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「ドイツの財政均衡政策とユーロ圏」(EJ第3973号) Electronic Journal
http://www.asyura2.com/15/hasan93/msg/570.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 2 月 13 日 18:58:06: igsppGRN/E9PQ
 

「ドイツの財政均衡政策とユーロ圏」(EJ第3973号)
http://electronic-journal.seesaa.net/article/413946543.html
2015年02月13日 Electronic Journal


 現在のEUが「ドイツの、ドイツのための、ドイツによる共通
通貨ユーロである」ことを知る必要があります。ドイツは、20
01年に崩壊したITバブルの影響を受け、国内の企業が投資不
振に落ち込み、経済が悪化して、雇用環境が深刻化したのです。
 これによってドイツは失業率が上昇し、2005年には10%
を超えるまでになります。当時フランス、スペイン、イタリア、
ギリシャの失業率はそこまで行っておらず、ドイツの失業率がダ
ントツで高い状態だったのです。
 このドイツを一貫して助けたのがECBです。ドイツに有利な
低金利政策を取り続け、結果的にスペインやアイルランドにおい
てバブルを膨張させてしまうことになります。当時、ユーロの為
替は高水準に推移していたので、ドイツがユーロ圏以外の国に輸
出するのは困難でしたが、ユーロ圏内への輸出を拡大させること
により、何とかデフレを回避することに成功します。そして、ド
イツの失業率も改善の一途をたどったのです。
 しかし、2008年のリーマンショックによって、EUでもア
イルランド、イギリス、スペインなどの不動産バブルが次々と崩
壊し、変動しない為替レートがかえって災いして、いわゆる「P
IIGS/ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、ス
ペイン」諸国の財政危機が深刻化するのです。
 しかし、PIIGS諸国が財政危機に落ち込み、圏内が混乱す
ればするほどユーロは安くなるので、ドイツの輸出は大きく伸び
てドイツだけがトクをする状況が現在も続いています。2005
年には10%を超えていた失業率はどんどん下がり、2010年
以降は7%を切るところまで改善したのです。まさにドイツがい
まあるのは、EUのおかげといってよいのです。
 そして現在ドイツですが、2014年9月9日にショイブレ財
務相は次の宣言を行っています。
―――――――――――――――――――――――――――――
  ドイツ政府の新規国債発行額は2015年にゼロになる
             ──ショイブレ/ドイツ財務相
―――――――――――――――――――――――――――――
 現在ドイツは、EUのなかで最もGDP成長率が高く、失業率
も低いのです。そして、長期金利(10年物国債金利)は1%を
割り込んでいる状況にあります。これによって、ドイツは、日本
スイスに続く長期金利1%割れ国になったのです。なぜ、そこま
で長期金利が低下したのでしょうか。
 既に述べているように、ドイツは国の財政の歳入や歳出を通じ
て総需要を管理し、経済に影響を及ぼす財政均衡政策をとってい
ます。政府の支出拡大による財政政策は拡張的財政政策といって
最も嫌うのです。そして、EU全体の財政収支の均衡を2015
年には実現させようとしているのです。そのための新規国債発行
額のゼロ宣言なのです。
 この財政均衡政策をドイツほど厳格ではないものの、黒田現日
銀総裁以前の日銀はとってきたのです。そのため、日本は現在も
デフレから脱却できていないのです。そしてこの政策とは対照的
なリフレ政策によって、デフレ脱却を試みています。
 ただ、注意しなければならないことがあります。この財政均衡
政策にはそれなりの説得力があることです。「財政を均衡させ、
賃金を抑制し、できる限り借金はせず、借りた金は返済する」と
いうように、経済の素人にもとてもわかりやすいからです。どう
してかというと、国家財政を家計にたとえているからです。
 しかし、EJでは何度も強調しているように、国家財政と家計
は似て非なるものであり、同一に論ずるべきではないのです。国
家には危機のさいには「お札を刷る」ことができますが、家計で
はそんなことはできないからです。
 聞くところによると、ドイツのアウトバーンは通行できないと
ころが増えているそうです。コンクリートが腐食し、危険で通行
できなくなっているのです。しかし、ドイツでは財政出動には法
律上の厳しい縛りがあって容易にはできないのです。
 2014年10月時点で、EU全体の経済が停滞し、景気後退
(リセッション)危機が強まるなかで、ドイツ自体が財政均衡路
線を一時棚上げにし、財政支出を拡大すべきであるという要請が
出ていることに対し、ドイツのガブリエル経済相は次のように反
論し、ドイツ政府として拒否しています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 予想成長率の下方修正はしたが、修正は「警戒すべき要因」で
は全くない。なぜなら、ドイツ国内雇用は拡大を続けており、一
連の経済指標も不十分とはいえ、リセッション(景気後退)の前
触れとなるようなものではない。
 また、経済政策や財政政策、また社会・労働政策についても変
える理由は全くない。政府はじたばたして債務を膨らませるよう
な形でドイツ経済を下支えするつもりはない。
  ──ドイツ/ガブリエル経済相 http://on.wsj.com/16VFCav
―――――――――――――――――――――――――――――
 ドイツはEUという経済圏のなかの一国であり、EUのエンジ
ンともいうべき重要な存在です。現在、EU全体の経済が停滞し
リセッションの危機に瀕しているので、それを避けるために、ド
イツ自体もこのさいは財政均衡路線を一時棚上げして、財政支出
を拡大させて欲しいというEU参加国からの要請を冷たく拒否し
たかたちになります。
 かつてITバブル崩壊の危機に、EUにドイツはどれほど助け
られたかを忘れ、宗教のような財政均衡路線を頑なに守り、他国
へもそれを強制する──少し身勝手ではないかというのがドイツ
の姿勢です。
 それでも2015年に入って、ECBによる量的金融緩和策を
ドイツも承認したということは、もはやそれ以外の方法はないと
いう結論に達したのでしょうか。EUというメカニズムをもう一
度考え直してみる必要があると思います。
            ─── [検証!アベノミクス/55]


