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「円安株高はアベノミクスと無関係」(EJ第3956号) Electronic Journal
http://www.asyura2.com/15/hasan93/msg/160.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 1 月 20 日 08:41:05: igsppGRN/E9PQ
 

「円安株高はアベノミクスと無関係」(EJ第3956号)
http://electronic-journal.seesaa.net/article/412613386.html
2015年01月20日 Electronic Journal


 アベノミクスは「政治的レトリック」ではなかったかという人
がいます。そもそも経済政策というものはそういう曖昧なもので
あるといえなくもないのです。
 ある経済政策が正しかったかどうかを検証するには、政策が行
われた場合と行われなかった場合の差を比較しなければならない
のですが、シミュレーションならともかく、実際にそういう比較
はできないのです。
 そういう経済政策の曖昧さについて、服部茂幸教授は次のよう
に述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 例えば、日本の経済成長率がゼロだったとしても、異次元緩和
が行われなかった場合、成長率がマイナス3%になっていたとす
れば、異次元緩和は成長率を3%引き上げたことになる。逆に4
%という高い成長率であつても、異次元緩和が行われなくても4
%の成長率だったならば、政策効果はゼロである。しかし、異次
元緩和が行われなかったら、日本経済がどうなっていたかは正確
には誰にも分からない。そのため、政策評価は曖昧なものとなら
ざるを得ない。    ──服部茂幸著『アベノミクスの終焉』
                     岩波新書1495
―――――――――――――――――――――――――――――
 服部茂幸教授は、安倍政権と日銀は、アベノミクスで「ある物
語」を作ろうとしているといっています。それは、民主党政権の
3年間で低迷している日本経済を安倍政権が目の醒めるような大
胆な経済政策を実行して、かつての経済成長華やかなりし頃の日
本を取り戻すという「物語」です。
 まず、政権発足前の安倍晋三自民党総裁が「日本経済を再生す
るために無制限の金融緩和を行うべきである」と主張します。そ
うすると、直ちに円安と株価上昇がはじまったのです。これに呼
応して、安倍氏周辺の政治家や経済学者が「市場はアベノミクス
を支持している」と訴えたのです。
 しかし、安倍政権が発足し、黒田日銀総裁が異次元金融緩和を
実施したとたん株式市場の大暴落が起きたのです。安倍総裁が無
制限の金融緩和を訴えたとき市場がそれを支持したという論法に
したがえば、2013年5月の株価大暴落は「市場はアベノミク
スを拒否した」ことになります。
 しかし、安倍首相周辺の政治家や経済学者は「株は上がったり
下がったりするもの。株価には一喜一憂すべきではない」という
のです。その代わり「有効求人倍率は順調に上昇しているじゃな
いか」とデータを示して反論します。つまり、悪いデータは無視
し、良いデータを示して反論しているのです。
 それでは、アベノミクスが安倍政権発足後に起きている円安/
株高の原因でないとしたら、何によってその現象が起きたのでし
ようか。アベノミクス懐疑派の論説をまとめると、次のようにな
るのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
 1.12年秋以降の円安は、ユーロ危機により買われていた円
   が危機が去るにつれて売られたことと、海外投資家による
   円安投機によるものである。
 2.異次元緩和が始まる前の経済成長は、主として政府支出の
   増加(第2の矢)による効果が中心で、一部に消費税増税
   による駆け込み需要がある。
 3.異次元金融緩和が始まると、円安が止まり円高に振れ、株
   価が下がり、経済成長率は低迷する。消費者物価の上昇も
   輸入インフレが原因である。
―――――――――――――――――――――――――――――
 これから1つずつ実証していくことにしますが、まず、「1」
について考えます。
 添付ファイルをご覧ください。このグラフは、イタリア10年
国債利回りと円/ドルレート関係を示したものです。これらの2
つは強く相関しています。
 このグラフの作成者である野口悠紀雄氏は、グラフについて次
のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 イタリア10年国債の利回りは、11年11月から12年1月
までは、7%を超える水準だった。しかし、12年1月初めから
急低下し、3月には一時5%を割り込んだ。これと並行して円安
が進展した。この時の円安は一時的なものにすぎなかったのだが
イタリア国債の利回りはその後再び上昇し、7月には6・3%に
なった。これに対応して円高が進展した。しかし、イタリア国債
の利回りはこの後はほぼ下落を続け、13年1月には4・1%に
なった。この過程と急激な円安の進行がほぼ一致している。
          ──野口悠紀元雄著/日本経済新聞出版社
       『金融政策の死/金利で見る世界と日本の経済』
―――――――――――――――――――――――――――――
 このグラフが示している重要なポイントは、円安が進行した時
期と、イタリア国債の利回りが低下した時期が一致していること
です。つまり、ユーロ危機が深刻になると、安全資産である円が
買われ、円高になりますが、危機が去るにつれて資金は引き上げ
られ、円安になるのです。
 2012年は秋から円安になっていますが、イタリア国債の利
回りの低下は10月中旬から生じています。つまり、その頃から
ユーロ危機は遠ざかり、安全資産の円にシフトしていた資金は引
き上げられ、円安になり、それは加速しつつあったのです。これ
は、安倍晋三氏が自民党総裁になり、「無期限金融緩和」を宣言
する前からの傾向であり、安倍晋三氏によるアベノミクス宣言と
は何ら関係はない──これが野口悠紀雄氏の考えです。
 これを機に、「ユーロ崩壊」に賭けていたニューヨークのヘッ
ジファンドを中心とする海外投資家の資金が、日本に流れ込み、
円安投機を仕掛け、日本は円安/株高が進むことになるのです。
これが「1」です。   ─── [検証!アベノミクス/38]


