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中国経済崩壊で「韓国のデフレ不況突入は確実」と三橋貴明氏(NEWS ポストセブン)
http://www.asyura2.com/15/hasan103/msg/229.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 12 月 02 日 16:40:20: igsppGRN/E9PQ
 

                『中国崩壊後の世界』を上梓した三橋貴明氏


中国経済崩壊で「韓国のデフレ不況突入は確実」と三橋貴明氏
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20151202-00000021-pseven-cn
NEWS ポストセブン 12月2日(水)16時0分配信


 不動産バブルに加えて、株式バブルも崩壊した中国経済。GDP世界2位の大国が揺れている。習近平政権はなりふり構わぬ株価維持政策に出たが、それも再び暴落するのは時間の問題だ。その時には経済だけでなく社会も大混乱に陥るのは必至だろう。

 起死回生を狙ったアジアインフラ銀行(AIIB)も、実は中国が抱える悩みを解決するためだけに作られたもの。資金提供したヨーロッパ諸国は痛い思いをすることになる羽目となる。中国経済崩壊により、世界はどうなってしまうのか。日本はどうすればいいのか。このほど中国での現地取材と詳細なデータを読み解いた『中国崩壊後の世界』(小学館新書)を上梓した気鋭のエコノミスト・三橋貴明氏に話を聞いた。

 * * *
──世界中が注目する中国の現状はどうなのか。

三橋:2015年の9月に中国に向かい、大連、オルドス、北京と周り、様々な人々に取材した。特に驚いたのはやはりオルドス。高速道路や高層ビルなど見た目のインフラは異様なほど充実している。空気も中国とは思えないほどきれい。ところが、人間がいない。現地に住む中国人に聞いたところ、10万人程度が住めるマンション群に暮らしているのは100人程度とか。しかも、住んでいるというよりも、オルドス市が補助金を出して、薄給の清掃員やタクシー運転手などに「住んでもらっている」状態とのことだ。

 ゴーストタウンというと廃墟をイメージするが、オルドスはインフラが整っているだけに逆に不気味な感じを受けた。2010年までオルドスは中国で1人当たり国民総生産が中国全土で1位だったのに、主要産業だった石炭価格の暴落に加え、習近平の“大気汚染政策”が追い打ちをかけて、この有り様だ。5年後、この街はとんでもないことになっているだろう。さらに、詳しくは『中国崩壊後の世界』を読んでいただきたいが、オルドスには驚くべき地区が存在するのだ。これはまさに中国の歪みの象徴といえるだろう。

──それでも中国が発表する経済成長率は7%近くと高いままだ。

三橋:そもそも、中国が発表する数字そのものが嘘だらけ。何といっても、地方政府が発表するGDPを全部足すと、中国国家統計局による全国GDPを日本円にして54兆円も超えてしまう。地方政府はGDPを上げなければ共産党における出世の道が閉ざされるから、そんなことを平気でする。直近の鉄道貨物輸送量が10%以上落ち込んでいるのに、経済成長率はびくともせずに7%などあり得ない。はじめから、7%という数字ありきなのだ。

──中国の産業構造に問題がある。

三橋:中国は過剰投資しすぎた。鉄鋼を例にとれば、中国の粗鋼生産量は年間8億トンにも関わらず、生産能力は12億5000万トン。設備稼働率は65.8%。明らかに供給過剰だ。日本の鉄鋼の生産規模は1億1000万トン。中国は余剰供給能力だけで日本の生産規模の4倍にも達している。中国国内の鉄鋼需要は50〜60%が建設や不動産、インフラ部門が占めていた。不動産バブルが継続するという前提だ。しかし、不動産バブルは崩壊している。

 鉄鋼の供給過剰を国内で吸収することができない、ということを考えれば、AIIBの設立に躍起になるのも説明がつく。逆にいえば、AIIBを強引に設立し、世界中から資金調達した上で、アジア各地にインフラ投資を実施していく以外に、国内の鉄鋼等の供給過剰を昇華する道は残されていないというわけだ。供給過剰問題は鉄鋼だけでなく、自動車産業にも当てはまる。100社以上がある2015年の各自動車メーカーの稼働率は5割前後だ。すでに日米をはじめとした主要国の投資は大幅に激減している状態だ。

