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「ドイツはなぜ財政を均衡できたか」(EJ第3977号) Electronic Journal
http://www.asyura2.com/15/hasan93/msg/691.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 2 月 19 日 09:13:05: igsppGRN/E9PQ
 

「ドイツはなぜ財政を均衡できたか」(EJ第3977号)
http://electronic-journal.seesaa.net/article/414243190.html
2015年02月19日 Electronic Journal


 ところで、ドイツはなぜ財政均衡を達成できたのでしょうか。
また、フランスの現況はどうなのでしょうか。EUの2つの中心
国、ドイツとフランスの現状を探ってみることにします。
 既に述べたように、ドイツはITバブルの崩壊によって経済が
悪化し、2005年には失業率が10%以上とEU加盟国のなか
では一番高かったのです。当時ドイツは「ヨーロッパの病人」と
呼ばれるほど、一人負けの状態が続いていたのです。
 このドイツの苦境を救ったのはECBです。当時、EU加盟国
の経済はバブル気味であり、こういう時期こそ経済を引き締める
べきだったのですが、ECBはドイツを助けるためにあえて低金
利政策をとったのです。これでは、ドイツ以外の国はバブルが過
熱することになります。
 当時ユーロの為替レートは「1ユーロ=169円」と高水準で
推移しており、ドイツはEU圏外に輸出を伸ばすのは困難な状況
にあったのですが、ECBが低金利政策を取ってくれたおかげで
バブルに沸くEU圏内に貿易黒字を大きく拡大することによって
何とか危機を脱したのです。
 そして、2008年のリーマンショックでバブルが崩壊し、政
府の税収が減り、財政が悪化したのです。例によってEUは緊縮
財政を強行したので、EUの一部において、物価上昇率(インフ
レ率)がマイナスになってしまったのです。南欧諸国が軒並みマ
イナスになっています。これはデフレ状態です。
―――――――――――――――――――――――――――――
     ≪EU加盟国のインフレ率(対前年比)≫
       スペイン ・・・・・・ −0・5%
       ギリシャ ・・・・・・ −0・2%
       イタリア ・・・・・・ −0・2%
      ポルトガル ・・・・・・ −0・1%
―――――――――――――――――――――――――――――
 普通の国であれば、政府が国債を発行し、中央銀行が金利を抑
制するなどの景気対策が取れるのですが、EUの場合、共通通貨
であるし、金融政策はECBに委譲しており、財政政策も事実上
とれないのです。要するに、手も足も出せない状況です。
 実は、この状況はドイツにとってきわめて好都合なのです。ド
イツは2008年には既に不況から脱出していましたし、失業率
も4%台にまで下がっていたのです。これは、EU圏への輸出を
拡大して景気回復に成功したのです。
 デフレになると、民間の資金需要が低迷し、長期金利が下がり
ます。金利が下がると、国債利払いの支出を減らすことができま
すが、低金利の環境下で、GDPを伸ばすのは困難化します。と
くに名目GDPはなかなか伸びにくいのです。しかし、名目GD
Pは、税収とほぼ比例するので、伸ばす必要があります。
 ところで、名目GDPは支出面で見ると、次の式であらわすこ
とができます。
―――――――――――――――――――――――――――――
 名目GDP=民間・政府の消費+民間・政府の投資+純輸出
―――――――――――――――――――――――――――――
 デフレになり、ましてEU全体で緊縮財政をとっているので、
「民間・政府の消費」、すなわち内需も、「民間・政府の投資」
も当然のことながら低迷します。こういう状況で名目GDPを伸
ばすには、「純輸出」を伸ばすしかないのです。純輸出とは次の
式であらわすことができます。
―――――――――――――――――――――――――――――
          純輸出=輸出−輸入
―――――――――――――――――――――――――――――
 ドイツの場合、日本と同様に輸出すべき工業製品を多く持って
おり、しかも対外債権国家であって、海外資産を豊富に持ってい
ます。そのため、純輸出は大幅な黒字になり、名目GDPの増大
に貢献することになったのです。
 もともとドイツはEUの加盟国であり、最大市場であるユーロ
圏に対しては、為替レートの変動や関税などのリスクなしに輸出
を拡大することができるのです。実は、これにもうひとつ、ドイ
ツの経済成長に影響する重要な要素があるのです。それは当時の
史上まれにみるユーロ安です。
 ちょうどギリシャなどの南欧諸国の危機が深刻化し、ユーロは
一時的に「1ユーロ=100円」を割り込むところまで下落して
いたのです。つまり、ドイツは最大市場のユーロ圏に対しては有
利な条件の下で輸出攻勢をかけることができるのに加えて、折か
らのユーロ安で、ユーロ圏以外の国に対してもユーロ安の恩恵を
生かして輸出を拡大することができたのです。
 このようにしてドイツはデフレ下にもかかわらず、ユーロ圏内
外に輸出を拡大して名目GDPを伸ばし、財政均衡を実現させた
のです。それは同一通貨のユーロ圏という特殊な経済圏があって
初めて可能なことであったのです。これについて、経済評論家の
三橋貴明氏は次のように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 経常収支黒字国が黒字幅を拡大したとき、必ず反対側に赤字を
拡大させた国がある。ドイツの経常収支が黒字化したぶんを赤字
として引き受けたのが、スペイン、イタリア、ギリシャ、ポルト
ガルといったユーロ圏の南欧諸国、それにフランスだった。
 ドイツが南欧諸国などで稼いだ所得(貿易黒字)は、現地の不
動産バブルに投資された。結果的に、ドイツは南欧への輸出を拡
大し、南欧諸国は不動産を中心とする投資を拡大するかたちで、
ユーロ経済は全体的な成長を達成できたのである。貿易黒字であ
ろうが、不動産投資(GDP上の民間住宅)であろうが、GDP
を拡大させるという点では、なんら変わりはない。
                ──三橋貴明著/徳間書店刊
       『2015年/暴走する世界経済と日本の命運』
―――――――――――――――――――――――――――――
            ─── [検証!アベノミクス/59]


