★阿修羅♪ > 経世済民93 > 292.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
スカイマーク、経営危機の元凶はJAL救済 根拠なき不当介入で市場歪める国交省と族議員(Business Journal)
http://www.asyura2.com/15/hasan93/msg/292.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 1 月 28 日 07:02:05: igsppGRN/E9PQ
 

スカイマーク、経営危機の元凶はJAL救済 根拠なき不当介入で市場歪める国交省と族議員
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150128-00010003-bjournal-bus_all
Business Journal 1月28日(水)6時1分配信


 国内航空3位のスカイマークの経営再建策づくりが迷走している。本稿の執筆段階(1月25日)でみると、資本てこ入れ策で全日本空輸(ANA)に出資を拒否されただけでなく、集客力立て直しの柱だったはずのANA、日本航空(JAL)との共同運航に関する国土交通省への認可申請も当初計画よりずれ込んでおり、八方塞がりに陥っている。状況を伝える報道は深刻なトーンにあふれ、株価も再建期待に沸いた昨年12月半ばの高値と比べると4割近く下落した。これまでの報道を見る限り、マスコミの多くが問題視しているのは、支援先をコロコロ変えており節操がないかのように映るスカイマークの戦略や、ベンチャービジネスの経営者らしい西久保愼一社長の豪放磊落な個性のようだ。

 しかし、事態の推移をみると、自民・公明両党の航空族議員や国交官僚の哲学なき介入が事態を混迷させた事実が、あまりにも軽視されてきたのではないだろうか。この問題は、安倍晋三首相の一枚看板の経済政策であるアベノミクスの「第3の矢」(規制緩和・成長戦略)の実現性にも大きな影を落とす深刻な“事件”といってよいはずだ。

「出資するような投資ファンドが、本当に存在するんでしょうか。何か情報は入っていませんか」――。

 1月21日夕方のこと。ある大手航空会社の中堅幹部が関西訪問中の筆者に電話をかけてきて、こう切り出した。この人物は、筆者がジャーナリストとして秘匿すべきニュースソースでもあるので、航空会社名や人名は伏せさせていただく。だが、事態を理解するために必要と思われるので、この航空会社がスカイマークの支援を期待されている大手航空会社2社のうちの1社であることは明らかにしておく。その上で話を進めると、切り出した言葉とは裏腹に、この人物がファンドによるスカイマークの支援情報を筆者から得られると期待していたとは思えない。

 というのは、この日はスカイマークが3月29日から運航する「夏ダイヤ」を国交省に申請した日だからだ。そして、同社はこの日、夏ダイヤだけでなく、ANA、JAL両社との共同運航の認可申請も行いたいと希望していた。ところが、共同運航は交渉が合意に至らず、「夏ダイヤ」の申請だけが行われたのが、この1月21日だったのである。

 あくまでも推測だが、筆者にコンタクトしてきた大手航空会社幹部の狙いは、交渉に合意できなかった責任は自社ではなくスカイマークにあるという主張を、情報不足にかこつけてそれとなく伝えることにあったのだろう。共同運航というかたちで再建を支援するには、スカイマークが誠実さを欠いており、再建策の全体像を明かさないので、応じようがなかったと言いたかったのである。

 しかし、視点を変えてスカイマークの立場からみると、確固とした再建策全体のシナリオが固まっていないから支援できないと責められるのは、酷なものだったはずだ。2大航空会社との共同運航によって集客力が回復し、当面の売り上げが確保できる体制にならないと、資本増強策に協力して抜本的な再建に手を貸そうという投資ファンドが出てくるとは考えにくいからである。

 現時点では、スカイマークの再建策の行方は予断を許さないが、本稿がここで指摘しなければならないのは、スカイマークがこれほどの窮地に追い込まれることになった過程に横たわっている問題のほうである。

●共同運航を執拗に迫る国交省

 そもそもスカイマークの経営の深刻さが誰の目にも明らかになったのは、昨年8月14日のことだ。この日提出した2014年4〜6月期の四半期報告書に「事業継続に重要な疑義がある」と明記されていたのである。この報告書によると、同社は、欧エアバスの大型旅客機A380の購入をキャンセルしたことに伴い、同社から700億円前後の違約金支払いを迫られるリスクを抱えていた。さらに、それまで自社資産としていた「エアバスへの前払い金(約250億円)」も回収できない恐れがあった。

 ちなみに、スカイマークの自己資本は14年3月期末の段階で446億円しかない。違約金の支払いや、前払い金の没収が現実の問題になれば、スカイマークは一気に債務超過に転落して、経営が破綻してもおかしくなかった。

