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中国にまで及んだ「債務中毒」 アルゼンチンの政治:沈黙の行進と国民の怒り
http://www.asyura2.com/15/hasan93/msg/837.html
投稿者 eco 日時 2015 年 2 月 26 日 11:07:34: .WIEmPirTezGQ
 


中国にまで及んだ「債務中毒」
2015年02月26日(Thu) Financial Times
(2015年2月25日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

行ってみたい世界の電波塔ベスト8
中国は信用中毒の次の犠牲者になるのか(写真は上海の夜景)〔AFPBB News〕

 バランスシートは重要だ。これこそが、世界経済に影響を及ぼしてきた先の金融危機の最大の教訓だ。

 バランスシートの変化は経済のパフォーマンスを左右する。楽観主義と悲観主義の自己成就的なサイクルの中で貸し出しが変動するためだ。

 世界経済はすでに信用中毒に冒されている。次の犠牲者は中国かもしれない。

世界経済のバランスシートに関する4つの疑問

 今日の世界経済のバランスシートについて考えていくと、4つの疑問が浮上する。脆弱性を引き起こすものは何か。脆弱性がいま顕在化しているのはどこか。世界の国々は以前の債務危機の遺産にどう対処しているのか。世界経済は新たな脆弱性に対処できるのか、という疑問だ。

 では、脆弱性の発生源から考えてみよう。金融セクターが統制されていない国々では、公的セクターの分別のなさが危機の原動力になることよりも、民間セクターの軽率さが原動力になることの方がはるかに多い。

 信用供与ブームは、不動産価格の上昇と不動産向け貸し出しの拡大によって生じることが多く、公的セクターのバランスシートが劣化するのは、危機が生じた後であるのが普通だ。

 この民間セクターのやり過ぎと公的セクターの借り入れとのつながりを認識しない人がいるとしたら、それは認識できないふりをしているにすぎない。

 コンサルティング会社のマッキンゼーがまとめた債務とデレバレッジ(債務削減)に関する調査リポートの改訂版によれば、米国、英国、スペイン、アイルランド、ポルトガルの5カ国の家計部門では、2000年から2007年にかけて所得に対する債務の比率が3分の1以上も大きくなっていた。5カ国はすべて、その後債務危機に見舞われている。

 実際、ほかの危機を見ても、発生する前に民間セクターへの貸し出しが大幅に増加していたケースは多い。1982年のチリの危機は、両者がつながっていることの重要な一例だ。

 モルガン・スタンレーのルチル・シャルマ氏によれば、これまでに生じた信用供与ブームのうち最も勢いの強かった30件はすべて景気後退に至っており、危機に発展したケースも多いという。

 ここでは、債務残高の水準よりも、その国内総生産(GDP)比の変化の大きさの方が重要になる。これは、債務が多くても上手に管理できる社会とそうでない社会があるためでもあり、貸し出しの急増が貸し出し基準の急激な低下と関係することが多いためでもある。

 従って、新たな脆弱性がどこで生じているかを見つけるためには、民間の債務が急増している国を探す必要がある。この点で突出しているのが中国だ。

中国の信用ブームの気がかりな特徴

 中国では、企業および家計の債務残高のGDP比(%)が2007年から2014年にかけて70ポイント上昇している。金融セクターの債務を加えればこの上昇幅は111ポイントに拡大し、政府の債務まで加えれば124ポイントになる。

 中国の大規模な信用供与ブームには気がかりな特徴がいくつかある。第1に、債務の増加分の大半が不動産セクターに集中している。第2に、マッキンゼーによれば、債務残高の30%は「シャドーバンキング」(正規の金融機関のバランスシートではないところで実行される貸し付けのこと、影の銀行)が占めている。

 第3に、借り入れの大半は、地方政府がオフバランス*1にしている事業体によって行われている。そして第4に、債務の急増はそれに見合ったトレンド経済成長率の上昇にリンクしておらず、むしろその低下にリンクしている。

 こうした特徴があることは、中国が制御不能な金融危機を経験する公算が大きいことを意味するものではない。それどころか、中国政府は危機の封じ込めに必要な道具をすべて手にしている。

 しかし、これらの特徴は、需要における経済成長エンジンのスイッチが近々切られることを意味している。景気が減速するにつれ、多くの投資計画が再考を余儀なくされることになるだろう。その発火点は不動産セクターかもしれないが、火の手がそこだけにとどまることはない。

 投資がGDPの50%近くを占める経済だけに、需要の(そしてGDPの)下降は予想をはるかに上回る厳しいものになるかもしれない。

*1=関係があるにもかかわらず自らのバランスシートに載せないこと

 では、2007年以降に大変な危機に苦しめられた国々の状況を振り返ってみよう。マッキンゼーによれば、デレバレッジが全般的に進んでいる国は1つもない。

 確かに、金融以外の民間セクターでデレバレッジが進んでいる国は米国、英国、スペインなどいくつかある。このうち、英国とスペインはともかく、米国では金融セクターのデレバレッジもかなり進んでいる。