≪画像および関連情報≫
 ●欧州債務危機と円高/羽田 亨教授
  ―――――――――――――――――――――――――――
  2011年11月21日のニューヨーク外国為替市場で円相
  場が一時1ドル=75円78銭をつけ2ヶ月ぶりに戦後最高
  値を更新したのに続き、その翌週には連日最高値を更新して
  31日のオセアニア市場で一時1ドル=75円32銭まで上
  昇しました。対ユーロでも円高が続いています。31日の政
  府・日銀の市場介入により東京市場で円は一時、79円台半
  ばまで急落したが、円高圧力は依然として強く日本の景気や
  企業業績への悪影響が心配されています。円高の要因のひと
  つに欧州の債務危機があり、安全な資産とされる円に資金が
  流れ込んでいることがその背景にあります。欧州債務危機は
  2009年に発生したギリシャ財政危機に端を発しているの
  です。2009年10月にギリシャでは政権交代があり、新
  政権が2009年の財政赤字は対GDP比で12・7%に達
  すると発表したことで、前政権が財政赤字をかなり低く見積
  もっていたことが明らかになりました。市場では、ギリシャ
  の財政破綻懸念とこの粉飾疑惑から、ギリシャ国債の大量の
  売りが発生して国債価格が暴落しました。
                   http://bit.ly/1yycDmP
  ―――――――――――――――――――――――――――
 ●グラフ出典/──野口悠紀元雄著の前掲書より




 

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コメント
 
01. 2015年1月20日 08:52:40 : jXbiWWJBCA

海外要因を無視してアベノミクスだけで為替が決まるとするのも非現実的だが、その逆もまた同じ。

02. 2015年1月20日 10:16:26 : nJF6kGWndY

相変らず、この人は、期待(投機)というものが理解できないらしいが

既にECBの緩和も、かなり織り込まれ、失望リスクを推定する段階に来ているのは

日銀の場合と同じ

そして白川は大体、失望が勝り、黒田は市場の期待を上回ったが

それが国民生活や実体経済、財政にとって長期的にプラスかどうかは、また別の話だ


http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NIET0H6JTSEM01.html
ユーロに反発リスク、黒田日銀並みのQEサプライズは期待薄との声

