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ECBが放ったパズーカの「?」:量的緩和政策で昨今の経済問題が解決するのなら、金融家や官僚を高給で雇用する必要ナシだよね
http://www.asyura2.com/15/hasan93/msg/444.html
投稿者 あっしら 日時 2015 年 2 月 06 日 03:30:31: Mo7ApAlflbQ6s
 


『ニューズウィーク日本版』2015−2・3
P.30〜31


「ECBが放ったパズーカの「?」

金融政策:欧州中央銀行が初の量的緩和へユーロ圏経済を救うはずの一撃だが財政の援護射撃が得られず不発に終わる恐れも


 欧州中央銀行(ECB)のマリオ・ドラギ総裁が、ついにバズーカ砲を放った―。

 金融・経済系のツイッターやメディアは、そんなコメントであふれた。閉塞感漂うユーロ圏経済を救うべく、積棲的に国債を買い入れる量的緩和(QE)に踏み切るドラギの決断を受けてのことだ。
 ドラギは先週行った記者会見で、月額600億ユーロ規模の国債・民間資産の買い入れを3月から開始すると発表した。最短でも来年9月まで継続する予定で、総額は1兆ユーロを超える見込みだ。
 ECBがこれほどの大胆さで、これほどの親模の資金供給を行うとは、誰も考えていなかった。インターネット上には、「スーパーマリオ」の異名を取るドラギがバズーカを肩にした、マッチョな姿の加工画像も出回っている。
 だが期待の「ドラギ・バズーカ」も、肝心の威力は大したことがなさそうだ。

 ユーロ圏経済の低迷はあまりに長期に及んでいるため、どれほどひどい状態にあるかをつい忘れてしまうほどだ。
 13年に景気後退から抜け出したとはいえ、ユーロ圏のGDPの成長率は限りなくゼロに近い。域内全体の失業率は11%を超える状態が続き、ギリシャやスペインではほぼ4人に1人が失業中だ。
 さらに悪いことに、ユーロ圏はデフレの瀬戸際にある。デフレは経済を下方スパイラルに引きずり込みかねない。物価が下落すれば、消費者はさらなる値下がりを期待して支出を控え、製品の値下げを迫られた企業は賃上げに消極的になる。

 ユーロ圏の昨年12月の消費者物価据数は菌年同月比で0.2%下落し、5年ぶりにマイナスを記録した。一因は原油価格の下落にある。原油安そのものは悪いことではないにせよ、物価が下濁し続ければ、より長期的な問題が発生しかねない。
 ECBが、インフレ嫌いのドイツの反対を押し切って量的緩和を決断したのも、物価下落を懸念してのことだろう。


狙いはインフレ率上昇

 国債を大量に買い取って利回りを押し下げ、よりリスクが高い社債や株式への投資を促進する。それが、ECBの狙いだ。
 社債や株式に投資する人を増やせれば、理論的には企業の資金調達コストが下がって設備投資が加速する。株高による資産効果で消費も増える。
 また市中に出回るユーロの量を増やしてその価値を下げれば、各国の輸出が増加し、経済の刺激にもつながる。
 ECBの最終目的は、インフレ率を目標とする2%弱に引き上げることだ。
 注目すべきことに、ECBは目的を達成するまで、ドラギの言葉では「インフレ動向の持続的調整が見えるまで」、量的緩和を継続する用意があると表明している。はっきりとした期限を設けないのは、ECBが本気になっている証拠だ。そしてECBは本気だと受け止められるほど、インフレ期待が高まり、実際にインフレになる可能性も高まる。
 とはいえ量的緩和がどれほどヨーロッパのためになるのか、今のところ不明だ。

 FRB(米連邦準備理事会)は08年に、英中央銀行のイングランド銀行は09年に量的緩和策を導入した。12年から始まったQE3(量的緩和策第3弾)を昨年10月に終了したアメリカは、ヨーロッパを大幅に上回る景気回復を見せている。原動力の1つは量的緩和にあるという声が多いが、その具体的な貢献度は誰にも分からない。
 アメリカは確かに、財政支出を抑制しながら経済成長を持続させた。しかし一方で、景気回復当初に急成長は見られず、インフレ率も低いままだった。つまり、FRBの量的緩和が「万能薬」になったとは言い難い。アメリカよりはるかに探刻なヨーロッパ経済の病が、量的緩和だけで完治すると思うのは問違いだ。

 ユーロ圏では、量的緩和の効果がより低いと判断できる理由はほかにもある。例えば、英フィナンシャル・タイムズ紙が指摘する、企業の資金調達方法の違いだ。
 米企業は社債を発行して資金を調達することが多いため、利回りを下げる政策は、企業の後押しになる。だが欧州企業は、主として銀行からの融資に頼っている。金利を下げても、銀行が融資に積極的にならなければそれまでだ。
 現に、多くのユーロ圏諸国の国債利回りは既にかなり低く、ドイツでは史上最低水準に達しているが、それでも投資家は国債に殺到する。利回りをさらに少し下げたくらいで、資金は社債や株式に向かうだろうか。


国債を買われるのは……

 またFRBの量的緩和は投資家にとってサプライズだったが、ECBの決断は、ほとんど織り込み済みだった。
 量的緩和の中身にも、効果を弱めかねない要素が存在する。その1つが、各国の国債をECBへの出資比率に応じて購入するやり方だ。
 言い換えれば、大量に買われるのはドイツの国債であって、深刻な不況にあえぐイタリアやスペインやポルトガルのものではない。
 ECBの決定にも意味はある。ユーロ圏の経済回復のため「何か」をする必要があるECBにとって、量的緩和策は初めて抜いた宝刀だ。
 だが「必要なことが、十分なこととは限らない」。ローレンス・サマーズ元米財務長官は先週、スイスのダボスで開催された世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)の席で、ECBの量的緩和策についてこう語った。金融政策だけでは南欧諸国は救えない、ということだ。
 残念なことだが、ヨーロッパは依然として財政再建にカを注いでいる。財政出動による景気刺激は行わず、硬直的で競争力の低い労働市場の改革も進んでいない。
 バズーカひとつで戦いに勝つことはできない。たとえ「スーパーマリオ」であっても。


ジョーダン・ワイスマン」

 

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コメント
 
01. 2015年2月06日 11:17:12 : nJF6kGWndY

>ヨーロッパは依然として財政再建にカを注いでいる。財政出動による景気刺激は行わず、硬直的で競争力の低い労働市場の改革も進んでいない。
 バズーカひとつで戦いに勝つことはできない

当然だな

現時点の米国や英国、そして日本の結果を見ればわかるように

緩和政策の効果など一時的で限定的なものだ


結局、生産性上昇につながる様々な改革が無ければ、企業収益も実質生活水準も上がることはない

技術導入や農業からの労働移動で急速にキャッチアップ成長が可能な途上国と違い、特に大陸欧州や日本など既得権が確立した先進国では急激な改革は簡単ではない

さらに周辺国との安全保障上の大きなリスクを両者とも抱えているし、特に投資効率の低い衰退エリア住民は当面厳しいだろう

ただし原油安が痛みを多少は緩和してくれるのが救いか


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