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雑感。金、原油市場の落ち着き(在野のアナリスト)
http://www.asyura2.com/15/hasan103/msg/150.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 11 月 30 日 00:01:11: igsppGRN/E9PQ
 

雑感。金、原油市場の落ち着き
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52756579.html
2015年11月29日 在野のアナリスト


最近少し気になっているのが、トルコによる露軍機撃墜など、世界が不安に陥ってもおかしくない局面で、金市場、原油市場がほとんど反応しないことです。為替ではよく安全通貨として円が買われる、などとも言われますが、金も原油も、資源価格もまったく動きません。逆に、株式市場の下落の理由として「リスク資産としての株売り…」などという説明をする人もいますが、それだと株式市場だけ織りこんだ、という不可解な事態になってしまいます。

日本の株式市場は、日米合弁系の動きが止まり、急速に上値の重い展開となりました。これが感謝祭に伴う休暇によるものか、それとも手もちの弾を撃ち尽くしたせいなのか、どちらかによって相場の読みは大きく異なります。さすがに円売り、株買いのセットだったことと、一度に大きな売買だったため、後者であるとの見方も多く、ここ元の動きにも勢いのなさを感じさせます。

日経平均はここ最近、12月の成績が突出してよく、ほぼ下落がない。しかし逆にみると、10、11月は弱含むことが多くて、その反動という面も大きかった。今年はこのままいけば10、11月はプラスで終わります。この水準で、さらに上値をめざすという動きになると、来年の増益を信じたものとなるはずですが、よほど強気のアナリスト以外、来年は増益基調が鈍るとの見通しです。

これは為替相場の見方が分かれていて、来年は1$で130円に近づく、という人は強気、110円に近づく、という人は弱気、との見立てが多い。結局、円安頼みという構図です。ただ気になるのが、来年の世界経済の見立てに関して、あまり言及がない点は気がかりです。何となくどこも破綻することも、世界経済に激震が走ることもなく、平穏無事な中で円安に向かう、ということなのか? 

しかし中国は都市部の不動産が高値で推移する一方、株価は急落するなど、相変わらず官製相場の賞味期限切れが大きな要因となって、変動を大きくします。これまでも力技で不穏な動きをねじ伏せてきた中国ですが、今年おきた変動は必ず来年、もう一度振幅を大きくして襲うでしょう。来年は中国にとって、最大の変化の年になるはずです。いい意味でも、悪い意味でも。

それは日本も同じ、官製相場の賞味期限切れ、という問題が襲います。日銀が追加緩和を決めても、年金、郵貯、かんぽなどの買いが止まり、買い方不在の状況に陥る。そこに来て国内はマイナス成長、まさに頼るところは円安しかないのです。まさに正念場、逆にここ年末高になどなれば、来年は一気に下落傾向が鮮明となり、それはバブル崩壊後の1989年の株価の動きと似るのかもしれません。規模は半分程度ですが、下支えをする要因が何もないからです。

「供給は需要をうみだす」といったのは古典経済学者のジャン=バティスト・セイです。しかし今、中国は生産過剰という製品の供給問題を、日本は日銀の金融緩和というマネーの供給問題を抱えます。それでも、需要は何も生まれていない。中国はバブルの状況を脱しきれず、日本もデフレを脱しきれていません。残念ながら、2016年は難民問題という人の供給問題、軍事傾斜という政治による扇動の供給問題など、様々な問題が立ちはだかっているというのが、現在の見立てです。

もし金価格、原油価格が、実体経済の悪化を映して、たとえ危機の増幅などの懸念に陥ったとしても、価格が動かず低迷したまま、というのであるなら、実は供給サイドである資源価格がもっとも冷静に今の状態をみている、という見方もできてしまうのでしょうね。

 