  (ブルームバーグ):スイス中銀による突然の政策変更を受け、欧州中央銀行(ECB)による本格的な量的緩和(QE)導入がほぼ確実視されている中、市場ではユーロは売られ過ぎで、短期的に反発する可能性があるとの見方が出ている。
ユーロは先週、対ドルで2.3%下落と2012年7月以来の大幅安を記録。スイス国立銀行(中央銀行)が15日に通貨フランの対ユーロ相場の上限撤廃を発表したことをきっかけにユーロ売りが加速し、週末には約11年ぶり安値となる1ユーロ=1.1460ドルを付けた。
野村証券の池田雄之輔チーフ為替ストラテジストは、投機筋のユーロ売りポジションが過去最大規模に膨らんでおり、米金利が低下している中でもユーロ安が進むなど、ユーロは短期的に「売られ過ぎ」の感があると指摘。ECBが今週の会合で市場の期待を上回る緩和策を打ち出すのは難しく、「具体策があまりないと、ユーロはスイス中銀の政策変更前の1.17ドル台まで反発してもおかしくない」と語った。
原油価格の急落によりデフレ圧力が強まる中、ECBは22日の定例政策委員会でQEについて協議する。ECBが国債購入に踏み切れば、対ユーロでのフラン高圧力が強まるのは必至とみられていただけに、市場ではスイス中銀がECBのQE導入を見越してフランの上限撤廃に踏み切ったとの見方が広がっている。
ブルームバーグ・ニュースが実施した調査では、エコノミストの93%がドラギ総裁が今週、QEを発表すると予想。QE全体の規模の予想中央値は5500億ユーロと政策委メンバーに今月提示されたモデルが想定していた5000億ユーロを上回った。
池田氏は、「最終的には多数決で決めるので、ドイツが反対だろうと結果的にQEをやることになるだろうが、完全にドイツの主張を無視して突き進むというのは難しい」と指摘。「ある程度ドイツの顔を立てるというやり方になると、良い意味でも悪い意味でも節度のあるものになってしまう。そこは他のメンバーにほとんど遠慮なくできる黒田日銀総裁とは全然違う」と話した。
売られ過ぎのサイン
米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉報告によると、ヘッジファンドなど大口投機家のユーロの売り越し幅 は4週連続で拡大し、13日時点で16万7851枚と欧州債務危機さなかの12年6月に記録した過去最高水準(21万4418枚)に迫っている。
通貨オプション市場でもユーロの下落リスクへの警戒感が高まっており、ユーロ・ドルのリスク・リバーサル(RR)は先週末にかけて急低下。1カ月物は16日に一時マイナス2.39%と12年5月以来の低水準を付けた。RRはオプションの需要の傾きを示し、マイナス幅が大きいほど、ユーロを売る権利のプットオプションの需要が相対的に強いことを示唆する。
一方、原油安によるディスインフレ懸念や安全資産への逃避需要の高まりを背景に、米金利は昨年12月下旬以降、低下傾向が鮮明だ。先月23日に約4年ぶり高水準の0.74%を付けた2年債利回り は先週、0.4%台まで低下。同期間のドイツ国債に対する上乗せ幅 は56ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と6週間ぶりの水準まで縮小した。
テクニカル指標もユーロの反発リスクが高まっていることを示唆している。ブルームバーグ・データによると、相場の勢いを示すRSI(相対力指数、14日間ベース)は2日以降、一般的に「売られ過ぎ」の目安となる30を下回っており、足元では18台まで低下している。
ユーロは反発待ち
ドイツ連銀のバイトマン総裁は先週、独ビーベラハでの講演で、コメント禁止期間のためECBの金融政策に言及しないものの、量的緩和に関する「私の立場は承知のはずだ」と発言した。バイトマン総裁はこれまで国債購入が財政政策と金融政策の境界線を不明瞭にするとして、反対姿勢を示してきた。
日本銀行の黒田東彦総裁は13年4月4日に大量の国債買い入れを柱とする「量的・質的金融緩和」を導入。予想を上回る大規模緩和を受け、円は1週間余りでドルに対して7%超下落した。また、昨年10月末には市場の意表を突く追加緩和を受け、1日で3%近く円安が進んだ。
19日午前5時25分現在のユーロ・ドル相場は1.1568ドル前後で推移。池田氏は、仮にドラギ総裁がデフレ危機が高まれば行動する用意があるといった姿勢を繰り返すにとどまれば、1.2ドル程度までユーロが買い戻される可能性もあると予想。その上で、米国が利上げに至る年央には1.10−1.12ドル程度までユーロ安が進むとみており、目先、対ドルでユーロが反発すれば「売り場になる」と語った。
一方、みずほ銀行国際為替部の唐鎌大輔チーフマーケット・エコノミストは、金融政策の正常化に向かう米国と量的緩和に向かうECBとの政策の違いが鮮明となる中で、目先はユーロ安・ドル高の反転は難しいとみている。
唐鎌氏は、市場はユーロ圏が抱える巨額の経常黒字やデフレという「通貨高要因から目をそらしている」とし、「金融政策格差が明らかに開いているときは、いかにファンダメンタルズが強くても通貨は安くなるもので、これは将来の反騰の材料がたまっていると解釈するのが普通」と語った。
記事に関する記者への問い合わせ先:東京 小宮弘子 hkomiya1@bloomberg.net;東京 Chikako Mogi cmogi@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Garfield Reynolds greynolds1@bloomberg.net 青木 勝, 山中英典
更新日時: 2015/01/19 17:33 JST


