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原油暴落:赤字転落へ(NEVADAブログ)
http://www.asyura2.com/15/hasan93/msg/307.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 1 月 28 日 19:14:05: igsppGRN/E9PQ
 

原油暴落:赤字転落へ
http://blog.livedoor.jp/nevada_report-investment/archives/4817413.html
2015年01月28日 NEVADAブログ


東燃ゼネラル石油は12月期の連結純損益が、260億円の黒字から140億円の赤字になり、連結営業損益の赤字は従来の290億円から729億円に膨らむと発表しています。

400億円の赤字計上となる計算になりますが、先の総合商社の1000億円規模の損失計上に比べればまだましですが、石油会社は今後軒並み赤字に転落するかも知れず、かねてから経営危機が噂されている大手もあり、今後どこまで銀行が支えるかにかかっているのかも知れません。

原油価格暴落の影響が本格化してきています。

 

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01. 2015年1月28日 20:09:45 : jXbiWWJBCA

オピニオン:出口見えない原油安、早期反転は期待薄=芥田知至氏
2015年 01月 28日 16:00 JST
芥田知至 三菱UFJリサーチ&コンサルティング 主任研究員

[東京 28日] - 2008年のリーマンショックを挟んで140ドル台から30ドル台まで急落した原油価格はその後、2年程度をかけて100ドル台まで回復した。しかし今回は、需給面や金融政策面などでの様々な環境の違いから、その大台に戻すまでにはさらに長い年月を要するだろうと、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの主任研究員、芥田知至氏は指摘する。

同氏の見解は以下の通り。

<前回の反転局面と何が違うのか>

今後の原油相場の見通しについては、一部に早期反転を予想する向きもあるが、私はそうしたシナリオに確信を持てないでいる。

むしろ最短でも5月か6月までは基調としては弱含みか、あるいは底ばいの状態が続き、その後反転したとしても、相当緩やかなペースになる可能性が高いと考えている。

振り返れば2008年9月のリーマンショック後、同年12月に1バレル32ドルまで下げた原油価格(WTI)がその1年後には80ドル台まで戻したことから、今回も早晩同じような軌道をたどるとの見方もある。

しかし、当時は新興国投資ブームがまだ続いており、需要が拡大していくとのシナリオも健在だった。また、世界的な金融危機の克服を目指して米国から緩和マネーがふんだんに供給され、その過剰流動性を背景に、コモディティ投資ブームも続いていた。

しかし、今回の原油安局面では米連邦準備理事会(FRB)がすでにフローから見た量的緩和を終了し、年内の利上げも視野に、金融政策の正常化に向かって動き出している。日欧からの緩和マネー供給は引き続き期待できるものの、新興国経済への資金流入は、米量的緩和局面と比べれば、明らかに細ってくるだろう。加えて、過去の米利上げ局面では、新興国経済は混乱もしくは停滞するケースが多かった点にも注意が必要だ。

原油価格は地政学リスクの高まりなど突発的なイベントで短期に急騰しやすいので、確実なことは言えないが、相場には当面、上方向よりも下方向に圧力がかかりやすいと見るのが妥当ではないだろうか。

<需給改善には相当の時間が必要>

そうした見方をサポートするのが、需給の状況だ。原油価格が高騰を始めた2000年代半ば以降の変化をおさらいすれば、供給面では、北米・南米・アフリカ・中央アジアなどでの増産が特に目立った。リーマンショック直前の2008年7月に147ドルまで届いた原油価格高騰を受けて、資源開発が急ピッチで進み、その後しばらくしてから実際の供給力として大きく現れるようになってきたのだ。

一方、需要については、リーマンショック後、「4兆元」の景気刺激策に乗り出した中国を筆頭に、新興国のエネルギー消費は好調な伸びを示し、原油価格を下支えした。しかし、昨年秋口にかけて、中国経済の勢いに一段と陰りが見え始めると、10月半ば頃を境に、世界景気の減速懸念が急速に強まり、原油需給の先行きにも黄信号が灯った。

