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「官製春闘で賃上げ」は、安倍首相のお手柄なのか?(現代ビジネス)
http://www.asyura2.com/15/hasan94/msg/449.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 3 月 17 日 10:05:05: igsppGRN/E9PQ
 

       1月6日、安倍首相は官製春闘へ経営者たちに「賃上げ」を呼びかけた photo Getty Images


「官製春闘で賃上げ」は、安倍首相のお手柄なのか?
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/42490
2015年03月17日(火) 町田 徹「ニュースの深層」 現代ビジネス


■「官製春闘」のヤマ場到来


いよいよ明日(3月18日)、春闘の最大のヤマ場である「集中回答日」を迎える。


春闘は、毎年、2月から3月にかけて行われる、我が国独特の労使交渉だ。ただし、今年も昨年に続き、安倍首相が先頭に立って経営側に賃上げを迫る“官製春闘”という特異な形になった。政権の経済政策の一枚看板であるアベノミクスの成功を演出するため、国民総生産(GDP)の6割を占める個人消費を伸ばすべく、家計の所得を増やそうと、政府は賃上げの実現に躍起なのである。


結果としては、一定の効果が出るとみていいのだろう。新聞報道によると、民間のシンクタンク10社が、今年の賃上げ率が2・35%(ベースアップ=ベアと定期昇給の合計)と昨年実績(2・19%)を上回るとみているという。


だが、安心するのは早計だ。こうした賃上げは、雇用の2割を支えている大企業に限定した話に過ぎないからだ。一方で、人手不足という構造問題も横たわっている。各地で開花が近づく桜のように、春本番の到来と手放しで喜ぶには、まだまだ多くのリスクが残っている。


若い人には信じられないかもしれないが、今年で60回(年)目を迎える春闘の歴史を振り返ると、前年比の賃上げ率が32.9%という驚異的な数字を記録した年もある。


厚生労働省の「春季賃上げ状況」によると、それは1974年のことだ。前年10月に勃発した第4次中東戦争に端を発する第1次石油危機が、「狂乱物価」と呼ばれた激しいインフレーションを引き起こし、日本中が翻弄された時代のことである。余談だが、この年の暮れには、政治資金の出所を巡る疑惑が原因で、田中角栄内閣が総辞職する騒ぎもあった。


その後、高度経済成長の終えん、バブル経済の崩壊などが響いて、賃上げ率は低下の一途を辿った。1992年から5%を切ることが珍しくなくなり、2002年から1%台で低迷するようになったのだった。


背景にあるのは、後述する潜在成長率の低下だが、給与所得者の間では、会社との協調路線が行き過ぎて経営と馴れ合う労働組合や、非正規労働者の増加で組織率の低下に苦しむ労働組合が珍しくなくなり、労働組合や春闘の存在意義が問われるような時代になっていたのである。


■安倍政権のお手柄と見てよいのか



高度成長期に比べれば、わずかながら「賃上げ」


そんな中で、「春季の賃上げ率」が2001年(2.01%)以来13年ぶりに2%台を回復したのが、昨年(2014年)の春闘だ。


その賃上げ率は2.19%。好調な企業業績や潤沢な企業の内部留保と並んで、安倍政権の経営者に対する執拗な賃金引き上げ要請が一定の効果をあげたことは事実だろう。


この時点では、まだ多くの経営者が「賃上げは賞与など恒久化しない形で行うのが適当で、春闘における基本給部分の引き上げは時期尚早だ」と二の足を踏んでいたからである。


そして、安倍政権は二匹目のドジョウを狙った。今年1月6日に、経済3団体が共催した新年祝賀会で「経営者のみなさん。勇気を持って、やるなら『今でしょ』」と賃上げを促したことを覚えている読者も多いはずだ。


首相の呼びかけに呼応したわけではないだろうが、連日、「(国策支援を受けて再建を果たした)日本航空(JAL)が14年ぶりのベアを実施する」とか、「賃上げが日本経済を刺激する好材料になるとの思惑から外国人が入り今月12日の東京株式相場が急伸した」といった景気の良い話が新聞紙上を賑わせる状況になっている。