 しかし、これら3カ国では、民間セクターの債務残高の減少幅よりも政府の債務残高の増加幅の方が大きくなっている。マッキンゼーの調査によれば、債務残高のGDP比はイスラエルを除くすべての高所得国で大きくなっている。

 おまけに、多くの高所得国では民間セクターの債務ですら増加し続けている。カナダとフランスはその好例だ。

公的セクターの債務増加にも限界

 危機が発生した後に、民間セクターに代わって公的セクターが借り手になることは理にかなっている。ほぼ永久的に借り手である公的セクターは、過剰な借り入れを行っていた民間よりも信用力がはるかに高い場合がほとんどだ。とはいえ、公的セクターの債務の増加にも何らかの限度は間違いなく存在する。

 また、以前であれば、危機の直後に公的セクターの債務を膨らませた国が、債務に頼らない経済成長を輸出によって成し遂げることも可能だった。しかし、世界の大部分が過剰債務と格闘している今日においては、この戦略は広く利用できるものではない。

 今日では多くの国々において、金融抑圧、マネタイゼーション、インフレ、そして債務再編といった手法が組み合わされて使用されることが確実であるように思われる。経済成長のスピードが速くなればなるほど、そのような結果に至る公算は小さくなる。人口動態と債務の多さを考えれば、日本が抱える課題は特に困難だ。

 もっとも、これは長期の話だ。これよりも差し迫った問題は、資産価格の上昇を糧とする大規模な信用供与ブームを演出できる(あるいは、演出してもよいと考えている)大国が世界からついになくなってしまったら一体何が起こるのか、というものだ。

 例えば、世界経済の成長は、多くの人々が望んでいるペースより大幅に遅くなってしまうかもしれない。あるいは、先週論じたように、信用バブルの災禍から立ち直りつつある国々がまた新たなバブルに引き寄せられてしまうかもしれない。その候補として思い浮かぶのは米国と英国だ。両国が実際にそうなれば、間違いなく悲惨なことになるだろう。

新たな経済運営法を必要とする世界

 世界はいま、債務の制御不能な増加を招かずに需要を下支えする、経済の新しい運営方法を強く必要としている。もし債務の増加による痛みが中国を襲っているのであれば、すべての大国がこれに冒されてしまったことになるだろう。

 債務が膨張し続けていることから、この痛みはさらに広がっていく公算が大きい。抜本的な改革を行わなければ、世界経済は、脆弱なバランスシートを作ることに依存してしまうことになる。これに代わる、もっと優れたやり方はいくつか想像することができる。しかし、それらはまだ選択されていない。これらを選択しなければ、危機はまたやって来る。

By Martin Wolf
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43023

アルゼンチンの政治:沈黙の行進と国民の怒り
2015年02月26日(Thu) The Economist
(英エコノミスト誌 2015年2月21日号)

行進に参加した人たちは検察官の死の真相を求めているが、事の真相は政治的な戦いの犠牲になるかもしれない。

検察官の不審死めぐり数万人がデモ、アルゼンチン首都
2月18日、アルゼンチン・ブエノスアイレスで行われたアルベルト・ニスマン検事を追悼する「沈黙の行進」に参加した人たち〔AFPBB News〕

 アルゼンチンの抗議行動は通常、鍋を叩き、ドラムを鳴らし、スローガンを叫ぶ音が鳴り響く騒々しいイベントだ。だが、2月18日の大規模な行進は、沈黙に近い状態の中で行われた。

 行進は、アルゼンチン最悪のテロ行為に対するイランの関与の隠蔽を図ったとして同国大統領を告発した検察官、アルベルト・ニスマン氏の死から1カ月後に行われた。およそ40万人の人が、雨が降りしきる中で議会からニスマン氏の元オフィスへ、さらに大統領宮殿へ向かって行進した。

ナゾの死を遂げた検察官の追悼

 参加者たちは、自宅浴室で銃で撃たれて死亡しているのが見つかったニスマン氏と、1994年にブエノスアイレスで起きたユダヤ人協会本部ビル爆破事件の犠牲者85人のために「真相」と「正義」を求めるプラカードを掲げていた。

 亡くなった同僚に敬意を表する行進を組織した連邦検察官は、自分たちの抗議が政治を超越することを望み、沈黙を呼びかけた。それは考えが甘かった。

 ニスマン氏は、クリスティナ・フェルナンデス・デ・キルチネル大統領を犯罪で告発していた。行進の参加者の中で特に目立った著名人は、大統領を最も激しく批判していた人たちだ。その中にはマウリシオ・マクリ氏とセルジオ・マサ氏も含まれていた。両氏は今年行われる大統領選挙でフェルナンデス氏の後を継ぐ有力候補だ。