──中国が供給過剰状態となると、中国に資源を輸出していた資源国はたまったものではない。

三橋:現に、豪州やブラジルといった鉄鉱石を輸出してきた国々は深刻な状況に追い込まれている。ブラジルなど政治的要因も重なって、国債の格付けは下がる一方だ。石油輸出国であるロシアや中東諸国も大きな打撃を受けている。

──影響を受けるのは資源国だけではない。

三橋:最悪なのは韓国だ。韓国のインフレ率は約50年ぶりの低水準0.7%と1999年のアジア通貨危機の時よりも悪い。内需が低迷し、インフレ率が上がらない状況で、外需まで失速する。まさに内憂外患の状況だ。しかも、韓国の場合、「製品輸出国」といて中国に依存してきた。その中国にしても同じような仕組みで発展してきた。つまり、補完関係ではなくライバル関係なのだ。

 中国企業は急速に韓国企業にキャッチアップしてきている。すでにサムスンに代表されるスマホなど6分野ですでに中国企業に追い抜かれてしまっている。このままだと韓国は深刻なデフレ不況に突入するのは確実だ。通貨危機の再来の可能性もゼロではない。

──日本はどうなるのか。

三橋:もちろん、中国経済崩壊によって、まったくダメージがないわけではない。中国に多額の投資をしてきた企業は頭を抱えているし、爆買いも終われば旅行産業や小売業界も打撃は受けるだろう。しかし、日本の対中輸出対GDP比率は2.5%に過ぎない。仮に中国への輸出がゼロになったとしても、日本のGDPは2.5%マイナスになるに過ぎない。

 しかも、中国の日本からの輸入は「資本財」が中心だ。日本から資本財を輸入しない場合、中国は自らも生産が不可能になってしまう。そんなことは、中国共産党が崩壊するなど革命的かつ歴史的大事件が起きない限り、絶対にあり得ない。

 

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コメント
 
1. 2015年12月02日 17:24:27 : cazlGE07bw : CTQ3RAWwMNE
イソップ童話のうそつきの羊飼いが思い出される...

適当な数字を貼り付けて、受け売りで凌いで行くばかり。


2. 2015年12月02日 18:02:58 : qFBZAvwg0G : vk0tf5q5vAI

 だから 中国もQEをやるべきなのだ

 世界経済は 天井に頭をぶつけているので これ以上「設備投資」はなくなる

 GDPは 消費+設備投資だから 設備投資がなくなるのなら 消費を増やすしかない

 世界経済(資本主義)を回転するには「不必要な消費」でも オバケの消費でもよい

 消費を「あおる」しかないのだ 

 ===

 愛は それは ベーシック・インカムだと 30年間主張している

 お金を持っていない人にでも 消費を「お願い」するのだ お金を差し上げて

 使っていただく   それしか 21世紀の経済をまわす方法はない

 ===

 もう一つは「戦争」だ  今まで 作ったものを「全て壊す」ことだ

 壊せば もう一度 作り直す事もできる

 戦争がいやなら BIしか残されていない
 

 


3. 2015年12月02日 18:14:05 : HujAqhwh2E : fvVCOM9VYUE
この三橋という人、いつも同じことを言っている。韓国が破綻する破綻する。
もう百回以上になるんじゃないか。

4. 佐助 2015年12月02日 20:49:18 : YZ1JBFFO77mpI[2956] : cLoPFxP7a2 : QkvC_PQ6Z0A
貧乏人は自己責任,金持ち大企業優遇すると恐慌は先送りされているだけなので悲劇になる。

1929〜32年に姿を現した第一次世界金融大恐慌は世界通貨のポンドからドルへの移行が根因。 2007〜10年にスタートしている第二次世界大恐慌(信用・金融)は、ドル一極からユーロ・円三極への移行が根因です。これを認識し対策しなければならないが政府と日銀・官僚は黙認・無視・拒絶している。