今回の春闘について、民間のシンクタンク10社が昨年より0.16ポイント高い賃上げ率を見込んでいることは、その数字の差以上に大きな意味があると言えなくもない。


というのは、議論の対象になっている賃上げ率は、あくまでも名目の数字だからである。昨年の場合、4月1日付で消費税が3%引き上げられた影響が大きく、実質的な賃金は上がるどころか下がっていたからだ。賃上げを実感できなかった原因の多くはここにある。


それに対して、今年は消費増税がないため、賃上げと可処分所得の増加を実感できる労働者が増えるはずである。こうした点については、安倍政権のお手柄だと、素直に評価してもよいかもしれない。


ただ、それでも恩恵を受けられる人は限られている。厚生労働省の「春季賃上げ状況」が集計対象を「資本金10億円以上かつ従業員1,000人以上の労働組合のある企業の労働者」としていることからも明らかなように、春闘で賃上げが議論されるのは大企業の労働者だけだ。


しかも、実際にカウントされるのは、毎年、同省が妥結額 (定期昇給込みの賃上げ額)などを把握できた企業に限られている。具体的に言えば、2014年の場合は、わずか314社の労働者の話に過ぎなかった。


多くの労働者が働く中小企業は対象外だし、それらの企業は大企業に比べて規模が小さく体力も乏しいため、賃上げの余力は劣っているはずだ。


■安心感がまだまだ足りない


実際、同じ厚生労働省が公表している「毎月勤労統計調査」をみれば、その辺りの事情は明らかだ。2014年分確報によると、平均月間現金給与は前年比0.8%増の31万6567円と4年ぶりに増加したものの、実質賃金は前年比2.5%減と相変わらず減少が続いている。


もし、国民総生産や経済成長率を押し上げるほど個人消費を増やすことを狙っているのならば、1、2年という短い期間、少しばかり名目賃金が上がっても非力すぎると言わざるを得ない。若い人が家庭を持ち、住宅を購入し、子育てに踏み切り、耐久消費財や自動車などを買おうと思うには、将来にわたって安定的に実質賃金が増えていくと感じられる安心感が不可欠だからである。


また、昨年を上回る見込みとはいえ、賃上げ率の絶対水準が2%台と低いレベルにとどまることも問題だ。そもそも、企業業績は絶好調であり、もっと出せるはずなのだ。


日本経済新聞の集計によると、3月期決算の上場企業1520社の2014年4〜12月期の9ヵ月の決算は、売上高が前年同期比で5.1%増の367兆1804億円である一方、その期間の儲けを示す経常利益は7%増の24兆9564億円に達したという。つまり、昨年の春闘で賃上げ率2.19%と低く抑えた結果、増収率を上回る増益率を確保できたというカラクリが浮き彫りになっているのである。


しかも、あるベテランアナリストによると、このところ、輸出型の製造業大手を中心に、決算調整で利益を圧縮している企業が少なくないらしい。それゆえ、「今回、4、5%台の賃上げをしても、それが原因で2016年3月期の決算が減益になるような事態は考えにくい」というのが、このアナリストの見立てである。


今後は、そういった収益環境を踏まえて、「労働組合が昔の積極性を取り戻して、しっかりした賃上げ要求を出すことも重要だ。さもないと、潜在成長率が低下する中で内部留保優先に傾いてしまった経営者マインドは簡単には変わらない」。


そこで、もうひとつ指摘しておかざるを得ないのが今春闘での賃上げの流れを決定的にした人手不足の問題だ。過去2、3年を振り返ると、この問題は、東日本大震災の被災地での建設労働者の不足や物流業界の大型トラックの運転手不足など一部の分野で指摘され始め、次第に外食などサービス業や製造業全般にも広がってきた。


その深刻さがはっきりと浮き彫りになったのは、昨年9月の日銀短観だ。企業が雇用の過不足感を回答する「雇用人員判断」で、大企業から中小企業まで全規模・全産業で不足超過となったのである。これは2008年3月以来の“異変”だ。中でも中小企業が人手不足感はマイナス16と1992年以来ほぼ22年ぶりの大きさだった。


