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「超低金利政策」20年:おカネの偏在と資金循環構造の歪み
http://www.asyura2.com/15/hasan101/msg/269.html
投稿者 あっしら 日時 2015 年 10 月 05 日 05:05:39: Mo7ApAlflbQ6s
 


[時事解析]「超低金利政策」20年

 (1)需要創出効果は不十分 生産性向上が急務

 短期金利が1%を下回る超低金利が日本で始まって20年を迎えた。需要創出を狙ったが、効果は不十分だ。日本経済は1990年代半ば、円高や不良債権問題で需要が供給を下回った。日銀は95年9月8日に公定歩合を0.5%に下げた。それ以降、翌日物金利はゼロ近傍で推移している。

 ポール・クルーグマン米プリンストン大教授は98年、「金融政策が効かなくなる流動性のワナに陥った」と分析。海外からは「通貨下落や物価目標でまず脱出を目指すべきだ」(ラルス・スベンソン・ストックホルム大教授)との指摘が相次いだ。

 日銀はデフレスパイラル回避が必要としながらも、物価がほとんど上がらない状態については実質的に容認。2001年に導入した量的緩和も小規模で、国際通貨基金(IMF)のペリン・バークメン氏は「物価への効果はなかった」と結論づけた。

 日銀は13年にようやくゼロ近辺の物価水準からの脱出を目指す。2%の物価目標を設け、巨額国債を買い入れる量的・質的緩和を導入。通貨発行量が増えれば物価が上がるとする貨幣数量説を採用した格好だが、導入2年を過ぎても物価は当初目標に達していない。国の負債が膨張する中で新たな政策を打てる余地は狭まっており、ゼロ近傍脱出の道筋は見えないままだ。

 ドイツ連邦銀行のワイトマン総裁は「超低金利の裏には成長率低下があり、必要なのはトレンド成長率の引き上げだ。そのためには極端な金融緩和や国債発行に頼った財政拡大ではなく、生産性を上げるための構造改革が重要だ」と指摘する。

(経済解説部 太田康夫)

[日経新聞9月28日朝刊P.17]

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(2)薄れる企業・銀行支援 金融の革新は停滞

 超低金利政策は当初、過剰債務を抱える企業と、不良債権が膨らむ銀行の支援を狙っていた。超低金利は負債コストを圧縮した。企業の利払いはピークの年50兆円超から1995年に26兆円、近年は3兆円台に低下。それにより過剰債務から脱出できた面がある。

 ただ企業は98年からフローベースで資金余剰になった。今は200兆円を大きく超える現金・預金を抱えるが、受取利子は4兆円台。設備投資時の外部調達ニーズが減ったため、超低金利が投資を刺激し景気を押し上げる効果も薄れている。

 一方、銀行の預金などの利払いも、ピークの120兆円超から95年に80兆円、足元は28兆円に減った。低金利は調達コストを下げ、金融危機からの脱出を後押しした。

 しかし貸出金利も下がり、都銀の貸出約定平均金利は1%を割った。利ざやは縮小、一部の大手銀では国内の総資金利ざやがマイナスに陥った。

 銀行が中小企業を支える機能も低下した。貸し出しに見合った利益が得にくく、リスクの高い中小融資に消極的になったためだ。この20年で中小企業融資は80兆円も減っている。

 市場業務では量的緩和が響き、国債などで価格変動率が低下。取引量の低迷による手数料収入の減少や、価格変動を回避するデリバティブ(金融派生商品)需要の低迷を招いた。

 メリルリンチ日本証券の大槻奈那氏は超低金利について「長期化で、長短金利差を縮めた。金融イノベーション(革新)が生まれにくくなり、結果的に銀行の生産性を引き下げた」と指摘する。

(経済解説部 太田康夫)

[日経新聞9月29日朝刊P.26]

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(3)家計の利子所得激減 消費低迷の一因に

 日本の家計は大幅貯蓄超過で、利子所得は家計の有力な収入源だった。利子所得が最も多かったのは1991年の37兆円。定期預金金利が5.6%と高かったためだ。

 超低金利は家計の利子所得を圧迫した。日銀が金利をゼロ近傍に下げた95年に定期預金金利は1%まで低下。その後も定期預金金利は下がり、2011年以降は0.1%を割り込んでいる。

 この間、家計は先行き不安を背景に預貯金を積み上げた。家計の現金・預金は95年の620兆円から、直近は900兆円近くまで拡大。残高は1.5倍になったものの、利子所得は年間7兆円台に落ち込んでいる。

 利子所得の圧迫の程度は、どの年を基準とするかに左右される。かつて日銀総裁が国会で、93年(定期預金金利2.4%)と比べた利子所得の累積減少額に言及したことがある。これを95年からの20年間に当てはめると、累積減少額は340兆円超になるとみられる。家計の逸失利益は年間平均で17兆円程度だ。

 90年代には日銀も「金利所得に多くを依存している家計にとって大変厳しい」(当時の松下康雄総裁)と、家計の逸失利益を意識していた。しかしそうした状況が常態化し、今や前年比で経済統計への影響はほとんどないため、総裁発言から逸失利益への言及は極端に減った。