人間はバブルから教訓を学び、二度と繰り返さないように、制御コントロールしようと努力する、だが、バブルは姿を変えるために、その破裂を予知できない。

そして貧乏人には我慢、金持ちには救済・借金棒引きでは、バブルの発生は避けらないし、回復する時間を長期化する。すなわちアベノミクスやねずみ講金融詐欺と弱者切り捨てによって格差を拡大させたので世界金融大恐慌は,1998年から2008年そした2017年に先送りされているだけです。そのために反動によって二幕・三幕は悲劇となります。


(注;金持ちの借金棒引きとは、破産は再生機構に移し借金を棒引きし、政府保証で担保なし融資、企業と金持ちの減税などである。貧乏人の我慢とは、自己破産のハードルを高くし、生活保護を減額し、消費税増税することである。)


5. 2015年12月03日 06:46:19 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk
韓国の若者が超格差社会に嘆き節、「お前は何色?」
スプーン階級論がいま大流行、司法試験改革にも飛び火
2015.12.3(木) アン・ヨンヒ
学生に人糞を食べさせ虐待、元大学教授に懲役12年 韓国
韓国の地裁前に立つ警察官〔AFPBB News〕
 西洋の熟語に「born with a silver spoon in one's mouth(銀のスプーンをくわえて生まれてきた)」というのがある。つまり、お金持ちの家に生まれるということで、根っから苦労を知らない人のことの例えだ。

 さて、最近韓国では上述の熟語から派生した「スプーン階級論」が登場した。

 親の資産で金、銀、銅スプーンと分け、それにも入らない最下層の場合は「泥(土)スプーン」と呼んでいる。

 韓国の20〜30代が考案した言葉なので、実際の韓国社会を若者の切り口で見た造語といえる。つまり、自分の努力より親の財力によって人生が決定づけられてしまうと思っている若者が多いというわけだ。

金のスプーンは親の資産2億円以上

 彼らの考える基準を見てみよう。

 金スプーンは、親の資産が20億ウォンまたは世帯年収が2億ウォン以上の場合、銀のスプーンは、資産10億ウォン以上または年収8000万ウォン〜1億ウォン。銅スプーンは、資産5億ウォン以上または年収5500万ウォン以上の場合だという。

 さて、最下層にあたる泥スプーンは、親の経済的な援助など望めず、かえって親を養わなければならない場合で、具体的には資産5000万ウォン未満または年収2000万ウォン未満の世帯の出身者である。

 この「スプーン階級論」が最近、政界や法曹界にまで拡散し、物議を醸している。「司法試験存廃」議論でも中心的な争点となっている。

 盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領は高卒だが司法試験に合格して弁護士となり、国会議員を経て大統領になった。

 このように、韓国ほどの学歴社会の中で司法試験は上流社会へ駆け上がるための手段の1つだった。それを最近司法試験を廃止し、ロースクール出身者で代替させようとする動きがある。

 11月18日、国会の法制司法委員会が司法試験の存廃に関して議論するために公聴会を開いたが、そこで司法試験維持に賛成している人たちは、現行のロースクール制度が金スプーン出身者に有利に作用していると批判した。

 司法試験は、学歴などは関係なく自分が頑張れば、裁判官や検事になれるので、階級制度を駆け上がれる梯子の役割を果たしていたが、司法試験が廃止されロースクール出身者だけが法曹界に入れるとなると、そうした梯子がなくなってしまうというのである。

 ロースクールは4年生大学を卒業する必要があるうえ、授業料も高く、奨学金も少ないため、お金のない人たちにとっては高嶺の花である。

子供には同じ苦労をさせたくない

 また、在学中にインターンをするにしても、知り合いのローファムに入るとなると、人脈も必要となる。さらに、卒業後就職するにも親の七光りがあるのとないのとでは大きく異なる。

 実際、筆者の周りでもソウル大学法学部を出て、司法試験に合格し、裁判官になった父親を持っている子供たちは、辛い司法試験よりロースクールに入学する場合がほとんどだ。

 苦労は父親の代で十分だと思っている節がある。

 それに裁判官でも部長クラスまで昇進した後、弁護士に転身すると「前官礼遇」という風習から弁護士事務所は1年で大金を得ることができるので、わざわざ子供に苦労をかけたくないという実体もある。

 昔の司法試験合格者に聞いた話だが、彼らには「お尻に大きなおできの痕」という共通点があるという。それほど、じっと座って六法全書を勉強しなければ合格しないという喩えになっているそうだ。