後付けの解釈になってしまうが、今思えば、需要がそれほど拡大していない割には、原油価格は高かったのかもしれない。欧州経済がデフレの瀬戸際で喘ぎ、日本経済が消費増税の影響などで4月以降2四半期連続のマイナス成長を続けるなかで、唯一気を吐く先進国経済である米国においても、ガソリン需要は伸び悩んでいた。そうした「ネガティブサプライズ」が都合よく見過ごされていた面はあろう。同様に、シェールオイルの増産が続いていたにもかかわらず、供給増要因としてマーケットは十分に織り込んでいなかったとも言える。

ただし、無理もないところはあった。イランの核開発問題、「アラブの春」以降のリビアの供給障害、あるいは昨年初めのウクライナ情勢の緊迫化、そして「イスラム国」の台頭といった地政学リスクの高まりが相次いだからだ。これらは、時間が経つにつれて、実際の原油需給の引き締めにつながらないことが分かってきた。それが昨年の後半だ。加えて、その時点で石油輸出国機構(OPEC)が協調減産に動かないという衝撃もあった。

そして今、弛んだ需給構造が急速に引き締まる状況にはない。2008年末以降の前回の反転局面では2年と数カ月程度で100ドル台(2011年第1四半期)に戻したが、今回は供給側の絞り込みがよほど急ピッチに進まない限り、大台の回復は期待薄だろう。

<かく乱要因はシェールの減産ペース>

では、原油価格は逆に底なし沼のように沈んでいくのだろうか。確かに、チャート上は抵抗線と呼べるところがなくなっている。次の参照価格は、先ほど述べた2008年12月の安値32ドル近辺となろう。そこまで落ちる可能性がゼロとは言えない状況だ。

ただし、一部に言われているように、30ドルを切って、20ドル台、そして10ドル台に下落していく、あるいは20ドル台で定着するというようなシナリオの蓋然性は低いように思える。過去20年余りを振り返れば、1990年代後半に10ドル台を割ったこともあるが、当時とは需給の構造もプレーヤーも異なる。

確かに、中東の巨大油田はトータルコストで見た損益分岐点が10ドル程度、オペレーションコストが数ドルと言われており、今の価格水準でも十分持ちこたえられる。だが、高騰した価格を前提に、2000年代半ば以降に開発された北米のシェールオイルをはじめとする他の油田は、損益分岐点がその何倍も高い。原油価格が20ドル台へ下落する前に、供給に急ブレーキがかかって、相場を下支えすると思う。

特にシェールだ。総コストから見た採算ラインは、低いものでは20ドルだとしても、大半は60ドルから80ドルだろう。従来10―20ドル程度と見られていたオペレーションコストは、原油安を背景に操業に必要なエネルギーコストが下がっているので、それよりもかなり低くなっているはずだが、いずれにせよ現在の価格だと、総コストを賄えず、新規開発にブレーキがかかり、稼働する掘削機は今後減っていく可能性が高い。

また、ロシア、ベネズエラといった、経済ファンダメンタルズの脆弱なエネルギー資源国は、現水準の原油安が続けば、経済危機に見舞われる可能性が高まる。そうした危機が供給障害という形で現れるならば、これもまた原油価格の下支え材料となろう。 

加えて、11月の総会で協調減産を見送ったOPECにしても、先に白旗を掲げるわけにはいかないが、北米のシェール減産が進めば、市場シェアを落とさない程度の生産削減ならばあると思える。いずれにせよ、需要面で大きな改善を見込みにくい2015年は、このように供給面でのゆっくりとした変化が価格形成に影響を与えていくことになろう。

ただ、私のシナリオに誤差が生じるとすれば、それは前述したシェール事業者の減産判断の程度だ。従来の油田・ガス田プロジェクトは調査から探鉱・開発、そして生産開始にこぎつけるまでに気の遠くなるような時間を要し、投資の回収期間も長期にわたった。しかし、シェールプロジェクトの一連のプロセスは対照的に、より短期で済み、投資の回収期間も短い。事業者のマインドは、従来のプレーヤーとはかなり異なる。

彼らが、思いのほか、耐え忍べば、価格にはさらに下落圧力がかかる。逆に、生産調整が前倒しで進むならば、価格反転圧力は、私が予想しているよりも、早く強く出る可能性がある。シェールは引き続き原油価格の行方を大きく左右する要因となりそうだ。

