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世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第113回 ピケティ論争(週刊実話)
http://www.asyura2.com/15/hasan93/msg/727.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 2 月 20 日 13:08:05: igsppGRN/E9PQ
 

世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第113回 ピケティ論争
http://wjn.jp/article/detail/9150755/
週刊実話 2015年2月26日 特大号


 アメリカなどで大ベストセラーとなったフランスの経済学者トマ・ピケティの『21世紀の資本』が我が国でも話題になっている。

 『21世紀の資本』は極めて分厚い本なのだが、実はピケティはほとんど一つのことしか言っていない。

 すなわち、
 「r(資本収益率)がg(経済成長率)を上回ると、持続不可能な格差を生み出す」
 である。

 どういうことか。

 g(経済成長率)とは、もちろんGDP成長率のことだ。そして、GDPとは、
 「生産者が働き、付加価値(モノ・サービス)を生産し、消費・投資として誰かが支出(購入)したとき、所得が生まれる」
 という、所得創出のプロセスと密接なかかわりがある。

 GDPは国内の所得創出のプロセスにおける「生産」の合計であり、同時に「支出」「所得」の合計でもあるわけだ。

 生産面、支出面、所得面のGDPは必ず同額になる。これを、GDP三面等価の原則と呼ぶことは、本連載で何度か解説した通りだ。

 すなわち、gとは国民が「労働」により獲得する所得の増加率を示しているわけである(厳密には実質GDPの成長率)。

 それに対し、rは投下された資本の収益率だ。ピケティは、日米英独仏など先進国のデータを過去数百年(!)に渡り遡って分析し、資本主義の社会ではほとんどの時期で「r>g」が成立していることを発見したのである。

 ピケティは過去の平均を見ると、資本収益率が4%程度に落ち着き、先進国の経済成長率は1.5%ほどになることを実証した。

 言い換えれば、資本主義とは政府が累進課税などの所得分配政策を採らない限り、社会は「持続不可能な格差」の状況に向かわざるを得ないというわけである。

 また、「r>gが継続し、格差が持続不可能な状況になっていく」ということは、富裕層を優遇すると、投資等でお金が国内に滴り落ち(トリクルダウン)、国民経済全体が潤うというトリクルダウン理論は成立しないことになる。

 筆者は以前から、最近のアメリカなどのデータに基づき、トリクルダウンが成り立たないと主張してきた。ピケティは、“歴史的にも”トリクルダウンが発生しないことを証明してしまったのだ。

 ゆえに、ロナルド・レーガン政権以降のアメリカなどで推進された富裕層減税、法人税減税などの「強者優遇政策」の正当性は失われた。

 富裕層や法人に減税をしたところで、国民経済の成長には貢献せず、国内の所得格差拡大を招くだけなのだ。必要なのはむしろ「所得税の累進性の強化」になるわけである。

 最近の日本の状況を見ると、'90年代後半から「r>g」の状況に陥っていることがわかる。「持続不可能な格差」が開いていく構造になっているのである。

 しかも、日本はまさに'90年代後半('98年)から、経済成長率が落ち込むデフレーションの時代に突入した。

 デフレ下では、「r>g」どころか、gが全く増えなくなる。さらに、物価の下落率以上のペースで給与所得が下がり、実質賃金が継続的に減っていくため、国民はどんどん貧困化していく。

 国民が貧困化する反対側で、我が国では橋本龍太郎政権、小泉純一郎政権により各種の構造改革が実施された。「金融ビッグバン」「持ち株会社解禁」「派遣労働解禁」「会社法制定」などなど、「株主中心主義」への転換が行われたのである。

 その上、法人税は減税されていき、所得税の累進性も弱まっていった。加えて、低所得者層の負担は重く、「逆累進性」がある消費税の税率が引き上げられた。

 結果、我が国の「一億総中流」という“強み”は失われてしまった。

 '05年頃を思い出してみて欲しい。

 当時は、やたらと「時価総額経営」という意味不明なコンセプトが尊ばれていた。株価が高かろうが低かろうが、本業とは関係がないはずなのだが、
 「株価が高いことが、いいことだ」
 という考え方が社会に広まり、経営者は「株価を引き上げるための経営」を迫られた。