 そんな苦労を韓国の親としては子供にさせたくないのが実情だとすると、やはりロースクールは彼らの階級を維持するための手段とののしられても仕方がないように思える。

 だが、ここに反論もある。

 司法試験だって塾代がかかる世の中なので、それを考えるとかえってロースクールの方が泥スプーンに有利に作用するという。

 韓国法曹人協会の会長は「現在、ロースクールに在学している学生の世帯所得を見ると、年収2600万ウォン以下の世帯が全体の26%を占めている。特に、奨学金制度は世帯所得によって支給される割合が70%にもなる」と答えている。

 特に、司法試験の合格率は3%に過ぎないため、司法試験不合格が人生の落伍者を増産する危険性が高いとの意見もある。

そして大学に法学部がなくなった

 だが、元々ロースクールは社会での経験を踏まえて法を勉強する趣旨があったと思うのだが、韓国のロースクールには大学を卒業したらすぐに進学している学生たちがほとんどだ。

 以前は大学に法学部があったが、ロースクールが開設されてからほとんどの大学で法学部がなくなってしまったからである。

 今、巷ではロースクールの在学生たちが司法試験反対を唱える傍らで司法試験準備生たちが司法試験の存置を主張するという相反する主張がぶつかり合っている。

 だが、どちらにしても希望を捨てずに何かになろうとしている人たちはまだ救われる。筆者はスプーン階級論に閉ざされてしまい、何の希望も持てない若者たちが増産されるのが一番怖いことなのだと思う。

 韓国の食事には何もスプーンだけが使われるのではない。スプーンとお箸が適切に役割分担をしながら使われている。

 それと同じように、持って生まれたスプーンは変えられなくても、お箸で一生懸命自分の人生を開拓できる若者がたくさん出てくればいいのではないだろうか。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45410


6. 2015年12月03日 08:29:36 : xqEk6mxhpE : lQRfCI6C698
韓国がこうなる、ああなる、どうすりゃいい・・・
そんなの関心ねえよ!

7. 2015年12月03日 14:35:40 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE

中国の「グレートリバランス」滞る−今年の貿易黒字は過去最大に
2015/12/03 13:09 JST

    (ブルームバーグ):投資・製造業けん引型から消費・サービス業が主導する経済へのシフト、「グレートリバランス」は、中国にとって今年の大きなテーマの1つであり長年の懸案だが、問題が生じている。リバランスが滞り、貿易黒字が拡大しているのだ。
中国の経常黒字が世界経済に占める割合が拡大し、対外貿易の不均衡が悪化。資源会社に打撃を与えている商品相場下落などに伴う輸入額の減少で貿易黒字が増え、今年は過去最大を記録する勢いだ。観光ブームは別として、中国のサービス業が外国に提供する機会は少なく、世界2位の経済大国が続けている7%前後の経済成長が示唆するほど、中国は世界経済を刺激していない。
ブルームバーグ・インテリジェンスのエコノミスト、トム・オーリック氏は「2015年の中国は貿易相手国に対し2つの難題を突き付けた。1つは成長が鈍化し、それに伴い鉄鉱石から高級ハンドバックに至るあらゆる商品に対する中国の需要が鈍ったことだ。2つ目は、海外需要を取り込む貿易黒字が過去最高を更新したことだ」と述べた。
ブルームバーグのエコノミスト調査によれば、中国経常黒字の国内総生産(GDP)に対する比率は今年2.7%となり、昨年の2.1%から上昇する見込みだ。2016、17両年は2.5%になると予想されている。
貿易黒字と経常黒字の対GDP比率はいずれも2000−10年半ばから低下してきた。だが中国経済が今やずっと大きくなった一方で世界経済の低迷が進み、中国貿易黒字の対GDP比は金融危機前の水準に近づいている。
米アメリカン・エンタープライズ研究所で中国経済と米中の貿易関係を研究しているデレク・シザーズ研究員(経済政策)は、「製造業からサービス業への移行は恐らく貿易黒字を拡大させる。鉄鉱石など製造業セクター向けの輸入ニーズが低下するためだ」と指摘した。
原題:China’s Great Economic Shift Brings Little to Global Rebalancing(抜粋)
記事に関するブルームバーグ・ニュース・スタッフへの問い合わせ先:北京 Kevin Hamlin khamlin@bloomberg.net;ワシントン Kasia Klimasinskakklimasinska@bloomberg.net;北京 Xiaoqing Pixpi1@bloomberg.net;シンガポール Ailing Tan atan193@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Malcolm Scottmscott23@bloomberg.net
更新日時: 2015/12/03 13:09 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NYRG9E6K50XZ01.html 

