★阿修羅♪ > 経世済民102 > 821.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
近い将来、IT投資という言葉は消えるかもしれない クラウドの本格普及がもたらす経済の地殻変動(JBpress)
http://www.asyura2.com/15/hasan102/msg/821.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 11 月 24 日 20:08:30: igsppGRN/E9PQ
 

近い将来、IT投資という言葉は消えるかもしれない クラウドの本格普及がもたらす経済の地殻変動
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45315
2015.11.23 加谷 珪一 JBpress


 ITビジネスの潮流に変化の兆しが出ている。

 これまでコンシューマ向けのサービスと思われていたクラウドコンピューティングがとうとう企業情報システムの分野に本格的に普及し始めた。

 クラウドがビジネスの現場に浸透することになれば、企業のビジネスモデルや組織形態、さらにはマクロ経済にも大きな影響を及ぼすことになる。

 米国の株式市場では、関連銘柄の株価が高騰しており、潮目の変化が顕在化してきている。時代の変化は思ったより早く到来するかもしれない。

■マイクロソフトの株価が減収でも高騰した理由

 10月22日に発表されたマイクロソフトとアマゾンの四半期決算の数字は、市場関係者に本格的なクラウド時代の到来を確信させる内容となった。これまで先行投資と考えられていたクラウド関連事業が、業績に貢献するようになってきたからである。

 マイクロソフトの2015年7〜9月期における売上高は前年同期比12.2%減の203億7900万ドル(約2兆4500億円)、純利益は1.8%増の46億2000万ドルであった。数字だけを見れば減収であり、増益もごくわずかという結果だが、株価は正反対の反応となった。翌日の株式市場で同社株は10%値を上げて取引をスタートし、その後も高値を維持している。

 株価が大幅に上昇した理由は、このところ同社が急速にクラウドサービスに軸足を移しており、その成果が数字に反映され始めたことについて市場が好感したからである。

 日本ではまだそれほどではないが、米国では業務用ソフト「オフィス」のクラウド転換が急速に進んでいる。クラウド経由で業務用ソフトを提供する「オフィス365」の個人利用者数はすでに1800万人に達しており、3カ月で300万人増加した。

 マイクロソフトは典型的なパッケージソフトのメーカーであり、これまでは基本ソフト(OS)である「ウィンドウズ」や業務ソフトの「オフィス」といった製品を高い価格で売り切るビジネスを行ってきた。しかし同社は2015年7月、従来とはまったく異なるコンセプトで開発された基本ソフトの新製品「ウィンドウズ10」の提供を開始し、定額利用サービスに本格的に舵を切った。

 ウィンドウズ10は、1年間という期間限定ではあるものの、ウィンドウズ7やウィンドウズ8といった既存製品からのアップデートが無料となっている。従来は、数年に一度、機能を大幅に刷新した新OSを次々に投入してきたが、ウィンドウズ10からはこうした新製品の投入は行わず、小規模なアップデートをネット経由で随時実施するとしている。つまり、同社は基本ソフトの新製品で収益を上げるというビジネスモデルを捨てたことになる。

■業務用ソフトもクラウド経由で提供

 これに合わせて同社では、クラウド上でデータを蓄積したり、業務用ソフトを月額固定料金で利用できる新しいサービスを強化している。もっとも力を入れているのは、業務用ソフトでは定番となっているオフィスをクラウド経由で提供する「オフィス365」である。

 オフィス365は、数万円かけてパッケージを購入する必要がなく、月額1000円程度の利用料金を払えば、常に最新のオフィスを使うことができるというサービス。これにはクラウド上のストレージサービスも付属しており、利用者はクラウド上の記憶容量をあたかも自分のパソコンのような感覚で使うことができる。

 月額利用料金を徴収するビジネスモデルは、派手さはないものの一定以上のシェアがあれば、着実に利益を確保できるという特徴がある。すでにオフィス365の事業だけで年間2500億円以上の収益を上げている計算だ。

 同社は、世界にあるパソコンのうち10億台を3年以内にウィドウズ10に置き換えるという目標を掲げている。もしウィンドウズ10の利用者が皆、クラウド経由サービスを利用することになれば、理論的には現状をはるかに上回る業績を上げることも可能となる。市場はその将来性を株価に織り込み始めたと考えてよいだろう。

 実はマイクロソフトは11月2日、無料で提供していたクラウド上のストレージサービスの内容を大幅に見直すと発表し、一部の利用者から不満の声が寄せられている。同社は、グーグルなどに対抗するため、無料サービスの範囲を広げ、大判振る舞いを続けてきた。とうとうコスト負担に耐え切れなくなったというのがサービス見直しの理由と考えられる。

 無料を謳って利用者を獲得すれば事業者の負担が大きくなることは誰でも予想できることであり、その点において同社の見通しは甘かったと言わざるをえない。だが、見方を変えれば、クラウドサービスの収益化に十分な見通しが立ってきたので、収益に貢献しない無料ユーザーのふるい落としを開始したという解釈もできる。

