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不幸な派遣社員を量産する派遣会社!給料半分もピンハネ!年収2百万増の派遣会社も(Business Journal)
http://www.asyura2.com/15/hasan102/msg/804.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 11 月 24 日 00:32:05: igsppGRN/E9PQ
 

                      「リツアンSTC HP」より


不幸な派遣社員を量産する派遣会社!給料半分もピンハネ!年収2百万増の派遣会社も
http://biz-journal.jp/2015/11/post_12536.html
2015.11.24 文=鈴木領一/ビジネス・コーチ、ビジネスプロデューサー Business Journal


「10年で1500万円が不要の人は応募しないでください」という衝撃的な募集条件を打ち出した会社がある。エンジニア派遣の株式会社リツアンSTCだ。リツアンは、11月11日に初飛行を行ったMRJの三菱航空機にもエンジニアを派遣していることで知られている。

 このインパクトのある募集条件は、すでに各方面で大きな話題となっているが、なぜこのような募集を出したのか、野中久彰社長に聞いてみた。

「最大の目的は、派遣社員に対する偏ったイメージを払拭したいということ。そして新しい働き方を提案したいという思いです」

 野中氏はリツアン働き方研究所の所長も務め、柔軟で可能性のある働き方を研究し、「新しい働き方」の提言を行っている。今回の「10年で1500万円」というメッセージの裏には2つの問題提起があり、さらに新しい働き方としての戦略的キャリアメイキングという提案があるという。

 問題提起のひとつは、マスコミが広めている派遣社員に対する偏ったイメージである。野中氏は「マスコミは『正社員』と『派遣社員』という単純な二元論で切り分け、すべての派遣社員は給料が低く、使い捨てのようなイメージを与えている」と論じる。

 たしかに正社員であったとしても、給料が低く労働環境も劣悪なケースは数多くある。残業代も出ずに、無理なノルマばかり押しつけられ、心身共にボロボロになる人も少なくない。だからこそ、昨今、ブラック企業の話題が尽きないのだ。

 ましてや会社が永遠に存続することはあり得ず、大企業でさえいつ倒産するかわからないというのが現実である。正社員だから安心、という論理はすでに破綻している。

■派遣社員の給料が安いのは派遣会社が悪い

 一方、派遣社員に対する固定的なイメージ、つまり「給料が低い」「不安定」という現実はどうなのだろうか。野中氏は、「これは派遣会社の問題が大きい。逆にいえば、派遣会社次第でどうにでもなる」という。

 まず、給料が低いという点についてだが、多くのエンジニア系派遣会社が40〜50%の手数料を取っているという現実を知ることが重要だ。手数料が高いゆえに、派遣社員の手取りが少なくなっているのだ。野中氏はこの現状を覆すため、派遣会社最大のタブーであった「手数料=ブラックボックス」をオープンにし、最低19.1%まで下げることに成功した。

「ほかの派遣会社で働いていた人がリツアンに来て、いきなり年収が200万円も上がったケースもあります。バイクを購入してツーリングを楽しむようになり、バイクのローンを差し引いても給料が余りあるほどです。給料が上がったことで、周りの評価が一変し、結婚もスムーズにできたという例も少なくありません。何より、仕事へのモチベーションががらりと変わります。

 これは、彼らの能力が急激に上がったわけではなく、これまで派遣会社に“ピンハネ”されていた分を正当に受け取ったにすぎないのです。派遣社員は能力が低いから給料が低いのではなく、派遣会社の仕組みによって低くなっているケースもあることを知っていただきたいのです」(同)

 リツアンで4年以上働いているエンジニアの平均年収は750万円を超えるという。それが『10年で1500万円』の差が出るという意味なのだ。

 さらにリツアンは正社員として雇ってから派遣するかたちをとっているため、万一派遣先から切られても、明日から給料がなくなるという心配もない。つまり、派遣社員の「給料が低い」「不安定」という問題は、派遣会社の努力によって変えることが十分に可能なのだと証明している。派遣社員ではなく、派遣会社にこそ問題の根幹がある――。これが野中氏第2の問題提起である。

 さらに、野中氏が提案している戦略的キャリアメイキングとは、派遣会社を上手に利用して、自分の可能性を試し、夢を実現する働き方だという。

「正社員にない派遣社員のメリットのひとつは、多くの職場や仕事を体験できるというところです。正社員になった後で『この仕事は自分に合わない』とわかったとしても、すぐに会社を辞めることはできません。辞めることを言い出せずに、ずっと我慢して働き続ける人も多いでしょう。

 しかし派遣社員は多くの職場や仕事を体験でき、その経験から自分に合った仕事や『天職』も見つけやすくなります。これを利用して、会社の言いなりではなく、戦略的に仕事を選択し、上手にキャリアを積み上げていく働き方を提案します。

 リツアンで働き、戦略的キャリアメイキングを行い、経験から得たノウハウで独立して事業を始めたり、フリーランスになって稼いでいる人もいます。そういう選択肢があって良いと思うのです。賢く派遣会社を利用して夢を実現する人が多く出るようになれば、日本はもっと躍動する社会になると思います」(同)

 戦略的キャリアメイキングは、ユニークな働き方である。自分にあった天職は、積極的な行動が伴わなければ見つけることはできない。それを独力でやるのはリスクが大きい。そこで、派遣会社を利用しようという提案は非常に現実的である。

 そのために、派遣会社も働く人の立場に立って、給料面を含めた応援できる仕組みを構築する必要があるだろう。日本社会にとって重要な問題提起である。

(文=鈴木領一/ビジネス・コーチ、ビジネスプロデューサー)

 