*本稿は、芥田知至氏へのインタビューをもとに、同氏の個人的見解に基づいて構成されています。

*芥田知至氏は、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの主任研究員。専門分野は、国際商品市況、原油価格、金属価格、為替、内外経済。1992年、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業後、山一證券入社。1998年、三和総合研究所(現在は三菱UFJリサーチ&コンサルティング)入社。2006年より現職。2002年に青山学院大学国際政治経済学研究科修了。
http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPKBN0L01J120150128

コラム:蓄積された原油安の恩恵まもなく到来
2015年 01月 28日 16:07 JST
James Saft

[ニューヨーク 27日 ロイター] - エネルギー価格急落に苦痛を感じていた各国経済や投資家は、その恩恵の方をまもなく感じられるようになるだろう。原油安が資源国や資源企業に与えるマイナス影響はすぐに市場に織り込まれる一方、原油安によるプラス影響が消費者や経済全体に行き渡るには若干時間がかかるからだ。

北海ブレント原油先物は昨年6月以降で約60%も急落し、その過程で複数の犠牲者が出た。国家経済の多くを原油収入に依存するロシアは、ウクライナ問題をめぐる西側からの制裁もあり、通貨ルーブルと株式市場が急落した。石油会社が発行した高利回り債も大きく売り込まれた。

エネルギー価格の下落は、主要先進国では物価の下押し圧力となり、各国中央銀行の政策決定に緩和方向の影響を与えることで、世界的な金利低下にも寄与したとみられる。

英大手資産運用会社スタンダード・ライフ・インベストメンツのキース・スキーオー最高経営責任者(CEO)は、顧客向けリポートの中で「原油価格下落の影響は現在、ロシア通貨や英石油会社の株価、米高利回り債市場のエネルギー関連債に織り込まれている最中だ」と指摘。そのうえで「(原油安は)需要サイドより供給サイドの要因の方がむしろ重要だとわれわれは結論付ける。2015年春に向けては、安価なエネルギーによる恩恵が個人消費や非石油企業の投資に波及するのが見えてくるはずだ」としている。

ただ、原油安が世界経済減速の予兆ではないかという懸念は根強い。実際、過去にはそうだったからだ。

確かに中国や一部のユーロ圏で顕著なように、需要は急速に減退している。しかしそれ以外の要因は、原油安を凶報の前触れだと解釈するには矛盾を示している。一例を挙げると、幅広い一次産品の価格は、原油の半分程度しか下落していない。

その一方で、原油の供給サイドを見れば、新たな技術で採掘可能になったシェールオイルが数年前から市場に流れ込んでいる一方、産油大国のサウジアラビアは減産しないと決めた。

国際通貨基金(IMF)は、エネルギー価格下落の60%は供給サイドの問題に起因すると推計している。

<遅れてくる恩恵>

重要なのはここからだ。IMFと世界銀行は最近、2015年の世界経済の見通しを下方修正した。しかしながら、IMFも世銀も、ガソリン価格の下落や企業のエネルギーコスト削減は成長に寄与すると口をそろえる。原油安の経済成長率押し上げ効果について、IMFは2015年に0.7%ポイント、2016年に0.8%ポイント、世銀は「中期的に」約0.5%ポイントと試算している。

バークレイズのアナリストチームは、過去30年間の5回の原油安局面を分析。原油安は経済成長の減速時に起き、その6─9カ月後に景気回復が訪れる傾向が明らかになったとし、「向こう数カ月以内に購買担当者景気指数(PMI)と小売売上高へのプラス効果が現れるだろう」としている。

これは特に米国に当てはまる。エネルギー税が相対的に低いことから、原油安の効果が消費者に直接届きやすいからだ。

エネルギー価格の下落を実体経済における量的緩和(QE)のようなものと考えてみよう。

QEによって、主に富裕層が持つ金融資産の価格は上がったが、彼らはそれによって消費は増やさないだろう。しかし、ガソリンや公共料金の値下がりは中流層に幅広く行き渡り、彼らはその恩恵を消費に回す可能性が高い。

