中国のマス富裕層が保有する金融資産は5年後に米国の2倍となる見通し。写真は上海の外灘（バンド） Agence France-Presse/Getty Images
　中国のマス富裕層が保有する金融資産は5年後に米国の2倍となる見通しだ。

　英誌「エコノミスト」の調査部門エコノミスト・インテリジェンス・ユニット（EIU）が米シティグループの委託を受けて作成した報告書によると、中国では膨大な人口と経済成長を追い風に、10万?200万ドル（約1200万?2億4000万円）の資産を保有するマス富裕層の金融資産額が2020年までに計53兆ドルに達すると予想されている。一方、米国のマス富裕層の金融資産額は27兆ドルになると試算されている。

　こうした人々はこの調査で「New Wealth Builders（NWB）」と名付けられており、プライベートバンクの顧客である超富裕層の下位に位置する。報告書によると、昨年のNWBの資産額は米国では計23兆ドルと、中国を18％上回った。

　シティのリテールバンキング事業のグローバルヘッドとアジア太平洋地域のコンシューマーバンキング事業責任者を務めるジョナサン・ラーセン氏は「NWBは貯蓄拡大をけん引し経済活動を活性化させるなど、世界経済における役割がますます重要になっている」と指摘。「NWBは一般に自力で成功を収めた人で、社会に対する意識が高く、成長志向が強い」と語った。

　シティは富裕層向けの資産運用に重点を置くコンシューマーバンキング事業から、14年のアジア部門の収入（147億ドル）の半分を得た。アジアで運用する富裕層の資産を今後5年間で現在の2500億ドル余りから10?15％増やす目標を掲げており、その大半はマス富裕層市場でのシェア拡大によって実現するつもりだ。

　EIUの報告書によると、32カ国のNWBが現在、世界で保有する資産額は計88兆ドルで、今後は年平均7.1％のペースで増え、20年までに145兆ドルに達するとみられている。

　マス富裕層の資産額が急増すると予想されている上位5カ国は、インド、インドネシア、フィリピン、タイ、ベトナムといずれもアジアの国となっている。

原文（英語）：China’s Mass Affluent to Have Double U.S. Counterparts’ Assets by 2020