（ブルームバーグ）：ギリシャ政府は救済資金をプログラム終了予定の今月末以降も利用するため、融資延長の要請をユーロ圏の債権国に提出した。欧州中央銀行（ＥＣＢ）が流動性供給をめぐり圧力をかける中、資金枯渇を回避するためぎりぎりの模索を続けている。

申請の書簡は19日午前に提出された。ギリシャ政府の当局者が匿名を条件に述べた。ユーロ圏各国の財務省高官らがこの書簡を同日中に検証し、合意の余地がありそうならば20日にユーロ圏財務相会合が開かれる。

市場からの資金調達ができなくなっているギリシャ政府と同国の銀行にとって、ユーロ圏諸国からの救済資金とＥＣＢからの流動性供給が命綱。ギリシャ現政権は救済に付帯する条件に反対し、妥協を模索した過去10日間の交渉は不調に終わっている。
原題：Greece Submitted Loan Extension Request Amid ECB Pressure
（抜粋）

http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20150219-00000047-bloom_st-nb

http://jp.wsj.com/articles/SB1109655348939475438250458047111395052499
ギリシャ政府の姿勢は虚勢か
GABRIELE STEINHAUSER AND VIKTORIA DENDRINOU
2015 年 2 月 19 日 16:22 JST

アテネのアクロポリスの丘にはためくギリシャ国旗 Reuters
　ギリシャ政府関係者は17日夜、ユーロ圏諸国からの金融支援延長を求めることについて記者説明を始めるにあたり、言葉の定義を明確に理解するよう記者団に強く求めた。関係者の一人は「この要請は融資契約の延長を求めるもので、救済（を求めるもの）ではない」と強調した。
　高官らは、融資契約の延長により、ユーロ圏の救済基金である欧州金融安定ファシリティー（EFSF）からの最後の割り当てをギリシャが利用できるようになる、という意味だと説明した。だからと言って、ギリシャ政府が基本合意文書（MoU、ほぼ5年間にわたるギリシャの政策を規定した文書の法的名称）に列挙された「有害な」緊縮措置をすべて受け入れる必要がある、という意味ではないとも主張した。
　この違いへのこだわりを受け、一部の記者は戸惑った。チプラス新政権は、繰り返しだめだとされたにもかかわらず、無条件での融資を求めているのだろうか。それとも、「トロイカ（3頭立て馬車）」と呼ばれる欧州委員会と欧州中央銀行（ECB）および国際通貨基金（IMF）を単に「諸機関」とするのと同じで、見た目は新しいが中身は古いままという遠回しな言い方だったのだろうか。
　結局、実際には見た目も中身も古いままだった。
　なぜならば、支援の手を差し伸べる場合、「融資契約」を交わす必要がある。この書類は公式には「金融支援ファシリティー基本合意文書」（MFAFA）と呼ばれる。MFAFAは、ギリシャがEFSFから融資を受けるうえでの、金利や期間などの条件を定めている。また、そうした融資を分配できる「有効期間」も明確に定義している。
　2012年にギリシャとEFTFがMFAFAに調印した際、有効期間は14年12月31日とされていた。その後、昨年12月にはギリシャ前政権の求めに応じ、15年2月28日に期限を延長した。
　EUのある高官は「MoUの延長は、法的観点から筋が通らない」と指摘した。別の高官は「MoUに期限はない」と述べた。
　これはつまりギリシャが融資条件に署名せずに融資を受けることを意味するのだろうか。MoUはMFAFAにとって不可欠なので、そうとは言えない。たとえば、ギリシャのMFAFAには次のように記されている。
　この合意のもとでの金融支援の利用性と提供は、（別に定義する）特別条件枠のもとで入手可能な（別に定義する）ファシリティーに準ずるものも含め、別段定めのない限り、（1）受益加盟国がMoUの定める措置を順守し、（2）2011年7月12月の欧州連合（EU）の機能に関する条約（TFEU）126条9項および136条に基づくEU理事会の判断に沿ってECBと協力して欧州委が実施した定期評価の結果をもとに、受益加盟国が改革プログラムに沿っているか、理事会が決定時に定めた条件や理事会やMoUが定めた他の条件に従っているかを、保証人らが好意的に判断することを条件としている。
　ギリシャ政府が実際にMFAFAの延長申請について作業していることを、3人のEU高官が18日に認めた。そのうちの1人は「12月に起きたことと同じことだ」と語った。
　ギリシャ政府高官の一人は、MFAFAの延長を求めているかどうか明らかにせず、「実際にどのような条文草稿が含まれるか様子をみる必要がある」とし、「12月と同じ取り決めにはならないだろう」と語った。

　【アテネ】ギリシャは金融支援の6カ月延長を正式に要請した。政府高官が19日明らかにした。ユーロ圏財務省関係者が同日中に申請内容を検討する見通しだ。

　ギリシャとユーロ圏加盟国の代表はこの2週間、新たな金融支援の条件について交渉してきた。　

　ギリシャ政府高官は19日、「申請は送付された」と語った。

　現行の2400億ユーロ（約32兆6000億円）のギリシャ支援策は今月末で期限を迎える。欧州連合（EU）や国際通貨基金（IMF）の支援は5年にわたりギリシャを支え、苦境に立つ同国銀行部門の後ろ盾の役割も果たしてきたが、期限を過ぎればこうした機関からの融資がストップすることになる。

　今回の要請はまず19日にユーロ圏財務省高官による会合で検討、その後20日のユーロ圏財務相会合（ユーログループ）で協議されるとみられる。

　ユーログループ議長を務めるオランダのダイセルブルーム財務相もギリシャからの延長申請を受け取ったことを認めた。