誤解がないように言っておくと、ロシアやベネズエラなどの負け組は、今後も苦境が続き、そうした国々の設備投資や消費は打撃を受けるだろう。

最終的には、エネルギーの過剰生産は行き詰まり、産油国で計画されていた投資は棚上げになるだろう。そうなれば、2016年のどこかの時点で、エネルギー価格は再び上昇する可能性が高い。

それまでの間は、われわれは目に見える形で利益を享受できるだろう。つまり、主要国での消費と投資の拡大と、原油安がもたらした低金利だ。言ってみれば、それは期間限定の良いデフレのようなものかもしれない。
http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPKBN0L10IB20150128


コラム:原油安の恩恵、中銀の政策混乱で「水の泡」か
2015年 01月 28日 10:29 JST
Andy Mukherjee

[シンガポール 27日 ロイターBREAKINGVIEWS] - 原油価格の急落は一般的には供給過剰のサインであり、そしてそれは通常なら経済の潤滑油にもなる。原油価格は昨年6月以降で約60%下落したが、その半分程度は供給過剰が原因とみられる。しかし、原油安の恩恵は、各国中央銀行のせいで台無しになるかもしれない。

もちろん原油安の理由は供給過剰だけではない。一部のエコノミストは、昨年後半の原油価格の下落は需要低迷が主因だと分析している。もしそうだとすれば、原油の供給過剰が経済成長を押し上げることにはならない。

2009年前半にも今回と似たような石油価格の急落が起きた。金融危機が石油やその他すべての商品・サービスの急激な需要悪化につながった。商品主導の消費者物価指数(CPI)の下落の約半分は、変動の大きい食料品とエネルギーを除いたコアCPIにも直ちに波及した。

しかし、われわれが主要経済国25カ国におけるCPI動向を分析したところ、今回の場合は、コアCPIへの波及は4分の1程度にとどまっている。

言い換えれば、需要低迷からくるディスインフレ圧力は6年前と比べて半分程度にすぎない。つまりそれは、原油価格下落の原因の半分が予期せぬ供給過剰によるものであることを示唆している。例えば、サウジアラビアが石油を減産しないと決定したことが挙げられる。もしこれが正しければ、エコノミストの言う供給ショックは、石油輸入国に十分な経済押し上げ効果を与えるはずだ。

原油安によるエネルギーコストの削減は、家計の購買力向上ににつながる。また、比較的に貧しい石油輸入国の政府は、エネルギーへの助成金を減らしてインフラへの投資を増やすことができるだろう。インドネシアはすでにそれを始めている。石油輸出国にとっては打撃だが、世界経済全体にはプラスとなるはずだ。国際通貨基金(IMF)のエコノミストによる試算では、原油安の恩恵で2016年の世界の国内総生産(GDP)は0.4─0.8%の押し上げが期待できるという。

しかしながら、問題もある。資源企業は投資計画の中止や減産に動いており、それが雇用や賃金に影響する可能性がある。一方、中銀の緩和政策でも銀行の融資は回復しておらず、非資源企業のアニマルスピリットにも火は付いていない。世界的需要は壊滅的とは言えないまでも、投資や消費を促進するにはあまりに力不足だ。

なお悪いことに、過去6カ月間のコアCPIの下落が緩やかであるにせよ、実質金利を静かに押し上げている。先進各国の名目金利は史上最低水準にあり、これ以上は下げることができない。これもまた中銀の無力さを示している。

利下げ以外の金融緩和には中銀のバランスシートを拡大させる量的金融緩和(QE)がある。すでに使い古された感もあるが、欧州中央銀行(ECB)はこのほど量的緩和策の実施を決定した。一方、スイス国立銀行(中央銀行)は突然に無制限介入を停止し、日銀はさらなる追加緩和の困難に直面している。また、QE疲れにより、企業は設備投資に一層神経質になる可能性がある。

中国とインドが積極的な利下げを行わず、米国が利上げを開始するならば、実質的な世界の資本コストは一段と上昇しかねない。そうなれば、特にアジアが打撃を受けることになるだろう。中国から韓国、タイ、マレーシアに至るまで、過去数年でアジアの企業と家計は負債を膨らませており、その返済能力は限界まで達している。もしディスインフレが個人消費を活性化させる前に実質金利を上昇させるならば、原油の供給過剰による恩恵は水泡に帰すことになるだろう。
http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPKBN0L102R20150128