最新の日銀短観(昨年12月分)では、この人手不足感がさらに強まっていた。9月比で、大企業が1ポイント、中堅企業が2ポイント、中小企業が4ポイント、全規模合計で1ポイント、それぞれ不足感が増したのである。


■結局、「第3の矢」(成長戦略)が出せるかどうか


短期的には、人手不足は、それを補う生産性向上のための設備投資や賃金の引き上げ・消費の押し上げに繋がり、物価や経済成長の押し上げに寄与することが多いとされている。いつまでも非正規労働者を安い賃金で雇って事業を維持するような経営手法では、企業も生き残れなくなるからだ。


とはいえ、今回の人手不足が人口減少や本来の経済のポテンシャルを示す潜在成長力の低下と密接に絡んでいることは、重要な問題点だ。総務省統計局によると、日本の総人口は2050年までに現在より3000万人以上少ない9500万人に減る予測だ。内閣府や日銀の推計ですでに0.5〜0.6%程度まで低下したとされる潜在成長力が、2040年代にはマイナスに陥ると見る専門家もいる。


こうなると、アベノミクスの問題点にも注目せざるを得ない。ここでいうアベノミクスは、「黒田バズーカ2」と呼ばれるような「異次元の金融緩和」をいつまで継続できるのかといった議論や、政権発足1年目に補正予算で大盤振る舞いをして2年目には早くも息切れしてしまった「機動的財政」の余力の問題ではない。いつまで経っても主役が登場しない「第3の矢」(成長戦略)の重要性である。


中長期的に潜在成長力を回復して、低失業率と高めの賃上げ率を維持していきたいと安倍政権が本気で考えているのならば、過去2年間のように経営者にばかり責任を押し付けてはいられないはずだ。むしろ、経営者たちが安心して研究開発、設備投資、人材育成に取り組めるように、カラ手形化して久しい手形、つまり成長戦略を履行してみせる必要がある。


 

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コメント
 
01. 2015年3月17日 11:18:47 : ob7HSXkXvk
賃上げできる企業なんてごく一部。
更に賃上げできたところで、消費税増税、円安等による物価上昇で実質賃下げ。
更にそれもクリアするような大幅な賃上げをできた企業がもしごく稀にあったとしても、基礎年金の実質減額で生涯平均年収は実質減額。
更にそれをもクリアするような極々稀な一部の人達でも年金受給開始年齢の先延ばしで生涯平均年収は実質減額。
更にそれをもクリアするような極々更に極稀な一部のや人達でも介護保険の要支援認定の公的サービス悪化で生涯平均年収は実質減額。
一方で「無駄に多い分の要介護ハコモノや要介護インフラ」には以前と同じ水準の莫大な予算投入。
それどころかまた新しいものを造る。(半公共も含めて)
新しいものを造ったらその分以上にどこかを減らさなければいけないのにそれはしない。
かくして日本は予算配分の通り、無駄なハコモノ、インフラだらけになり、人権があるべきヒトは減る。
第二次大戦前に軍事施設や兵器と言うモノに予算を優先してヒトは後回しにして、やがてそれが戦闘や空襲にしろ、多くの命が「減らされた」。
予算の優先順位通りにモノは増え、ヒトは減る。
何も変わっていない。

02. 2015年3月17日 12:09:20 : nJF6kGWndY

>経営者たちが安心して研究開発、設備投資、人材育成に取り組めるように、カラ手形化して久しい手形、つまり成長戦略を履行してみせる必要

言うは易しだな

http://www.gci-klug.jp/ogasawara/2015/03/16/023472.php
トヨタのベア4000円はそんなに凄いことなのか?
2015/03/16 (月) 11:35
 トヨタ自動車の労使交渉が15日、ベアを月額4000円とすることで事実上決着したと報じられています。

