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アマゾン、無料配送はなくなるのか?小売業、アマゾンとの死闘で膨大なムダ排除&利益向上(Business Journal)
http://www.asyura2.com/15/hasan93/msg/610.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 2 月 16 日 08:52:05: igsppGRN/E9PQ
 

アマゾン、無料配送はなくなるのか?小売業、アマゾンとの死闘で膨大なムダ排除&利益向上
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150216-00010002-bjournal-bus_all
Business Journal 2月16日(月)6時1分配信


 ウォルマートのような米国小売業のオムニチャネル戦略を歴史的に振り返ってみると――といっても、この10年くらいの短い歴史だが――最初の頃に比べると、その中身が変化してきていることがわかる。

 第1段階は2000年代半ばで、O2O(Online To Offline)、つまり“オンラインからオフラインへ”といわれていた頃。ウォルマートでいえば、05年からの2年間のテストを経て、07年にインターネットで注文した商品を店舗で受け取れるサービスを全店で始めた頃だ。ウォルマートのテストによれば、ネットで注文した客の3分の1が店舗で受け取ることを選択する。そして、そういった客の60%が店舗に来たついでに60ドルの付加購買(衝動買い、ついで買い)をする。

 従って、店舗受け取りサービスを提供することで付加売り上げが期待できるリアル店舗のほうが、アマゾンのようなネット専業よりも競争優位に立てるというのが当時の大方の見解だった。

 アマゾンが、年会費79ドルを払うプライム会員に、配送料無料で2日以内に配送というサービスを始めたのは05年1月。それまでは25ドル以上注文の場合は配送料無料という一般的によく見かけるサービスを提供していた。無料配送サービスは期待以上の効果を発揮し、プライム会員は通常客より150%も多く購買し、サービス開始前の予測である2年より早く、わずか3カ月で損益分岐に達することが明らかになったという。ちなみに現在では、プライム会員の平均購買金額は通常客の2倍といわれる。

 このようなアマゾンへの対抗策として小売店も自社サイトで迅速な無料配送サービスを進めざるを得なくなったわけだ。しかし、それには経費がかかるので、客自身に店舗へ受け取りにきてもらおうと考えたのが、O2Oの始まった理由だといわれる。

 店舗受け取りサービスが始まった理由が店舗側の経済的理由であったとしても、米国における同サービスは、日本で考える以上に消費者にとって便利なサービスなのだ。宅配便サービスは日本と違って細かい時間帯指定はできない上、配達時に不在だった場合、電話したらすぐに再配達してくれるということもない。再配達も2〜3回はしてくれるようだが、いずれも運悪く不在だった場合は、自ら配送センターまで取りにいくはめになる。従って、自分に都合のよい時間に、自分が選択した店舗に受け取りにいくほうがよほど便利なのだ。

●利益を圧迫する無料配送

 05年からプライム会員に無料で迅速な配送を始めたアマゾンは、毎年平均34%という驚異の売り上げ成長を続けていくが、営業利益率は04年の6%をピークにして、その後は下がり続け、11年には2%にまで落ち込んだ。小売業の利益率は米国でも低いが、それでもウォルマートは6%くらいを維持している。アマゾンの場合、売り上げ高の9%くらいだといわれる配送経費と物流センター構築への投資が負担になっているのだ。つまり、無料配送と迅速な配送は、売り上げ増には大きく寄与していても経費は確実にかかり、アマゾンの利益を圧迫しているわけだ。

 ファッション通信販売サイト、ZOZOTOWNを運営しているスタートトゥデイの前澤友作社長が「配送するにはそれだけ金がかかるのだ」と無料配送を支持する客を叱咤して炎上した事件があったが、怒る気持ちはよくわかる。アマゾンが無料サービスを提供しながら利益も伸ばしていればともかく、利益を出していない会社のまねなどしたくないと言いたくもなる。もっとも、アマゾン創立者のジェフ・ベソスCEOは、起業前にウォールストリートで働いていたため数字に強く、利益よりもキャッシュフローのほうが重要だと投資家たちに説いている。その言葉通り、アマゾンは営業利益が少なくても現金は常に潤沢に保有している。

