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日銀追加緩和、積極・慎重派が対立 10月末の決定会合議事要旨公表(SankeiBiz)
http://www.asyura2.com/15/hasan102/msg/853.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 11 月 26 日 09:38:10: igsppGRN/E9PQ
 

日銀追加緩和、積極・慎重派が対立 10月末の決定会合議事要旨公表
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20151125-00000006-biz_fsi-nb
SankeiBiz 2015/11/26 08:15


 日銀は25日、10月30日に開いた金融政策決定会合の議事要旨を公表した。会合では金融政策を決める9人の政策委員のうち、「必要があれば追加金融緩和すべきだ」という“積極派”と、「2%の物価(上昇率)目標は中長期的に目指すべきだ」とする“慎重派”の対立が深刻化している実態が浮かび上がった。

 市場では、同会合で日銀が追加緩和に踏み切るとの観測が広がっていたが、黒田東彦総裁は記者会見で、「いろいろ議論はあったが、具体的に追加緩和の提案はなかった」と説明した。

 議事要旨によると、委員全員が、今後の物価見通しについて「下振れリスクが大きい」との認識を共有した。さらに、多くの委員は「物価目標の早期実現のために必要があれば、躊躇(ちゅうちょ)なく政策調整すべきだ」と発言。このうち1人は「追加緩和の手段に限りはない」と付け加えた。ただ、日銀が同日の会合で、2%の物価目標の達成時期を「2016年度前半ごろ」から「16年度後半ごろ」に先送りしたのは「矛盾」と疑問視する声も。

 第一生命経済研究所の熊野英生氏は「目標の早期実現を放棄した」と批判した。一方、佐藤健裕審議委員と木内登英審議委員は、「17年度までに2%に達しない」と表明して柔軟な政策運営を求めるなど、追加緩和には極めて慎重だ。

 さらに、昨年10月の追加緩和に賛成した白井さゆり審議委員も25日の講演で、「現時点で対応を要するものではない」と市場の追加緩和論を牽制(けんせい)した。

 SMBC日興証券の宮前耕也氏は「消費税再増税を後押しする切り札として温存している。当面は様子見だが、市場に期待を持たせるためあえて議論した可能性もある」と分析した。

 

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コメント
 
1. 2015年11月26日 13:51:27 : nJF6kGWndY

今の国内外の状況で、よほどのoptimist以外、金融・財政政策だけで日本経済が高度成長して、財政問題や少子高齢化問題が解決するなどとは考えないし

規制緩和や税制改革など成長戦略が進み、劇的に国内投資や実質賃金が増加すると期待する人もいない

いずれにせよ、老人や既得権者が政治を支配する日本では、日銀や政治にできることなど、ごく狭い範囲しかないし

せいぜい民主党時代みたいな緊縮と円高放置による産業・経済破壊をしないことで良しとするしかないが

また改革は遅れ、農業など既得権者へのバラマキは復活しているし、長期低落傾向に変化はないと見るのが妥当だろうな



2. 2015年11月26日 16:52:50 : OO6Zlan35k

15年度上期の剰余金6288億円、前年同期は5878億円=日銀


[東京 26日 ロイター] - 日銀が26日発表した2015年度上期決算によると、最終利益に当たる当期剰余金は6288億円となった。前年同期は5878億円だった。自己資本比率は7.94%と前年度末の8.20%から低下した。日銀が財務の健全性の目安としている8%を下回った。
http://jp.reuters.com/article/2015/11/26/boj-idJPKBN0TF0JL20151126


 