03. 2015年1月20日 22:39:50 : jXbiWWJBCA

小笠原誠治の経済ニュースに異議あり! トップ |

欧州が通貨安競争を止めたというのは嘘だった!
2015/01/20 (火) 11:54
 突然ですが、ユーロってなんだと思いますか? 申し訳ありません。闇雲に突拍子もない質問をして。

 恐らく博識の皆様は、次のように答えると思います。

 「欧州諸国はかつて戦争を繰り返し、そのために大変な犠牲を強いられた。その苦い経験を踏まえ、二度と欧州地域が戦火に見舞われないようにするために欧州を統合する動きが始まり、そして、その一環として各国の通貨も単一通貨、つまりユーロに統一された」

 そうなのですよね。戦争を二度と繰り返さない、そして、経済戦争とも言える通貨安競争もやらないと誓ったからこそのユーロの誕生なのです。

 だって、そうでしょう?

 ドイツだってフランスだって、或いはイタリアだって、皆ユーロを使っているので、自国通貨の価値を切り下げて自国の輸出にとって有利に働かせようなんてことはできないのです。

 ということは、ユーロ圏の国々は平和愛好者と考えていいのでしょうか?

 でも、私は、それは少し短絡過ぎると思うのです。彼らが戦争はもうやらないというのは、例えばフランスとドイツの間での話であって、他の地域との関係で違うと思うのです。現に、イスラム社会との関係をみても...

 そうでしょう?

 通貨安競争をしないという点についても同じなのです。確かにユーロ圏の域内では通貨安競争は起こり得ません。単一通貨を使っている訳ですから。しかし、それ以外の地域、例えばドルとの関係、円との関係、ポンドとの関係では話が違います。

 私、昨日、欧州中央銀行が量的緩和策に踏み切る理由を説明しました。インフレ率がマイナスに落ち込み、デフレに陥ることが懸念されるのが理由であろう、と。

 もちろん、それが最大のそして表向きの理由でしょう。しかし、本音は別にあると考えた方がよさそうなのです。

 彼らの本音はどこにあるのか?

 それは、ユーロの価値を一段と下げることなのです。

 ユーロの価値を一段と下げ、ユーロ圏諸国の輸出力を強化することができれば、経済面で何かと好都合であるからです。もちろん、マイルドなインフレを起こすことにも一役買うでしょう。

 ところで、デンマークの中央銀行が昨日、同行が預かる預金金利を0.15ポイント引き下げ、マイナス0.2%にしたことをご存知でしょうか? デンマーク中銀が預かる預金は、日銀の当座預金と同じようなものだと考えていいでしょう。つまり、市中銀行が中央銀行に預ける預金に日本では0.1%の金利が付与されるのに、デンマークでは逆に0.2%の金利を徴収すると言うのです。

 そんな話、最近他の国でもありましたよね。そうです、スイスがスイスフランの上限撤廃と同時に、中央銀行の預金金利のマイナス幅を拡大したのでした。

 では、スイスにしてもデンマークにしても、何故そのようなことをするのでしょうか?

 如何でしょうか?

 分かりませんか? では、ヒントを。

 スイスとデンマークは、ユーロ圏に加盟しているでしょうか?

 そうです、加盟していません。ともに独自の通貨を維持している、と。スイスフランとクローネです。つまり、彼れらは自国通貨の価値が高くなり過ぎないように、具体的に言えば、ユーロに対し高くなり過ぎないように中銀預金金利のマイナス幅を拡大させているのです。そして、そうやって自国の輸出産業を保護しているのです。

 でも、何故今頃、スイスとデンマークはそのような措置に踏み切ったのか?

 それは、欧州中央銀行が量的緩和策に踏み切ることが目前に迫ってきているからです。つまり、先手を打ったということなのです。

 欧州は、今もこのように互いに自分たちの通貨の価値を安くする(或いは高くなることを回避する)ための政策を取っているのです。

 こうして見てくると、欧州に対する評価が少し変わったものとなるでしょう?

 でも、それだと欧州に少し不公平になるかもしれないので、彼らの立場に立って考えてみましょう。

 何故ユーロ圏は量的緩和策に今、踏み切ろうとしているのでしょうか?