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コメント
 
1. 2015年11月24日 01:13:26 : Us7MN31rsc
派遣会社の利益の源泉はピンはね。このビジネスモデルは昔のやくざと変わらない。

そのなかで違いがあるとかで宣伝している文章、基本モデルは何ら代わらない。


2. 2015年11月24日 04:14:44 : jXbiWWJBCA

>リツアンで働き、戦略的キャリアメイキングを行い、経験から得たノウハウで独立して事業を始めたり、フリーランスになって稼いでいる人も

ゴーンやマリッサ・メイヤーに代表されるように海外のCEOや高度専門職は究極の非正規社員だが、超高賃金でかつ、労働条件も非常に良い。

つまり優秀で適応力のある生産性が高い労働者は、企業や社会に大きな付加価値をもたらすので、どこでも通用するし、やりがいのある仕事と高待遇な生活を両立することができる。

一方で、スキルや意欲、意識が低い、交換可能な労働者は、その逆となる。



3. 2015年11月24日 04:26:40 : jXbiWWJBCA
男のワーキングプアが増殖する理由「格差はでっちあげ?」捨てられた食えない若者

「河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学」

2015年11月24日(火)河合 薫


 先日、ちょっとばかりショッキングなことがあった。

 出演させていただいている朝の情報番組で、20代が注目したニュースのトップが、「7-9月期のGDP、2四半期連続のマイナス」だったのである(全体では7位、矢野経済研究所調べ)。

 年代別の割合は、20歳未満25%、20代31%、30代19%、40代14%、50代以上11%。若い人たちほど“GDP”に高い関心を示すだなんて、それだけでビッグニュースだ。自分が20代のときにGDPなんて気にしたことなかったし、40代以上の関心事だと今の今まで考えていたので、ホント、驚いてしまったのである。

 また、番組ではリアルタイムで、「昨年に比べて、今年は経済的に豊かになった?」という意識調査をやっているのだが、回答は以下のようになった。

 「豊かになった 135票」「苦しくなった 744票」「変わらない 450票」「その他 9票」。

 「本当の意味での国民経済とは、日本列島で生活している1億2000万人が、どうやって食べ、どうやって生きて行くかという問題である。その1億2000万人が、どうやって雇用を確保し、所得水準を上げ、生活の安定を享受するか、これが国民経済である」

 これは池田勇人元首相の参謀として所得倍増計画と高度成長の政策的基礎のプランナーとして辣腕を振るった経済学者の下村治さんの言葉だが、「食えていない」人たちが増えている。うん、そういうことなんだと思う。特に若い世代では、「食えない」ことに将来への不安も重なり、件のニュースに敏感に反応したのだろう。

 ワーキングプア――。働いても、働いても、食べていけない人たち。

 数年前までよく耳にしたり目にしたりしたこの言葉も、今ではすっかり鳴りを潜めるようになった。だからといって、ワーキングプアがいなくなったわけじゃない。事態はむしろ深刻で、明日は我が身、かもしれないのだ。

 そう考えて間違いない。若い人たちの肌は実に感度がよく、オジさんやオバさんが気付く前に未来を感じとる。「自分たちの問題」に彼らは本能的にビビッと反応するのだ。

 そこで今回は、「若者のワーキングプア」について、あれこれ考えてみようと思う。

 「うちの家庭内にも、格差があってね。弟の方がワーキングプアで。可哀想でね。親はこういうとき情けないですよね。何て言ってあげたらいいのか分からないんですから……」 

 2年ほど前、一緒にお仕事をさせていただいた方が、あるときボソッとこう話し始めたことがある。

 男性によると、息子さんは、大学を出た後、広告代理店に就職。残業、残業の毎日で身体を壊し退社。その後、再就職したものの賃金が低く、「部屋代が払えない」といって自宅に戻ってきたそうだ。

 「私が会社でイヤなことがあって、逃げ出したくなるくらい落ち込んで家に帰るでしょ。するとさ、息子が家で泣いてるわけ。皮膚がかゆくてかゆくてたまらないって。ストレスなんですかね。かゆくてかゆくてどうしようもなくて、血だらけになっているんですよ。『病院に行け』と言うと、『そんなカネない』って。『一緒に住んでるんだから、生活費はかからないだろ』って言うと、黙り込んで自分の殻に閉じこもってしまうんです。

 母親には、パラサイトしてるのが恥ずかしいって、言ってるみたいで。どうやら家から出るために貯金してるようなんです。そんなことして、また身体を壊したら、元も子もない思うんですけど。なんとなく息子の気持ちも分かるような気がして。強く言えないんです」

 「姉の方は稼ぎもいいのに、自宅が楽だとかなんとか言って家から出ようともしない。もう30過ぎてますから、ストレートに独立しろとは言わなくても、それらしきことはこっちも言う訳です。息子にしてみたら、自分が言われてるような気になっているのかもしれません。

 ええ、非正規ですよ、息子は。正社員で最初の会社を辞めた理由をどこでも聞かれるみたいで。『体調を崩した』っていうと、まず採用されない。うちの会社でも同じです。会社も恐いんですよ。また、身体壊されたりしたらたまらないですから。でもね、まさか自分の息子がワーキングプアになるなんて…。考えたこともありませんでした」

「家庭内格差」は魔物

 ワーキングプアが他人事ではないこと、家庭内に格差が生じたこと、同じ男性として“息子”の気持ちが分かるだけに、うまく接することができない自分……。そのことに彼は歯がゆさを感じているようだった。誰かに話すことで少しだけ楽になりたい、恐らくそんな気分だったんだと思う。

 家庭内格差――。

 正規と非正規、高収入と低収入。その“格差”が、同じ屋根の下で暮らす姉弟という間に生じてしまうだなんて。しんどい、実にしんどい。ご両親の100倍くらい、息子さんはしんどいと思う。