 米国大規模小売業は、その後もリアル店舗の強みを生かすために、スマートフォン(スマホ)やタブレットといったモバイル端末の利用を進め、店舗の発信力を高めていった。これが第2段階だ。例えば、――日本の小売業でもやっていることだが――スマホにスーパーマーケットなどが提供しているアプリをダウンロードした客は、自分がいま現在いる場所から一番近い店舗に欲しい商品があるかどうか調べ、在庫を確認してからその店舗を訪れることができる。その際、事前に店内のレイアウトをチェックでき、該当商品がどこにあるか、棚の位置さえも調べることもできる。こういったサービスは消費者にとっては、それほど魅力あるものでもない。だが、次のようなサービスは大切だろう。

 例えば、目当ての商品を実際に手に取ってみたら色が気に入らなかった、あるいはサイズが合わなかった。そんなときには、店員がタブレット端末で、あるいは客が店内設置の端末で色違いやサイズ違いの在庫が他店舗にあるかどうかを調べ、場合によっては取り寄せてもらう、あるいは直接自宅に配送してもらうなどの選択ができる。

 こういったことを可能にするためには、在庫情報、つまりリアルタイムに更新される一元化された在庫データベースが存在しなくてはいけない。在庫データベースを構築した小売店は店舗のネットワーク化を進めることにより、アマゾンと少なくとも互角に戦えるプラットフォームを持つことになる。

●ラストマイル問題の解決方法

 そして、ここでオムニチャネル戦略の第3段階に入る。ラストマイルという用語を最近よく耳にする。もともとは電話などの有線通信サービス業で使われた言葉だ。幹線を構築するのは特に差し支えなくとも、一番経費がかかり問題となるのは、電話局(加入者局)から各家庭に線を引っ張るところにあるので、「最後の1マイル問題」という使い方をされる。同様に、ネット通販では物流センターまではよいとして、そこから客の自宅まで個別に荷物を配送するロジスティクスの問題が一番悩ましい。いかにして、あまり経費をかけずに、しかも早く届けられるかが成長のカギを握る。

 いま、ネット専業のアマゾンと大規模小売業とは、このラスト1マイルをめぐって戦いをくりひろげている。宣伝上手なアマゾンは、無線操縦する模型ヘリコプターのような「ドローン」を飛ばして、米連邦航空局の許可が下りれば15年中にも、物流センターから30分以内に配送するとPRしている。あるいは、都市部ではバイクを使って有料で1時間以内の配送、プライム会員なら無料の2時間配送テストも開始している。

 その一方で、大規模小売店はリアル店舗を使ってラストマイルの問題を解決しようとしている。Ship from Store(店舗からの出荷)だ。

 例えばウォルマートなら、Aさんが商品をウォルマートサイトで注文したとして、早く届けるためにはいくつかの選択肢がある。Aさんの自宅が物流センターから近ければ、そこから宅配業者を使って直接配送する。また、Aさんの自宅近くにX店舗がある場合、そのX店舗に在庫があればその日のうちに届けられる。ところが、あいにくX店舗に該当商品の在庫がない場合、次のような方法を取る。

(1)Y店舗からX店舗に届け、X店舗からAさん宅へ配送か、X店舗で受け取る
(2)Y店舗から直接配送
(3)物流センターから配送

 この3つの選択肢のうち、どれが最も安くかつ早くAさん宅に届けられるか、コンピュータが最適化分析をして1つの選択肢を指示してくれる。

 Ship from Store戦略においては、ウォルマートが4400店舗、メイシーグループ(メイシー、ブルーミングデール百貨店)が850店舗を物流拠点として、アマゾンの米国内に60以上ある物流センターと、コストとスピードで争っている状態だ。