 それは、日本が2年ほど前に異次元の緩和策に乗り出したからです。つまり、それまでにも増して長期国債をガンガン市場から買い上げて円安を実現させたからだ、と。

 当初、ユーロ圏諸国は、日本は円安に誘導するためにそのようなことをしていると言って、批判していました。しかし、それを米国がたしなめた、と。日本がやっているのは、為替市場への介入ではなく、単なる金融政策であるから批判することはできない、と。

 そこで、ユーロ圏も考えたのでしょう。金融政策の一環としてなら、本音としてはユーロ安を促進する政策を取っても批判されることはないのだな、と。

 従って、ユーロ圏が量的緩和策に踏み切ったからといって、そして、それが本音としてはユーロ安を実現させるものだからといって、誰もそのことを批判する訳にはいかないのです。

 でも、そうやってユーロ圏自身が通貨安政策に乗り出すのであれば、自分たちが求めていた崇高な理念はどこに行ったのかとなってしまうのです。

http://www.gci-klug.jp/ogasawara/2015/01/20/023118.php


04. 2015年1月21日 15:47:31 : xEBOc6ttRg

日銀が政策維持、15年度物価見通しは引き下げ:識者はこうみる
2015年 01月 21日 13:44 JST
[東京 21日 ロイター] - 日銀は21日の金融政策決定会合で、2015年度の消費者物価指数(除く生鮮、コアCPI)の前年比見通しを1.0%とし、従来の1.7%から大幅に引き下げた。しかし、金融政策はマネタリーベース(資金供給量)を年間80兆円増やすとする従来政策の維持を決めた。

市場関係者のコメントは以下の通り。

<三菱UFJモルガン・スタンレー証券・シニアマーケットエコノミスト 六車治美氏>

日銀は貸出支援制度の期間を1年間延長して金額の上限を引き上げたが、これまでのような思い切った決定はされなかった。超過準備の付利引き下げといった追加策も意識していた市場にとっては、予想の下限。金先や為替の動きをみると、やや失望感を誘う内容だ。

展望リポートの中間評価では、2015年度のコアCPI見通しが中央値でプラス1.0%と従来から引き下げられた。一方、15年度の実質GDP見通しが中央値でプラス2.1%と、従来から大幅な上方修正となっている。早ければ4月の会合で、追加緩和に踏み切らざるを得ないという思惑が市場に残るかもしれない。

<SMBCフレンド証券 シニアストラテジスト 松野利彦氏>

日銀が付利を引き下げるか下げないかといった期待がはげ落ちた。材料出尽くし感に加え、円高も進み売りが広がっている。コアCPIは14年度の見通しでプラス0.9%、15年度の見通しでプラス1.0%となったが、足元の原油安もあり、日銀の目標達成が難しくなった印象がある。CPIの部分についてはこれからマーケットに消化されていくとみているが、原油相場次第で、追加緩和期待が出る可能性がある。そうなれば日本株にはポジティブに作用するだろう。目先のところでは1万7000円どころが下値のメドとなるとみている。

<FXプライムbyGMO 常務取締役 上田眞理人氏>

日銀決定会合の結果は、予想の範囲内で、緩和的なものだった。

ドルが118円を割り込んだのは意外感があるが、一部海外筋の間では過剰な緩和期待があり、その反動として、円の買い戻しが出ているのだろう。

今後については、明日の欧州中央銀行(ECB)の結果を確認するまでは、全般に動きづらい。ドル/円では118.80円以上がかなり重く、116円後半は底堅い。当面は116―119円のレンジ内での値動きとなりそうだ。

<第一生命経済研究所 首席エコノミスト 熊野英生氏>

15年度物価見通しを1%ぎりぎりまで下げてきたことから、2%達成断念、ないしきわめて困難と認めたものだ。この理由を原油価格のせいにしており、16年度は1バレル=70ドルまで回復するので物価も上がるとの数字を示している。

しかし、これまでは現実の物価が期待インフレ率を主導するとしてきたのだから、原油が下がって期待も低下するはずなのに、追加緩和をしなかった。ここは論理が矛盾しているおり、前回10月緩和とも整合性が取れない。うがった見方をすれば、サプライズを狙っているのではないかとも見える。

黒田総裁は、長期金利が既往最低まで低下している中で、追加緩和の必要性はないとでも説明するかもしれないし、貸出支援制度拡充で「緩和は強化している」との印象を出したいのかもしれない。あるいは、今回は中銀としてのロジックを外して総合判断で政策を決めたと説明するかもしれない。いずれにしても、説得力はあまりない。