≪画像および関連情報≫
 ●減速するドイツ経済/財政均衡よりインフラ整備を!
  ―――――――――――――――――――――――――――
  ドイツはここ数年間、低迷する欧州経済の中で例外的に輝い
  ていた。ところがここに来て突然、頑丈なはずの同国がトラ
  ブルに陥っている。今年4〜6月期(第2四半期)にはGD
  P(国内総生産)が前期比マイナスとなった。そしてさらに
  恐ろしいデータが相次いで発表されている。8月の鉱工業生
  産及び輸出高は急落。欧州経済研究センター(ZEW)が発
  表した、投資家心理を示す独景況指数(ZEW指数)はほぼ
  2年ぶりの最低水準となった。ドイツ経済は恐らくリセッシ
  ョン(景気後退)に入ったのだろう。これらの弱い経済指標
  を見て、ドイツ国外の多くの人々は強い懸念を抱いている。
  だが国内の反応は冷静で無関心だ。ドイツ政府は10月14
  日、2014年の成長率見通しを1・8%から1・2%に、
  2015年の見通しを2%から1・3%に下方修正した。た
  だし、来年に財政均衡を実現するという長年の目標は維持し
  ている。シグマール・ガブリエル経済相は、「成長鈍化は大
  変動ではない」と述べ、「経済政策を変更しなければならな
  い根拠はない」とした。政治的に見れば、この立場には明白
  な根拠がある。2015年に政府債務をゼロにすることは、
  アンゲラ・メルケル首相の選挙公約の中核だった。公約を忠
  実に実行することは、ドイツの有権者にアピールする。彼ら
  は債務を危険で効果がなく、恐らく道義に反するものと考え
  ている。            http://nkbp.jp/1AH2Q0y
  ―――――――――――――――――――――――――――



 

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コメント
 
01. 2015年2月19日 09:20:15 : nJF6kGWndY

>ECBが低金利政策を取ってくれたおかげでバブルに沸くEU圏内に貿易黒字を大きく拡大することによって何とか危機を脱した

低金利にすれば常に輸出が増えるわけではないし

ましてや財政均衡が達成できるわけではないのは過去の日本を見れば明らか

せめてドイツなどの労働改革や社会保障改革を勉強すべきだな



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