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世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第119回 所得創出への道(週刊実話)
http://www.asyura2.com/15/hasan94/msg/777.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 3 月 30 日 17:00:05: igsppGRN/E9PQ
 

世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第119回 所得創出への道
http://wjn.jp/article/detail/2269744/
週刊実話 2015年4月9日 特大号


 日経平均が、本稿執筆時点で1万9000円を突破している。

 現在の政策を継続する限り、あるいは外国において○○ショック(例:ギリシャショックなど)が発生し、急速な円高にならない限り、日経平均が2万円を超える可能性は高いだろう。

 何しろ、黒田(東彦)日銀が量的緩和政策を継続し、為替レートを円安に維持している。日本の証券市場は取引の65%が外国人投資家であるため、円安になると日本株が「外資」にとってお買い得という話になり、日経平均は上昇する。

 加えて、現在の日経平均は“五頭のクジラ”によって買い支えられているのだ。クジラとは何のことかと言えば、日本株に巨額の「買い」を入れてくる日本の公的な機関投資家たちである。具体的には、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)、共済、かんぽ生命、ゆうちょ銀行、そして「日本銀行」の五頭になる。

 要するに、公的マネーが株式市場につぎ込まれ、現在の株高が演出されているという話なのだ。

 UBS証券によると、五頭のクジラの買い余力は、以下の通りとなっている。

●GPIF 7.1兆円
●共済 3.4兆円
●かんぽ生命 3.4兆円
●ゆうちょ銀行 10.3兆円
●日本銀行 3兆円

 ちなみに、日本銀行の「株式購入」は、個別の株銘柄を買っているわけではない。上場投資信託(ETF)を買っているわけである。

 さて、外国人投資家や五頭のクジラが主導しているとはいえ、現実に日経平均は15年ぶりの水準を回復しているのは確かだ。

 それにもかかわらず、2014年(暦年)の国内総生産(GDP)はマイナスに終わり、さらに我々国民の実質賃金が、相変わらず対前年比マイナスで推移しているのはなぜなのだろうか。

 簡単だ。所得(マクロ的にはGDP、ミクロ的には実質賃金など)とは、国民が生産者として働き、生産したモノやサービスが購入されなければ創出されないためである。

 株式とは企業の「資本」であり、モノでもサービスでもない。株式の値段がどれだけ高騰しても、証券会社が提供する「株式売買サービス」などを例外に、国民の所得は生まれない。

 また、インフレ率とは前述した「モノ」「サービス」の価格の変動率を意味する。

 株式はモノでもサービスでもないため、どれだけ株式市場が活況を呈しても、インフレ率には直接的には何の影響も与えない。

 3月17日、日本銀行の黒田総裁が、金融政策決定会合で記者会見した。

 同会見で、黒田総裁は「物価マイナスに転じる可能性を排除できない」と、インフレ率の指標であるコアCPI(生鮮食品を除く消費者物価指数)が今年、マイナスに陥る可能性を示唆した。

 日本銀行は、実は黒田日銀発足前から量的緩和により、マネタリーベース(日本銀行が発行した現金、日銀当座預金の合計)を増やしている。

 日銀が銀行から国債を買い取り、マネタリーベースは2011年1月の約100兆円から、'15年1月には279兆円にまで拡大した。

 中央銀行が4年間で170兆円超のおカネを発行しても、コアCPIは、消費税増税分(2%)を除くと、'15年1月の数値で対前年比0.2%増に過ぎない。

 なぜ、日本銀行が200兆円近い巨額の「日本円」を発行したというのに、インフレ率は低迷し、我々の所得が増えないのか。

 理由は、日銀の金融政策、あるいは「政府のデフレ対策」と表現した方がいいのだが、「所得創出への道」が不明確であるためだ。

 現在の日本の経済政策(デフレ対策)は、大きく二つの問題を抱えている。

 一つ目は、「物価」の定義にある。

 本連載でも繰り返しているが、そもそも日本銀行のインフレ目標が、コアCPIで設定されていることが変なのだ。日本のインフレ率は、エネルギー価格を含む「生鮮食品を除く消費者物価指数」で測られているのである。

 何が悲しくて、エネルギー自給率6%の日本が、インフレ率に外国から輸入する原油価格を含めなければならないのだろうか。日本のインフレ率は、コアCPIではなく、エネルギーを除いた「コアコアCPI」で見るべきなのだ。

 二つ目は、量的緩和はいいとして、
 「そこから所得創出(=GDP拡大)が導かれるルートが不明確」
 という点である。

 日本銀行が国債を買いとり、日本円を発行する量的緩和を実施した時点では、別に誰の所得も生まれておらず、物価にも何の影響も与えない。

 先述の通り、所得とは、
 「国民が生産者として働き、モノやサービスという付加価値を生産し、消費や投資として支出されて初めて創出される」
 わけである。

 量的緩和により株価がどれだけ上がろうと、外貨がどれだけ買い込まれようとも、物価には直接的に何の影響も与えない。もちろん、所得も生まれない。

 無論、量的緩和により円安になり、株価が上昇すると、
 「株価が上昇し、キャピタルゲイン(=債権や株式等資産の価格の上昇による利益のこと、もしくは含み益)を得た国民が消費を増やせば、所得が創出される」
 という資産効果や、
 「将来、インフレになると予想すると、国民は消費を増やす」
 という“理屈”は理解できる。