 そして、昨年10月31日。スカイマークは15年3月期の業績予想を下方修正し、前期に続き最終損益が2期連続の赤字になるうえ、その赤字額が136億円(前期は18億円)と大きく膨らむとの見通しを発表した。これでは運転資金にも事欠く事態に陥ってもおかしくない。こうして、同社の再建は、時間との闘いの様相を呈していった。11月初めには、再建のパートナーとして白羽の矢を立てたマレーシアの格安航空会社(LCC)エアアジアとの資本・業務提携交渉も不調に終わった。

 そうした苦境の中で、西久保社長が昨年11月21日にメディア各社に対して明らかにした再建プランは、今よりずっとシンプルかつ実現性の高いものだった。JALと業務提携して15年2月から一部の便を共同運航し、集客力を強化。当面の増収(年間80億円)に役立てるという内容だったのだ。一方、増収策をテコに、投資ファンド4社に第3者割当増資を引き受けてもらい、資本増強を行うことも検討していた。

 これに対して当時のJALは、スカイマークがANAグループ入りすることや、スカイマークが破たんすることを極端に恐れていた。ANAグループ入りすればもちろんのこと、破たんして羽田空港などの発着枠を国交省に返上した場合も、前回の割り当ての例から明らかなように、ANAグループ優先で再配分が行われるのは確実だからだ。最大の競争相手であるANAグループに、これ以上ドル箱の発着枠を奪われないためには、スカイマークの存続を支援する以外に道はないとJALは考えていたのである。出資を伴わない共同運航ならば後述する国交省の規制の対象外なので、口にこそ出さないものの応じる構えだったのだ。

 ところが、自公両党の航空族政治家や国交省は、JALの予想よりはるかに強硬だった。のろしを上げたのは、太田昭宏国交大臣だ。太田大臣は昨年11月25日の記者会見で、「まだ正式な申請がなく、交渉中の案件なのでコメントは差し控える」と言いながら、「健全な競争環境の確保の観点から、(是非を)厳しく判断する」とこぶしを振り上げたのだ。背景に、「(JALの国策再建は)民主党政権の経済政策の成功モデル」と自画自賛する民主党への反発があったことは想像に難くない。

 水面下で国交省はスカイマークに対し、JALとの共同運航を取りやめてANAとの共同運航に切り替えるか、JAL、ANA両社と共同運航をするよう執拗に迫ったという。異例の「呉越同舟型」支援を強いたのである。JALとの共同運航を始めるには、国交省の認可が不可欠だ。国交省の意に反する認可を取り付けるのは困難だ。スカイマークは窮地に陥った。

●国交省のリークか

 昨年12月10日、事態は新聞報道がきっかけで動いた。朝日、日本経済などの新聞が朝刊で「国内航空3位のスカイマークが、同2位の日本航空と業務提携する方針から一転、首位のANAホールディングスとも提携に向けて交渉に入ることが9日わかった」と報じ、株価急騰の口火を切ったのだ。

 今も大手航空会社の間では、この頃の一連の報道の多くが国交省のリークだったというのが定説だ。報道を先行させて、既成事実化させようとしたというのである。実際、当のスカイマークが同日午前中に「現時点で決定した事実はありません」としつつも、「支援要請の検討をしている」と歯切れの悪い釈明をした。「産経ニュース」によると、西久保社長も「バランスを整えるため、全日空とも話をする。普通なら2社に共同運航してくださいなんて、民間企業の論理ではありえない。説明のしようがない」と苦渋の表情を浮かべていたという。だが前述の通り、この交渉はなかなか合意に至らず、本稿執筆段階まで国交省への申請が遅れている。

 交渉難航について一部報道では、スカイマークがANAとJALを傍若無人に手玉に取ろうとしたとか、セクハラと批判されかねないようなミニスカートを客室乗務員に着用させたり、搭乗客の不満に耳を傾けなかった西久保社長の個性に問題があるといわんばかりのものが目立つ。しかし、そうした議論はピント外れだ。そもそも無理筋のライバル2社との共同運航を迫ったのは、国交省や航空族議員である。

●“泥縄式”の規制

 そこで指摘しなければならないのが、そもそも国交省にこれほど強い行政指導を行う権限があったのかどうかという疑問だ。というのは、前述の記者会見の際に、太田大臣が根拠として挙げたのが、「8.10ペーパー」と呼ばれるものだったからである。同ペーパーは、再建を果たしたJALの再上場が約40日後に迫っていた12年8月になって、国交省航空局が“泥縄式”にまとめたJALを縛るための規制だ。市場で淘汰されて破たん処理されるべきだったJALが公的支援で再生されて存続した結果、競争環境が歪むことを阻止する狙いで設けられた。