 私にも兄がいるので、なんとなく息子さんのしんどさが分かる。うまく表現できないのだけど、姉との格差に、“男”のプライドが傷ついてしまうのだ。

 身近な存在との格差は疎外感をもたらし、将来への不安を過剰なまでに煽る。格差というのは、私たちが想像する以上に、心にダメージを与える魔物なのだ。

 「これから日本は物凄い格差社会になりますよ。今の格差は既得権益者がでっちあげた格差論で深刻な格差社会ではないんですよ。私たちの世代は物凄い介護難民が出てきて貧しい若者が増える。いよいよ本格的な格差社会になります」

 竹中平蔵氏は、昨年ラジオ番組に出演したときこう話していたけど、ワーキングプアの存在を、彼はどう思っているのだろうか。

 25〜34歳の男性就業者に占めるワーキングプア(年収200万円未満)の割合は、1992年から2002年までの10年で6.3%から14.3%と急増した。特に、沖縄では深刻で、41.7%がワーキングプアとされ、全国的にみても、26の県で15%、13の県で20%を超えているのだ(総務省『就業構造基本調査』をベースに武蔵野大学講師の舞田敏彦氏が集計)。

 これらの数字も、「でっちあげ」と氏は、切り捨てるのだろうか?
 それともマクロに見れば、14.3%のワーキグプアなど、なぁ〜んってことないね、ってことなのか?
 若者の無業者は200万人を超えている。その200万人の人たちは、カウントされない“存在しない人”なのだろうか? 

 若者の貧困化が顕在化したのは、2004年に小泉純一郎内閣が製造業への派遣を解禁したのがきっかけであることは明らかで、そのことは国だって認めているのだ。
 厚生労働省が発行した2010年版「労働経済の分析」(労働経済白書)には、以下のように記載されている。

 「不安定な働き方が増え、労働者の収入格差が広がったのは、労働者派遣事業の規制緩和が後押しした」と。

 また、同年の労働経済白書では、10年間で年収が100万〜200万円台半ばの低所得者の割合が高まっていることに懸念を示した。
 その上で「従来の日本型の長期安定雇用システムは、知識や技能の継承などで利点があるとして、旧システムへの回帰」を訴えている。
 当時の分析や指針は、一体どうなってしまったのだろう。申し訳ないけど、私にはとうてい理解できない。

 まさか自分の息子がワーキングプアになるなんて――。そう件の男性は言っていたけど、「まさか」が、「まさか」ではない時代になった。

 日本の人口は1億2000万人超いるのに、なんで「一億総活躍」なんだろう?って気になっていたけど、ま、まさか漏れた2000万人は、ワーキングプアや無業者では? なんて皮肉の1つや2つ言いたくなる。
 最近、やっと女性の貧困、とりわけシングルマザーにスポットが当てられるようになったが、その陰で若年男性のワーキングプアが置き去りにされている。「貧困=女性」という方程式が、男性たちを孤立させるのだ。

 国や政府にだけ、責任を押し付けているわけでもないし、環境の問題だけではないかもしれない。
 でも、それでもやはり、やったことの検証をせず、「なぜ、問題になっているのか?」という疑問にも、「問題の根本的な原因」にも向き合おうとしないこの国のあり方に、少々うんざりしてしまうのである。

若年層の死因トップは自殺

 世界と比べるのが大好きな日本が、世界でダントツに高い“モノ”。
それは若年者の自殺率だ。

 15歳から34歳の若年層の死因のトップは「自殺」で、フランス、ドイツ、カナダ、米国、英国、イタリアを含む先進7カ国の中で、若年層の死因で自殺が第1位なのは日本だけだ。

 なぜ、日本の若者たちは、命を絶つという悲しい選択をするのか。世界3位の経済大国でありながら、なぜ、豊かさを感じることができないのか。

 その理由の1つに、「働き方」がある。「仕事」のあり方、とでも言うのだろうか。仕事が、仕事の意味をなさない、働き方になってしまっているのだ。

 そもそも「仕事=労働」とは、お金を得るためだけの手段ではない。

 仕事には、「潜在的影響(latent consequences)」と呼ばれる、個人にとって数多くの経済的利点以外のものが存在する。

 1日の時間配分、自尊心、他人を敬う気持ち、身体および精神的活動、技術の使用、自由裁量、他人との接触、社会的地位、などが潜在的影響で、これらは「人が前向きに生きる力」の土台だ。

 つまり、本来、「働く」ということは、人間の精神的健康度を高める元気になる力をもたらす、大切な行為なのだ。

 でも、今は、潜在的影響はおろか、賃金さえまともに得られないご時世になった。働けど働けど、生活は苦しいばかりでちっとも楽にならない。非正規社員には、貧困の足音が近づき、正社員には、長時間労働の足音が聞こえてくる。

うまく働けない若者がうまく生きられないミドルを生む

 特に、最初に就く仕事は、のちのキャリア形成にも大きな影響を及ぼす、とても大切な仕事だ。

親の援助を受けず、自分で稼ぐ
新しい友情を築き、異性と親密な関係を築く
社会のしきたりを学ぶ
助言者や支援者を見つけ、学ぶべき事柄を吸収する
職務の限界内で、効果的に職務を遂行し、物事がどのように行われるかを学ぶ
初めての仕事での成功や失敗に対処する
 20〜30代の「初期キャリア」では、こういったいくつもの課題と向き合い、乗り越えることが求められる。