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コメント
 
1. 2015年11月30日 07:32:14 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk
要注意!原油市場の供給過剰で高まる地政学リスク
原油価格の長期低迷にもがく中東、ロシア
2015.11.30(月) 藤 和彦
ロシア機撃墜、「国籍不明だった」 トルコ軍が声明
トルコ国境に近いシリア北西部の町Bayirbucakで墜落する軍用機を捉えた画像。Anadolu Agency提供(2015年11月24日撮影)。(c)Anadolu Agency/Fatih Aktas〔AFPBB News〕
 パリで起きた同時多発テロやアフリカ・マリのホテル襲撃などに加え、シリア国境付近でロシア爆撃機がトルコ軍に撃墜されるなど、地政学的リスクへの懸念が高まっている。

 1バレル=40ドル割れ寸前であったWTI原油価格は11月13日のパリ同時多発テロで反発、その後のロシア機撃墜などで同43ドル台に回復した。しかし「世界市場の均衡回復にはほど遠い」というのが市場関係者の共通認識であり、12月4日に開催されるOPEC総会に対する関心が日増しに高まっている。

 2014年11月のOPEC総会は、原油価格下支えのための減産を拒否する決定を行ったため、原油価格の長期低迷をもたらす原因をつくってしまったとされている。

 それから1年が経ち、OPEC加盟国もこれまでのような持久戦を続けられる状況ではなくなった。そのため、OPECの盟主であるサウジアラビアのスタンスにも変化の兆しが見られるとの観測が出ている。

 だが、実際にはサウジアラビアのスタンスは変わりそうにない。

 サウジアラビアの内閣は11月23日、「石油市場の安定におけるサウジアラビアの役割および市場と価格の安定を維持するために、全てのOPEC加盟国・非加盟国と協力する用意と意思がある」との声明を出した。この声明は市場関係者の注目を集めたが、内容は残念ながらヌアイミ石油鉱物資源相がこれまで行ってきた発言とさほど変わりはない。

 市場関係者の期待とは裏腹に、「次回の総会で現在の市場シェア重視戦略の方針が変わることはない」(イランのザンガネ石油相)だろう。逆に、核疑惑に関する制裁解除を目の前に控え、イラン政府が「制裁解除後にイランが原油生産を拡大するには、OPECなどの機関から許可を得る必要はない」と強調するたびに市場のセンチメントが悪化している。

記録的な増産を続けているロシア

 次回の総会でOPECが減産するかどうかは、サウジアラビアと並ぶ大産油国であるロシアの姿勢にかかっているとの見方も有力になっている。

 OPEC内で減産を提案しているベネズエラが主導してOPEC総会前日にOPEC加盟国と非加盟国による協議を準備している。だが、関係者によれば「ロシアが原油の協調減産に応じる可能性はほとんどない」(11月20日付ロイター)という。

 国家予算の約4割を原油収入に依存するロシアは、今年に入り記録的な増産を続けている。減産に踏み切れない理由としては「シベリアの厳しい気候条件下では油田の操業を停止すると生産再開が容易でない」ことを挙げている。しかし、税収を確保したい政府の意向を受けた石油会社が目先の収益を上げるために躍起になっているというのが実情だろう。

 11月上旬に来日した露石油会社「ロスネフチ」のセチン会長は、「今年の日本への原油輸出を前年比30%増加させる」と発言した。ロシアは中国市場においてもサウジアラビアとの熾烈な争いを繰り広げている。今年上半期の中国向け原油輸出の国別ランキングで、ロシアはアンゴラを抜き首位のサウジアラビアに次ぐ地位を占めた。下半期も攻勢が続きサウジアラビアのシェアを奪い続けている。

シリアへの軍事介入の背景にあるロシア経済の悪化

 ロシアのノバク・エネルギー相は11月16日、「世界的な石油の過剰供給は徐々に縮小しつつあり、来年下半期に完全に解消される可能性がある」と発言した。だが、この見通しはサウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源相と「瓜二つ」と言っても過言ではない。