 行進には農家のロビー団体も参加した。農家ロビー団体は農業税を巡ってフェルナンデス氏と衝突し、2008年に大統領が失脚しかけた。抗議行動の責任者である検察官数人は、フェルナンデス氏と、前任の大統領で2010年に死去した夫のネストル・キルチネル氏の汚職疑惑の捜査を率いていた。

 不用意なフェルナンデス氏が政治的な熱気を煽ることになった。「我々は自分たちの歌、自分たちの喜び、そして『祖国万歳』のスローガンを守り続ける」。2月11日に同氏はこう宣言した。「彼ら(行進の参加者)は好きに沈黙すればいい」。追悼されている悲劇を考えると、フェルナンデス氏の発言は控えめに言っても無神経だった。

 大統領の報道官は、集会は「司法クーデター」の一環だと述べた。一部の検察官は麻薬密売と関係していると、ある大統領側近は示唆した。この側近はさらに奇怪なことに、検察官たちはユダヤ人協会本部ビル爆破事件の捜査を妨害しようとした反ユダヤ主義者だと付け加えた。

 辛辣な批判の応酬が示しているように、爆破事件とその捜査を取り巻くナゾは、有害な内部対立の一環だ。大統領は、政府の他機関――特に司法と諜報機関――と対立しており、それらの機関内部の派閥が互いに対立しているのだ。

 「検察が正義を確保する責任を負っている時に、なぜその検察官が行進しているのか戸惑う人もいるだろう」。ブエノスアイレスにあるトルクァト・ディ・テラ大学のアレハンドロ・ボンベッキ氏はこう話す。

 その答えは、一部の検察官がフェルナンデス氏と対立しているからだ。そして彼らは大半のアルゼンチン国民と同じくらい、ニスマン氏の死を取り巻く状況と、もしあったとすれば、爆破事件の真実隠蔽で大統領が担った役割が説明される日が来ることに懐疑的なのだ。

世論を二分する大統領

前ファーストレディーがアルゼンチン初の女性大統領に就任
2007年12月10日、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスの国会議事堂で行われた就任式で、夫であるネストル・キルチネル前大統領(左)から政権を象徴する職杖を引き継ぐクリスティナ・フェルナンデス・デ・キルチネル大統領〔AFPBB News〕

 2007年に夫の後を継いで大統領に就任したフェルナンデス氏は、通常は大統領の管轄権外で活動する政府機関を支配下に置こうとした。

 政府の支出を賄うために中央銀行の準備金を奪い、国家統計局に圧力をかけてインフレ統計を改竄させ、自身の政権に批判的なメディアを解体しようとした。

 フェルナンデス氏は決して、高圧的に振る舞った唯一のアルゼンチン指導者ではない。20世紀初頭に大統領として近代化を進めたイポリト・イリゴージェン、ポピュリストのフアン・ペロン、1976年から1983年にかけてアルゼンチンを支配した軍事独裁者らは皆、独立した機関を大統領の意思に従わせようとした。

 独裁体制が終わった時、民主的に選出された指導者たちは、司法府の独立性をある程度回復させ、軍事政権を擁護する大物をパージした。だが、民主主義が復活して以来、最も世論を二分する指導者となったフェルナンデス氏の指揮下で、この進歩が反転した。

 同氏はある集会で「Vamos por todo(一か八かすべてを賭けるの意)」と述べたことで知られている。それが彼女の非公式のモットーになった。

司法および諜報機関との確執

 ニスマン論争の中心に位置する司法と諜報機関については、フェルナンデス氏は部分的にしか成功しなかった。2013年、フェルナンデス氏に不利な司法判断が相次いだ後、同氏は裁判所を大統領の影響力の下に置く措置を導入した。最も物議を醸す措置は最高裁によって却下されたが、この試みは多くの裁判官を怒らせた。

 検察官は割れている。アルゼンチン検察のトップである検事総長は大統領の盟友だ。一方、行進を組織したのは、大統領の影響力を拒否する検察官たちだ。

 フェルナンデス氏は諜報機関にはもっと説明責任が必要だと考えている。それは正しい。だが、同氏は説明責任を要求する立場にない。何しろ、キルチネル夫妻の大統領在任期間の大半を通じて、諜報機関SIは彼らの政敵にスパイ行為を働いてきた。

 フェルナンデス氏が2013年に突如イランを受け入れ、ユダヤ人協会本部ビル爆破事件を調べる「真実委員会」を立ち上げる共同合意を発表したことは、爆破事件へのイランの関与を暴くことに尽力してきた多くのSI職員を怒らせた。

 フェルナンデス氏は、ニスマン氏の告発文書の基礎となった大統領に対する虚偽の疑惑はスパイがでっち上げたものだと話しており、悪徳工作員がニスマン氏を殺した可能性があると考えている。フェルナンデス氏は今年1月、SIを解体し、新たな連邦諜報機関を創設する法案を提出した。