 初期キャリアの課題をひとつひとつ達成することで、若者は1人の成人として独り立ちし、「子供」「学生」という役割から、「大人」「労働者」としての役割へ移行する。

 この経験が、「社会での自分」を客観視するまなざしを鍛え、30代前後から始まるキャリア中期で遭遇する、さまざまな困難を乗り越える大切な資源となるのだ。

 つまり、若者がうまく働けないという事実は、うまく生きて行けないミドルを量産するといっても過言ではないのである。

 ただでさえ、今の若者たちは最初の自立の時期である10代の青年期に、自立できていない。私たち親世代が、あれよこれよとモノを与え、子どもが自立しなくても生きて行ける世の中にした。豊かな社会になると幼稚化が進むものだが、幼稚化したオトナたちが、子どもたちの自立するチャンスを奪ってしまったのだ。

 その子どもたちが、親から切り離される最後のチャンスである“仕事”で、ワーキングプアに陥ってしまったら……。日本社会そのものが、蝕まれる。もっともっと若者たちがちゃんと働ける世の中にしないと、取り返しがつかなくなる。そう思えてならないのである。

ヒントはノースカロライナとリバプールにあり

 ワーキングプアの先進国、アメリカには参考になる取り組みがある。
 ノースカロライナ州。アメリカ南部の人種差別による格差や、地域の衰退がワーキングプアを量産させた州だ。

 ノースカロライナでは、州政府がイニシアチブを取りバイオテクノロジー関連の企業誘致を進めた。新たな格差が生まれないようにと、グローバル化の影響を受けにくいバイオテクノロジー産業を、あえて選んだそうだ。

 企業は、長年地元で暮らし、地元から離れたくない人を優先的に採用する。希望する住民には、遺伝子組み換えなどの教育を積極的に実施。地元で「暮らす人たち=長く勤めてくれる人」に投資をし、住民と地域と企業が一体化して、ワーキングプア撲滅に取り組むことで、地域に高い経済効果をもたらしているのだ。

 もちろん政府も、指をくわえて見ているわけじゃない。州政府が130億円の初期投資をし、コストのかかる一連のプログラムを支えているのである。

 また、イギリスで貧困率ワースト1のリバプールには、「コネクションズ」と呼ばれる温かい取り組みがある。

 ここでは“貧困の連鎖”の最大の要因は、孤立、との考えから、「相談員」の肩書きをもつ大人たちが町を歩き回り、若者たちに声をかけ、仕事や住まいの相談にのり、職業訓練の機会を提供する制度を導入した。

 職業訓練に協力する企業は「社会的企業」と呼ばれ、ブレア政権時に補助金の交付や税制面の優遇措置がなされた。職業訓練生には最低賃金に見合う給与を払い、安心して訓練に専念できる仕組みも徹底されている。

 若者たちと社会を、顔が見えるカタチでつなげることで、孤立を防ぎ、ワーキングプアや無業にならないように努めているのである。

 ノースカロライナとリバプールの2つの取り組みに共通しているのは、自立と依存と汗。支える側が汗をかき、真っ正面からサポートすることで、若者が自立する。

 若者の問題は、若者だけの問題でもなければ、「今」だけの問題でもない。国にとって、国の未来を決める大切な宝物――。そういった考えが、国とオトナたちを動かしているのだ。

 「僕の傘を使ってね。でも、一歩踏み出すのは『キミ』だよ」――。

 そういうやさしさと厳しさのある成熟した社会が、未来を作る。そこにはでっちあげも、へったくれも、ない、と思いますよ。

このコラムについて
河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学

上司と部下が、職場でいい人間関係を築けるかどうか。それは、日常のコミュニケーションにかかっている。このコラムでは、上司の立場、部下の立場をふまえて、真のリーダーとは何かについて考えてみたい。

2015年11月24日(火)河合 薫


 先日、ちょっとばかりショッキングなことがあった。

 出演させていただいている朝の情報番組で、20代が注目したニュースのトップが、「7-9月期のGDP、2四半期連続のマイナス」だったのである(全体では7位、矢野経済研究所調べ)。

 年代別の割合は、20歳未満25%、20代31%、30代19%、40代14%、50代以上11%。若い人たちほど“GDP”に高い関心を示すだなんて、それだけでビッグニュースだ。自分が20代のときにGDPなんて気にしたことなかったし、40代以上の関心事だと今の今まで考えていたので、ホント、驚いてしまったのである。

 また、番組ではリアルタイムで、「昨年に比べて、今年は経済的に豊かになった?」という意識調査をやっているのだが、回答は以下のようになった。

 「豊かになった 135票」「苦しくなった 744票」「変わらない 450票」「その他 9票」。

 「本当の意味での国民経済とは、日本列島で生活している1億2000万人が、どうやって食べ、どうやって生きて行くかという問題である。その1億2000万人が、どうやって雇用を確保し、所得水準を上げ、生活の安定を享受するか、これが国民経済である」

 これは池田勇人元首相の参謀として所得倍増計画と高度成長の政策的基礎のプランナーとして辣腕を振るった経済学者の下村治さんの言葉だが、「食えていない」人たちが増えている。うん、そういうことなんだと思う。特に若い世代では、「食えない」ことに将来への不安も重なり、件のニュースに敏感に反応したのだろう。

 ワーキングプア――。働いても、働いても、食べていけない人たち。

 数年前までよく耳にしたり目にしたりしたこの言葉も、今ではすっかり鳴りを潜めるようになった。だからといって、ワーキングプアがいなくなったわけじゃない。事態はむしろ深刻で、明日は我が身、かもしれないのだ。

