ疑問である。


例えば、上海の国際金融市場におけるインターバンク金利(Shibor、シャイボー)の翌日物金利は、9月14日時点で約1.90%で推移している。


Shiborとは、日本でいえば、円Libor、もしくは、Tiborの翌日物金利に相当するが、これは、日本でいえば、政策金利である無担保コール翌日物金利とほぼ同水準(すなわちゼロ近傍)で推移するはずのものであるが、中国では両者の間に大きな隔たりがある(ただし、中国の政策金利である基準貸出金利は1年物で、その水準は1.75%である。一方、Shiborの1年物金利は3.41%であり、1年物金利でも両者の間には大きな隔たりがある)。


さらに、このShibor翌日物金利の動きをみると、今年の6月1日に1.03%の最低値をつけた後、その後、本格的に上昇基調に転じ、直近では1.9%近くまで上昇している。すなわち、これは、中国の短期金融市場では、6月以降の約3ヵ月間で1%弱の利上げに相当する資金の逼迫が発生しているということを意味する。


この資金逼迫の主な原因は、人民元レートの買い支えにあると考えられる。


確かに中国当局は、8月に入ってから断続的に人民元レートを切り下げている。7月までの人民元の対ドルレートは1ドル=約6.20元で推移していたが、断続的な人民元切り下げで1ドル=6.41元近辺まで低下した。だが、その後、人民元は増価し、1ドル=6.37元近傍で推移している。


このような人民元の下落傾向が続く中、政策当局は、逆に人民元買い・ドル売り介入を実施している模様だ。


人民元買い・ドル売りの為替介入の場合、中国の政策当局は、ドルで運用している外貨準備を取り崩し(これは米国債の売りを意味する)、市場から人民元を購入することになる。そのため、中国の外貨準備は減少が続いている。


すなわち、これは、中国当局が、人民元買い介入のための資金調達のため、短期金融市場から事実上、資金を吸収していることを意味する。その結果、中国の短期金融市場は資金逼迫を起こし、市場の短期金利が上昇していると推測される。



■場合によっては完全変動相場制への移行が必要


人民元の切り下げが実施された当初、市場では、中国当局が、人民元レートを減価させ、輸出増を通じて、国内の過剰在庫を一掃させようとしているのではないかと考えていたようだが、それが事実であれば、人民元の買い介入をするはずはない。


また、中国人民銀行が金融緩和を実施したところで、人民元レートの減価を許容しないような政策スタンスを採り続け、為替市場で人民元の買い介入を実施し続けるのであれば、金融緩和の効果は大きく損なわれる。最近の中国の通貨政策は不可解極まる。


このように、為替市場での人民元の買い支えが、中国の金融緩和を阻害し、ひいては、中国の株式市場が不安定性を払拭できない大きな理由であると考えられる。


それでは、何故、中国の通貨当局は、人民元の買い介入を行っているのだろうか。その理由は定かではないが、2つの理由が考えられる。


第一の理由は、人民元の下落が、富裕層にとって、将来にわたる人民元の趨勢的な下落を予想させたとすれば、それが、資金の対外逃避を加速させかねないという点である。さらに、富裕層の多くが、中国株の大幅下落によって資産を大きく減少させたとすれば、資産防衛のため、中国国内の資産を海外資産へ振り返えようと考えてもおかしくはない。


この流れに少しでも歯止めをかけようとすれば、人民元の減価はそれほど続かないと投資家層に思わせる必要があろう(これは、中国投資を増やしてきた海外投資家も同様であろう)。


第二の理由は米国への配慮である。中国が、通貨安を利用して、国内過剰在庫をダンピング輸出させた場合、米国からの経済制裁を含む厳しい措置が打ち出される可能性がある。中国は、米国財務省の「為替報告書」で、為替レートの人為的な操作を度々指摘され、批判されてきた。そこで米国政策当局を刺激したくないとの考えが働いた可能性がある。


以上より、中国経済が不安定な状況から抜け出すためには、さらなる金融緩和が必要であり、金融緩和が有効に機能するためには、さらなる人民元の切り下げ、場合によっては完全変動相場制への移行が必要であると考える。そして、その時に有効な金融緩和が実施されているか否かは、Shibor(上海インターバンク金利)翌日物金利の低下度合いによって判断できると考えられる。