 爆破事件とニスマン氏の死に対する捜査の責任を負うさまざまな機関同士、また各機関内の分裂のせいで、どちらの事件も解決されない可能性が高い。

 独立志向の検察官にはその意志があるが、「自分たちに必要な手段がないと感じている」とボンベッキ氏は言う。同氏によると、検事総長と司法の全面的な支持がなければ、「彼らは必要な情報や保護が得られない」という。

 2月13日、連邦検事はニスマン氏による告発の捜査を継続することを決めた。証拠が十分強力だと裁判官が判断すれば、その後、正式に立件される可能性がある。

 大統領在任中にフェルナンデス氏を訴追できるのは議会だけだ。10月の大統領選挙の後、同氏は南米南部共同市場(メルコスール)の疑似立法府であるメルコスール議会の選挙に出馬することで訴追免除を図るとの憶測が飛んでいる。

アルゼンチン国民の怒り

 アルゼンチンは、司法を強化し、諜報機関をコントロールしつつ、両機関を政治化しない大統領を必要としている。司法の独立性に関する世界経済フォーラム(WEF)のランキングでは、アルゼンチンは144カ国中127位という冴えない順位につけている。

 フェルナンデス氏の後を継ぐ有力候補は、誰も熱心な改革派に見えない。ブエノスアイレス大学の社会学者、リリアナ・デ・リス氏は「個性重視の政治を控えそうな人はまったく見当たらない」と嘆く。

 もしそうだとすれば、アルゼンチン国民は今後も怒り続けることになるだろう。それも恐らく、常に沈黙の中で怒るとは限らない。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43019
 

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コメント
 
01. 2015年2月26日 15:55:37 : niiL5nr8dQ

中国が新スローガン「4つの全面」推進、改革や法の支配強調
2015年 02月 26日 15:36 JST
[北京 26日 ロイター] - 中国は3月に開催される全国人民代表大会(全人代、国会に相当)を前に、習近平国家主席が提唱するスローガン「4つの全面」の推進に力を入れ始めた。

26日付の共産党機関紙・人民日報は1面で論説を掲載したほか、国営テレビや共産党傘下の報道機関も取り上げている。

4つの全面は、1)やややゆとりのある社会の建設、2)改革の推進、3)法の支配の強化、4)党の綱紀粛正を「全面的に」進めていく方針を掲げている。

中国の最高指導者では元主席の胡錦濤氏が「科学的発展観」、江沢民氏が「三つの代表」を提唱した。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0LU0EH20150226

原油安は政策の問題にならず、物価基調押し上げ=石田日銀委員
2015年 02月 26日 12:50 JST
[横浜市 26日 ロイター] - 石田浩二日銀審議委員は26日、横浜市内で講演し、原油価格の下落を受けて物価上昇率の鈍化が続いているが、目標の2%程度に上昇していく道筋が見えているのであれば、金融政策運営の問題にはならない、との見解を示した。そのうえで、物価の基調的な動きを見る場合、当面はエネルギー価格の寄与度を踏まえて評価していく必要があるとした。

<物価の基調、当面はエネルギーの寄与度踏まえ評価>

石田委員は、昨年夏場以降の急速な原油価格と金融政策運営の関係について、原油安を受けて消費者物価(生鮮食品除く)の前年比上昇率の鈍化が続いているものの、「原油価格の下落は、やや長い目で見れば、景気刺激効果を通じて物価への基調的な押し上げ要因になる」と説明。そうした中でも、家計や企業の中長期的な予想物価上昇率は「安定的に推移している」とし、今後、物価が2%程度に向けて再び上昇していく道筋が見えていれば、原油価格の下落が「政策運営上、特に問題になることはない」との見解を示した。

もっとも、原油価格の大幅な変動で「消費者物価の基調的な動きが見極めにくくなっている」とも指摘。物価の基調は「さまざまな指標を点検しながら総合的に評価することが基本」としながらも、「当面は、エネルギー価格の寄与度を踏まえつつ、評価していくことが適当」と語った。

エネルギー価格を除いた指数では、食料も含めて控除するいわゆる「コアコア指数」が公表されているが、石田委員は「昨年来、生活必需品の値上がりが消費者マインドを圧迫してきた」ことから、「物価の基調的な動きを捉える際に、食料品を含めた指数を見ていくことも大切」との認識を示した。

一方、実質賃金算出の際にも控除される「持ち家の帰属家賃」を除いた指数を重視していると指摘。「持ち家の帰属家賃」は長く下落基調にあり、今後もそうしたトレンドが続く場合は、物価全体に対する大きな下押し要因になるとし、その場合は「家計の実感とのかい離、あるいは賃金上昇率との関係という点から、諸々の問題が生じる可能性がある」と語った。

<物価上昇スピード増せば、QQEのアクセル緩める必要>

今後の金融政策の展開については、「経済・物価情勢が想定通りに展開していけば、時間の経過とともに2%の物価安定目標の実現が近づいてくる」と展望。金融政策の出口議論は「現時点で時期尚早」としながらも、「先行きの物価が上昇スピードを増していけば、現在、力いっぱい踏み込んでいる量的・質的金融緩和(QQE)のアクセルを徐々に緩めていくことも、いずれ必要になってくる」と語った。