 そう考えて間違いない。若い人たちの肌は実に感度がよく、オジさんやオバさんが気付く前に未来を感じとる。「自分たちの問題」に彼らは本能的にビビッと反応するのだ。

 そこで今回は、「若者のワーキングプア」について、あれこれ考えてみようと思う。

 「うちの家庭内にも、格差があってね。弟の方がワーキングプアで。可哀想でね。親はこういうとき情けないですよね。何て言ってあげたらいいのか分からないんですから……」 

 2年ほど前、一緒にお仕事をさせていただいた方が、あるときボソッとこう話し始めたことがある。

 男性によると、息子さんは、大学を出た後、広告代理店に就職。残業、残業の毎日で身体を壊し退社。その後、再就職したものの賃金が低く、「部屋代が払えない」といって自宅に戻ってきたそうだ。

 「私が会社でイヤなことがあって、逃げ出したくなるくらい落ち込んで家に帰るでしょ。するとさ、息子が家で泣いてるわけ。皮膚がかゆくてかゆくてたまらないって。ストレスなんですかね。かゆくてかゆくてどうしようもなくて、血だらけになっているんですよ。『病院に行け』と言うと、『そんなカネない』って。『一緒に住んでるんだから、生活費はかからないだろ』って言うと、黙り込んで自分の殻に閉じこもってしまうんです。

 母親には、パラサイトしてるのが恥ずかしいって、言ってるみたいで。どうやら家から出るために貯金してるようなんです。そんなことして、また身体を壊したら、元も子もない思うんですけど。なんとなく息子の気持ちも分かるような気がして。強く言えないんです」

 「姉の方は稼ぎもいいのに、自宅が楽だとかなんとか言って家から出ようともしない。もう30過ぎてますから、ストレートに独立しろとは言わなくても、それらしきことはこっちも言う訳です。息子にしてみたら、自分が言われてるような気になっているのかもしれません。

 ええ、非正規ですよ、息子は。正社員で最初の会社を辞めた理由をどこでも聞かれるみたいで。『体調を崩した』っていうと、まず採用されない。うちの会社でも同じです。会社も恐いんですよ。また、身体壊されたりしたらたまらないですから。でもね、まさか自分の息子がワーキングプアになるなんて…。考えたこともありませんでした」

「家庭内格差」は魔物

 ワーキングプアが他人事ではないこと、家庭内に格差が生じたこと、同じ男性として“息子”の気持ちが分かるだけに、うまく接することができない自分……。そのことに彼は歯がゆさを感じているようだった。誰かに話すことで少しだけ楽になりたい、恐らくそんな気分だったんだと思う。

 家庭内格差――。

 正規と非正規、高収入と低収入。その“格差”が、同じ屋根の下で暮らす姉弟という間に生じてしまうだなんて。しんどい、実にしんどい。ご両親の100倍くらい、息子さんはしんどいと思う。

 私にも兄がいるので、なんとなく息子さんのしんどさが分かる。うまく表現できないのだけど、姉との格差に、“男”のプライドが傷ついてしまうのだ。

 身近な存在との格差は疎外感をもたらし、将来への不安を過剰なまでに煽る。格差というのは、私たちが想像する以上に、心にダメージを与える魔物なのだ。

 「これから日本は物凄い格差社会になりますよ。今の格差は既得権益者がでっちあげた格差論で深刻な格差社会ではないんですよ。私たちの世代は物凄い介護難民が出てきて貧しい若者が増える。いよいよ本格的な格差社会になります」

 竹中平蔵氏は、昨年ラジオ番組に出演したときこう話していたけど、ワーキングプアの存在を、彼はどう思っているのだろうか。

 25〜34歳の男性就業者に占めるワーキングプア(年収200万円未満)の割合は、1992年から2002年までの10年で6.3%から14.3%と急増した。特に、沖縄では深刻で、41.7%がワーキングプアとされ、全国的にみても、26の県で15%、13の県で20%を超えているのだ(総務省『就業構造基本調査』をベースに武蔵野大学講師の舞田敏彦氏が集計)。

 これらの数字も、「でっちあげ」と氏は、切り捨てるのだろうか?
 それともマクロに見れば、14.3%のワーキグプアなど、なぁ〜んってことないね、ってことなのか?
 若者の無業者は200万人を超えている。その200万人の人たちは、カウントされない“存在しない人”なのだろうか? 

 若者の貧困化が顕在化したのは、2004年に小泉純一郎内閣が製造業への派遣を解禁したのがきっかけであることは明らかで、そのことは国だって認めているのだ。
 厚生労働省が発行した2010年版「労働経済の分析」(労働経済白書)には、以下のように記載されている。

 「不安定な働き方が増え、労働者の収入格差が広がったのは、労働者派遣事業の規制緩和が後押しした」と。

 また、同年の労働経済白書では、10年間で年収が100万〜200万円台半ばの低所得者の割合が高まっていることに懸念を示した。
 その上で「従来の日本型の長期安定雇用システムは、知識や技能の継承などで利点があるとして、旧システムへの回帰」を訴えている。
 当時の分析や指針は、一体どうなってしまったのだろう。申し訳ないけど、私にはとうてい理解できない。

 まさか自分の息子がワーキングプアになるなんて――。そう件の男性は言っていたけど、「まさか」が、「まさか」ではない時代になった。

 日本の人口は1億2000万人超いるのに、なんで「一億総活躍」なんだろう?って気になっていたけど、ま、まさか漏れた2000万人は、ワーキングプアや無業者では? なんて皮肉の1つや2つ言いたくなる。
 最近、やっと女性の貧困、とりわけシングルマザーにスポットが当てられるようになったが、その陰で若年男性のワーキングプアが置き去りにされている。「貧困=女性」という方程式が、男性たちを孤立させるのだ。