 とはいえ、かつて利子所得が家計の余力を生み出していたのは間違いない。超低金利でその余力を失ったことが、政府が景気刺激策を打っても消費がかつてのように活性化しない一因になっている可能性がある。

(経済解説部 太田康夫)

[日経新聞9月30日朝刊P.28]
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(4)政府の利払い、大幅減 財政規律低下 招く

 超低金利の政府部門への効果は当初あまり出なかった。負債の中心が国債で、償還までの期間が比較的長いからだ。1991年に16兆円台だった政府の利子支払いは、95年にはわずかに増えた。

 超低金利が長期化するにつれて、その財政への効果は飛躍的に強まった。政府の利子支払いは98年の17兆円強をピークに減り、2004年からは10兆円を割っている。

 その間、負債は95年の470兆円から直近の1200兆円近くまで膨らんでいる。野放図な財政運営で膨らんだ借金の負担を、超低金利で強引に抑え込んだ格好だ。

 13年開始の量的・質的緩和で日銀は巨額の国債を購入。現在の年間購入額はネット(純額)の国債発行額の2倍以上で、市場を通した購入の形はとるが、日銀が国債の受け皿になっている。これにより10年物国債の利回りまでが0.3%台とゼロ近傍に抑えられている。

 その一方で、副作用も広がりつつある。国債投資などに依拠してきた保険や年金などの運用成績が圧迫され、人々が将来を見通しにくい状況を招いている。

 財政規律への懸念も強まっている。クレディ・スイス証券の白川浩道氏は「低金利で財政コストが抑えられるため、真剣に構造改革に取り組まなくなっている。規律が失われた状況だ」と指摘する。

 超低金利は家計からの所得移転を通じて、企業・銀行・政府がバブル崩壊で負った傷を埋めた。その後、企業は構造改革に取り組み自立したが、改革が不十分な政府部門は超低金利への依存を一層強めている。

(経済解説部 太田康夫)

[日経新聞10月1日朝刊P.31]
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(5)欧米、「日本化」を懸念 政策選択肢 多様に

 欧米では金融危機対策で導入した短期金利のゼロ近傍が長期化している。国際決済銀行(BIS)は「広範な病の兆候」と警鐘を鳴らしている。

 BISは金利ゼロ近傍の長期化について「銀行の利益が圧迫され、信用供与能力が低下する」と指摘。ヒルデブランド元スイス国立銀行(中央銀行)総裁は「量的緩和が市場をゆがめ、解除時には混乱をもたらす可能性がある」と警告している。

 欧米の金融当局はそうしたリスクを回避するため、踏み込んだ政策を採っている。米連邦準備理事会(FRB)は失業率が一定の水準に下がるまで金融緩和を続ける手法を採用し、利上げが展望できる段階に来ている。

 一方、欧州中央銀行(ECB)はマイナス金利を実施し、金利を下げられないゼロ金利制約を取り除いた。フィッシャーFRB副議長は「金利をゼロ以下にできることを学んだ。一定の効果も出ている」と評価する。

 より強い効果を目指した政策オプション(選択肢)も検討している。物価目標に関しては、国際通貨基金(IMF)のローレンス・ボール氏が「2%から4%へ引き上げたほうが、ゼロ近傍での金融政策の制約を取り除ける」と指摘。マイケル・ウッドフォード米コロンビア大教授は名目国内総生産(GDP)目標を掲げる金融政策を提唱している。

 欧米はゼロ近傍が20年続く日本を反面教師としてきた。「日本化」の危機を回避するため、日本より効果的な対策を模索してきた。しかし、日本の当局から欧米ほどの危機感は感じられない。

(経済解説部 太田康夫)

=この項おわり

[日経新聞10月2日朝刊P.29]


 

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コメント
 
1. 2015年10月05日 13:53:25 : OO6Zlan35k
焦点:経済対策の判断前倒しへ、政府で強まる世界経済減速への危機感

[東京 5日 ロイター] - 政府が経済対策の必要性を判断する時期について、10月中に前倒しする方向となった。背景には、世界経済の減速が急速に強まり、国内経済を圧迫するという危機感があるとみられる。

従来は早くても年末と見られていた補正予算の編成に関しても、早期に本格的な議論が始まる可能性がある。

ロイターの取材に対し政府筋は2日、経済対策取りまとめの判断時期について「11月まで待っていると遅いかもしれない」と語り、経済指標の大枠が出そろう10月中に「準備にかかる可能性がある」との見解を示した。

従来は、11月16日発表の7─9月期国内総生産(GDP)を見てから判断するという「タイムライン」を設定していた政府・与党だが、直近の世界経済減速への懸念が判断変更につながったもようだ。

日本を取り巻く経済情勢に関し、政府筋は、中国経済の減速や資源価格の下落、北欧数カ国で利下げに踏み切ったが金利情勢に変化が認められない状況などを挙げ、「世界的に相当デフレ圧力が強まっている」とも指摘。「国内の基盤は良いが、海外要因で国内(経済)が悪くなっている。海外のデフレは必ず連動してくる」と警戒感を示した。