長期金利が0.3%割れ、日銀買いオペで需給逼迫観測−欧州緩和期待も
2015/11/26 15:41 JST
    (ブルームバーグ):債券相場は上昇し、長期金利は1週間ぶりに0.3%を割り込んだ。日本銀行の長期国債買い入れオペによる需給逼迫(ひっぱく)観測の強まりを背景に買いが優勢となった。
26日の現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の340回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値と横ばいの0.30%で開始。午後は0.5ベーシスポイント(bp)低い0.295%と、19日以来の水準に下げた。新発20年物の154回債利回りは0.5bp低い1.06%と16日以来の低水準。新発30年物の48回債利回りは0.5bp低い1.38%で推移した。
長期国債先物市場で中心限月12月物は前日比4銭高の148円57銭で取引を開始した。午後に入ると148円62銭と、夜間取引を含めた最高値(148円68銭)を記録した10月30日以来の水準まで上昇。結局は7銭高の148円60銭で引けた。
JPモルガン・アセット・マネジメントの塚谷厳治債券運用部長は、「需給環境が良好だ。短期ゾーンの利回りが低水準に張り付いているので、長いゾーンも買われやすい。日銀の国債買い入れオペも良好な結果だった」と話した。
日銀がきょう実施した長期国債買い入れオペの結果によると、残存期間5年超10年以下の応札倍率が前回から低下した。一方、10年超25年以下、25年超は上昇した。24日実施のオペでは残存1年超3年以下の買い入れ額が前回から1000億円減額されたが、今回はいずれのゾーンも据え置きだった。
SMBC日興証券の竹山聡一金利ストラテジストは、債券相場について「内外とも材料難で方向感は定まらないが、日銀の国債買いオペが入る分だけしっかりに推移しやすい」と話した。  
25日の欧州債市場ではユーロ参加国の国債が軒並み上昇した。一部報道などで欧州中央銀行(ECB)が来月に金融緩和を拡大するとの観測が強まったことが背景。米国債利回りは当初、欧州金利に連動して下げていたが、米指標が総じて好調だったことから押し戻された。
野村証券の松沢中チーフストラテジストは、「観測報道で最も注目を集めたのは、一定水準を超えるECB預金に対し、より高いマイナス金利を課す制度を検討しているとの内容。実現可能性に加え、適用範囲やマイナス幅も不明ではあるが、代替資産となる国債金利の低下を促しやすい」と指摘。「少なくとも12月3日のECB会合での決定を見るまでは、相場を売り崩すのは容易でない」としている。
PD会合
財務省はこの日午後4時から、証券会社やメガバンクで構成する国債市場特別参加者(プライマリーディーラー、PD)を対象にした会合を開催。2016年度の国債発行計画などについて意見交換する見通し。27日には国債投資家懇談会が開かれる。
PD会合と投資家懇の開催について、BNPパリバ証券の藤木智久チーフ債券ストラテジストは、「発行に関する議論も今後より高まっていきそうだ」と指摘。今日の債券市場では、「超長期債の買い入れ増額の思惑や、20年債の発行減額の可能性などもあり、超長期にかけてしっかりとなっている」と話した。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の稲留克俊シニア債券ストラテジストは、「来年度国債発行計画の議論が本格化する。最終決定は12月下旬になる見込み。来年度のカレンダーベース発行額の減額が既定路線化しつつある中、2年債と5年債の発行減額もコンセンサス化してきたようにみえる。焦点は超長期債の扱いだろう。40年債の発行増額やそれに伴う20年債の発行減額などに関し、当局から示唆があるか注目している」と言う。
記事に関する記者への問い合わせ先:東京 山中英典 h.y@bloomberg.net;東京 赤間信行 akam@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Garfield Reynolds greynolds1@bloomberg.net 山中英典, 青木 勝
更新日時: 2015/11/26 15:41 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NYE6VR6JTSEC01.html

 


3. 2015年11月26日 17:43:51 : OO6Zlan35k
物価2%安定持続、消費税上げ影響踏まえ判断必要=白井日銀委員  

[松江 25日 ロイター] - 日銀の白井さゆり審議委員は25日、島根県の松江市で会見し、目標とする物価2%が安定的に持続しているかを判断するタイミングについて、2017年4月に予定されている消費税率の引き上げの影響も踏まえる必要があるとの認識を示した。

追加緩和が必要になった場合の対応として、現行の量的・質的金融緩和(QQE)の拡大か枠組みの変更になる可能性を示唆した。

白井委員は、物価2%が安定的に持続する時期について、消費税率引き上げの影響や東京オリンピックに向けた投資、予想物価上昇率の動向などに不確実性があり、「明確に評価する時期ではない」と語った。

もっとも、消費税率引き上げの直接的な影響は1年程度出ると指摘。物価2%の安定・持続は、消費増税の時期を「少し超えたかたちでの判断が必要かもしれない。その後も含めて安定的な実現というものを分析した方がいいと思う」との見解を示した。日銀では、物価2%を安定的に持続するのに必要な時点までQQEを継続するとしており、白井委員の発言はQQE長期化を示唆したものといえる。

その場合、大量に国債を買い続けるQQEの持続性が問題になる可能性がある。白井委員は、国債買い入れについて「現時点では順調に買えている。今後も持続性に問題があるとは聞いていない」と強調。仮に持続性に問題が生じた場合には「諦めるのではなく、持続的なやり方で物価目標の実現を目指せばいい」と語った。