 国や政府にだけ、責任を押し付けているわけでもないし、環境の問題だけではないかもしれない。
 でも、それでもやはり、やったことの検証をせず、「なぜ、問題になっているのか?」という疑問にも、「問題の根本的な原因」にも向き合おうとしないこの国のあり方に、少々うんざりしてしまうのである。

若年層の死因トップは自殺

 世界と比べるのが大好きな日本が、世界でダントツに高い“モノ”。
それは若年者の自殺率だ。

 15歳から34歳の若年層の死因のトップは「自殺」で、フランス、ドイツ、カナダ、米国、英国、イタリアを含む先進7カ国の中で、若年層の死因で自殺が第1位なのは日本だけだ。

 なぜ、日本の若者たちは、命を絶つという悲しい選択をするのか。世界3位の経済大国でありながら、なぜ、豊かさを感じることができないのか。

 その理由の1つに、「働き方」がある。「仕事」のあり方、とでも言うのだろうか。仕事が、仕事の意味をなさない、働き方になってしまっているのだ。

 そもそも「仕事=労働」とは、お金を得るためだけの手段ではない。

 仕事には、「潜在的影響(latent consequences)」と呼ばれる、個人にとって数多くの経済的利点以外のものが存在する。

 1日の時間配分、自尊心、他人を敬う気持ち、身体および精神的活動、技術の使用、自由裁量、他人との接触、社会的地位、などが潜在的影響で、これらは「人が前向きに生きる力」の土台だ。

 つまり、本来、「働く」ということは、人間の精神的健康度を高める元気になる力をもたらす、大切な行為なのだ。

 でも、今は、潜在的影響はおろか、賃金さえまともに得られないご時世になった。働けど働けど、生活は苦しいばかりでちっとも楽にならない。非正規社員には、貧困の足音が近づき、正社員には、長時間労働の足音が聞こえてくる。

うまく働けない若者がうまく生きられないミドルを生む

 特に、最初に就く仕事は、のちのキャリア形成にも大きな影響を及ぼす、とても大切な仕事だ。

親の援助を受けず、自分で稼ぐ
新しい友情を築き、異性と親密な関係を築く
社会のしきたりを学ぶ
助言者や支援者を見つけ、学ぶべき事柄を吸収する
職務の限界内で、効果的に職務を遂行し、物事がどのように行われるかを学ぶ
初めての仕事での成功や失敗に対処する
 20〜30代の「初期キャリア」では、こういったいくつもの課題と向き合い、乗り越えることが求められる。

 初期キャリアの課題をひとつひとつ達成することで、若者は1人の成人として独り立ちし、「子供」「学生」という役割から、「大人」「労働者」としての役割へ移行する。

 この経験が、「社会での自分」を客観視するまなざしを鍛え、30代前後から始まるキャリア中期で遭遇する、さまざまな困難を乗り越える大切な資源となるのだ。

 つまり、若者がうまく働けないという事実は、うまく生きて行けないミドルを量産するといっても過言ではないのである。

 ただでさえ、今の若者たちは最初の自立の時期である10代の青年期に、自立できていない。私たち親世代が、あれよこれよとモノを与え、子どもが自立しなくても生きて行ける世の中にした。豊かな社会になると幼稚化が進むものだが、幼稚化したオトナたちが、子どもたちの自立するチャンスを奪ってしまったのだ。

 その子どもたちが、親から切り離される最後のチャンスである“仕事”で、ワーキングプアに陥ってしまったら……。日本社会そのものが、蝕まれる。もっともっと若者たちがちゃんと働ける世の中にしないと、取り返しがつかなくなる。そう思えてならないのである。

ヒントはノースカロライナとリバプールにあり

 ワーキングプアの先進国、アメリカには参考になる取り組みがある。
 ノースカロライナ州。アメリカ南部の人種差別による格差や、地域の衰退がワーキングプアを量産させた州だ。

 ノースカロライナでは、州政府がイニシアチブを取りバイオテクノロジー関連の企業誘致を進めた。新たな格差が生まれないようにと、グローバル化の影響を受けにくいバイオテクノロジー産業を、あえて選んだそうだ。

 企業は、長年地元で暮らし、地元から離れたくない人を優先的に採用する。希望する住民には、遺伝子組み換えなどの教育を積極的に実施。地元で「暮らす人たち=長く勤めてくれる人」に投資をし、住民と地域と企業が一体化して、ワーキングプア撲滅に取り組むことで、地域に高い経済効果をもたらしているのだ。

 もちろん政府も、指をくわえて見ているわけじゃない。州政府が130億円の初期投資をし、コストのかかる一連のプログラムを支えているのである。

 また、イギリスで貧困率ワースト1のリバプールには、「コネクションズ」と呼ばれる温かい取り組みがある。

 ここでは“貧困の連鎖”の最大の要因は、孤立、との考えから、「相談員」の肩書きをもつ大人たちが町を歩き回り、若者たちに声をかけ、仕事や住まいの相談にのり、職業訓練の機会を提供する制度を導入した。

 職業訓練に協力する企業は「社会的企業」と呼ばれ、ブレア政権時に補助金の交付や税制面の優遇措置がなされた。職業訓練生には最低賃金に見合う給与を払い、安心して訓練に専念できる仕組みも徹底されている。

 若者たちと社会を、顔が見えるカタチでつなげることで、孤立を防ぎ、ワーキングプアや無業にならないように努めているのである。

 ノースカロライナとリバプールの2つの取り組みに共通しているのは、自立と依存と汗。支える側が汗をかき、真っ正面からサポートすることで、若者が自立する。

 若者の問題は、若者だけの問題でもなければ、「今」だけの問題でもない。国にとって、国の未来を決める大切な宝物――。そういった考えが、国とオトナたちを動かしているのだ。