実際、政府筋の発言後に発表された9月米雇用統計では、非農業部門の雇用者増加数が、市場予想の20万3000人を大幅に下回る14万2000人にとどまった。中国を起点にした世界経済減速の波が、予想以上に早く米国に到達し、米国の雇用情勢にも下向きの圧力がかかり始めた可能性がある。

このような世界経済の減速傾向は政府内でも意識されているもようで、政府筋は経済情勢次第では「緊急経済対策に伴う補正予算は、例年なら来年1月の通常国会となるが、前倒しした方がよいとの判断になる可能性もある」とした。

そのうえで、経済対策について「あまりゆっくりもしていられない。状況は厳しい」と語った。

一方、日銀の追加緩和の是非については「日銀が判断すること」と述べるにとどめ、多くを語っていない。1ドル120円前後で推移する現状の為替相場については「コンファタブル(居心地が良い)」と答えた。

政府部内では、この1─2カ月にわたって、一段の円安につながりやすい追加緩和について、消極的なコメントを発する関係者が多くなっていた。

しかし、ここにきて世界経済の減速が鮮明となっており、ロイターの取材に応じた政府筋は国内経済への波及について、危機感を鮮明にした。政府・日銀の政策対応に対する市場の関心度合いが、一段と高まりそうだ。

(吉川裕子 リンダ・シーグ 田巻一彦)
http://jp.reuters.com/article/2015/10/05/analysis-economic-measures-idJPKCN0RZ02G20151005?sp=true


2. 2015年10月05日 13:53:45 : OO6Zlan35k
コラム:米労働市場の改善傾向、9月雇用低調でも揺るがず

Daniel Indiviglio

[ワシントン 2日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米国の9月雇用は低調だったが、全般的な労働市場の改善傾向はそれで途絶えるほどもろいものではない。

非農業部門雇用者数は9月の前月比が14万2000人にとどまった。しかし労働市場が突然悪化したかのように受け止めた市場の反応は行き過ぎだ。不完全就業者や長期失業者など他の指標は、着実な改善を示し続けている。

米雇用情勢はゆっくりであるとはいえ、2010年の底から1270万人分の新規雇用を生み出すほど長期にわたって上向いてきた。同時に失業率は10年の10%から、この9月には前月と同じ5.1%と、大半のエコノミストが持続的な完全雇用状態とみなす範囲に低下した。非農業雇用はもっと低い伸びになっても不思議ではないが、過去半年でみるとなお毎月平均で約20万人増のペースを保っている。

一方、経済的な理由などからパートタイム労働に甘んじている不完全就業者数は600万人強と、7年ぶりの低水準だった。これにより、9月の広義のU6失業率は10%と08年5月以降で最も低くなった。

長期失業者の動きからも労働市場の持ち直しがうかがえる。失業者のうち27週間以上職に就いていない人の割合は26.6%と09年初め以降では2番目の低さだ。職探しをしている労働力人口のうち実際に職を失っている人の割合も2.5%と今回の景気回復局面における最低を更新した。

労働参加率は依然として大いに警戒を要する部分だ。9月の労働参加率は62.4%と1977年以降の最低になった。ただ、これはベビーブーム世代が退職に近づいていることなどの人口動態に影響を受けるため判断が難しい数字でもある。

失業率が示唆するほどに労働需給が引き締まっていないとの確信を強める要素としては、賃金が押し上げられる兆しがまだ見えない点が挙げられる。

米連邦準備理事会(FRB)が雇用面における使命を達成したとの見方を正当化できるだけの材料はまだない。とはいえ、幾分弱く見える1つの月次データが出たからといって、米国の景気回復が軌道を外れたことも意味しない。9月の数字は、ようやく健全なつり合いが取れた状態に近づきつつある労働市場を映し出したにすぎないのだろう。

●背景となるニュース

*米労働省が2日発表した9月の非農業部門雇用者数は前月比14万2000人増で、トムソン・ロイターがまとめたエコノミスト予想の20万3000人増を下回った。7月と8月の雇用者数も合計で5万9000人下方修正された。失業率は横ばいの5.1%、労働参加率は62.4%と約38年ぶりの低水準になった。
http://jp.reuters.com/article/2015/10/05/economy-usa-breakingviews-idJPKCN0RZ01B20151005


3. 2015年10月05日 14:05:10 : OO6Zlan35k
東アジア太平洋新興国の成長率見通しを下方修正=世銀
[シンガポール 5日 ロイター] - 世界銀行は、2015年と2016年の東アジア・太平洋地域(EAP)新興国の成長率予想を下方修正した。中国経済急減速のリスクと、予想される米利上げによる影響を背景として指摘している。

