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国債取引、マイナス金利広がる 欧州量的緩和で加速［日経新聞］
2015/1/24 2:00
【ロンドン＝黄田和宏】国が財政資金を集めるために発行する国債の流通市場で、「マイナス金利」の取引が欧州を中心に広がってきた。欧州中央銀行（ＥＣＢ）が22日、国債を大量に買い入れる量的金融緩和を決定。当面の安全な投資先として国債の人気がさらに高まるとの観測が浮上したためだ。世界で総額400兆円規模の国債の利回りがマイナスで取引されており、投資家の運用難を映している。
利回りがマイナスの国債を買った投資家は、満期まで持っていると購入価格より受け取り金額が小さくなり、損になる。それでもマイナス金利で国債が取引されるのは、投資家が資金の運用先を探しあぐねるなか、中央銀行が政策金利をほぼゼロにしたうえ、国債を大量に買い入れる量的緩和に動いているためだ。
ＥＣＢは22日の定例理事会で、域内の金融機関がＥＣＢに余剰資金を預ける際の預金金利を引き続きマイナス0.2％とすることを決めた。これは民間銀行がＥＣＢに預金すると手数料を取られることを意味する。
企業への融資にお金を回すのが狙いだが、デフレ懸念が強まるなかで金融機関は貸し出しに慎重な姿勢を崩していない。そのため行き場を失ったお金が「安全資産」の国債に流れ込んでいる。そこに量的緩和の国債購入が加わる。
欧州を中心に投資家は安全で、少しでも利回りがプラスの国債に資金を回している。この結果、主要国の国債利回りは急低下。みずほ総合研究所の20日時点の集計によると、スイス国債では満期12年の国債まで利回りがマイナスとなった。
ＥＣＢの量的緩和決定を受けた23日の欧州金融市場ではユーロ安が一段と進行。ドイツ国債は６年物までマイナス金利で取引された。日本国債も４年物までマイナス金利だ。英金融大手ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド（ＲＢＳ）によると、マイナス金利で取引される国債は世界で３兆ユーロ（約400兆円）規模にのぼる。
22日の記者会見でＥＣＢのドラギ総裁は「マイナス金利の国債も購入する」と明言した。ＥＣＢの量的緩和は各国のＥＣＢへの出資比率に応じて国債を購入するため、最大出資国のドイツ国債は購入額の４分の１を占める。ＲＢＳのジル・ゲイル氏は「ドイツ国債は10年債まで利回りがマイナスになる可能性がある」と指摘する。
国債のマイナス利回りは、日銀やＥＣＢが物価押し上げや景気刺激のために実施する量的緩和の初期的な作用の行き過ぎといえる。投資家は当面の資金の運用先として国債を選択しているとみられ、資金はいずれ株式など損失リスクを伴う資産や企業向けの融資に回ると期待されている。
バンクオブアメリカ・メリルリンチのバーナビー・マーティン氏は「いずれ投資家は、安全とみなせる配当利回りの高い株式を債券のように購入するようになる」と分析している。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDC23H0C_T20C15A1EA2000/?dg=1
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