■アマゾンは隠れたITインフラ企業

 一方、アマゾンもクラウド事業によって好決算となり、株価が大幅に上昇した。同社の7〜9月期決算は、前年同期の赤字から一転、純利益が7900万ドルの黒字となった。同社のクラウドサービス「AWS」事業が利益を押し上げたからである。AWSは売上高こそ全体の8%程度に過ぎないが、前年同期と比較すると1.8倍の伸びとなっており、営業利益の半分を稼ぎ出すまでになっている。

 AWSは一般にはあまり知られていないが、クラウドを使った企業向けのIT基盤サービスである。

 当初はデータ保存用のストレージサービスとサーバーの時間貸しサービスとしてスタートした。システム開発者は新しいソフトウエアを開発する際、専用のシステム環境を構築して、その上でプログラミングやテストを行う。

 最初は小さなシステム環境でもよいが、開発が進むにつれて、実際の利用環境に近い大きなシステムが必要となってくる。開発の進捗に合わせて開発環境も拡張しなければならず、これが結構な手間となっていた。

 AWSでは、時間単位でサーバーやストレージを利用することができ、高い処理能力が必要になった場合には、クリック1つですぐにサーバーの台数を増やすことができる。この簡便さが話題となり、システム開発企業の間では広く使われるようになっていた。

 だがAWSのサービスはそれだけにはとどまらない。ビッグデータの解析やビジネス分析ツール、人工知能など、本格的な企業情報システムのベースとなるエンジンを次々と開発し、企業の情報システムを丸ごとAWSに移管させるというビジネスにシフトしてきたのである。現在では全世界で100万社以上が利用する巨大なITインフラに成長している。日本企業の中にも、ユニクロを展開するファーストリテイリングのように基幹システムを丸ごと移管するというケースが出てきている。

■全世界のIT投資が最適化される

 これら一連の動きは、企業のビジネス環境はもちろんのこと、マクロ経済にも大きな変化をもたらす可能性がある。IT関連の設備投資が、アマゾンやマイクロソフトのようなごく一部の寡占的な事業者に集約され、投資効率が著しく上昇する可能性があるからだ。

 これまで、情報システムは企業ごとに個別に構築されていた。情報システムは、負荷が大きく変動することを考慮に入れ、余裕を持った設計が行われる。定常的には10台のサーバーで稼働させることができても、ピーク時の負荷を考えて15台、20台といった数のサーバーが投入される。つまり存在しているハードウエアの何割かはムダな投資となっているのだ。

 アウトソーシングでも状況はあまり変わらない。従来のアウトソーシングは、企業の情報システムをそのまま外部に移管させたものや、特定分野に限定されたものが多く、個別に最適化されていた状況に変わりはない。

 だが、あらゆるシステムがAWSのようなクラウドサービスに集約されることになると話は変わってくる。クラウド事業者はそれぞれのシステムのピークに合わせて動的にサーバーの能力を割り振ればよいので、社会全体で必要となるサーバーの台数を最適化できる。その結果、従来では考えられなかったコストダウンが可能となってくるのだ。

 近い将来、世の中からはIT「投資」という言葉は消えているかもしれない。ITは「投資」ではなく、すべてが「フロー」となり、時間単位で利用するものへと変貌する。

■業務の階層化がさらに進む

 企業の情報システムや、オフィスのような業務ソフトがクラウド標準ということになれば、クラウドに対する心理的な抵抗感は一気に薄れてくることになるだろう。各種のビジネスサービスがクラウドに乗らない理由はなくなってくる。

 名刺の管理、会計処理、請求書の発行、領収書の管理、給与明細、交通機関の予約と代金決済など、あらゆる業務がクラウドベースで展開できるようになってくるはずだ。実際、これらの業務を手がけるベンチャー企業が数多く登場しており、こうした企業の中から、次世代の楽天やサイバージェントが出てくる可能性もある。

 こうした一連の流れは、企業における業務の階層化(水平分業化)をさらに進めることになるだろう。企業における管理業務は、クラウド化されたITインフラと結び付き、特定のファンクション(機能)を持ったレイヤー(階層)という位置付けになる。企業にとってみれば、コア業務以外のレイヤーを自社で保有する必然性がさらに薄れてくるため、組織の形態はますますシンプルになってくるはずだ。

 このような話は、実はIT化が進んだ1990年代から議論されてきたことである。しかし、レイヤー化した社会というのは、通信インフラ、デバイス、サーバー技術など、すべてが最適化されなければ実現できない。パソコンの本格的な普及から20年以上が経過したが、ようやく技術的な基盤がコンセプトに追い付いてきたと考えるべきだろう。

 残念ながら日本企業の多くは、いまだに垂直分業を基本とした事業形態から脱却できていない。この新しい仕組みに適応できる組織とできない組織の差は、今後ますます拡大していくはずだ。

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
1. 2015年11月24日 22:06:22 : 19XYXXzg4k
win10と言い、クラウドと言いセキュリティーやばいと言う話は無関心な記事、危ないだろう。

  拍手はせず、拍手一覧を見る

フォローアップ:


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法

▲上へ      ★阿修羅♪ > 経世済民102掲示板 次へ  前へ

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。
 
▲上へ       
★阿修羅♪  
経世済民102掲示板  
次へ