2015年成長率予想を6.7%から6.5%、2016年は6.7%から6.4%に引き下げた。

2014年の成長率は6.8%だった。

「成長は通常より強い不透明感にさらされており、リスクは下向き」と指摘した。特に、中国経済のリバランスと米政策金利正常化の影響による不透明感を指摘した。

中国については、2015年成長率見通しを7.1%から6.9%に、2016年は7.0%から6.7%に引き下げた。

中国を除く東アジア新興国の成長率見通しは、2015年は4.6%、2016年は4.9%とした。これまでは2015年は5.1%、2016年は5.4%と予想していた。

インドネシアとマレーシアについて、企業も家計も世界的なコモディティ市場の低迷に圧迫されていると指摘。貿易加重ベースの為替相場の下落は、コモディティ輸出企業の交易条件調整で重要な役割を果たすとの見方を示した。

また、アジア通貨が対ドルでさらに下落すれば、ドル建て債務が大きい国のバランスシートが圧迫されると警告した。特にインドネシア、マレーシア、タイ、ベトナムに懸念を示した。

*内容を追加します。
http://jp.reuters.com/article/2015/10/05/world-bank-eap-idJPKCN0RZ03N20151005


4. 2015年10月05日 14:06:33 : OO6Zlan35k
12月の米利上げの可能性、小さくなるも消滅はせず−9月雇用統計でも
2015/10/05 07:16 JST
    (ブルームバーグ):12月半ばの休暇の計画はまだ立てない方がよいだろう。
2日に発表された9月の米雇用統計は失望すべき内容で、12月15、16両日の連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げの可能性は小さくなったが、完全に排除されたわけではないと複数のエコノミストは指摘する。9月の同統計を受けて、10月利上げの公算はほぼなくなったものの、12月の可能性は小さくなったとはいえ、引き続き残っているという。
金融当局者は12月のFOMCまでに、10、11両月分の2回の雇用統計を含め、経済に関するさらなる情報を入手することになる。FOMC参加者17人中13人は年内の利上げを予想しており、2006年以来初となる利上げの計画をまだ捨て去りたくないと考えられる。
連邦準備制度理事会(FRB)の元エコノミストで、現在はコーナーストーン・マクロのパートナー、ロベルト・ペルリ氏は「米金融当局は今年の利上げをまだあきらめないだろう」と指摘。利上げの「可能性を残す発言が今後も行われるだろう」と語った。ペルリ氏は12月の利上げを予想しており、見通しを先送りするのは「時期尚早だ」と話した。
JPモルガン・チェースの米国担当チーフエコノミスト、マイケル・フェロリ氏は9月の雇用統計に関し、「必ずしも12月の利上げがなくなった」とは考えないとし、失業率は5.1%と前月から変わらなかったが、米経済における不完全雇用に関するより広範な指標は低下したと説明した。
原題:Jobs Report Dims But Doesn’t Kill Chances of 2015 Fed Rate Hike(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ワシントン Rich Miller rmiller28@bloomberg.net;アトランタ Steve Matthews smatthews@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Carlos Torres ctorres2@bloomberg.net Jeanna Smialek, Shobhana Chandra
更新日時: 2015/10/05 07:16 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NVN13S6JIJUO01.html

5. 2015年10月05日 14:07:59 : OO6Zlan35k
世界の中銀、債券市場の信認失う−経済的苦境への対応不十分 (1)
2015/10/05 13:33 JST

    (ブルームバーグ):世界の経済的苦境の克服に向けた各国中央銀行の取り組みは不十分だという見方が債券トレーダーの間でますます強まっている。
何百回に及ぶ利下げや量的緩和(QE)による多額の資金供給でも、債券市場では世界のインフレの見通しが金融危機時の低水準に近づきつつある。米国と欧州、英国、日本では今、インフレ期待が各中銀による直近の債券購入開始前の水準よりも弱い。
こうした状況を受け投資家の間では年内の米利上げ観測が後退。今後数年の引き締めは当局者の予想よりも小さいものにとどまるとの見方が強まっている。また、欧州中央銀行(ECB)と日本銀行がデフレ圧力に対応してQEを強化する必要があるとの観測も高まっている。
ステート・ストリートの北米マクロ戦略責任者、リー・フェリッジ氏は「金融政策への信頼が欠けている。金利をゼロに引き下げて紙幣を増刷するなど、あらゆる手を尽くしてもインフレ率はまだ下がっている」と指摘。「それがリスクオフ環境につながっている」と付け加えた。
最近の経済指標は主要中銀にあらためて追加策を求める内容となっている。ユーロ圏の消費者物価指数は予想外のマイナス圏に陥った。日本もデフレ脱却が遠のく状態となっており、米国では賃金が伸び悩んだ。国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は世界経済見通しの下方修正を準備していることを示唆した。
こうした懸念から投資家の資金はここ1カ月に米国債やドイツ国債などの安全資産に押し寄せた。ブルームバーグの指数データによれば、先進国の国債利回りは1%と、過去最低まであと0.2ポイントの水準に低下。米10年債利回りは4月以降で初めて2%を割り込み、2日は1.99%で終了した。
タームプレミアム
その結果、投資家が米10年債保有の対価として求める短期債に対する上乗せ利回りがほとんどない状態となっている。債券市場で「タームプレミアム」と呼ばれる期間に伴う上乗せ利回りは、米国の過去3回の引き締めサイクル直前の2004年6月と1999年6月、94年2月の方がはるかに高く、平均1.8ポイントだったことが、ブルームバーグが集計したFRBのデータに示されている。
イエレン議長を中心に一部当局者は、世界の先行き不透明感にもかかわらず年内利上げの見通しを変えていないが、トレーダーはそれを受け入れていない。2日発表された予想より弱い米雇用統計を受け、来年3月までに当局が利上げに踏み切る確率は低下し、ほぼ五分五分となっていることを先物市場の動きは示す。
米当局が2%のインフレ率目標を早期に達成できると債券市場を納得させるのは難しい状況にある。利回り差に基づくと、トレーダーは向こう10年の年平均インフレ率を1.5%未満と予想しており、09年4月以来の弱い見通しとなっている。
これは米国だけにとどまらない現象だ。バンク・オブ・アメリカ(BOA)の集計データによると、世界的にみた債券市場のインフレ率見通しは先月、1%に低下した。成長率が比較的低くデフレリスクの大きい日欧の中銀が既に需要てこ入れで異例の措置を講じているにもかかわらずだ。
ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントのアジア太平洋債券責任者、フィリップ・モフィット氏は「日銀とECBの次のステージはいずれも追加緩和だ。当局は燃料を注ぎ続けるだろう。だがある時点で火が大きくなり燃えるものがなくなる」と指摘。そうなればまずは「リスク資産の大量売り」という反応が見込まれると付け加えた。
原題:World’s Central Banks Lose Bond-Market Credibility as Woes Mount(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ニューヨーク Andrea Wong awong268@bloomberg.net;ロンドン Anchalee Worrachate aworrachate@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Boris Korby bkorby1@bloomberg.net Candice Zachariahs, Mark Tannenbaum
更新日時: 2015/10/05 13:33 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NVQ28J6TTDSD01.html