 しかし、欧州の先例をみても、本来的な意味でも、この種の規制は再建中(公的資金が返済されるまでの期間)に限定すべきだ。それにもかかわらず、同ペーパーは再建がほぼ完了した時期になって設置され、自立後のJALが自らの裁量で行うべき経営の手足を縛るものとなった。これだけで、いかに“泥縄式”の規制かがわかるだろう。同ペーパーが設けられた背景には、政権奪還を果たした自民党の航空族議員の間に、民主党政権主導で再建したJALへの反発が強かったことがある。

 そして、すでにJAL自身が抵触しないと判断していたと述べたように、同ペーパーが規制する項目には、機材などへの新規投資や新規路線の開設、混雑空港の発着枠の配分といったものしか含まれていない。もちろん、これにより先の羽田空港の発着枠の配分で、JALが大幅に割を食う結果となった事実はある。

 しかし、スカイマークが当初求めていた共同運航は、あくまでも既存路線の話だ。同ペーパーが規制するJALの新規路線の開設にはあたらない。このため、スカイマークへの指導は、既存のルールを拡大解釈したものであり、不当ではないかとの疑義が残っているのである。換言すれば、こうした行政指導は、国家権力の民間企業の経営に対するあるまじき介入だ。

●破たん処理すべきだったJALの救済

 さらに指摘すると、国交省の航空市場への介入はロクな結末をもたらさないという問題もある。というのは、今日のスカイマークの経営危機の根本的な原因のひとつが、市場競争で淘汰され、破たん処理すべきだったJALを救済したことにあるからだ。このため、航空市場に需要を上回る供給力が温存されて、比較的体力が乏しいスカイマークが破たんの危機に瀕したという事実がある。

 一般的には、スカイマークの経営危機は国交省が積極的に参入の旗振りをしてきたLCCとの価格競争で守勢に回り、収益が悪化したことが原因として語られることが多い。しかし別表で明らかなように、スカイマークの経営悪化の最大の原因は、JALの復活の煽りとみるべきだろう。実際、スカイマークの業績は、13年3月期から急速に下降線をたどっている。この13年3月期こそ、期中の12年9月19日にJALが株式の再上場を果たし、本格的な反攻を開始した時期なのである。

 スカイマークは当時、JALの戦略を模倣していた。座席の間隔を広げて快適さを売り物にし、LCCと安さを競うことを避けて採算を確保するという戦略である。しかし、スカイマークと国策支援を受けたJALでは、体力が違う。そうした投資負担は、スカイマークには重すぎたのだ。その結果、スカイマークは採算が急速に悪化し、経営危機に陥っていった。これがスカイマーク問題の真相といえるのである。

 財務諸表を分析すれば、その事実は明らかだ。機材費が売上高に占める比率が14年3月期に18.80%と2年前(12年3月期は10.98%)の2倍近くに跳ね上がっているからだ。こうした事実をみれば、国交省がJALを生きながらえさせたことの罪の大きさも理解できるはずだ。

 筆者は、会社更生法の正式な適用申請の3年以上前に、JALが実質的に破たんしていた事実を見抜き、他に先駆けて週刊誌「週刊現代」(講談社)で報じた。加えて、12年9月刊行の拙著『JAL再建の真実』(講談社現代新書)では、淘汰されるべきJALの存続が引き金になって、別の航空会社が破たんに追い込まれる懸念を指摘していた。その懸念が現実化したのが、今回のスカイマークの経営危機劇といってよい。

 そこで改めて今一度指摘しておかなければならないのは、国交省が市場競争の結果を捻じ曲げてスカイマークの存続に手を貸せば、市場の需給調整機能が損なわれて、何年か後に再び別の航空会社が破たんの危機に追い込まれるリスクがあるということだ。国交省は、ただちに不毛な過剰介入をやめるべきである。さもないと、再び航空市場を歪める恐れがある。

 さらに、こうした介入の横行は、自由なはずの経済を、国家や政治家、官僚たちが主導して牛耳りたいという日本の構造問題を象徴している。これでは、規制を緩和して民間の活力に経済・経営を委ねて経済成長を実現するというアベノミクスの「第3の矢」に、魂が入る日が決して到来しないことも明らかといってよいだろう。
(文=町田徹/ジャーナリスト)

文=町田徹/ジャーナリスト

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

フォローアップ:


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法

▲上へ      ★阿修羅♪ > 経世済民93掲示板 次へ  前へ

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。
 
▲上へ       
★阿修羅♪  
経世済民93掲示板  
次へ