 「僕の傘を使ってね。でも、一歩踏み出すのは『キミ』だよ」――。

 そういうやさしさと厳しさのある成熟した社会が、未来を作る。そこにはでっちあげも、へったくれも、ない、と思いますよ。

このコラムについて
河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学

上司と部下が、職場でいい人間関係を築けるかどうか。それは、日常のコミュニケーションにかかっている。このコラムでは、上司の立場、部下の立場をふまえて、真のリーダーとは何かについて考えてみたい。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/200475/112000022/?ST=print


4. 2015年11月24日 05:20:09 : jXbiWWJBCA
「所得格差には功罪」、ノーベル経済学賞受賞の教授が指摘
PHOTO: RALPH ALSWANG FOR THE WALL STREET JOURNAL
2015 年 11 月 20 日 13:32 JST

 今年のノーベル経済学賞受賞者である米プリンストン大学のアンガス・ディートン教授は、ウォール・ストリート・ジャーナル紙主催の最高経営責任者(CEO)年次会議で講演し、2016年の米大統領選に向けて所得格差の議論を深めるよう呼び掛けた。

 ディートン氏は「左派の人たちは所得格差の利点をもっと理解する必要があり、右派はその危険性をもっと理解しなければならない。そうした視点は、米国の民主的な議論に本来きちんと組み込まれているべきものだ」と説いた。

 また「所得格差は成功の里程標という面もある。我々全員に恩恵を与える新たな技術革新を誰かが実現し、多額の報酬を得ると、不平等を生み出す。偉大な成功が大規模な不平等をもたらす」と論じた。

 一方で、所得格差のマイナス点としては、資源の不適切な配分と富に対する政治的偏重を挙げた。

 ディートン氏はまず、「米国で出現する超富裕層の中には、社会的に問題のある活動から出てくるものもある」と指摘。「ウォール街でのそうした活動が最優秀の若者の心をとらえている。民間部門の技術革新やガンの治療など優秀な人材がすべき仕事とは正反対のことを彼らが行うのを、社会が望んでいるのか分からない」と述べた。

 さらに「極端な富がもたらす政治的な側面についても心配している。米国が金権国家になっているとは思わないが、カネが民主主義に甚大な影響を及ぼしていることを懸念している」と語った。


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富の偏在、なぜ「貧富の差」より複雑なのか
貧富格差が最も大きい米都市の1つとされるサンフランシスコ PHOTO: JUSTIN SULLIVAN/GETTY IMAGES
By
JOSH ZUMBRUN
2015 年 11 月 13 日 15:59 JST
 エコノミストたちは富の不平等について語る時、富める者と貧しい者との格差に焦点を当てがちだ。しかし、米国で何が本当に起こっているか理解するためには、若者と高齢者との格差、そして異なる人種間の格差をもっと話題にすべきだ。
 米連邦準備制度理事会(FRB)のエコノミスト、ジェフリー・トンプソン、グスタボ・スアレス両氏による新論文は、米国における富のパターンを詳細に分析している。米国における富について深く考えてきた人は、高齢者のほうが若者よりも裕福で、白人のほうが黒人やヒスパニックよりも裕福だと認識している。だが両氏が見いだした食い違いの大きさには、仰天させられるかもしない。
 まず最初に、各年齢の平均純資産を示す下の図を見てみよう。
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 平均すると、富は年齢とともに増加する。平均的な20代は資産をあまり多く持っていない。62歳の平均は91万ドルだ。これらの資産額は平均値であるため超富裕層の存在によって歪められているが、底流にあるポイントは残っている。大体において、人々は富める者としてスタートするのではなく、時を経てそうなっていくということだ。
 平均についていくためには、20代で約10万ドル、30代でさらに20万ドル、40代と50代でいずれも30万ドルの資産を積み上げる必要がある。米国人の純資産は62歳でピークを迎え、その後減っていく。引退に伴い、貯蓄を切り崩して生活し始めるからだ。
 平均的な米国人には、年齢に基づく特徴的な債務サイクルもある。
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 人々の債務は20代と30代で急速に増える。しかし、50歳でピークを迎え、その後は減る。主に住宅ローンの返済が終わるからだ。
 多くの人はこのパターンに沿っていないのと思うのであれば、それは正しい。米国では富の蓄積が、おおむね一握りの人たちによってリードされているからだ。

 白人の中央値と、黒人およびヒスパニック系の平均を見ると、裕福とは言えない。セントルイス連銀のエコノミストたちは今年、人種や年齢、学歴を基にして人口を分析した。それによると、この富の蓄積プロセスは主として、白人およびアジア系で、中年ないし高齢、かつ大卒以上の学歴を持つ世帯で当てはまっていた。それは米国の全世帯の4分の1弱を占めるに過ぎないが、米国経済の富の3分の2以上を所有している。
 セントルイス連銀のレイ・ボシャラ、ウィリアム・エモンズ、ブライアン・ネースの3氏は、「デモグラフィー(人口動態上の構成)は、運命ではないかもしれないが、世帯の富を予測する上で強力な要素だ」と述べた。

 セントルイス連銀の研究には、教育水準が違うと、どの程度の差があるかに関する驚くべきデータが含まれていた。40歳以上までに100万ドルを持つ世帯は全体の約5%だったが、大卒以上の世帯では、その比率が約22%(つまり5分の1以上)、院卒ないし専門学位を持つ世帯では約38%に達した。高校中退だと、その比率は1%未満だった。