これまでの黒田総裁の「狭い世界」では説明がつかなくなっており、教条的に物価だけにとらわれない政策にはみ出したのなら、かえってよかったかもしれない。

<ニッセイ基礎研 チーフエコノミスト 矢嶋康次氏>

原油価格が下落して2%の物価上昇を2年で達成するこが無理になっているにもかかわらず、追加緩和をしなかったのは、政策をわかりにくくしている。黒田総裁が「わかりやすさ」を掲げてきただけに、最大の問題だ。 マーケットでは16年度でも2%の達成は難しいとみており、2年での達成の旗を降ろした方がいいだろう。自ら掲げた目標に縛られて、矛盾を抱え込んでいる。貸出支援制度の拡充にしても、効果がないとわかっていながら、他の資産の買入が副作用や市場規模の点で手がないために、追い詰められての選択に見える。

日銀が政策維持、15年度物価見通しは1.0%に大幅下方修正
2015年 01月 21日 14:26 JST
[東京 21日 ロイター] - 日銀は21日の金融政策決定会合で金融政策の維持を賛成多数で決定した。2015年度の物価見通しを1.0%に大きく引き下げる一方、16年度を2.2%に小幅上方修正し、2015年度を中心とする期間の物価2%到達というシナリオを維持した格好だ。

一方、今年3月に期限が到来する貸出増加と成長基盤強化を支援するための2つの融資制度をそれぞれ1年間延長するとともに、制度の拡充を全員一致で決めた。

<15・16年度の成長率を上方修正>

会合では昨年10月末に公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」の定例見直しを行った。日銀が物価2%の到達時期のメドとみている15年度の消費者物価(生鮮食品除く、コアCPI)の前年比上昇率について、昨秋以降の原油価格急落を反映し、これまでのプラス1.7%からプラス1.0%に下方修正。一方、同年度の実質国内総生産(GDP)見通しをこれまでのプラス1.5%からプラス2.1%に引き上げた。原油安や円安の進行による景気刺激効果や政府の経済対策、10月に予定されていた消費税再増税の延期などを織り込んだためとみられる。

14年度については、成長率をプラス0.5%からマイナス0.5%に大幅下方修正。消費増税の影響を除いたコアCPIをプラス1.2%からプラス0.9%に引き下げた。17年4月からの消費税再増税の駆け込み需要が発生する16年度の成長率はプラス

1.2%からプラス1.6%に上方修正。同年度のコアCPIはプラス2.1%からプラス2.2%に小幅上方修正した。

今回の見直しにあたり、変動の激しい原油価格(ドバイ)について「政策委員は1バレル55ドルを出発点に、見通し期間の終盤にかけて70ドル程度に緩やかに上昇していく」と想定した、という。

<景気判断維持、物価「当面プラス幅縮小」>

日銀では、15年度の物価見通しを引き下げたものの、原油価格下落による物価下押し要因がはく落する年度後半以降、円安進行や景気回復に伴う需給ギャップ改善などと相まって物価は急ピッチで上昇すると見込んでいる。賃上げ機運の盛り上がりなどでインフレ期待も維持されているとみており、 物価は「15年度を中心とする期間に2%程度に達する可能性が高い」とのシナリオを維持した格好で、金融政策運営の現状維持を賛成多数で決定した。木内登英審議委員は、前回に続いて昨年10月末の追加緩和前の金融政策に戻すべきと主張して反対した。

景気判断は「基調的に緩やかな回復を続けており、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動などの影響も全体として和らいでいる」との認識を維持。生産の判断を「下げ止まっている」に引き上げた。一方、原油安を受けて伸びの鈍化が著しい消費者物価の前年比上昇率は「0%台後半となっている」とし、「エネルギー価格の下落を反映して、当面プラス幅を縮小するとみられる」に判断を引き下げた。

<融資制度、非取引先金融機関の活用も可能に>

会合では貸出増加と成長基盤強化を支援するための2つの貸出支援制度の1年間の受付期間延長と拡充も決めた。両制度は、一定の条件を満たした金融機関に対し、年0.1%の低利で4年間の長期資金を供給する仕組み。

貸出増加支援は、貸出残高を増やした金融機関に対して資金を供給。成長基盤強化は、研究開発や環境・エネルギーなどを手がける企業に融資をした金融機関に貸し付ける。

今回の措置では、両制度とも日銀の非取引先金融機関でも制度が活用できるよう、それぞれの系統中央機関を通じて利用可能な枠組みを導入。成長基盤強化支援について、対象金融機関ごとの上限をこれまでの1兆円から2兆円へ、総枠を7兆円から10兆円にそれぞれ引き上げる。