 ロシアがこのような楽観的な見方をするのは、サウジアラビアと同様に「軍事費の急増」という歳出面での大きな圧迫要因を抱えているからだろう。

 サウジアラビアは今年3月からイエメンに軍事介入しているが、ロシアも昨年からのウクライナとの紛争に加えて今年9月末からシリアへの空爆を開始した。サウジアラビアと同様、ロシアも引くに引けない状況に陥りつつある。当面は資産の取り崩しなどで乗り切れるとしても、再び原油価格が上昇するとの見方を強調しなければ、国内外から高まる懸念を払拭できないのだろう。

 ロシアのシリアへの介入は日を追うごとにエスカレートしている。戦略爆撃機や巡航ミサイルまでもが投入されており、既に大規模な戦争に相当するとの見方もある。

 軍事介入を強めている要因として「シリアにおけるロシアの権益確保」が指摘されているが、ロシア国内の経済事情も影響している可能性がある。

 今年のロシアの経済成長率はマイナス4%程度で、来年もマイナス成長が見込まれている。21世紀に入り5〜10%の成長を謳歌してきたロシア国民にとっては大きなショックである。新車の販売台数も依然前年比30%減となり、国民の間に閉塞感が生まれている。

 このような状況下でのシリア介入は、現地でのロシア軍の活躍で「強いロシア」を印象づけ、フランス、さらにはアメリカとの協調によって外交上の成果を挙げ、政権の求心力を維持し続ける狙いがあるのではないだろうか。シリア介入が国内要因に基づくものだとすれば、原油価格の低迷が続き経済が悪化し続ける限り、ロシアは国内問題を糊塗するために介入を続けるかもしれない。

 ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によれば、2014年のロシアの軍事費は845億ドルでアメリカ・中国に次いで世界3位だった(サウジアラビアは808億ドルで世界4位)。軍事費の対GDP比は4.5%と世界3位だが、世界1位のサウジアラビアの10.4%よりは低率である。サウジアラビアはイエメンでの軍事介入で既に昨年の軍事費を超える戦費を支出したとされているが、ロシアの今年の軍事費も昨年の2倍に上ってもなんら驚かない。

 トルコ軍のロシア機撃墜によって、ISに対する包囲網が綻びを見せている。ロシアのシリア介入は長期に及ぶおそれがあり、サウジアラビアほどではないにしても長期にわたる軍事介入はロシア政府にとって深刻なボディブローになることは間違いない。

「ロシアのシリア介入の隠れた狙いは、中東地域の地政学的リスクを生じさせて原油価格を上昇させることである」との憶測も流れている。原油収入の減少によりロシア政府の体制転換の可能性が取り沙汰されるようになれば、ロシア政府の思惑をはるかに超えた深刻な地政学的リスクの上昇になるだろう。

「1バレル20ドル台半ばまで下落」の見方も

 筆者は原油価格の動向を大きく左右する要素として中国経済を挙げてきたが、その雲行きはさらにあやしくなっている。

 民間調査によれば11月の中国の景況感は一段と悪化しており、利払いのために新たに借り入れを行う企業が急増している(11月20日付ブルームバーグ)。

 世界の原油需要の11%を占める中国だが、その需要を牽引してきたガソリン需要、特にガソリンをがぶ飲みするSUV(スポーツ用多目的車)の売れ行きが大幅に鈍化しており(11月20日付ロイター)、11月の原油輸入量は大幅に減少する可能性がある。

 現時点では、原油市場の需給バランスを根本的に変える材料が出てくる可能性はほぼゼロである。そのため、ベネズエラのデルピノ石油・鉱業相は「原油価格は1バレル=20ドル台半ばまで下落する可能性がある」との悲観的な認識を示している(11月23日付ブルームバーグ)。

 国際エネルギー機関(IEA)は11月13日、世界の原油在庫は過去最大の30億バレルに達したと公表した。米国でもタンクの貯蔵能力いっぱい近くまで原油在庫が増加しており、世界全体が原油の海に溺れつつある事態になっている。

 市場関係者は日を追うごとに原油市場の過剰状態について神経過敏になっており、WTI市場では行使価格1バレル=30ドルのプット(売り)オプションのポジションは11月10日以降2倍以上に膨らんでいる(11月19日付ロイター)。石油トレーダーたちは原油価格の同30ドル割れに備えているというわけだ。