金融政策運営に関しては、仮に物価の基調に改善が見られなくなれば、「金融政策の緩和度合いが足りないのか、金融政策を工夫した方がいいかの判断になる」と指摘。政策運営にあたっては「あらゆる選択肢を排除する必要はない」としつつ、QQEを拡大する場合には国債買い入れの増額や年限の長期化、リスク性資産の組み合わせなどが考えられると語った。

QQE導入から2年半が経過したが、物価2%の達成は依然として不透明。白井委員は「できるだけ早く2%を実現したいとの気持ちは変わらない」としながらも、企業や家計にとって無理のない物価2%を実現するには、当初掲げた目標達成期限の「2年程度」について「幅を持って解釈するべき」との認識を示した。

(伊藤純夫 編集:田中志保)
http://jp.reuters.com/article/2015/11/25/boj-s-idJPKBN0TE0JC20151125


中国の銀行、景気減速で不良債権増加の見通し

By GRACE ZHU
2015 年 11 月 25 日 15:31 JST

 【北京】中国東方資産管理の推定によると、中国経済の減速で銀行が抱える不良債権がさらに拡大し、国内金融システムはさらに圧迫される見通しだ。同社は中国4大資産管理会社の一つで、主要な不良債権の受け皿となっている。

 これによると、中国の銀行融資債権に占める不良債権の割合は、年内に1.67%まで膨らむ恐れがある。政府統計によれば、9月末時点では6年ぶり高水準となる1.59%、1兆1900億元(約22兆8000億円)だった。

 東方資産管理は、24日発表した不良債権に関する年次報告で、2016年内にこの割合が1.94%まで上昇する可能性があるとの見方を示した。商業銀行や資産管理会社を対象とした調査結果を引用しつつ、「中国の銀行システムにおける不良債権は今後4?6四半期にわたり増加し続けるだろう」と指摘した。

 専門家の間では一般に、中国の不良債権関連の統計の信用度は低い。中国の金融機関は不良債権の拡大を避けようとして融資を延長する場合が多いため、同国の不良債権比率は他国と比べ低くなっている。ただ、こうした統計からもうかがえるのは、経済成長が引き続き減速していけば、中国の銀行に対する圧力がさらに高まるだろうということだ。中国の7-9月期の国内総生産(GDP)成長率は前年同期比6.9%に鈍化し、世界金融危機以来の低水準に落ち込んだ。

安徽省淮北市の銀行員 ENLARGE
安徽省淮北市の銀行員 PHOTO: ASSOCIATED PRESS
 中国の銀行監督当局が発表した統計によると、返済期限を過ぎているもののまだ不良債権化はしていない「要注意債権」は、9月末時点で2兆8000億元に上り、融資全体の3.8%近くを占めている。

 東方資産管理は、中国の銀行部門から不良債権の受け皿として政府が10年以上前に設立したいわゆる「バッド・バンク」で、銀行や企業から不良債権を安値で買い上げ、債務再編や債権回収によって利益を上げている。

 同報告は、成長減速のため金融機関の不良債権処理は加速しており、製造業と不動産部門の二つがその中心だと指摘している。


4. 2015年11月26日 21:06:17 : jXbiWWJBCA
ECB追加緩和、行動する理由ないとの異論も−政策委は難しい判断へ
2015/11/26 15:38 JST