日銀ではQQE継続にあたり、経済・物価の上下リスクを点検し、「必要な調整」を行うとしている。この点について石田委員は「『必要な調整』は、経済・金融面での不均衡など、より長期的な視点から、物価安定のもとでの持続的な経済成長の実現が損なわれるリスクが大きくなった場合」への対応との考えを披露。「2%の物価安定目標の達成時期やそのペースに対して行うものではない」との考えを示した。

<日本経済、回復経路に復帰する方向性見えてきた>

日本経済については、実質輸出が「はっきりと増加に転じている」など輸出が持ち直していることや、個人消費について駆け込み需要の反動減の影響も収束しつつあるなど「本年度前半の踊り場的な局面を経て、緩やかな回復経路に復していく方向性が見えてきた」と強調。原油価格の下落は「時間の経過とともに、景気・物価の両面でプラスの効果が出てくる」との認識を示した。

もっとも、世界的な景気回復傾向の中にも「ぜい弱な部分が存在している」とし、そうした中で、原油下落によって「エネルギー・資源セクターの資本投資支出に調整圧力がかかってくるとみられる」と警戒。日本にとって競争力のある「資本財の受注・生産・輸出に下押し圧力が働く可能性もある」との見方を示した。

また、個人消費が持ち直し、増加基調を維持していくには「実質賃金のベースでプラスになっていくことが必要」と主張。企業収益の増加を背景に賃上げの「環境は整ってきている」としたが、来年度から適用される年金のマクロ経済スライドなどの影響に「留意する必要がある」と語った。

(伊藤純夫)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0LU08820150226


 
物価、16年度末までには当然2%に達している=日銀総裁
2015年 02月 26日 14:52 JST
[東京 26日 ロイター] - 黒田東彦日銀総裁は26日午後の参議院財政金融委員会で、消費者物価指数は2016年度末までには、「当然、2%に達している」との見通しを示した。主な答弁は以下の通り。

─貸出支援制度の対象を信組や農協に拡充、中小向け資金に貢献したい

─昨年夏以降の大幅な原油価格の下落、想定していなかった

─消費者物価上昇率、当面さらに低下する

─地政学リスクも世界経済に大きく影響する

─予想を超えた状況に対応できるよう、常時点検し適切な金融政策運営をしていきたい

─昨年10月末の追加緩和、相当いろいろな議論あった

─原油価格の下落、日本経済に大きなプラスであるのは間違いない

─10月追加緩和、かなり激しい議論戦わせた

─2%目標実現にはまだ道半ば

─これまでの政策に効果がないとの意見は、政策委員会にはない

─2年程度、ピンポイントで決めたわけでない

─物価は16年度末までには当然2%に達している

─日銀のバランスシートの対GDP比、特段のシーリング設けていない
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0LU0BQ20150226


浜田氏:日銀はコアコアCPI目標に、達成期間も3年に変更可

  (ブルームバーグ):内閣官房参与の浜田宏一・米エール大名誉教授は、変動しやすいエネルギーの影響を除くためコアコアCPI(生鮮食品とエネルギーを除く消費者物価)を金融政策の目標にすべきだと述べた。
浜田氏は25日、ブルームバーグ・ニュースとのインタビューで、原油価格の急落を考慮すると、物価のトレンドを見るのにもっと適切な方法があると指摘。日銀の物価目標達成期間も現在の2年から3年程度に変更することができると述べた。
BNPパリバやJPモルガンのエコノミストは、生鮮食品を除くCPIが年央までに下落すると予想。日本銀行の黒田東彦総裁は、物価上昇率の鈍化が予想されるとしても原油安は日本経済にとってプラスだと指摘した上で、現在のところ追加緩和する必要はないと述べている。
浜田氏は日銀が物価目標の指標を変えれば、市場参加者が金融政策を予想しやすくなり、日銀と市場とのコミュニケーションがスムーズになるとみている。コアコアCPIについて、これまで黒田総裁はトレンドを反映するには狭すぎると否定的だ。
コアCPI
日銀は生鮮食品を除いたコアCPIを物価見通しなどで目安にしている。浜田氏はコアコアCPIの上昇が抑制されたままだったり、物価目標の2%に達しない場合は追加緩和を行うべきだと主張した。
12月のコアCPIは前年比2.5%と、昨年のピークだった5月の3.4%から鈍化している。12月のコアコアCPIも2.1%と9月の2.3%から低下しているものの、減速のペースは小幅にとどまっている。ドバイ原油は昨年6月から約50%下落した。    
記事についての記者への問い合わせ先:東京 藤岡 徹 tfujioka1@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Brett Miller bmiller30@bloomberg.net 淡路毅, 上野英治郎
更新日時: 2015/02/26 11:18 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NKCTTA6K50Y001.html


国共済年金:GPIFと同じリスク運用拡大、国内債は資産の35% (2)