 トヨタ自動車の賃上げ交渉は、春闘の相場作りに大きく影響するだけに大きな関心が寄せられていたと言っていいでしょう。

 で、この決着についてどのように報じられているかと言えば、例えば読売新聞は、「定期昇給にあたる賃金制度維持分の7300円とあわせると、月額1万1300円の賃上げで、組合員平均の賃上げ率は3.2%となる」と説明しているのです。

 このような報道がまかり通るので、皆錯覚してしまうのです。

 3.2%も給料が上がるとはなんと嬉しいことか、と。今政府と日銀は、2%のインフレ率目標を掲げているが、3.2%も給料が上がるということは、実質1.2%も賃金が増えることになる、と。

 そう思いましたか、貴方も?

 私も、実際に給料が3.2%上がるというのであれば、それならトヨタ自動車と安倍政権を褒めてあげてもいいと思います。

 しかし、実際には賃金が3.2%上がる訳ではないのです、マクロで見た場合には。つまり、同じ年齢の従業員の賃金を比較した場合には、そうはならないということなのです。

 読売新聞の記事をよく読んでみて下さい。

 「定期昇給にあたる賃金制度維持分の7300円とあわせると」と書いてあるでしょう?

 つまり、労働者が1歳年を取った効果が含まれているということなのです。では、例えば、同じ30歳の労働者の賃金としてみた場合には、この定期昇給分を除いて考えないといけないので、賃金は単に4000円上がるに過ぎないのです。

 11300円上がって3.2%の賃上げ率であるということは、4000円だと1.1%にしかならないのです。

 如何です? 1.1%の賃上げで満足ができますか?

 安倍政権は、2%の物価上昇率を目指しているのでしょう? だということは、仮に2%のインフレ率の下で1.1%の賃上げが実現したとしても、実質的には0.9%ほど賃金は減少してしまうのです。

 言っときますが、この計算には消費税の増税効果を含んではいません。ということは、増税の効果も含めると、労働者の賃金はさらに2%ほど差し引かれることになるので、実質的に2.9%も少なくなってしまうのです。

 では、インフレ率は実際にはどの程度の水準で推移しているのか?


 最近3か月のインフレ率(総合指数)の推移をみていると、2014年11月、12月、そして2015年1月は、いずれも前年同月比2.4%の上昇となっているので、1.1%のベアでは、実質1.3%ほど賃金が減ったと同じ結果になるのです。もっとも、インフレ率2.4%のうちの2%分は増税によるものであるので、仮に増税がなかりせば0.4%のインフレ率の下で1.1%ほど賃金が上昇したことになり、実質的にも0.7%ほど賃金が上がった結果にはなるのですが...。

 ということで、増税がない状態で今回のようなトヨタのような賃上げが実施されたというのであれば、労働者にとっては恵の雨となったと言えるでしょうが...実際には増税が行われているので恵の雨とはなっていないのです。

 いずれにしても、このようなことを考えていると、労働者にとってはインフレ率は上昇しない方がありがたいということになるのですが、しかし、不思議なことに安倍総理と黒田日銀総裁は、2%のインフレ率実現を相変わらず目指しているのです。

 私は2%のインフレ目標など必要ないと思うのですが、リフレ派は今でもマイルドなインフレを起こした方がいいと思っているのでしょうか?

 でも、仮にそうだというのであれば、トヨタの今回の賃上げ程度では全然足りないということになるのです。

 2%のインフレ率目標を掲げながら、今回のトヨタの賃上げを褒め称えるのは全く矛盾しているのです。


3. 2016年7月12日 02:06:38 : MMX8EsyiuU : eDYvs2AH2fo[5]
給料が安い、非正規が増える、内部留保とよく騒ぐ癖に
反日サヨク、マスゴミ、労組が何もしないから(捏造安保デモは必死にする)
政府が官制春闘をやる事になる(これは恐いぞ判るな?)
安部に感謝こそすれ、批難する資格はない

ましてや前政権で国民を裏切って消費税を上げ
今国会でも消費税を上げろと騒いで即逃げた
反日サヨク連合には尚更その資格がない


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