原油価格の長期低迷はどれだけの危険を秘めているのか

 原油価格がさらに下がれば、1.3兆ドルの資金規模を誇るジャンク債市場に悪影響を及ぼさないわけがない。

 ジャンク債の保有者についてETF(上場投資信託)が指摘されていたが、最近「マスター・リミテッド・パートナーシップ」(MLP)というREITのエネルギー版と言われるファンドにも大量に組み込まれていることが分かってきた。MLPはREITを上回る利回りを提供してきたため、低金利で運用に悩む世界の金融機関などが大量に保有している。だが、現在ETFと同様に「売ろうとする投資家は山ほどいるが、買いたい投資家はほとんどいない」状況にあるという。

 以前のコラムで紹介した米国のシェール革命の風雲児だったチェサピーク・エナジーに110億ドルを投じている社債投資家も白旗を掲げつつあるという(11月20日付ブルームバーグ)。チェサピーク・エナジーはアメリカのエネルギー業界で2番目に大きなジャンク債発行体だが、その価格は過去最低水準にまで下落し、デフォルトに備えた保証コストを表す「クレジット・デフォルト・スワップ」(CDS)の保証料率も過去最高となったからだ。

 大手商品取引会社であるグレンコアのCDSの保証料率が急騰して世界の金融市場が一時騒然となったことを以前紹介したが、リーマン・ショックのきっかけもCDSの急上昇だった。CDSの保証料率が急騰するチェサピーク・エナジーが破綻すれば、MLP市場の大混乱を通じて世界の金融市場全体に影響を与えかねない。

 米国では19世紀に起きた露土戦争(ロシア=トルコ戦争)の連想から「トルコ軍のロシア機撃墜が第3次世界大戦勃発の引き金になる」という物騒な発言も飛び出している。チェサピーク・エナジーの破綻を回避するためには、想定外の地政学的リスクによる原油価格の急上昇というシナリオを待つしかないだろう。

 露土戦争に限らず、サウジアラビアやロシアにおいて政権転覆という事態が仮に生ずれば、その影響は世界経済の混乱にとどまらない。世界の安全保障環境が激変することが必至である。

 原油価格の長期低迷がはらむ危険性について、私たちは警戒すべき時期に来ているのかもしれない。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45375


実は持ちつ持たれつ、サウジとアメリカの微妙な関係
産油国経済のしくみと実情
2015.11.30(月) 堀川 晃菜
サウジ王族バカンス、側近ら1000人以上連れ南仏へ
サウジアラビアのサルマン国王(2015年7月撮影)〔AFPBB News〕
「このまま石油を使い続けるとあと40年で枯渇する」

 石油資源には限りがある、だから無駄遣いはできない。石油を消費する我々日本人にはそう刷り込まれている。だが、実際はどうなのだろうか。

 11月10日、国際エネルギー機関(IEA)は、今後アジア各国で需要が増えることを見込み、2020年には現在の倍近い1バレルあたり80ドルの原油価格になるとの予想を発表した。

 昨年、アメリカはサウジアラビアを抜き世界最大の産油国となったが、中東諸国は今後もオイルマネーで潤っていくのだろうか。

 國學院大学 経済学部教授の細井長氏は国際経済学、とくに中東地域の経済を専門とする日本では数少ない研究者の1人だ。中東産油国の経済のしくみや実情について話を聞いた。まずは「産油国経済のしくみ」について、大枠を捉えてみたい。

可採年数のからくり

――「石油はあと40〜50年で枯渇する」と聞いたことがあるのですが・・・。

細井長氏(以下、敬称略):実質あと何年掘れのるか、つまり石油の「可採年数(現存埋蔵量を生産量で割った数字)」は原油価格の動向で変わってきます。

 まず、石油の採掘コストは掘る場所によって異なります。ひとえに中東と言っても、サウジアラビアやクウェートの辺りで石油を掘るコストは安く、1バレル当たり10ドルするかしないか。もっと安いところでは1ドルもかかりません。一方で世界の産油国の中には、100ドル程度の費用をかけているところもあります。