≪画像および関連情報≫
 ●「ユーロ圏、デフレの前に行動せよ」FT/1月12日
  ―――――――――――――――――――――――――――
  ユーロ圏のデフレは原油価格とは無関係だ。デフレの原因は
  ここ数年の一連の政策ミス、つまり、2011年の利上げ、
  2013年にインフレ率が崖から落ちた際に行動しなかった
  こと、そして景気後退の最中に緊縮財政を推し進めたことな
  どだ。欧州中央銀行(ECB)が「2%に近いが、2%を下
  回る水準」というインフレ目標を達成できていたら、原油価
  格の急落は無害だったろう。インフレ率はせいぜい2%から
  1%まで下がる程度だったはずだ。中央銀行はこれを無視し
  てよかった。だが、ゼロに近いところから始めると、デフレ
  に陥ってしまう。今から1年前、ユーロ圏はショックが1度
  起きただけでデフレに陥ると言われていた。それ以来、我々
  は2つのショックを経験した。ロシアによるウクライナ侵攻
  と原油価格の下落だ。ショックは起きるものだ。また、ユー
  ロ圏のような石油純輸入国・地域にとっては、原油安は通常
  なら恩恵となる。しかし、遅れてやって来る二次的な効果は
  警戒しなくてはならない。すでに、ドイツの賃金交渉担当者
  が賃金計算式で2%というECBのインフレ目標を引き下げ
  ている兆候が見られる。担当者らは概して、ECBのインフ
  レ目標とドイツの生産性拡大の一部を合算して賃上げ幅を算
  出する。だが、インフレ率がゼロで推移すると、この計算式
  に残るのは生産性だけで、その生産性も大して拡大していな
  い。インフレ予想が低下すれば、賃上げ率も低下することに
  なる。              http://bit.ly/1IEMzuC
  ―――――――――――――――――――――――――――





 

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コメント
 
01. 2015年2月13日 20:50:02 : nJF6kGWndY

>EUが「ドイツの、ドイツのための、ドイツによる共通通貨ユーロである」
>ドイツは、2001年に崩壊したITバブルの影響を受け、国内の企業が投資不振に落ち込み、経済が悪化して、雇用環境が深刻化 2005年には10%を超え 失業率がダントツで高い状態
>ドイツを一貫して助けたのがECBです。ドイツに有利な低金利政策を取り続け、結果的にスペインやアイルランドにおいてバブルを膨張
>ユーロの為替は高水準に推移していたので、ドイツがユーロ圏以外の国に輸出するのは困難でしたが、ユーロ圏内への輸出を拡大させること
により、何とかデフレを回避することに成功します。そして、ドイツの失業率も改善

これは間違いだな

そもそも緩和的な政策(低金利)は、別にドイツのためと言うより、インフレ率が低く、通貨が高い場合に採られる一般的な政策

それにドイツはユーロ圏にいなければ、日本のように、金融緩和策を採用したり、財政拡張することもできた

そうした大衆迎合策をせずに、逆に、厳しい労働改革や緊縮を続けてユーロ圏に残った結果、ドイツ経済は、今の状況に至ったと言える。


>2008年のリーマンショックによって、EUでもアイルランド、イギリス、スペインなどの不動産バブルが次々と崩
壊し、変動しない為替レートがかえって災いして、いわゆる「PIIGS/ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、ス
ペイン」諸国の財政危機が深刻化するのです。
 PIIGS諸国が財政危機に落ち込み、圏内が混乱すればするほどユーロは安くなるので、ドイツの輸出は大きく伸びてドイツだけがトクをする状況

今の日本と同じで、通貨安を多くのドイツ人が喜んでいると思うのは大間違い

PIIGS諸国の中では、ユーロ圏にいるのにドイツと違い、(日本同様w)厳しい自己改革が進まず

苦しいのをドイツのせいにしているとも言える。

まあ、アイルランドを筆頭に、かなり改善はしているから、ギリシャなど不満がある国がユーロ圏から消えるのは、特に悪いことではないし

逆に、純粋に経済だけ考えるならドイツが通貨統合から抜けるというのもありだ


>ITバブル崩壊の危機に、EUにドイツはどれほど助けられたかを忘れ、宗教のような財政均衡路線を頑なに守り、他国へもそれを強制する──少し身勝手ではないかというのがドイツの姿勢です。
>それでも2015年に入って、ECBによる量的金融緩和策をドイツも承認したということは、もはやそれ以外の方法はないという結論に達したのでしょうか

大部分のドイツ人は、そう考えてないだろうが

トップ層は、政治や安全保障上の理由で、ユーロ圏を崩壊させたくないという動機が強いだろうな


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