 その結果、短期的な利益を追求し、正規社員を非正規に切り替え、労働分配率が下げられた。逆に、配当性向は継続的に高まっていったのである。

 我が国は「r>g」になっている状況で、rをさらに高めることを続けたことになる。これで社会が不安定化しなかったら、そちらの方が不思議だ。

 「r>g」は、最近の株価と実質賃金の動きからも確認することができる。

 昨今の日本では日経平均が上昇する反対側で、クロスする形で実質賃金が落ちている。

 実質賃金という所得の上昇率を(キャピタルゲイン=債券や株式など資産の価格の上昇による利益=を含む)投資利益率が上回っているのだ(実質賃金は上昇どころか、中期的に下落しているが)。

 ピケティ・ブームの影響を受けたのか、安倍晋三総理は2月2日の参院予算委員会で「トリクルダウン理論」について、「我々が行っている政策とは違う」と否定した。

 とはいえ、安倍政権の金融政策偏重のデフレ対策や、成長戦略という名の「構造改革」、法人税減税と消費税増税の組み合わせは、明確に「トリクルダウン」の政策だ。

 安倍政権が現状の経済政策の舵を大きく変えない限り、総理は「日本の格差を持続不可能なまでに拡大した」政治家として、歴史に悪名を残すことになるだろう。

三橋貴明(経済評論家・作家)
1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、わかりやすい経済評論が人気を集めている。

 

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コメント
 
01. 2015年2月20日 13:54:06 : sfEUUsA9cQ
トリクルダウン理論で、「富める者が富め ば、貧しい者にも自然に富が滴り落ちる(トリクルダウンする)」と言い、通貨供給や公的支出や民間支出先の行きつく先を「富めるもの」になるようにすれば、やがて富める者からそうでない者へお金は回る・・・なーんて事はなかった。
富める者は強欲だから流れ込んだお金を自分のものにしたり隠したりして、流れ込んだ分のうちの極僅かしか「下々(しもじも)」には流さない。或は海外に持ち去ったから庶民の生活はますます悪くなりつつある。
しかしピケティ氏の理論にも、日本では当てはまらない点がある。
それは不動産資産の価格定義。
仮に日本で2000万円の住宅を所有していても、地震、津波、台風、浸水などの自然災害、塩害による錆などで建物の損傷が早いから、これらの損傷に対する維持費や建替えなどが実質「自然からの課税」になっている。
フランスなどろくな耐震でもない石造りで何百年も持つ不動産はこう言う「自然からの課税」がない。
それを世界一律にして統一された資産課税などしたら、自然の脅威、特に地震や津波の多い国は不利。
実質資産課税がフランスなどに比べて数倍になりうる。
それと相続税の違いもある。
欧州の人は欧州に有利な世界標準しか提唱しないのでは?
当然かもしれないが。

02. 2015年2月20日 22:07:07 : 7YLICOqyEo
だからアベコベノミクスであり、イチブダケノミクスであり、ゴマカシノミクスなのだよー所詮は!

03. おじゃま一郎 2015年2月21日 11:07:13 : Oo1MUxFRAsqXk : JWMAoqx6EI
>実質「自然からの課税」になっている。

これは損害保険のissueであり、マクロ経済学の議論ではない。

日本人は保険の概念が乏しく保険をかけない場合が多い。
日米を比較すると、3.11の地震津波で家屋が破壊されても
保険をかけていない場合が多かった。

2005年米国の南部でおきたカトリーヌ台風で多くの家屋が
破壊されたが多くの人は民間の損害保険に入っており
被害者の損害負担は少なくてすんだ。


04. 2015年2月21日 11:14:08 : EmlyqzO1DE
安倍は、既に悪名高い総理大臣になっている。
戦争国家へと舵を切り、歴史上の悪魔の領域に突入し始めた。
辞めさすには,倒閣しかないようです。
国民が手をつないで、阻止するしかないようです。

全く、アメリカ・金融資本家=ユダヤの操り人形だわ。


05. 2015年2月21日 15:52:29 : EC4VPsANbc
01です。
03さんの
>これは損害保険のissueであり、マクロ経済学の議論ではない。
日本人は保険の概念が乏しく保険をかけない場合が多い。
日米を比較すると、3.11の地震津波で家屋が破壊されても
保険をかけていない場合が多かった。