    (ブルームバーグ):欧州中央銀行(ECB)政策担当者の最近の発言を聞く限り、12月3日の政策委員会では追加緩和をめぐって難しい判断を迫られそうだ。行動の必要がないことが今後出てくる指標で示唆されると政策委の一部メンバーは主張した。
ECBのコンスタンシオ副総裁は25日のブルームバーグとのテレビインタビューで、「景気の回復は続いているが、リスクは下向きだ。新興市場に波及する影響が実際にかなり著しい形で表れるかどうかも1つの要素になる。インフレは非常に弱く、われわれは物価安定を確実なものとしたいと考えている」と語った。
これに対し、ECB政策委メンバーであるエストニア銀行(中央銀行)のハンソン総裁は、最近の統計は予想外に上振れしており、さらに行動を起こす理由は見当たらないと述べ、ドイツの政策担当者らの見解に同調する姿勢を示した。
ECBは世界経済減速の影響でユーロ圏のインフレ率が今の低過ぎる水準で定着することを避けるため、金融刺激策を強化すべきかどうか検討に入っており、最大1.1兆ユーロ(約143兆円)の債券購入プログラムの拡充や中銀預金金利(現行マイナス0.2%)引き下げなどの選択肢が取り沙汰されている。12月3日の政策委では、予想される米利上げの影響の検証も必要になるだろう。
ハンソン総裁はマーケット・ニュース・インターナショナル(MNI)とのインタビューで、「前回の政策委以降は前向きなニュースの方がネガティブなニュースよりも多い。景気が十分に軌道に乗っていることを全てが示唆しているように見えるとすれば、行動する理由は見当たらない」と発言した。ドイツ連邦銀行のバイトマン総裁も現在の金融刺激策の効果が表れるには時間がかかり、景気を悲観的に捉える必要はないと先週述べていた。
原題:ECB Faces December Debate With Officials Still Split on More QE(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:フランクフルト Paul Gordon pgordon6@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Paul Gordon pgordon6@bloomberg.net Alessandro Speciale, Hans Nichols
更新日時: 2015/11/26 15:38 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NYEQAT6K50XV01.html


コラム:ドル125円に「通貨戦争」の壁

高島修シティグループ証券 チーフFXストラテジスト

[東京 26日] - 筆者の長期見通しは、2017年ごろまでドル高円安が続くというものだ。1970年代前半に為替相場が変動相場制に移行した後、ドル指数は7―8年下落、2―3年底ばい、5―6年上昇というサイクルを繰り返してきた。

今回、2001年のITバブル崩壊後に下落局面入りしたドルは、2008年のリーマン危機発生時に下げ止まり、欧州ソブリン危機が深刻化した2011年に底打ちした。

そこから5―6年上昇局面が続くとしたならば、ドル高のピークとして2017年が1つの目安となってくる。2017年は日本では消費再増税が行われる年であり、景気対策の一環で日銀がさらなる金融緩和を行う可能性がある。要はドル高のピークだけでなく、円安もピークに向かいやすい年なのだ。

目先で見ても、12月には米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めと欧州中央銀行(ECB)の追加緩和が決定され、ドル高圧力が強まる可能性は高い。しかも、来年1月には日銀が追加緩和に踏み切り、そこに円安が加わることも考えられる。

だが足元では、これ以上の急激なドル高や円安が日米政界や通貨当局者の間で望まれていないことは明らかだ。ドル円が125円を超え、ユーロドルがパリティ(1ユーロ=1ドル)に達するようなドル高となる場合、通貨戦争勃発を回避するために、ドル高抑制が日米はじめ国際通貨当局者の課題となって浮上するのではないかと筆者は睨(にら)んでいる。

<ECBの異例かつ露骨なユーロ安誘導>

日米欧中央銀行の中で口火を切ることが確実なのがECBだ。10月22日の理事会後の記者会見で、ドラギECB総裁は「12月理事会で金融緩和の程度を再検証。資産購入の規模、構成、期間を調整する」と明言。事実上の次回理事会(12月3日)での追加緩和宣言を行った。

しかも、ドラギ総裁は「インフレの下振れリスクの1つは最近のユーロ高」と言及。昨春1.4ドル台に迫ったユーロドルは今年3月には1.05ドル前後へ大幅下落。その後の戻りは1.15ドル台さえ超えていなかったが、それさえも容認しないタカ派姿勢を示した。

つまり、ECBはユーロ安がまだ均衡点に至っていないと判断しており、事実上、ユーロが下落し続ける必要があるとの考えを示したことになる。ドイツを中心に経常黒字拡大が目立つ経済圏の中銀としては異例で、露骨な通貨安誘導だ。

足元、ユーロドルは3月につけた1.05ドル前後の年初来安値を割り込みかねない水準まで値を崩してきた。欧米長期金利差との相関が高いユーロドルは、来年を展望すれば、パリティ水準を下回って下落してもおかしくない。

<FRBは金融正常化優先でドル高を甘受か>

最近のユーロ安ドル高を促したのはECBだけではない。この間、FRBの金融引き締め観測が強まったことを背景に、為替市場はほぼドル全面高の様相を呈してきた。8月の中国人民元切り下げを発端とする世界的な市場の混乱を受け、FRBはそれまで慎重に地ならしを進めてきた9月利上げを断念せざるを得なくなった。その後のイエレンFRB議長の発言には悔しさがにじみ出ていた。