  (ブルームバーグ):国家公務員共済組合連合会(KKR)は公的年金の運用一元化を視野に資産構成を見直し、全体の約4分の3を占めていた国内債券の目標値を半分未満にする一方、日本株式と外貨建て資産は4倍弱に引き上げた。
KKRが25日公表した資料によると、新たな資産運用の目標値は年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF )と完全に同じ水準で、株式と債券が半分ずつで国内資産6割・外貨建て資産4割という分散型だ。国内債は従来の74%から35%に下げ、内外株式はそれぞれ8%から25%に、外国債は2%から15%へと引き上げた。国内債には、これまで独立して構成されていた不動産や貸付金も含まれる。
目標値からの乖離(かいり)許容幅は、GPIFより広く設定。国内債は従来の上下16%から同30%に、内外株式は同5%から10%に、外国債は同2%から10%に広げた。4%だった短期資産は各資産に分散して管理。保有資産の大規模な入れ替えが必要なため、当面は乖離許容幅を超える運用の可能性があるという。
SMBC日興証券の森田長太郎チーフ金利ストラテジストは、KKRの乖離許容幅について、実質的にはGPIFが設定した国内債25−45%、日本株16−34%などへの収束を目指すと予想。GPIFと3共済が国内債を全体の25%まで減らすと約40兆円の売却になるが、そこまで売り尽くした場合には異次元緩和を進める日銀に対する国債の売り手不在がいよいよ現実化すると読む。
KKRと地方公務員共済組合連合会、日本私立学校振興・共済事業団は10月にGPIFと運用を一元化し、利回り目標やリスク許容度などを共有する。3共済は国内債の構成比がGPIFより高い。4者は共通のモデルポートフォリオを策定する計画だが、KKRはGPIFの資産構成がモデルポートフォリオになると想定している。
公的年金の動き
デフレ脱却を掲げる安倍晋三内閣の有識者会議(座長:伊藤隆敏教授)は2013年11月、GPIFや3共済に将来の金利上昇で評価損の恐れがある国内債への偏重見直しやリスク資産の拡大で収益向上を提言。GPIFは14年10月末、過去最大の資産構成見直しを発表した。KKRは提言の翌月に当たる13年12月、国内債を80%から74%に下げるなど資産構成を修正した。
公的年金制度は09年度以降、高齢化で膨張する給付額を保険料や税金などで賄い切れず、GPIFの運用益や積立金の取り崩しに依存している。年金財政への拠出金は今年度、約5.5兆円となる見通しだ。KKRの資産構成をめぐっては、GPIFに比べ、公務員年金は堅実運用でリスクを避けている、といった見方が出ていた。
GPIFは14年9月末時点で厚生年金と国民年金の運用資産130.9兆円を抱える。KKRの運用資産は14年3月末で7兆6239億円、地共済は同18兆9284億円、私学共済は同3兆8472億円。他に地方自治体が独自に運用する各種年金は合わせて約21兆円に上り、総計約51兆円の共済年金がGPIFの運用方針に追随する見通しだ。
地共済の資産構成は国内債の目標値が64%、日本株が14%、外国債が10%、外国株が11%、短期資産が1%。私学共済は14年11月末の見直しで国内債を従来の65%から56%に下げ、内外株式と外国債をそれぞれ10%から13%に引き上げた。短期資産は5%で据え置いた。
KKRの国内債は14年3月末時点で約5.8兆円。うち財政融資資金への預託が約4.1兆円を占めている。仮に運用資産が同3月末と変わらずに新たな目標値に移行するなら、約3.4兆円の削減が必要だ。他の資産項目では、値上がり分や為替損益も含めて国内株は約1.3兆円、外国株は約1.0兆円、外国債は約1.3兆円の増加だ。
地共済の14年3月末の運用資産をGPIFやKKRの目標値まで変えると仮定した場合には、国内債を約4.2兆円圧縮する一方、国内株を約1.7兆円、外国債を約0.7兆円、外国株を2.1兆円増やす計算だ。私学共済は国内債を約0.8兆円減らす半面、国内株を約0.6兆円、外国債を約0.1兆円、外国株を約0.5兆円増やす必要性が生じる。
KKRの国内債は財政融資資金への預託が中心だが、3共済を合わせた仮の変更額は国内債が約8.5兆円の圧縮。一方、国内株は約3.6兆円、外国債は約1.9兆円、外国株は約3.9兆円の積み増しだ。
GPIFの保有実勢は14年9月末時点で、国内債が49.61%と前身の年金資金運用基金で積立金の自主運用を始めた01年度以降で最低となる一方、国内株は18.23%と06年3月末以来の高水準だった。外国株は17.41%、外国債は12.14%と、ともに最高を更新した。その水準を基に単純計算すると、国内債は新たな目標値まで約19.1兆円の削減。国内株は約8.9兆円、外株は約9.9兆円、外債は約3.7兆円の増加が必要だ。
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更新日時: 2015/02/26 14:02 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NKCKUS6JIJUX01.html