ですが、自然災害の大きい、高い地域ほど地震保険などの掛金は高いですよ。
因みにたとえばソーラー発電ですが、津波危険エリアの県だと保険に入れてくれる事すら出来ない保険会社も多いです。
車だって無事故の人と事故経歴がある人では保険の掛金が大きく違いますよね。
それだけ掛金が多くて出費、つまり実質固定資産税になってたり、保険に入れずにリスクを自分自身で背負わないといけない、と言う事はその分を資産査定にマイナスで入れないといけません。


06. 2015年2月21日 19:11:33 : W1ULAU6lcc
正義を守れない 司法と 偽の国 日本の姿を 良く見ることです 刻印される 日本の不幸が これから始まる  司法が変われば 日本が変わる。

07. 2015年2月22日 10:25:40 : RQpv2rjbfs
既に得てしまった優位な立場を誰も捨てることはできない、全身全霊を賭けて守るだよ。

規模が大きくなるほど有利な事業は多い、自動車も半導体も規模が大きくないと成り立たない、例えば日本で誰が新たに自動車会社を立ち上げようとするだろうか。

生産する商品やサービスは国際化しているので、独占規制しようとすると規制していない他国に負けてしまう、韓国が強いのは財閥がやりたい放題だからだ、その意味で規制を撤廃したのは国民には良くないことかもしれないが止むにやまれぬ事情もあったのだ。

規制の網は企業が立地する全ての国で共通して実施しなくてはならない、難しいことだろうが生産や労働の対価や利益は誰もが享受できる世界でなくてはならない。グローバリズムはそうあるべきだ。


08. 2015年3月01日 14:20:33 : GPR7gVpa7M
三橋貴明に○されるな


統一教会のダミー団体「世界戦略総合研究所」
http://poligion.wpblog.jp/sekaisoken/

生長の家「青年真志塾」と新興宗教コネクション
http://poligion.wpblog.jp/shinshizyuku/

「世界戦略総合研究所」関係者の素性
http://poligion.wpblog.jp/sekaisoken/insider/から一部引用

安倍と小林のツーショットは「(旧)青年真志塾」という団体が2011年12月6日に開催したイベント(●12・6特別合同イベント)で撮られた写真。下もその時のもので集合写真 の 左手前が小林幸司、下村博文と衛藤晟一もいる。安倍の斜め後ろは塾幹事長で、後に『約束の日 安倍晋三試論』を上梓する小川榮太郎。ちなみに、この塾の塾長は新興宗教団体・生長の家の幹部で神谷光徳という人物。なお、衛藤晟一も生長の家の信者。総 理大臣主催の「桜を見る会」にも招待されている。

(ツーショット画像)

●生長の家「青年真志塾」と新興宗教コネクション
http://poligion.wpblog.jp/shinshizyuku/#126から一部抜粋


●12.6特別合同イベント

真志塾の第16回月例会は●安倍晋三を講師に迎え特別イベントとして開催された。共催団体については後述。

✵青年真志塾−拡大月例会(特別合同イベント)

強い「経済」、美しい国「日本」

☆第1部:講演&シンポジウム
日時:平成23年12月6日(火)18:00 開演(受付 17:30〜)
場所:永田町 星陵会館ホール(定員400名)
東京都千代田区永田町2−16−2
会費:2000円 〔完全チケット制〕(下記※参照)
(当日:3000円)

基調講演:
● 第90代内閣総理大臣 安倍晋三先生

その他出演の皆様:
 ・長谷川三千子先生(埼玉大学名誉教授、哲学者、評論家)
 ・潮 匡人氏(軍事評論家)
 ・上念司先生(経済評論家)
特別ゲスト
● ・三橋貴明先生(経済評論家)

他ゲスト交渉中
※当日の出演者は変更になる場合がございますのでご了承ください。

☆第2部:懇親会(※限定120名 申込み先着順) 満員御礼!!
時間:20:20頃 開宴
場所:星陵会館内 4階「レストラン シーボニア」
会費:5000円〔完全チケット制〕(下記※参照)

○主催:日本経済人懇話会 青年真志塾
○共催:世界戦略総合研究所、「建て直そう日本」女性塾、インテリジェンス・アカデミー、my日本、日本経済人懇話会

青年真志塾 » Information http://shinshizyuku.upper.jp/?page_id=11


同イベントのチラシ。
(安倍首相の大写しポスター)

[32削除理由]:削除人:無関係


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