 最近の原油価格は1バレルあたり40ドル前後ですが、コストが100ドルだったら、採算割れするので、積極的には掘りません。逆に、原油価格が100ドル近かったときは、コストの高い油田でも掘っていました。

 生産量はその時の原油価格に左右されるため、可採年数も絶対的な値ではないのです。

細井長(ほそい・たける)氏。國學院大學経済学部教授。2004年立命館大学大学院経営学研究科博士後期課程修了。博士(経営学)。主著に『中東の経済開発戦略』、『アラブ首長国連邦(UAE)を知るための60章』。
──採掘のコストに差が生じるのは地質的な問題ですか? それとも人件費でしょうか?

細井:基本的には全て機械で掘っているので地形・地質の差と言えます。それによって必要な採掘技術も変わります。

「油田」といっても必ずしも原油の池のようなものがあるとは限らず、スポンジに含まれた水のように原油も地中に保持されています。そこから分離することが難しいのですが、サウジアラビアには、いわば“石油をめいっぱい含んだスポンジ”のような油田が多いので、比較的低コストで採れるのです。

――今後、技術力が高まれば状況が変わる可能性も?

細井 そこに石油があると分かっていたとしても、今の最新技術では全ての石油を採ることはできません。ムダなく全ての石油を採ることができるようになれば、当然、可採年数も変わります。つまり「可採年数」は価格動向と、技術力によって変動しています。

なぜ原油価格の先読みが難しいのか

――では「あと40年」というのも迷信だったのでしょうか。

細井 正確な埋蔵量を把握できるかどうか、という技術的な課題は別にあるとして、実際のところ、その国の政府や石油会社が外に伝える情報はコントロールされていますから正確な数字を把握することは難しいですね。一方で、石油がなくなるより先に地球温暖化の方が深刻になって石油を使えなくなるという見方もできます。

 日本人に「40年」という数字が刷り込まれているのは、教科書の影響が大きいと思います。日本にとって石油・ガス資源の安定確保は重要課題で、しかも海外に依存するという不安要素を抱えています。だからこそ「化石燃料は大切に使おう」という意識を植え付ける意図があったのかもしれません。

――仮に、中東の石油が底をつきそうになったとしたら・・・。

細井 そうなったとしても、対外的には絶対に言わないと思いますよ。大混乱に陥るのは目に見えているので「まだまだある」と言い続けるのではないでしょうか。

――現時点で、すでに枯渇のリスクが高い国はありますか。

細井 先ほどの話の通り、政府や石油会社は実情をなかなか明かさないので、枯渇リスクがあるかないかは判断できませんが、石油がもともと少ないのはオマーンです。サウジアラビアやクウェートに比べたら格段に少ないです。バーレーンは湾岸で最初に石油が出たところですが、現在ではもう枯渇状態でしょう。

――「いつかなくなるかもしれない」という危機感を逆手にとって、希少価値を高めた方が高値で売れるとは考えていないのでしょうか。

細井 あまりにも高値すぎても、今度は再生可能エネルギーの活用など、本当に石油を使わない方向になってしまいます。それでは産油国は困るわけです。高くつり上げた結果、代替資源の活用が進めば、自分の首を絞めることになるので「ほどほど」の価格で売ることが重要です。

──高すぎても売れない、安すぎても儲からない。そこをコントロールしたいと。

細井 そうですね。1980〜90年代頃、当時世界最大の産油国だったサウジアラビアは「スウィングプロデューサー」役を果たしていました。

 サウジアラビアが市場への供給量をコントロールすることで高価格が維持されていたのですが、そうすると、抜け駆けで安価な石油を供給する国が出てくる。結局、サウジアラビアの石油は売れなくなり、経済が混迷し、80年代半ばにはスウィングプロデューサーを放棄しています。

――では、現在の原油価格を左右するものは?