米ボストン連銀総裁:年内の利上げ開始には2%成長が必要
2015/10/05 13:01 JST
    (ブルームバーグ):米ボストン連銀のローゼングレン総裁は3日、年内の利上げ開始を正当化するには米経済が今年後半に2%のペースで成長する必要があるとの見解を示した。
ローゼングレン総裁は、利上げ見送りを決めた9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で取り上げた海外経済の成長懸念に関し、同月の雇用の伸び鈍化と輸出の弱さによって確認されたと指摘した。
同総裁はボストン連銀でブルームバーグとのインタビューに応じたもので、9月の金利据え置き決定は「かなり良い判断だったようだ」と述べ、米国が貿易相手国の景気減速やドル高により「多少の逆風を受けていることが雇用統計と貿易部門からのデータで示された」と語った。
年内残り3カ月での利上げ決定の有無については、米国内の消費や住宅部門の伸びが海外経済の減速をどの程度相殺するか次第だろうと指摘。「問題は今後入手し始めるデータが2−2.5%より弱いかどうかであり」、その場合は年内利上げの確信は弱まると述べた。
ローゼングレン総裁はまた、完全雇用に見合う自身の失業率推計を4.8%と説明し、9月実績の5.1%を下回る水準を想定していることを明らかにした。完全雇用状態はインフレ率を米当局の目標である2%に保つと見込まれる失業率水準を指す。同総裁は、雇用が一段と伸びればインフレ率は時間と共に上向くと「合理的な確信を抱くことができる」と付け加えた。
原題:Fed’s Rosengren Says 2% Growth Needed for Rate Liftoff This Year(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ワシントン Craig Torres ctorres3@bloomberg.net;ワシントン Christopher Condon ccondon4@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Carlos Torres ctorres2@bloomberg.net
更新日時: 2015/10/05 13:01 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NVQ59V6TTDSD01.html

債券先物は上げ幅拡大、追加緩和観測で買い優勢−日銀買いオペも支え
2015/10/05 13:10 JST

    (ブルームバーグ):債券先物相場は上げ幅を拡大している。9月の雇用統計を受けて米国で年内利上げ観測が後退する中、日本銀行による追加緩和期待が強まり、買いが優勢となっている。
5日の長期国債先物市場で中心限月12月物は前週末比11銭高の148円48銭で開始し、その後は148円40銭台でもみ合いとなった。午後に入ると148円51銭を付け、午前高値の148円49銭を上回った。
現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の340回債利回りは、日本相互証券が公表した前週末午後3時時点の参照値より0.5ベーシスポイント(bp)低い0.31%と、4月28日以来の低水準で開始。その後も同水準で推移している。新発5年物の125回債利回りは0.045%と、1月30日以来の水準に低下。新発20年物の154回債利回りは一時1.07%、新発30年物の48回債利回りは1.34%と、いずれも4月下旬以来の水準まで下げている。
BNPパリバ証券の藤木智久チーフ債券ストラテジストは、米国で雇用統計の結果を受けて、年内の利上げ期待が後退し、「日銀や欧州中央銀行(ECB)の緩和期待が高まっている」と指摘。「円債は日銀の追加緩和期待で超長期主導で買われている。新発10年債利回りは月末に向けて0.25%程度まで低下する可能性をみている」と言う。
2日の米国債相場は上昇し、米10年国債利回りは前日比4bp低下の1.99%となった。一時は1.90%と8月24日以来の低水準を付けた。9月の米雇用統計が予想外に弱くなり、年内利上げ観測が後退したことが背景。9月の米非農業部門雇用者数は前月比14万2000人増と、ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は20万1000人増を大幅に下回った。
日銀がきょう実施した長期国債の買い入れオペ(総額1.18兆円)の結果によると、残存期間3年超5年以下、25年超の応札倍率が前回から低下した。一方、1年超3年以下、10年超25年以下はやや上昇した。
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記事に関する記者への問い合わせ先:東京 三浦和美 kmiura1@bloomberg.net;東京 山中英典 h.y@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Garfield Reynolds greynolds1@bloomberg.net 山中英典, 青木 勝
更新日時: 2015/10/05 13:10 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NVL12O6S972801.html