コラム:世界株高が支える「豪ドル復活」シナリオ=植野大作氏
2015年 02月 25日 12:04 JST
植野大作 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 チーフ為替ストラテジスト

[東京 25日] - 早春の為替市場で豪ドル円が冴えない展開となっている。2月3日のロンドン市場では一時1豪ドル=89.377円と、約1年ぶりの安値に差し込む場面があった。

昨年11月21日に記録した高値の102.848円から、約2カ月半で13.471円の下落、騰落率換算では13.1%もの大幅安だ。90円を割り込むとさすがに押し目買いも入って反発したが、90円台前半では上値の重い雰囲気が漂っている。

豪ドル円の急落をもたらした最大の背景は、豪州準備銀行(RBA)による利下げの再開だ。豪州の政策金利である翌日物オフィシャル・キャッシュレート(OCR)は、2013年8月に2.50%に引き下げられた後、約1年半据え置かれていたが、2月3日のRBA理事会で0.25%ポイント引き下げられた。

この結果、OCRは過去最低水準の2.25%まで低下したが、豪州の2年国債利回りはそれより低い1.90%前後で推移しており、市場は追加利下げの可能性を見込んでいる。RBA理事会後に公表した声明文でスティーブンス総裁が「経済成長率はトレンドを下回り続ける可能性が高い」との見方を示し、必要に応じたさらなる利下げの可能性をほのめかしているからだ。

現在、豪ドルは先進国通貨の中でニュージーランドドルに次ぐ高金利を誇っており、国債の格付けが最高ランクの「ハードカレンシー」でありながら、投資家にまともな金利収入を提供できる利回りが残っていることが、魅力の源泉となっている。

だが、最近のように利下げ期待が発生してしまうと、政策金利がすでにゼロ%近傍、ないしマイナス圏にまで下がっている米欧日英の4大通貨と比較して「利下げ余地が残っている」ことが材料視されて通貨安圧力を発生させる。

最近の豪ドルの下落は、相対的な高金利がアダになって通貨が売られる「逆金利差相場」の典型例だと言えるだろう。RBAに対する利下げ期待が収まらない限り、豪ドル円相場には下値不安が付きまとい、上値の重い状態が続きそうだ。

<「豪ドルは売られ過ぎ」の根拠>

ただし、今後世界景気の腰折れを前提としない限り、豪ドル円相場の下落余地は限られるだろう。過去約10年間にわたる対米ドルや対円での豪ドルの値動きの特性からみて、足元のレベルはすでに「やや売られ過ぎ」の領域に入りつつあるとみられるからだ。理由として、以下2点を指摘しておきたい。

第1に、足元の対ドル市場において、投機的な豪ドル売りが相当拡大している。シカゴ通貨先物市場における非商業筋と非報告筋の合計でみると、2月3日時点での豪ドル売り超過は8万5786枚と、2013年8月の10万2236枚、14年1月の8万8485枚に次ぐ過去3番目の水準に膨張していたことが分かっている。

RBAによる利下げ再開が最近の豪ドル下落の主因だが、それを先行して織り込む形で対米ドルでの豪ドル安が進んだとみられる。利下げを理由に豪ドルが売られるのは自然な現象だが、投機筋が拡大させた豪ドルの売り持ち高は、この先どこかで買い戻さないと利益を確定できない。短期金利水準が相対的に高い豪ドルを空売りするポジションは、持っているだけだと日々ネガティブキャリーの浸食に遭うため、この先どこかで利下げ打ち止め感が台頭してきた暁には、急速に買い戻される可能性もある。

もちろん、現在市場が予想している以上の追加利下げ期待が発生するなら、対米ドルでの一段安もあり得る。だが、豪州国債の利回り曲線の形状などから類推すると、現時点で市場は0.25%刻みで1回から2回程度の追加利下げを織り込んでいるようだ。

現在、豪州では、ニュージーランドや英国など、他の「ユニオンジャック系」の国々と同様に、歴史的な低金利政策の長期化によって不動産価格の高騰リスクが意識されている。このため、今後世界景気が腰折れして「外因性の景気後退リスク」が豪州の水際にまで押し寄せてくるような事態にならない限り、「追加1―2回程度」を上回る回数の利下げが実施される可能性は低いのではなかろうか。

ちなみに、これまでRBAが行ってきた政策金利の引き下げは、対米ドルで一時「パリティー(1対1の等価交換)超え」が定着するところまで進んだ歴史的な豪ドル高の是正を意図していた面もあった。だが、2月3日の利下げ発表の直後には、一時1豪ドル=0.7626米ドルと、約5年9カ月ぶりの安値圏に差し込む場面も示現している。

RBAのスティーブンス総裁は昨年12月に「1豪ドル=0.75米ドルに近づくのが望ましい」などと発言して物議を醸したことがあったが、0.76米ドル台までの調整が進んでみると、同総裁が指摘する「適正水準」までは指呼の間だ。対米ドルでみた豪ドルの調整は、すでに相当進んだのではなかろうか。