細井 最近は需要と供給だけでは原油価格が決まらなくなっています。その最大の要因は「投機」です。今の原油価格の動向において、投資の影響は非常に大きいのです。個人投資家もいますが、基本的には機関投資家が原油市場でファンドを運用して一儲けしようとしています。

――単に需要・供給のバランスだけでは、先が読めなくなっているということですね。

細井 中東に限らず、石油が採れるところは、政治的に不安定なところが多いですよね。そうした政治情勢の影響も受けるので、どう転がってもおかしくない。そういう意味で、実需とはちょっと懸け離れたところで動いてしまっているのが、今の石油市場です。

 1980年代の初めに石油の先物市場ができて以降、こうした状況は加速しています。産油国側の意思(供給量)だけでは価格がコントロールしにくくなっています。

アメリカから奪還したい「世界一」の座

――中東の産油国とアメリカの関係は、現在どうなのでしょうか。

細井 サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、クウェートをはじめGCC(Gulf Cooperation Council)機構の6カ国は、安全保障などアメリカの傘下に入っているので、政治的にはアメリカと良好な関係を築いています。ただし、最近サウジアラビアは、石油政策をめぐっては、アメリカにあまり同調しない傾向が見えます。

――その理由は?

細井 アメリカでシェールガス、シェールオイルの採掘が本格化したことです。

 シェールオイル、シェールガスは、地下深い頁岩(けつがん=シェール)層に封じ込まれていて、そこから掘削することが難しかったのですが、1990年代に低コストでの掘削が可能になり「シェール革命」が起こりました。高圧水流でシェール層を破砕するので、ヨーロッパでは環境破壊を懸念する声が強いのですが、北米では採掘がどんどん進められています。

 ついに2014年には、アメリカがサウジアラビアを上回って世界一の産油国になりました。アメリカは以前ほど原油価格の高騰を恐れないでしょうし、サウジアラビアは首位の座を奪われていい気はしません。

 加えて、それまでアメリカは自国で生産した石油を輸出しない方針を示していましたが、輸出を解禁する路線に転換しています。市場が競合してしまうので、サウジアラビアにとっては余計おもしろくないのです。

 ですから、サウジアラビアは以前よりも供給量を増やしています。それによって昨年、石油価格は大きく下落して、現在は1バレル40ドル前後まで落ちています。けれどもサウジアラビアは減産しようとはせずに、シェアを取り返そうと必死です。

 その背景に何があるかというと、アメリカに市場の主導権を握られたくないということでしょう。原油価格の相場が下がれば、当然、シェールの価格も落ちる。以前より低コストで採れるとはいえ、採算割れしてしまいます。

 ただ、サウジアラビアはアメリカのシェール企業を追いつめるまではしないでしょう。原油価格があまりにも下がり過ぎないよう調整はしていると思います。

――それは、やはりアメリカとの関係性を考えてのことでしょうか。

細井 そうですね。軍事的にもアメリカに依存していますし、王族はコレクションなのではないかと疑ってしまうほど、アメリカから最新鋭の武器を大量に買っています。

 逆に、アメリカもサウジアラビアの政治や人権問題には強く口出ししないのです。サウジアラビアでは選挙もなく、女性に関しては車の運転や旅行がかなり制約されています。

 また、サウジアラビア国民も「独裁だ」「人権抑圧だ」と政府を批判しません。批判が許されない環境ということもありますが、不満が表面化しないのは、潤沢なオイルマネーの恩恵に預かっているからです。

 サウジアラビアにとっても、石油を掘るには技術が必要です。その技術はアメリカをはじめ海外の技術者に頼らなければ難しい部分もあります。サウジアラビアとアメリカの絶妙な利害関係はこれからも続いていくでしょう。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45377


2. 2015年11月30日 07:35:38 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk

既に金、原油など商品市況では、売りが膨らんでおり、悪材料には反応しずらくなっている。
しかも地政学リスクは一時的な場合が多いから、売りのリスクがより大きいと参加者は見ているのだろう。


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