コラム:原油安は「逆張り」のチャンスか=斉藤洋二氏
2015年 01月 27日 17:24 JST
斉藤洋二 ネクスト経済研究所代表

[東京 27日] - 1月15日のスイスフラン暴騰は改めて金融市場の不確実性を教えてくれたが、日本株と円も2012年11月の衆院解散以来、前者が2倍、後者が対ドルで50%下落と大きく動いている。

しかし、原油市場は株式・為替市場と比較すると大型プレイヤーの数が限定され寡占的なことからボラタイルで、過去半年余りを見ても昨年6月の直近高値である1バレル=100ドル水準から40ドル台(WTI)へ、「つるべ落とし」の状態となっている。

原油相場について長期的にそのすう勢を探れば、戦後長期にわたって1―3ドル水準にあった油価は1970年代に発生した2度にわたるオイルショックを経て、一気に10倍余りへ跳ね上がった。その後も乱高下を繰り返しつつ次第に上値を切り上げて、2010年代に入って以降はおおむね80ドル台から110ドル台の間で上下動を繰り返していた。

特にリーマンショック前後に最高値147ドル(2008年7月)から32ドル(08年12月)へ急落し、その後100ドル台へと急回復したことは今後を予想する上で示唆に富む。

世界経済がエネルギーへの依存度を高める中で、油価下落は生産コストを押し下げることから世界経済に対し総じてプラスの影響を与える。しかし短期的に見れば、ディスインフレ(物価上昇率の鈍化)と景気減速をもたらし、さらに代替エネルギーの開発に打撃を与える。

実際、損益分岐点が60ドル台と言われる米シェール関連企業にコスト割れをもたらし、これらの企業が発行する低格付け社債(ハイイールド債)のデフォルト(利払いや元本返済が滞る)リスクを高めている。

<原油相場の急反発はあり得る>

国際エネルギー機関(IEA)によれば、2014年第4四半期の世界の石油供給量は平均日量9431万バレル。その中で石油輸出国機構(OPEC)12カ国の生産量は3050万バレルと3割強のシェアを占める。

これはOPECの市場支配力が1970年代に遠く及ばないことを示しているが、OPEC総会(2014年11月)での生産調整の見送りを受けて相場が急落したように、依然として一定程度の力を有しており、今後も「スイングプロデューサー」すなわち需給の調整役としての動きが注目される。

現在その需給に緩みが出ている背景は、米国に次ぐ世界2位の消費量を誇る中国が景気減速に伴い、その爆飲が峠を越したことをはじめ、新興国の需要の弱さが挙げられる。一方、供給面ではシェール革命により生産能力を増やした米国が「サウジアメリカ」と呼ばれるようにエネルギー自給国へ変貌を遂げつつあることだ。

さらに、産油国は価格維持を目指すよりも、自国のシェア確保を優先し生産削減への協調的行動に至らないことが挙げられる。しかし、市場関係者からは、原油価格の下落が続いた場合、OPECは6月の定例総会を前に臨時総会を開催し、生産調整に乗り出さざるを得なくなるとの意見もあり、今後の相場動向は予断を許さない。

ちなみに、足元では、原油相場については、どちらかと言えば、弱気予想が支配的だ。IEAが1月石油市場月報で、低迷する価格の上昇は今年後半になると予測しているほか、市場関係者の一部からは、現下の下落基調は20ドル台を目指すとの見方も浮上している。しかし、中東産油国の地政学リスクを勘案すれば、急反発の可能性もなしとせず、要注意だろう。

イラクは原油生産量を拡大させているが、南部に位置する油田が北部で勢力を拡大する「イスラム国」の脅威に晒されている。また、より現実主義的な外交政策である「オバマ・ドクトリン」に基づき米国とイランの間において融和が図られているものの、いつなんどきホルムズ海峡のリスクが再燃するかもわからない。さらに、多くの中東諸国は、反政府勢力との対立により産出量が激減したリビア同様、政治リスクを抱え込んでいる。