6. 2015年10月05日 18:27:11 : OO6Zlan35k
日銀、追加緩和検討か
By TAKASHI NAKAMICHI
2015 年 10 月 5 日 14:57 JST
 【東京】日本経済が夏場にリセッション(景気後退)入りした可能性が9月末発表の経済指標で示唆されたことを受け、日本銀行は10月の追加緩和実施を検討する公算が大きい。

 日銀に近い関係者によると、今週6・7日開催される日銀金融政策決定会合では、賃上げに対する企業の消極姿勢を変えるために追加措置によって2%の「物価安定の目標」達成への強い意志を示す必要があるかが「議論になるだろう」。ただこの関係者は、日銀が会合で政策変更の必要性を検討するのは「いつものこと」と述べている。

 翌日物金利は10月から12月にかけて引き続き0.1%前後で推移する可能性が高い。

 一部のエコノミストは、日銀が主要政策手段である年間80兆円規模の資産買い入れを拡大するか、あるいは日銀当座預金の超過準備に支払う金利を現行の0.1%から引き上げる可能性があり、両方の実施もあり得ると予想している。

 足元の景気情勢は、日銀が追加緩和に踏み切った2014年10月当時とますます似通ってきた。みずほ証券のチーフエコノミスト、上野泰也氏は機関投資家に現状を説明するときに、「コーナーに追い詰められてKO寸前のピンチに陥り、クリンチで何とか逃れようとしているボクサー」に日銀を例えている。

 4-6月期の実質国内総生産(GDP)改定値は前期比年率1.2%減となったが、中国経済の大幅減速を受けて輸出が伸び悩む中、日本経済は7月以降も勢いを回復したとは到底言えない状況だ。8月の鉱工業生産(速報値)は2カ月連続で前月から減少した。

 8月の消費者物価指数(CPI)は生産食品を除くコアCPIが前年同月比0.1%下落し、13年4月以来2年4カ月ぶりのマイナスとなった。ゴールドマン・サックスは、コアCPIの伸び率は「年内」マイナスにとどまると予想している。

 さらに、インフレ期待に関する複数の指標が低迷の兆候を見せており、インフレ率を2%に押し上げようと努める黒田東彦日銀総裁には大きなダメージだ。

 黒田総裁は9月25日、8月のコアCPI上昇率はエネルギー価格を除くと1.1%程度と強調したが、エコノミストらは需要回復や一段の円安が実現しない限り長期的改善は見込めないと指摘している。

 投資家も総裁の前向きな発言を額面通りに受け取らないよう慎重な構えだ。総裁は昨年10月、インフレ率は「着実に」2%へ向かっていると国会で発言したわずか3日後に追加緩和に踏み切った。

利上げ、雇用指標改善なければ延期を=ボストン連銀総裁
By MICHAEL S. DERBY
2015 年 10 月 5 日 15:36 JST
 【ボストン】米ボストン地区連銀のローゼングレン総裁は3日、ウォール・ストリート・ジャーナルとのインタビューで、9月の雇用統計は予想より悪かったものの、連邦準備制度理事会(FRB)は間もなく利上げできるとの確信は変わっていないと語った。

 総裁は「雇用統計は期待外れだった。(9月の連邦公開市場委員会=FOMCで利上げを見送った委員らの)判断の正当性を立証しているようだ」と述べ、2日に発表された9月の雇用統計は「(利上げの)適切な時期を決める上でこれから発表される指標を引き続き注視する必要があることを浮き彫りにした」と指摘した。

 ただ、総裁は利上げが予想される時期を具体的に言及しなかった。2日の雇用統計発表前のフォックス・ビジネス・ネットワークとのインタビュ−で「(今後の指標も堅調なら)年内の利上げ開始が適切だと思う」と発言していたときとは見解が変わったことがうかがえる。

 総裁は3日、「どの会合での(利上げの)可能性も否定しない」としつつも、「10月までに入手できる追加データは12月までに明らかになるデータよりも量が少ない」と指摘し、10月のFOMCで利上げを決める根拠を見つけるのは難しいことを示唆した。

英中銀の利上げ時期、年内にはより明確に
The Wall Street Journal. The Wall Street Journal.
Jason Douglas