例えば、Shibor翌日物金利が1%を大きく割り込むような状況になれば、金融緩和がようやく実現し始めたと考えてよいのかもしれない。よって、今後もShibor翌日物金利の動きに注意しておく必要がある。


■中国経済がこれまでの成長路線に戻ることはない


最後に、財政出動についてだが、筆者は、現在の中国経済では有効に機能しないどころか、無駄に終わる可能性が高いと考える。これには理由が2つ存在する。


第一の理由だが、現在の通貨政策・金融政策を維持したまま、財政出動を行った場合、金融機関のさらなる資金逼迫により、短期金利がさらに上昇、財政出動の効果を削減してしまう可能性が高い(いわゆる「クラウディングアウト」)。


現在の中国の経済政策の問題点は、需要不足による景気悪化というよりも、人民元レートを一定レベルに維持するために、金融逼迫を許容している点にあると考えているためだ。


第二の理由は、現在の中国経済の「構造問題」を財政出動が解決するとは思えないことである。


中国では、いわゆる沿岸の「経済特区」以外には未開発の地域(特に内陸部)が多く存在するため、それを対象に、大規模公共投資を実施すれば、さらなる成長の余地があると考えられがちであるが、内陸部への投資は、将来の経済の生産性上昇につながらないと考える。


これは、70年代半ばに日本で、「日本列島改造論」なる発想で、地方開発が公共投資主導で行われたが、結局、低成長への移行は回避できなかったことと同じである。


よって、今後、中国の政策当局が財政出動を行うということを、内外株式市場が好感して株価を押し上げたとしても、それは一時的な話である。中国経済がこれまでの成長路線に戻ることはありえない。


結局、中国経済の動向は、政策当局が、人民元をさらに切り下げることができるか否かにかかっているといえよう。



 

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コメント
 
1. 2015年9月17日 10:19:54 : nJF6kGWndY

中国政府や国民が、日本や欧州など先進国の過去の失敗を学んで、生かせるかだが

現状から推測すれば、あまり期待はできないな


2. 2015年9月17日 12:53:23 : 1ngw2OuUP6
>結局、政策当局が、人民元をさらに切り下げることができるか否かにかかっているといえよう。

元高信仰が海外資本を引き付けて成長してきた中国経済の本質を見誤っている。

中国経済の動向は、政策当局が、元安による成長エンジンが欠落した中で、社会不安を必然的に煽る構造改革のために、人民元をさらに切り下がることを容認しつつ、断行できる否かにかかっているといえよう。


3. 2015年9月17日 12:56:37 : 1ngw2OuUP6
↑訂正

中国経済の動向は、政策当局が、元高信仰による成長エンジンが欠落した中で、社会不安を必然的に煽る構造改革のために、人民元がさらに切り下がることを容認しつつ、断行できる否かにかかっているといえよう。


4. 佐助 2015年9月17日 18:30:37 : YZ1JBFFO77mpI : cLoPFxP7a2
中国は自壊する

元は中国解体とバブル作裂と、シーラカンス銀行のデフォルトの三つの危機に直面している。これは,ドル・ユーロ・円が、世界の75%の金とリンクされて基軸通貨が三極化しないと収束しません。

中国経済のバブルは2012年に弾け,バブルの崩壊は2015 年には認識されたが、その十年後には一党独裁政治体制の自壊は避けられません。

第二次大戦後、植民地から独立した国家の指導者たちは、植民地分割が異なる人種と宗教を雑居させた国家を、政治独裁によって統治する政策を選択した。この政治独裁も、建国から約40 年目に自由を求めて、民衆蜂起によって自壊する。石油輸出国も、40 年目に政治的自由の要求に譲歩し、政治体制を維持するが、戦後80 年目の節目には、民衆蜂起によって指導者層は分裂し、自壊することを避けるのは難しい。


資本主義国家でも、官僚支配するビジネスに参加するにはコネと賄賂が絶対必要である。社会主義政治体制は官僚支配なので、どんな開放政策にも認可権がつきまとう。そのため、自由経済システムそのものも腐敗堕落が避けられない。


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