 現在、ウォルマートの83の大型店舗スーパーセンターでは、ウォルマートサイトで注文された商品の5分の1を出荷しているそうだ。これに店舗に受け取りに来る客を含めると、ネット注文の半分は店舗受け取りか店舗出荷ということになるようだ。

 一元化された商品在庫データベースと最適化分析をしてくれるプログラムは、オンライン、店舗、コールセンター、カタログなど、あらゆるチャネルからの注文に対し、リアルタイム在庫、場所、注文状況を提供してくれる。在庫、物流コスト、人件費やサービスレベルなどを考慮して、どこから出荷すべきか決定してくれる。ウォルマートはこういったデータベース・プラットフォームを構築するのに4億3000万ドル(約510億円)投資したという。

 物流拠点としてのリアル店舗をネットワーク化することで、ネット専業のアマゾンに物流コストと配送速度で対抗しようというわけだ。しかし、このアマゾンとの競争において、リアルタイム在庫データベースの構築を進めている大規模小売業は、結果として小売業の3大ロス(損失)といわれる値引きによるロス、廃棄によるロス、そして販売機会ロスの減少を実現することになる。危機感がなければ、これほど厖大な努力や投資はできない。アマゾンの脅威が米国小売業のムダを排除し、利益の向上を生むといえる。

 オムニチャネルの本質は、店舗小売業が一元化されたリアルタイム在庫のデータベースを持つようになることにある。これは、小売業の利益を向上することに直接つながり、長年の小売業の悩みを解決してくれる。ネット専業と競争するなかで、店舗小売業の財務体質は頑強なものになっていくはずだ。

 考えてみれば、アマゾンが日本に進出した00年、書店は全国で2万3000店舗ほどあった。この書店と取次会社が協力して在庫のリアルタイム一元化を図り、朝注文したら当日の夕方には店舗で受け取れるというシステムを構築していたら、書店数が14年間で1万店近く減ることはなかっただろう。もっとも、タブレット端末も存在していなかった当時のIT環境では、無理だったと考えるのが妥当かもしれない。

●アマゾンの無料配送はいつまで続くか

 話は冒頭に戻るが、アマゾンは配送料無料サービスを、ずっと維持していくことができるのだろうか?

 アマゾンが利益も出さないのに積極投資を続けることができたのは、株価が高かったからだ。つまり、投資家たちがアマゾンの将来性を信じてついてきたことにある。「アマゾンは消費者利益のために投資家たちによって支えられている慈善団体だ」と揶揄したアナリストもいるくらいだ。だが、そんな投資家たちも20年間大して利益を出さない状況にはしびれを切らしているようで、14年に入ったころから株価も下がる傾向がみられる。

 アマゾンは、クラウドコンピューティングサービスや広告など他の収入が成長しているとはいえ、無料配送を続けていて利益が増大する見込みはあるのだろうか? そもそも、90年代後半にネット関連サービス企業が登場するとともに「無料」が当然のような風潮になってはいるが、この風潮は10年後も続いているだろうか? 言葉を換えていえば、無料のビジネスモデルは10年後も存続しているだろうか? 欧州では、フランスのようにアマゾンの無料配送を法律で禁止した国もある。また、グーグルやフェイスブックのように個人データに基づいて広告収入を上げるビジネスモデルへの反対も根強くある。

 筆者は、10年後に送料無料サービスがなくなっていたとしても驚かない。なぜなら、どの企業もやりたくないことを、アマゾン1社に引っ張られて仕方なくやっているだけだからだ。そのアマゾンが今後10年間、これまでの20年間と同じように利益を出さずに投資家を魅了し続けていられるとは思わない。株価が下がれば、配送料を有料化せざるを得なくなるだろう。また、消費者もタダでサービスが受けられるのに慣れてしまうことはよくない。タダより高いものはないのだ。結局、どこかで支払っていると認識すべきであり、どこで支払っているのかが明確になっていたほうがいい。

ルディー和子/マーケティング評論家、立命館大学教授


 

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