Yemeni Ramzi bin al Shibh appears at his arraignment as an accused 9/11 co-conspirator in this courtroom sketch reviewed and approved for release by a U.S. military security official, at Guantanamo Bay Navy Base, Cuba, May 5, 2012.
How a 5-minute phone call put 9/11 trial on hold for more than a year
A man paddles a kayak down a flooded street in Columbia, S.C., Sunday, Oct. 4, 2015. The rainstorm drenching the U.S. East Coast brought more misery Sunday to South Carolina, cutting power to thousands, forcing hundreds of water rescues and closing many roads because of floodwaters.
South Carolina flood: Door-to-door searches, swamped roads
 英中銀イングランド銀行が6年余りにわたって超低水準で維持している政策金利をいつ引き上げるかは、年内の残り3カ月でよりはっきりしそうだ。

 英中銀は2016年に入ってもしばらくは政策金利を0.5%に据え置くとみられているが、カーニー総裁は年が変わるころには利上げ時期がより明確になるはずだと繰り返している。金融市場では、国内のインフレ圧力が弱く、中国など新興国の健全性も懸念されているため、利上げ開始は16年下半期以降と予想されている。英中銀のチーフエコノミストを務めるホールデン理事は、英経済は減速の恐れがあると警告している。

 それでも複数の英中銀関係者が、利上げを正当化する材料がそれほど出なくても利上げに賛成票を投じる考えを示唆したため、投資家の予想時期よりも利上げが早まる可能性は高まっている。英中銀関係者は、近いうちにインフレ圧力が再び高まりそうな兆候として賃金上昇の加速を挙げている。

 つまり英中銀関係者にとっては、利上げに向けた地ならしをする上でも、あるいは利上げのさらなる先送りを示唆する上でも、今後数カ月が非常に重要となるということだ。英中銀が11月5日に発表する経済成長とインフレの最新見通しは、早期利上げに懐疑的な市場に自らの意図を伝える絶好の機会となるだろう。


7. 2015年10月05日 18:29:28 : OO6Zlan35k

削除人は全く日本の超低金利政策と海外中銀の政策、そして市場との関連がわかっていないようだ

8. 2015年10月05日 18:45:48 : nJF6kGWndY
焦点:日銀は次回会合で政策維持へ、物価の基調改善と判断

[東京 5日 ロイター] - 日銀は6─7日に開く金融政策決定会合で、年間80兆円の国債買い入れを柱とする現状の量的、質的金融緩和政策(QQE)の継続を決める見通しだ。

政策の目安とする消費者物価指数(除く生鮮、コアCPI)はマイナスに転落したが、食品など日用品の価格は上昇幅を拡大し、物価の基調は改善していると判断している。

ただ、2016年度前半に2%の物価目標を達成するとの従来シナリオは、原油価格の低迷状態が継続しており、実現に黄信号が点灯している。中国の経済情勢や米金融政策の行方をめぐって、市場では思惑が交錯。仮に市場価格が大幅に変動するような事態に直面し、日本経済にショックが波及すると判断した場合には、追加緩和も辞さない方針だ。

8月のコアCPIは前年比0.1%下落し、2年4カ月ぶりのマイナスとなった。しかし、生鮮とエネルギーを除く日銀版コアコアCPIは同1.1%上昇するなどプラス幅を拡大し続けており、日銀では「物価の基調は着実に改善してきている」(黒田東彦総裁、9月28日会見)と判断している。

<生産減少/雇用・所得環境は改善>

しかし、将来の物価動向を左右する国内外の景気は、強弱材料が交錯。日銀は中国をはじめとした新興国経済減速の影響が、顕在化してきているとみている。8月の実質輸出や鉱工業生産は前月比で減少しており、7─9月期の国内総生産(GDP)の大幅な改善は見込み薄となっている。

一方、8月の有効求人倍率は1.23倍に上昇し、1992年1月以来の高水準となった。実質賃金も2カ月連続で前年比プラスになるなど雇用・所得環境の改善基調は継続し、8月の実質消費支出も3カ月ぶりの増加に転じた。

輸出・生産に代わる経済のけん引役として期待されている設備投資も、企業は好調な収益環境を背景に強気の投資計画を大きく下方修正していないことが9月短観で確認された。

日銀内では、所得から支出という企業・家計の前向きな循環メカニズムも維持されているとの見方が大勢だ。

<世界経済の減速を議論へ>

日銀は今のところ雇用・所得の改善による景気の好循環が物価を押し上げているとして、追加緩和は不要とする見方が多い。

ただ、物価の先行きは不透明要因が多い。9月短観では企業の物価見通しが6月調査と比べて、すべての期間で小幅下方修正された。中国経済の減速や資源価格の低迷長期化で、世界経済の成長率は下振れしつつある。世界経済の減速がいつまで継続するのか、その影響は日本経済にどのように波及してくるのか、今回の金融政策決定会合では、突っ込んだ議論が展開されるとみられている。

2017年度末までの経済・物価見通しを盛り込む「展望リポート(経済・物価情勢の展望)」を公表する今月末に向け、日銀は難しい政策判断を迫られそうで、市場における追加緩和観測がくすぶり続ける可能性が高い。