これらの事実を踏まえると、油価が長期的に低落傾向をたどるとは読みにくい。今後も原油相場がこれまで同様にジェットコースター的な動きをする可能性が高いことは肝に銘じておく必要があるだろう。

一方、現在の油価水準は産油国から消費国へ年間1兆ドル超とも試算される所得移転効果を持つものであり、産油国経済に対する負の打撃は甚大である。すでにベネズエラは経済破綻の危機に直面し、またサウジアラビアにおいても財政悪化は回避しがたい。

このように油価下落は様々な波及経路をたどり世界各国に影響を与え、金融・資本市場が整備されていない新興国において金融不安が発生するリスクを高めることとなる。

<「野も山も皆弱気なれば買い」の金言>

では、原発稼働停止により鉱物性燃料(原油、液化天然ガス、石炭など)への依存度を高める日本への影響はどうか。

日本はこれまで円安によりエネルギー資源の輸入コストが増大したことなども受けて、2011年以降、貿易収支が30年続いた黒字から一転して赤字へと転落したが、この逆オイルショックはまさに天佑とも言えよう。それでなくとも輸入物価の上昇に伴い増大していた国民の負担感は軽減されることになる。

一方、コア消費者物価指数(CPI)に対して油価下落は当然、押し下げ要因となる。すでに11月のコアCPI(消費増税の影響分を除く)は0.7%に下落しており、このまま原油安が続けば、日銀の「2%目標」はますます遠くに霞んでしまう。

ならば、生鮮食品を除くコアCPIからエネルギーも除いたコアコアCPIへと指標を変更すれば良いのではないか、との議論も聞かれる。しかし、それはゲームの途中でルールを変えるのと同様にアンフェアであり、黒田日銀が採用するとは考えられない。2015年度を中心とする期間に2%程度に達することを目標とする限り、今夏には追加緩和策が打ち出される可能性が高い。

現在の逆オイルショックがいつまで続くか不明だが、ガソリンなどエネルギー関連商品の下落は国民の購買力を増やすこととなり、米国では大型車の売れ行き好調などその兆しが見られる。ガソリンに対する税率が高い日本ではそのような動きは読みにくいが、景気浮揚の引き金になる可能性を十分に秘めていると言えよう。

また、エネルギーの大半を海外に依存する日本の貿易収支に対する影響も大きい。財務省貿易統計によると、2013年の日本の輸入額は81.2兆円(輸出69.8兆円、貿易収支赤字11.5兆円)とこれまでの最高だった2008年(78.9兆円)を上回った。

そのうち鉱物性燃料の輸入は27.4兆円に上っているが、原油(粗油含む)は14.2兆円を占めている。その大半がドル建てであることから、仮に為替レートが2013年(税関長公示レート96.91円)に比し20%円安(116.29円)、そして原油を同量だけ輸入し、入着価格を50%安と仮定して単純計算すれば、原油だけに着目しても、貿易収支の改善効果は5兆円程度になる。つまり、為替需給は13年に比し5兆円相当緩むこととなる。

このように円相場は油価との連動性を強めており、油価下落は円高へのボディーブローとして効いてくることになるだろう。そして、油価下落の影響を先取りして金融市場には年初来、リスクオフムードが蔓延している。

しかし、油価がボラタイルであることは前述した通りで、いつ反転するかもしれないことには要注意だ。江戸時代の米相場に起源があると言われる「野も山も皆弱気なれば、阿呆になりて米買うべし」との名言が頭をよぎる。今はまさに逆張りのチャンスではないだろうか。

*斉藤洋二氏は、ネクスト経済研究所代表。1974年、一橋大学経済学部卒業後、東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行。為替業務に従事。88年、日本生命保険に入社し、為替・債券・株式など国内・国際投資を担当、フランス現地法人社長に。対外的には、公益財団法人国際金融情報センターで経済調査・ODA業務に従事し、財務省関税・外国為替等審議会委員を歴任。2011年10月より現職。近著に「日本経済の非合理な予測 学者の予想はなぜ外れるのか」(ATパブリケーション刊)。
http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPKBN0KW0TH20150127


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