 言うまでもなく、人々が裕福になる道はもう一つある。遺産相続だ。かなり控えめの遺産を受け取る世帯でさえ、最終的にかなり裕福な資産家になる。この図について、FRBのエコノミストたちは遺産を10のグループに分けた。底辺の10%は、平均わずか2000ドル前後しか遺産を受け取らなかった。この遺産を受け取った世帯は裕福でない。
 しかし、3万5000ドルの遺産を受け取った世帯の間では、純資産は50万ドル強になっている。12万5000ドルを相続した世帯の純資産は平均78万ドル、20万ドルを相続すると同100万ドルになっている(上位10%は、この図には出ていないが、遺産相続額が平均160万ドル、純資産は420万ドルとなっている)。
 このデータによって、多数の愉快でない疑問が提起され、その答えは容易でない。トンプソン、スアレス両氏が答えを出したかった一つの疑問は、米国における人種間の富の格差がなぜこれほど大きいのかということだった。答えは簡単にみえるかもしれない。つまり、おそらく富める人は多くを稼ぎ、相続する遺産も多いということだ。しかし、それはデータが示している事実ではない。異なった所得、遺産、教育、そしてその他の要素を織り込んだ後でさえ、異なった人種の世帯間の格差は残っている。とりわけ富裕者の間でそうだ。つまり、これらの格差を記録することは、第1歩にすぎないということが分かるのだ。
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親と同居する若い女性、米で過去最高に

米国の若者の親と暮らす割合は大学生のほうが学校に行っていない若者を大幅に上回っている PHOTO:ALEX BRANDON/ASSOCIATED PRESS
By
KATE DAVIDSON
2015 年 11 月 13 日 16:17 JST
 米国では2007〜09年の深刻な景気後退(グレートリセッション)を受けて、多くのミレニアル世代(1980年代から2000年代初頭に生まれた若年層)が親元に戻ったが、その傾向は若い女性で特に顕著であることが最新の調査で分かった。
 米調査機関ピュー・リサーチ・センターの分析によると、親と暮らす米国の若い女性の割合は1940年代以降で最高となった。ますます多くの若い女性が高等教育を受けるために早婚を見送っている。
 1940年には、18〜34歳の女性で親やその他の親族と暮らす割合は36.2%だった。この割合は1960年ごろに20.4%で底打ちしたが、その後数十年の間に徐々に上昇し、グレートリセッション前と最中の10年間に急伸。2014年には36.4%に達した。
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 ピュー・リサーチのシニアエコノミストで、この分析リポートを執筆したリチャード・フライ氏は「その結果、若い世代の女性と男性で際立ったUカーブが見られ、統計的にみて過去への回帰がうかがえる」と指摘。「米国の若い女性の間で、同様の居住形態が見られたのは74年も前のことだ」と述べた。
 若い男性の居住形態も同じ状況になりつつあるが、女性と異なり、親族との同居割合は過去最高だった1940年の水準には達していないという。

米国の18〜34歳の若者のうち親や親族と暮らす割合(青:男性、緑:女性)
 しかし、こうした変化の理由は1940年代とは著しく異なっている。
 今の女性の大学進学率は1940年水準の5倍に達している。1940年には18〜34歳の大学進学率は5%にすぎなかった。最近のデータによると、学校に行っていない若者より大学生のほうが親と暮らす傾向がはるかに強い。
 1940年には結婚で親元を離れる若い女性が多く、当時の女性の典型的な初婚年齢は21.5歳だった。2014年までに女性の初婚年齢の中央値は27歳になっていた。ピュー・リサーチによると、18〜34歳の女性の既婚者の割合は1940年の62%から2013年には30%へとほぼ半減した。
 この世代の男性も同様の状況だ。昨年時点で親元に住んでいた割合は42.8%と女性よりも高かったが、1940年に付けたピークの47.5%には及ばなかった。当時は、1930年代初頭に起きた大恐慌の長引く影響(例えば失業率は15%近かった)を受け、より多くの若い男性が親元にとどまる傾向があった。
 ピュー・リサーチの7月のリポートによると、グレートリセッション以前と同じくらいの賃金を稼いでいるにもかかわらず、親と暮らすミレニアル世代が2010年より多かった。婚姻率の低下や賃貸コストの上昇、学生ローン債務の増加などが原因とみられている。
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5. 2015年11月24日 10:29:24 : 5aI56T6iSI
派遣法は少子化の根源ですね、景気低迷の根源でもある
派遣法を廃止するか、最低時給を上げて賃金格差をなくすことが必要不可欠です
http://www.asyura2.com/15/senkyo195/msg/612.html

6. 2015年11月24日 13:23:26 : qFBZAvwg0G

 派遣(ピンハネ)という仕組みをなくすることが必要(本質)だろう

 ===

 企業:

 1. 不要になれば 何時でも首が切れる事
 2. 必要なときに雇用できる事
 3. 社員の スキルの入れ替え

 従業員

 1. 希望する場所
 2. 希望する給与
 3. 希望する職位

 などだろう 

 企業としては 非正規を使えば 社員のスキルの入れ替えが簡単にできるわけで
 
 派遣会社が 派遣の上司と考えれば 納得できる部分もある

 ===

 派遣会社は 単なる「口利きや」や「ピンハネ」するだけの部分もある

 難しい問題だが 
 
 ===

 愛は ベーシックインカムを主張している 社会保障が完備されれば 

 派遣でも十分生活していけるのだから 派遣も正社員も区別が無くなることを意味する
 

 


7. 2015年11月25日 11:12:06 : rrhrFN6JLd
派遣会社=やくざの人夫出し。直接雇用させずに中抜き。

8. 2015年11月25日 14:46:28 : qbZJa2IOaw
3.4長すぎ!
誰も読まないだろ!

ピンハネの最たる企業がパソナってことだろ
竹中が牛耳ってる政府の下請け!


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