 

中国金融市場:7日物レポ金利、9月以来の大幅低下
2015/12/03 13:22 JST

    (ブルームバーグ):中国の短期金融市場で3日、7日物レポ金利が9月以来の大幅低下となっている。本土での新規株式公開(IPO)再開に伴う資金需要拡大に、中国人民銀行(中央銀行)が公開市場操作(オペ)を通じた資金供給で対応している。
人民銀は同日の7日物リバースレポ入札で300億元(約5800億円)を供給。今週の純供給額は500億元となった。ブルームバームの調査によれば、今週の10件を含め28件のIPOに3兆4000億元の資金が向かう見込み。
銀行間資金の取引センターNIFCによると、7日物レポ金利は上海時間午前10時1分(日本時間同11時1分)現在、8ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の2.25%と、9月25日以来の大きな下げ。
原題:China Money Rate Drops Most Since September on PBOC Injections(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:香港 Fion Li fli59@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: James Regan jregan19@bloomberg.net
更新日時: 2015/12/03 13:22 JST

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NYRJ1A6K50XY01.html


8. 2015年12月04日 00:51:39 : jXbiWWJBCA : zikAgAsyVVk
「国際金融資本」が中国を見捨てる日は近い
中国は人民元SDR入りの日を無事に迎えられるのか
2015.12.4(金) 藤 和彦
中国、偽造困難な新百元札を発行
中国北部・河北省邯鄲の銀行で、新百元札を見せる銀行員(2015年11月12日撮影)。(c)AFP〔AFPBB News〕
 国際通貨基金(IMF)は11月30日の理事会で特別引き出し権(SDR)の算定基準となる通貨に中国・人民元を2016年10月から組み入れることを最終決定した。

 これにより人民元は米ドル・ユーロ・円・英ポンドと並ぶ5番目の基準通貨に確定し、ドルを基軸とする国際金融の枠組みの中で一段と存在感を増すことになる。人民元のSDRにおける構成比率は事前の予想に近い10.9%と決まり、米ドル(41.7%)とユーロ(30.9%)に続く第3位になる(円は8.3%で第4位)。

 人民元の基準通貨への採用は「通貨の取引の自由度の高さ」が長年障害となっていた。人民元は現在でも中国共産党の支配下にある中国人民銀行が基準相場を設定し、変動を基準値の上下2%以内に限って許容している。元の金融資本市場も制限だらけであり、資本取引での利用に厳しい規制が残っている。為替レートが自由に変動し、公正に開かれた金融市場を基盤とする先進国の通貨の水準にははるかに及ばない。

 日本は1964年にIMF8条国(為替規制を撤廃し貿易など経常取引に伴う通貨の交換性を保つ措置を講じることをコミットする)に移行し、1973年に変動相場制を採用、1998年に為替取引の完全自由化を実施した。

 これに対し中国は1996年にIMF8条国に移行したが、中国政府はその後、具体的な措置を講じなかった。「2020年までに元を交換が可能で自由に使える通貨にする」としているが、具体的な工程表を示していない。

 現在の中国は日本が円の国際化を進めた1980〜90年代の段階に相当するが、スイフト(国際銀行間通信協会)によれば、世界の貿易投資などの決済に使われる通貨別のシェアで人民元は今年8月に初めて円を上回るなどその存在感を急速に高めている。

人民元に目をつけ国際化を後押しする国際金融界

 国営新華社通信が12月1日「SDR入りは名ばかりではなく、国際金融市場や通貨システムの安定促進を必ず実行する」との論評を発表するなど、中国は「前のめりの高揚感」(12月1日付産経新聞)を隠そうとしない。それに対して、日本では「IMFを背後から突き動かしたのは国際金融界である」とするいささか陰謀めいたコメントが聞こえてくる。

