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足踏み景気の行方
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投稿者 あっしら 日時 2015 年 11 月 23 日 05:14:58: Mo7ApAlflbQ6s
 


足踏み景気の行方(上)

設備投資、輸出回復で再開
三菱総合研究所チーフエコノミスト 武田洋子氏

――7〜9月期のGDPは設備投資が大きなマイナス要因でした。

 「日銀が6月にまとめた全国企業短期経済観測調査(短観)では、全規模・全産業の2015年度上期の設備投資計画は前年同期比で実質14.7%増だった。だがGDP統計では同0.5%しか伸びていない。約14ポイントの下振れ幅は比較できる03年以降で最大だ」

 「企業心理の冷え込みが落ち込みの主因だ。中国の減速は想定通りだったが、8月の株価急落や人民元切り下げ後の市場の混乱をみて、中国政府が景気を制御できなくなるとの懸念が広がった」

 「10〜12月期以降は輸出の持ち直しを背景に、企業心理は前向きになり、設備投資を再開するとみている。人手不足に対応するための省力化やビッグデータ関連などの新分野で投資を増やす余地がある。投資を促すには政府が成長戦略に取り組み続けるとの信頼を得ることがカギになる」

 ――消費が弱い要因と処方箋をどうみますか。

 「アベノミクス前の12年と現在の可処分所得と消費支出の動きを世代別にみると、中高年が消費を抑えている。とりわけ50代は老後の生活への不安が強い。介護・医療費の膨張に歯止めをかけ、社会保障制度を持続させる改革が必要だ」

 「ただ消費者心理が極端に悪化しているわけではない。確かに食料品などの価格は上がっているが、物価変動を除く実質賃金はようやくプラスに転じた。労働需給の逼迫で、賃金上昇や正社員化が進むとみられる。若年層を中心に消費を増やしやすくなる。10〜12月期のGDPは内需主導で前期比年率で1.1%増に回復すると見込む」

 内閣府が16日発表した7〜9月期の国内総生産(GDP)は2期連続のマイナス成長になった。企業業績は過去最高水準にあり、雇用も堅調なのに景気は足踏みを続ける。エコノミストに景気の行方を聞いた。

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冬ボーナス減、消費に弱さ
第一生命経済研究所主席エコノミスト 新家義貴氏

 ――景気は再び上向くとみていますか。

 「けん引役は不在で個人消費も輸出も弱い。7〜9月期は在庫調整がマイナス要因として働き、見た目ほど実態は悪くないとの見方もある。ただ鉱工業生産の在庫水準は高く、調整圧力は残っている。生産や輸出、設備投資が増える環境が整ったとは思わない。10〜12月期のGDPは前期比年率で0.6%増にとどまると予測している」

 ――雇用者報酬が増えているのに、なぜ個人消費は弱いのですか。

 「14年4月の消費増税の影響が今も続いている。全体的な消費動向を示す消費総合指数をみると、増税前の水準をまだ回復していない。節約志向が残っている家計を食料品の値上げが圧迫し、さらに節約する傾向が強まった。家計の消費に占める食料支出の割合を示すエンゲル係数は13年度の23.6%から25%程度に上昇している。食料は減らせないため、その他の支出が減る構図だ」

 「失業率の改善で雇用者報酬が増えているのは事実だ。しかしパートなど低賃金で働く人が増えた結果で、1人あたりの賃金の伸びは鈍い。冬のボーナスは中小企業が減らすため、前年比1.5%減とみている。年末商戦に大きな期待はできない」

 ――景気の回復には何が必要ですか。

 「地道に成長戦略に取り組むしかない。環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意は評価していい。短期でみると、原油価格が下がっていることと金融市場の混乱が落ちついたのは好材料だ。雇用と企業収益はしっかりしているので景気が大崩れすることはないだろう」

[日経新聞11月19日朝刊P.5]
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足踏み景気の行方(下) 

米・アジア向け輸出復調 大和総研チーフエコノミスト 熊谷亮丸氏

 ――19日発表の10月の貿易収支は7カ月ぶりの黒字でした。

 「輸出額は前年同期比2.1%減と14カ月ぶりの減少だった。輸入額が原油価格の下落で13.4%も減った影響が大きい。しかし、季節調整値でみると、輸出額は前月比0.6%増と底打ち感が見られ、必ずしも悪い結果ではない」