(竹本能文、伊藤純夫 編集:田巻一彦)
http://jp.reuters.com/article/2015/10/05/boj-monetarypolicy-idJPKCN0RZ0Q220151005?sp=true


9. 2015年10月05日 18:47:57 : nJF6kGWndY
アングル:金融安定「第3の責務化」、利上げ時期も絡みFRB真っ二つ

[ボストン 2日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が年内にも利上げに舵を切ると見られるなかで、FRBは金融市場のバブルを防止するために金利を調整すべきなのかどうか、という問題をめぐって、FRBが真っ二つに割れている。

FRBには物価安定の促進と雇用最大化という2つの既存の責務に加えて、金融の安定維持という第3の責務を負わせるべきだ、という一部が唱えている主張に対しては、2007─09年の金融危機以降、信奉者が増えている。その根底には、緩和的にすぎた金融政策が過剰なリスクテークを助長し、それが金融危機につながったという反省がある。

FRBの利上げが年内にも見込まれる根拠の1つには、レバレッジド・ローンや高利回り債券、一部の自動車ローンなど、金融市場における高リスクセクターの不安定化を防ぐには、遅きに失するよりは早過ぎるくらいのタイミングで行動することが望ましい、という理由がある。

実体経済を損ないかねないリスクの出現を阻止するためには、FRBはこれまで、金融規制や銀行の監督という、いわゆるマクロプルーデンスツールを活用してきた。金融政策は、2%というインフレ目標の達成、安定的な雇用最大化、という責務を実現するためのものだった。

しかし、ボストン地区連銀のローゼングレン総裁が共同執筆し、2日の金融安定に関する会議で公表された報告書によると、FRB当局者は金融安定について極めて頻繁に議論しており、こうした議論は既に政策決定に影響しているという。同報告書は「政策当局者が金融の安定をはっきりと考慮に入れるべきと信じる理由がある」と結んだ。

ローゼングレン総裁は、FRBはインフレと雇用以外にも目を向けるべきだ、と主張。所得格差や政治のこう着、数年に及ぶ世界的な超低金利状態は「今や対応が一段と難しくなっている」との認識を示した。

ローゼングレン総裁の報告書は、1987年から2009年までの政策会合で、FRB当局者が金融の安定に関連した用語に言及した回数を集計した。その結果、関連用語への言及は1990年代後半のハイテクバブル期に急増し、最近の危機の際にも増えていたことが分かった。例えば、「株式市場」への言及は1210回、「破裂・破綻」は982回、「ボラティリティ」は853回、「泡・あぶく」は30回だった。

FRB当局者が利上げ時期を探るなか、金融システムにおけるバブル発生の可能性への警戒感が強まっている。イエレンFRB議長らは、借り入れコストをあまりに長期間、低く抑え過ぎると、投資家のリスクテークを助長し、経済が不安定になりかねないと懸念を示している。

フィッシャー副議長は「マクロプルデンシャル手段が限られていることを踏まえると、金融安定へのリスクを抑制する手段として、金融政策の調整が話し合われるべき時期が訪れる可能性があるのではないか」とし、金融安定の責任は金融政策に委ねられるかもしれないと述べた。

<金融安定の責務化、FRB内に賛成派と反対派>

FRBは2010年ドッドフランク法により、金融システム全体へのリスク防止が義務付けられているが、それは一般に、銀行などの金融機関への直接監視や、資本規制の厳格化を意味すると考えられている。

2日の金融安定に関する会合と、ローゼングレン総裁の報告書は、政策金利の役割に関するFRB内の見解の相違を浮き彫りにした。

ミネアポリス地区連銀のコチャラコタ総裁は、金融システムの安定化をFRBの責務に加えることについて、現在の2つの責務をめぐる不透明感が一段と増すだけだと主張、強い反対の姿勢を示している。

またクリーブランド地区連銀のメスター総裁と、コーン元FRB副議長も、金融安定を第3の責務とすることに反対の立場をとっている。

コーン元副議長は、レバレッジの高まりや流動性のミスマッチに対応するには、政策金利はそれほど有効なツールではない、としている。

イングランド銀行(英中央銀行)は金融の安定維持を正式な責務の1つとしている。一部新興国の中銀のなかにも、非公式にではあるが、金融の安定維持を目的として、金融政策を調整しているところもある。

クロズナー元FRB理事は、FRBはなお、金融安定の確保という新しい役割をいかに担うべきか、答えを見つけ出せないでいると指摘。

クロズナー氏は「中央銀行にリスクテークの動きが高まるのを防ぐことまでを期待することはできない」と述べ、金融安定をどこまでFRBの責任にするのか、ということは「非常に微妙な問題」と語った。

(Jonathan Spicer記者 翻訳:吉川彩 編集:内田慎一)
http://jp.reuters.com/article/2015/10/05/usa-fed-stability-idJPKCN0RZ09420151005


10. 2015年10月05日 18:49:28 : nJF6kGWndY

内外の金融政策の重要性が全然わかってないね



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