<「1豪ドル=100円台」回復の条件>

第2に、今年に入り、米国やドイツでは株価が過去最高値を更新、日本でも平均株価が14年10カ月ぶりの水準に上昇するなど、世界的な株高が進行している。過去約10年間、豪ドル円相場が現在のようなグローバルな株高局面で、不可逆的かつ大規模な下落を強いられたケースはほとんどない。

豪ドルは為替売買高が世界5位の先進国通貨でありながら、天然資源の海外輸出や相対的高金利に強みを持つ新興国通貨のような特徴も有している。このため、市場が楽観色を強める際に買われやすい「リスクオン・カレンシー」の典型例だと見なされている。

これと対照的に、近年の円はグローバルな市場心理の萎縮局面で買い圧力に晒されやすい「リスクオフ・カレンシー」のレッテルを貼られている。この結果、市場心理の揺らぎに対するリアクションが全く逆の通貨同士の組み合わせである「豪ドル円」という通貨ペアは、過去非常にエクイティーセンシティブ(株価敏感)な特徴を持っている。

実際、過去約10年程度の豪ドル円相場の動きをMSCI世界総合株価指数と並べてみると、非常に強い連動の足跡が認められる。2006年以降の豪ドル円相場の値動きの8割程度までは、世界総合株価指数によって説明できるから驚きだ。

各国の中央銀行が歴史的な金融緩和を続ける中、世界景気は緩やかな回復基調を維持しており、MSCI世界総合株価指数は今週一時433.39ポイントと、2007年11月に記録した「リーマン前高値」の428.63ポイントを上回り、昨年7月に記録した434.24ポイントの過去最高値に迫る水準にまで上昇している。

豪ドル円相場に自然体で備わっているボラティリティーを考慮すると、現時点での「フェアバリュー」については相応の幅を持って考える必要はあるが、現在の世界総合株価指数の水準からみると、豪ドル円相場で90円割れが定着する可能性は非常に低そうだ。一部でささやかれている世界景気減速懸念が杞憂に終わり、この先も株価が堅調に推移する場合は、1豪ドル=100円台に向けた失地回復が再現される可能性もあるだろう。

<世界的な株高続くなら、豪ドル円は押し目買い>

RBAによる追加利下げが想定されているにもかかわらず、豪ドル円相場の堅調を見込む筆者の見解に違和感を覚える向きもあるかもしれない。だが、近年の豪ドル円相場は豪州の政策金利が大幅に引き下げられる中で、逆に値上がりしてきた。

2011年11月の利下げ開始から現在に至るまで、OCRは4.75%から2.25%へ2.50%ポイントも引き下げられたが、当時70―80円台だった豪ドル円相場の変動レンジは、現在90―100円台と20円近くも切り上がっている。

一般には、豪ドルの値段は豪州の経済情勢や金融政策運営に左右されて決まるように思われがちだが、実際にはそうではない。豪州の政策金利が2・5%ポイントも引き下げられる中で豪ドル円相場が20円近くも値上がりした最大の理由は、当該期間中に進んだ世界的な株高だった。「豪ドル円」という通貨ペアのすう勢を決める最も大切な要素は、グローバルな株価の上下動に反映される「地球的規模での景況感の強弱」だ。

この先、世界的な株価下落シナリオを採用するなら、「豪ドル円」は「決して買ってはいけない通貨ペア」になるが、世界的な株高現象が持続する場合は、RBAの利下げ局面でも対円で豪ドル高が進む可能性は十分にあるだろう。

ちなみに、2月3日にRBAが利下げを再開した直後、豪ドルは断続的に1豪ドル=89円台へ下ヒゲを伸ばしたが、90円台を割り込む水準での滞在時間は、累積でも約6時間と非常に短かった。

良くも悪くも値動きの激しい通貨ペアなので、エントリーポイントについては、あまり上がったところは追いかけず、なるべく下がったところを狙いたい。だが、「豪州の政策金利引き下げ観測」と「地球的規模での株高期待」に著しい温度差がある昨今のような局面では、豪ドル円相場に対して「押し目買い戦略」が有効に寄与しやすい。当面はそのような環境が続くのではなかろうか。

*植野大作氏は、三菱UFJモルガン・スタンレー証券のチーフ為替ストラテジスト。1988年、野村総合研究所入社。2000年に国際金融研究室長を経て、04年に野村証券に転籍、国際金融調査課長として為替調査を統括、09年に投資調査部長。同年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画、12月より主席研究員兼代表取締役社長。12年4月に三菱UFJモルガン・スタンレー証券入社、13年4月より現職。05年以降、日本経済新聞社主催のアナリスト・ランキングで5年連続為替部門1位を獲得。

*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。(here)
http://jp.reuters.com/article/jp_forum/idJPKBN0LT04H20150225




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