また、被災地金融機関を支援するための資金供給オペの1年延長も決めた。

*一部表記を修正しました。

(伊藤純夫 竹本能文)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0KU09P20150121

 

JBpress>ニュース・経営>エコノミストの眼 [エコノミストの眼]
ブラックスワンはいない、
世界的リフレ策強化で株高へ
オイル、ロシア、ギリシャ、スイスがノイズである可能性
2015年01月21日(Wed) 武者 陵司
リスク回避に傾いた年初の市場、危機モードの高まりの背景

 年明けのマーケットは昨年同様波乱含みである。日経平均株価は12月高値からいきなり7%の急落となり、人々を不安にしている。原油価格暴落ロシア通貨急落、ギリシャ総選挙、スイス中銀の突然の政策変更(為替上限の撤廃)と、相次ぎ非連続の動きが勃発し、不確実性の高まりからリスク回避モードが強まったのである。

 しかし後述するように、これらの突然のイベントは、みな経済的合理性に基づく展開であり、破局をもたらすブラックスワン現象とは考え難い。

 不安の根本原因はデフレの亡霊が再三、市場に徘徊していることである。昨年高値では1バレルあたり115ドルあったWTIが、1月前半には45ドルと半分以下に下落した。同時に主要国の長期金利が引き続き急激に低下し、日独は史上最低となっている(日本:0.1%台、ドイツ:0.4%台、米国:1.7%台)。これらが放置されれば、デフレの危機が現実のものとなるかもしれない。しかし原油安も金利低下も将来のビジネスコストや生活コストを引き下げることにより、成長を促進するポジティブな要因でもある。市場の動揺は適切な政策対応を求めていると考えられる。

 再度年頭にお決まりの悲観仮説が登場した。その代表者ボンド・キングと称されるカリスマのビル・グロス氏は、変わらぬ信用循環論を根拠に、中央銀行の無理を重ねた信用拡大、QEもその賞味期限が切れ、値上がりを続けた資産価格はそろそろピーク、と主張している。しかし信用循環が転換する理由は乏しい。景気後退のリスクを冒して金融引き締めを迫られている国などない。原油価格下落、ギリシャのイベント、スイス中銀の政策変更のすべては、需要創造政策の促進に結び付き、さらなる成長とデフレ回避に帰結し、株高要因となるだろう。


問題は過剰貯蓄と需要不足、リフレ策の強化で解決へ

 ギリシャに焦点が当たったことで、再度2010年のギリシャショックの記憶がよみがえり、危機再発と身構える人々が出てきた。しかし現在とギリシャ危機の2010年とは根本的に情 勢は異なっている。当時の問題はギリシャをはじめとした南欧諸国の過剰消費と過剰債務、 にあった。しかし今のギリシャ・南欧諸国は消費抑制により過剰債務は一掃されている。図表2に見るように10%前後にあった南欧諸国の対外経常赤字(対GDP比)は、ほぼゼロないしはプラスに浮上している。また財政収支もプライマリー財政バランスで見れば、ギリシャを含めて南欧諸国は全て黒字になっている。それは金利上昇と財政赤字削減により、国民の生活水準が劇的に引き下げられたからである。ただ景気後退の結果、南欧諸国の失業が上昇してしまっている。

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 現在のユーロ圏全体の問題は過剰貯蓄と需要不足にある。図表6に見るように、2010年以前の南欧諸国は大幅な赤字を計上していたものの、ドイツが大幅な黒字を出していたためユーロ圏全体では経常収支は均衡していた。しかし南欧諸国の経常赤字が一掃されたのにドイツの経常黒字は減少するどころかさらに高まり、ユーロ圏全体では大幅な貯蓄余剰に陥っている。この余剰貯蓄が著しい金利の低下を引き起しているのである。


 2010年の正しい対応は南欧諸国の消費抑制と債務返済であり、その後に起こったことは景気後退であった。それに対して現在の問題は正反対の過剰貯蓄と需要不足なのであるから、正しい対応は需要創造による過剰貯蓄の解消、つまり成長を促進するリフレ政策の導入ということになる。

 問題は大幅な経常収支の黒字による巨額の貯蓄余剰を積み上げているドイツが、財政緊縮と金融緩和に対する後ろ向きの姿勢によって、リフレ政策に背を向けていることである。その結果ユーロ圏全体が、日本が陥ったようなデフレに陥るリスクを高めている。つまり現在の金融市場の不安の最大の根源は、需要不足という現実に向き合っていない欧州の対応にあり、欧州情勢がドイツの姿勢の軟化によって改善することがポイントなのである。