 2008年9月のリーマン・ショック後、世界で急激にプレゼンスを高めた中国経済に国際金融資本が目をつけたのは確かである。

 最近では英国政府がIMFの最終決定を見越してシティへの元決済機能の誘致を実現しているが、米国でも経済界の首脳が国内での人民元取引・決済の容認に向けて作業部会を設置した(12月1日付ブルームバーグ)。日本のメガバンクも、積極的な姿勢は示していないものの、「いったん出遅れれば顧客を奪われてしまう。元決済ビジネスをやるリスクよりやらないリスクの方が大きい」として追随の構えを見せている。

 産業界でも動きがある。独自動車大手であるフォルクスワーゲンは中国との取引で獲得する大量の人民元をユーロに両替すると手数料がかかることから、日本の自動車部品メーカーに元決済を持ちかけているという(12月2日付産経新聞)。

 2015年9月時点で、中国の現預金総額は21兆ドル超(2015年9月末時点)と巨額である(日米合計の約20兆ドルを上回るとされている)。世界最大の通貨発行量を誇る人民元が国際金融資本と結託して国際通貨となれば、「人民元は世界を脅かす現代版悪貨」(田村秀男 産経新聞特別記者)となり、円はその波に呑み込まれてしまうかもしれない。

儲からなくなれば中国は見捨てられる

『china2049 秘密裏に遂行される「世界覇権100年戦略」』(日経BP社)は、国際金融資本が拠点を置く米国と中国の戦後の関係を読み解くために有用な本だ。著者のマイケル・ピルズベリー氏は米国のインテリジェンスサークルの中で長年「パンダハガー(親中派)」の役割を担ってきたが、最近になって中国の「100年マラソン戦略」(米国主導に従うふりをしながら2049年までに米国に代わる覇権国になるという秘密戦略)に気づいたという。

 ピルズベリー氏が述べる米中関係をかいつまんで説明すると、「1970年から米国はソ連に対抗するために中国を育てたが、ソ連崩壊により米国は中国と組む意味を失ったために米中関係は一時悪化した。しかし中国は当初反中色強かったクリントン大統領の取り巻きをロビー活動等により籠絡し、米中関係を再び好転させることに成功した」というものである。

 1990年代初頭までは安全保障上の要請からだったが、米国(国際金融資本)がクリントン政権以来、「世界一の人口を誇る巨大市場で儲ける」という経済上の理由で中国に急接近したのだとすれば、儲からなくなれば見捨てることになる。

 中国に進出した欧米の金融機関の撤退の動きが加速していることを以前紹介したが、米国では、中国株上場投資信託(ETF)に対する空売りが5カ月前の中国株バブル絶頂期以来のハイペースで積み上がっているという(12月1日付ブルームバーグ)。

 こうした取引が前回急増した6月には中国株が急上昇から急落に転じたため、空売り投資家の見立ての正しさが立証された形となったが、今回も「2匹目のドジョウ」がいるのだろうか。

 11月27日、中国株式市場は5.5%安となり、8月25日の下落率7.6%以来3カ月ぶりの大きな下げ幅を記録した。今回の株価の大幅下落に最も大きな影響を与えたのは、6月の中国株暴落後に政府の救済策の先兵として活躍した「国家隊」と呼ばれる政府系証券会社が、当局から規則違反の疑いで調査を受けていることである。

 中信証券や国信証券を始めとする21社で構成された「国家隊」のうち、既に6社はインサイダー取引や取引情報漏洩の疑いをかけられている。習近平指導部は6月の株価暴落と金融関係者によるインサイダー行為を「経済クーデーター」と断定し、大々的な調査を行うとされている(12月1日付大紀元)。

 証券会社は「恩を仇で返された」ようなものだが、当局の調査による経営の混乱が一段と深刻なものになれば、業界第1位の中信証券が当局主導で競合他社に買収される可能性が出てきている(12月1日付ブルームバーグ)。反腐敗運動を名目に中国特有の「人治主義」が金融業界全体を覆いつつある現状を鑑みると、「二匹目のドジョウ」どころか「巨大なクジラ」が今後出現するのではないかと思えてくる。