だが、10月にペルーの首都リマで国際通貨基金(IMF)総会と20カ国・地域(G20)財務相・中銀総裁会議が行われた際、FRBのフィッシャー副議長は、新興国の当局者らからはいつ米国が利上げに動いても大丈夫だとの自信を示されたと発言。リフトオフ(利上げ開始)に向けて国際環境が整ったとの判断を示した。

フィッシャー副議長は、米財務省出身のブレイナード理事と並んで、これまでドル高が米国経済や海外経済に及ぼす影響を慎重に見極めるとの姿勢を示してきた。ドル指数は今年3月に約12年ぶりの高水準に達し、その後調整局面入りしたが、足元では再びその3月の高値を試そうとしている。だが、FRBがそこを超えるようなドル高をある程度は甘受してでも、金融正常化に着手したい考えのようだ。

<TPPに見る米政財界のドル高けん制>

ただ、そうしたFRBのドル高黙認姿勢が米国内で広く共有されているわけではなさそうだ。そのことを端的に示したのが、今月5日に環太平洋連携協定(TPP)交渉12カ国が発表した共同宣言である。マクロ経済政策の協調を図る一環として、為替操作を回避することが謳(うた)われた。

この為替操作禁止条項は、今春に米議会が、TPP合意の必須要件であるオバマ大統領への貿易促進権限(TPA)を審議した際に議論されていたものだ。その際は、米財務省を含めた政策当局者が自らの手足を縛ることになりかねないとの警戒感から、この条項がTPA法案に組み入れられることをなんとか回避した。その為替操作禁止条項がTPP交渉参加国の共同宣言として復活したことは、依然として米政界や産業界のドル高や円安などに対するストレスが強いことをうかがわせる。

そもそも、TPPはじめ自由貿易協定のような通商問題で、通貨政策問題を取り上げること自体が異例で、今回の共同宣言も、従来TPP交渉に携わってきた甘利経済再生担当相やフロマン米通商代表部(USTR)代表など通商政策責任者から発表されたのではなく、日米財務省などマクロ経済を司る当局から発表された。

今のところ罰則条項があるわけではなさそうで、この共同宣言は実効性のあるものではなかろう。ただ、ここで重要なのは、こうした宣言を発表せざるを得ない米国内の事情であり、そうした為替相場が政治的にセンシティブな環境は、来年早々にオバマ大統領が署名し、米議会の審議が始まるTPP法案が無事に成立するまで続くだろう。これは来年半ば頃ではないかと見られている。

<円安にならない追加緩和策の必要性>

ここで難しくなるのが、日銀はじめ日本の政策当局者がとる道だ。市場で日銀の追加緩和観測が強かった10月30日の決定会合で政策据え置きが発表された際、ほぼ同時にメディアは政府の補正予算が3兆円超になるとの観測記事を発表した。

その時、筆者は、これは日銀の決定に市場が失望的な反応を示すことを阻止するために意図的に政府筋から流されたものではないかとの印象を持った。この読みが正しければ、政府はその日の日銀の据え置き判断を事前に知っていた可能性があり、そのことは日本政府、日銀が現在、景気刺激に向けてより緊密な協調行動を模索している可能性を意味する。

この観点から言えば、1月に補正予算が成立した後、1月末の決定会合で日銀が追加緩和を決めるシナリオが綺麗(きれい)だ。2―3月の賃金交渉にもギリギリ、心理面から影響を及ぼすことができる。

ただ、その時点で、ユーロドルがパリティを割り込み、ドル円も125円を突破し、130円が警戒される事態となっていた場合、その中での日銀の追加緩和策は、米国でのドル高や円安に対する嫌悪感を一段とあおることになるだろう。

その結果、米議会でのTPP審議が危険にさらされることになれば、国益を損なうことにもなりかねない。この場合、いかに円安にならないように追加緩和策を講じるかが、財務省で通貨政策を指揮した経歴を持つ黒田総裁率いる日銀の課題となるだろう。

*高島修氏は、シティグループ証券のチーフFXストラテジスト。1992年に三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)に入行し、2004年以降はチーフアナリスト。2010年シティバンク銀行入行、チーフFXストラテジストに。2013年5月より現職。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(こちら)

*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。
http://jp.reuters.com/article/2015/11/26/column-osamutakashima-idJPKBN0TF0P020151126



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