 「金額では欧州向けの自動車部品、鉄鋼が大幅に伸びた。米国やアジア向けの輸出数量は、季節調整値で見れば増加に転じている」

 ――輸出低迷の主因である中国景気の減速は今後も続きますか。

 「短期は楽観、中長期は悲観という立場だ。過剰融資と過剰設備を合わせると1400兆円あるが、600兆〜800兆円の財政出動が可能なので当面はカンフル剤が効く。中国の個人消費は株価より不動産価格との連動性が高い。70都市の新築住宅価格指数は4月に底を打ち、上昇に転じている。一方、構造改革の進展には疑問符が付く。3〜5年後は厳しい状態に陥るのではないか」

 ――米国向けは建機や生産機械の輸出がさえません。

 「米経済は拡大しており輸出は持ち直す。利上げでドル高は進むが、原油安で企業部門は上向いている。設備投資の増加で工作機械など資本財の輸出が増えるだろう」

 「利上げによる新興国経済の影響も限定的だ。ドル高によって輸出が促進される効果で利上げの影響を相殺できる。日本の実質成長率は2015年度は0.8%にとどまるが、16年度は輸出の持ち直しもあって1.5%に回復するとみている」

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中国のデフレ、最も警戒 バークレイズ証券チーフエコノミスト 森田京平氏

 ――輸出と海外経済の先行きをどうみますか。

 「7〜9月の国内総生産(GDP)での輸出は、訪日客消費の増加などでサービスが前期比7.0%伸びた一方、モノは1.8%増にとどまった。4〜6月期にモノの輸出が5.0%減った反動としては物足りない」

 「中国経済は中長期的に減速が続くだろう。過剰設備や人口減少で潜在成長率は低下していくとみられ、2016年の実質成長率は6%、17年は5.8%と予測している。中国への輸出依存度が高いアジア全体も回復の足取りは鈍い。10月の貿易統計ではアジア向け輸出が数量ベースで前月比3.2%増えたが、けん引役とはならない」

 「今後1〜2四半期で最も警戒しているのは中国がデフレに陥るリスクだ。商品価格の下落や生産設備の過剰感が企業間物価を下押しし、家賃も上がりにくい。設備投資が一段と冷え込み、日本からの関連輸出がさらに減少する恐れがある」

 ――米国向けの輸出は持ち直しますか。

 「米国は前期比年率で2%前後の回復が続くとみる。だがサービス業の伸びが中心で、他国から米国への輸出増につながりにくくなっている。米国の構造変化は新興国経済への影響が大きい。米国が利上げすれば、輸出増が期待できない新興国は資金流出の悪影響だけが残る可能性がある」

 ――日銀が追加緩和すれば、さらなる円安で輸出は伸びるでしょうか。

 「円高局面で企業が現地生産を進めた結果、円安の輸出押し上げ効果は弱くなっている。日銀が円相場を意識して追加緩和する可能性は低い」

[日経新聞11月20日朝刊P.5]

 

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コメント
 
1. 2015年11月23日 11:25:04 : v1gbxz7HNs
何が足踏みなもんかね。
ずり落ち景気ではないか。

2. 2015年11月23日 16:13:55 : pYTH0nYRTI
熊谷亮丸w

3. 佐助 2015年11月23日 18:33:48 : YZ1JBFFO77mpI : B7E8ljgaGg
世界恐慌が進行中を全く認識できない日本の政治と経済の指導者
1929〜32年に姿を現した第一次世界金融大恐慌は世界通貨のポンドからドルへの移行が根因。 2007〜10年にスタートしている第二次世界大恐慌は、ドル一極からユーロ・円三極への移行が根因です。この対策を全くしていないので世界恐慌は信用収縮から金融恐慌に進行します。

金融商品と原材料の値上がりを放置しながら、消費者の所得は増やさないまま、生産工場を海外に移転すれば、どうなるか? その答えは、国内市場が縮小するため、消費者物価のインフレは発生することができない。そして、輸出の好調のセイで、3年半ごとの景気循環さえ見えなくなる。そして世界金融大恐慌の近づく足音は、匂いはしても聞こえない。

金融商品や日常生活商品のバブルに巻き込まれて損しなかった貧乏人も金持ちも、あらゆる経済指数(生産・販売・雇用・投資・貿易)が三分の一以下に激減する世界的金融大恐慌の影響から逃れることはできない。そのため、全人類は、2010年代を節目として、その人生を後世に語ることとなる。

日本のおぐらをかいた有名企業は、政府のてこ入れにもかかわらず、消滅する。そして、生き残った企業も、既存店の売上や国内販売の売上高の低下を解消できないまま、経済指数三分の一以下という長期不況に突入しなければならない。


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