 したがって、ギリシャの総選挙や財政面でのグリップの緩和、ECBのさらなる量的金融緩和などの方向が見えてきた段階で、市場の不安は大きく沈静化されていく可能性が強いと考えることができる。

スイスにも求められるグローバルリフレ政策

 スイスフラン問題も問題の本質は同じである。スイスは強力な産業競争力により巨額の経常黒字を積み上げてきた(図表7)。かつて大幅な円高を余儀なくされた日本の経常黒字がピーク時でも対GDP比4%であったのに比べて、スイスは14%もの巨額の黒字が続いたのであるから、大幅な通貨高と過剰貯蓄による金利低下を招くのは当然であった。為替介入による通貨高の抑制は、市場の合理性に反することであり、為替上限を維持できなくなったのは自然の道理であった。スイスの過剰貯蓄は維持不能のレベルまで高まっていたということであり、スイス中銀の新たな対応、フラン高の容認とマイナス金利の強化は、いずれも過剰貯蓄を減らすことになり、それは世界的にリフレ効果をもたらす。ボールは過剰貯蓄国の手にあり、スイス、ドイツ、中国などの大幅黒字国はリフレを推進する義務を負っているのである。


必至のリフレ策強化

 デフレの懸念は確かにあるが、デフレに陥るか否かは政策次第である。新産業革命により生産性が急速に上昇して、労働力と資本の余剰が著しく高まっている。労働力と資本の余剰を一手に吸収し続けてきた中国の成長に急速にブレーキがかかり、輸入減少により再度中国の貿易黒字が急拡大している。この間の原油価格の下落も、ここ1年間中国の原油の輸入の伸びが止まったことが最大の需要要因である。

 したがって、世界の主要国経済政策が、このような需要不足に向き合う対応になっていれば、今マーケットはそれほど不安におびえる必要はない。その中心である米国は量的金融緩和を継続し、年内に利上げをするにしても、それを十分に忍耐強く遂行することができるということで、市場の需要創造に対する期待に水を差すような動きをしないだろう。日本も第3次安倍内閣発足により、この懸念は解消されている。ECBによる量的金融緩和をきっかけにユーロ圏がリフレ政策に踏み出せば、事態は大きく改善されるだろう。

市場の関心は景気実態回帰へ、原油価格下落のプラス要因を評価へ

 このようなマーケットの動きを別にして中期的に考えれば原油価格の下落は、先進国経済にとっては極めてポジティブである。NY連銀は40ドルの原油価格の下落が、1.3兆ドルの購買力を産油国から消費国(先進国)に移転する、と言っている。仮にこの1.3兆ドルの原油価格下落の効果を計算すると、先進国のGDPを年間で0.4%も押し上げる効果を持っていると考えられる。日本は、その中でも大きな受益国になると考えられる。

過剰反応で売られた日本株、買い戻し圧力甚大

 日本政府は年頭にあたり2014年度の経済見通しを▲0.5%、2015年度を1.5%と修正した。2014年度のマイナス成長は消費税増税により8兆円(対GDP比1.6%)の購買力が消費者から奪われたためである。

 しかし2015年度は消費税増税のマイナスがなくなるうえ、原油価格下落が家計の購買力を大幅に高める。年間26兆円の化石燃料輸入が4割価格低下すれば、10兆円、対GDP比2%のメリットが発生する。2015年度は2014年度に比べて特殊要因が合計18兆円(対GDP比3.5%)改善されるのであるから、景況感は明るさを増すだろう。企業部門に蓄えられている円安メリットが、賃金引上げ、投資の増加、配当の増加などとなって実体経済を潤すことも期待できる。

 また長期国債利回りが限りなくゼロに近づいた今、金融機関や機関投資家は、預貸利鞘や債券運用益が全く期待できなくなり、いやがおうにも株式運用に押し出されざるを得なくなっている。年初の株安を心配するには及ばないどころか、ここから株価の飛躍が始まるのではないか。


(*)本記事は、武者リサーチのレポート「ストラテジーブレティン」より「第133号(2015年1月20日)」を転載したものです。

(*)投資対象および銘柄の選択、売買価格などの投資にかかる最終決定は、必ずご自身の判断でなさるようにお願いします。本記事の情報に基づく損害について株式会社日本ビジネスプレスは一切の責任を負いません。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42719

 


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