 中国政府が12月1日に公表した11月の景況指数によれば、3年3カ月ぶりの低水準に沈む製造業を尻目に金融業界をはじめとする非製造業部門は好調を維持しているが、「金の卵を産むガチョウ(金融業界)」が権力闘争のために犠牲になるのは時間の問題なのかもしれない。

深刻な在庫過剰問題、「爆買い」にも陰り

 過剰在庫問題もますます深刻になっている。

 中国メデイアによれば、在庫過剰が深刻化している上場企業の在庫額が合わせて7.5兆元(約144.6兆円)に達したようだ。その業種別内訳を見てみると、不動産分野が2兆8943億元で首位。以下、建築分野(1兆5398億元)、化学分野(3308億元)、機械分野(2918億元)、探鉱分野(2289億元)、鉄鋼分野(1940億元)、自動車分野(1876億元)と続いている。このうち不動産・建築分野を合わせた企業数(217社)は上場企業全体の8%に満たないが、在庫額は全体の6割近くを占めており、上海市場に上場しているゼネコン大手の中国建築1社だけでその在庫額は4096億元にも上っている。

 今年の在庫伸び率は20%の大台を超えるとされているため、習近平指導部も重い腰を上げざるを得ない状況に追い込まれている。11月10日に内部の会議で住宅在庫問題の解決を指示したとの憶測が流れ、新しい政策が近いうちに発表されるとの観測が浮上している(11月30日付大紀元)。

 遅きに失した感が強いが、仮にこの問題を短期的に解決しようとすれば、経済全体がハードランデイングになるだろう。

 中国人の「爆買い」も陰りが見え始めている。11月30日に発表された中国のサービス貿易統計によれば、10月の海外旅行支出は約190億ドルとなり、9月の250億ドルを大幅に下回った。米国の不動産に対する中国人の投資意欲の低下が鮮明になっている(12月2日付ロイター)。中国株の大幅下落などに伴う保有資産の目減りが関係しているとの指摘がもっぱらである。

 急速な高齢化の進展も中国の今後の経済成長の大きな足枷になるだろう。中国政府が12月1日に発表した統計によれば、2014年時点で中国の60歳以上の高齢者の総数は2億1200万人に達し、世界で高齢者人口が最も多い国家となっている(総人口に占める割合は15.5%)。

未曾有の資金流出が起きるリスクも

人民元の国際化により国内への海外資金の流入を拡大させたい中国だが、来年10月に向け一層の改革を行わない限り「捕らぬ狸の皮算用」に終わってしまう。

 一方で、「人民元のSDR採用による国家の威信を高める」という悲願を達成してしまった今、日増しに高まっているのは「株価急落の原因は悪辣な外国資本である」と指弾する保守派勢力の声である。また、当局の締め付けと外国企業との競争激化を恐れる金融業界からも、「資本勘定の完全自由化を急ぐことは金融リスク管理にとって好ましくなく非常に慎重に取り組むべきである」との論調が出てきている。

 こうした状況のなか、中国政府が今後も改革を続けていくことができるか予断を許さない状況になっていると言ってよい。

 人民元は昨年景気の失速懸念から対ドルで5年ぶりに下落に転じ、今年夏から数度にわたり切り下げ措置がなされたことがあいまって、「人民元が今後も下落を続ける」とのコンセンサスが出来上がってしまった。市場関係者のマインドを変えるためには相当の規模の景気刺激策が不可欠である。しかし、その見込みは薄いと言わざるを得ない。

 人民元の国際化を進めること自体は正しい政策だが、経済が急減速した状況下で人民元の自由な交換を認める踏み込んだ改革を実施すれば、未曾有の規模の資金流出が起きるリスクがある。最悪のタイミングで人民元改革を始めた中国政府にとって「進むも地獄、戻るも地獄」なのである。

 儲からなくなった中国に対して、国際金融資本が手のひらを返して見捨てる日が近づいているとするのは言い過ぎだろうか。2016年7月に任期(1期5年)切れを迎えるIMFのラガルト専務理事は、人民元のSDR採用により再任のチャンスを固めたようだが(12月1日付ブルームバーグ)、人民元が晴れてSDR入りするまでには一波乱も二波乱もあるのではないだろうか。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45435


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