 とはいえ、資産効果がいくらなのか、あるいはインフレ予想が消費を何パーセント増やすのか、はこの世の誰にもわからない。資産効果や期待インフレ理論は、事前に「計測不能」なのである。

 それに対し、財政出動は計測可能だ。たとえば政府が公的固定資本形成(公共投資から用地費等を除いたもの)を追加的に10兆円増やせば、国民の所得が直接的に拡大し、日本のGDPは「確実に2%以上」成長することになる。

 ここに、乗数効果が加わるため、実際の成長率はさらに高まる。

 この「当たり前のこと」を政治家や官僚が理解してないか、もしくは理解していないふりをしているからこそ、日本国民は「株価上昇と所得縮小」という奇妙な事態から抜けられないでいるのである。

 ならば、国民が理解するしかあるまい。

三橋貴明(経済評論家・作家)
1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、わかりやすい経済評論が人気を集めている。

 

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コメント
 
01. 2015年3月30日 21:10:22 : GCzPX3Di82
三橋氏は経済成長と言うコトバがお好きなようですが、ここ数十年、平均すれば経済成長率は約2%位なのに、国民は以前より年収は減り、実質資産も減り、人口も減ってますよね。
増えたのは一部の富裕層、上場企業の外資比率、公共インフラ、公共施設とそのシロアリ。
「ケイザイセイチョウ」とはこう言う「増えたもの」のためにある、数字のトリックではないですか?

02. 2015年3月31日 00:19:42 : hmRPH0FN6o

>政府が公的固定資本形成(公共投資から用地費等を除いたもの)を追加的に10兆円増やせば、国民の所得が直接的に拡大し、日本のGDPは「確実に2%以上」成長

ただし、財政支出は、特定の層だけに利益が集中するという欠陥がある

また日銀がQE(財政ファイナンス)をしない場合、その分は財政赤字として、将来の名目支出(GDP)を減らすことになる上に、金利上昇を招き、民間投資を阻害する

さらに非効率な公共投資は、資源の無駄や環境破壊といったマイナスをもたらす

またQEを続ける場合、円安効果で実質所得を下げる上に、GDPギャップが消えた時点で、単なる円安インフレに転化する


>この「当たり前のこと」を政治家や官僚が理解してないか、もしくは理解していないふりをしている

政治的な利害だけではなく、三橋の言うような単純な話ではないことくらい、多くの識者は理解している

そう簡単ではないということだ


03. 2015年3月31日 00:40:41 : hmRPH0FN6o

「財政出動するだけで、長期的に良くなる派」は、もう少し勉強した方が良いだろうな

http://diamond.jp/articles/-/68377
【第4回】 2015年3月31日 木暮太一 [経済ジャーナリスト、一般社団法人 教育コミュニケーション協会 代表理事]
アベノミクス「3本の矢」って結局何だったの?
今さら知らないとは言えないアベノミクスの話
景気回復がなかなか実感できない今こそ、政策の中身と狙いについて改めて考えてみよう。新刊『 アベノミクスの経済政策として話題になった「3本の矢」。はたして効果はあったのだろうか?今までで一番やさしい経済の教科書[最新版]』の著者・木暮太一氏が、どんな経済オンチでも一発でわかるように解説する。
アベノミクスでは何をやっていた?
木暮太一(こぐれ・たいち)
経済ジャーナリスト、一般社団法人 教育コミュニケーション協会 代表理事。慶應義塾大学 経済学部を卒業後、富士フイルム、サイバーエージェント、リクルートを経て独立。相手の目線に立った話し方・伝え方が、「実務経験者ならでは」と各方面から高評を博し、現在では、企業・団体向けに「説明力養成講座(わかりやすく伝える方法)」を実施している。フジテレビ「とくダネ!」(木曜レギュラーコメンテーター)、NHK「ニッポンのジレンマ」、Eテレ「テストの花道」などメディア出演多数。『カイジ「命より重い!」お金の話』『超入門 資本論』など著書多数、累計120万部。
今回は、アベノミクスの政策、つまり“3本の矢”である「金融緩和」「財政出動」「成長戦略」の3つの作戦について解説していきます。 
 あれ? 第1回、2回、3回で出てきた「金融政策」「財政政策」とは違う内容?
いえ、同じです。ここが混乱を招くこところですね。結論から言うと「金融緩和」は「金融政策の一種」です。 
「金融政策」には、景気を良くする「金融緩和政策」と、景気を落ち着かせる「金融引き締め政策」の2種類あります。アベノミクスでは、そのうちの「金融緩和政策」をやりますよ、ということなので、大きく言うと「金融政策」、細かく言うと「金融緩和政策」を実施しているということなんです。
なるほどね、じゃあ財政出動は? 
これも同じです。財政政策にも景気を良くさせる政策と、逆に景気を落ち着かせる政策の2方向があります。そのうちの「景気を良くさせる政策」のことを「財政出動」というんです。 
話を戻しますね。安倍首相が掲げたアベノミクスという政策では、この「金融緩和」「財政出動」「成長戦略」の3つの作戦を使って、景気を良くしようとしていました。 
っていうか、金融政策と財政政策って、普段やっている作戦と同じじゃない? 
そうなんです。いつもの作戦と同じなんです。“アベノミクス”という名前を付けているので、さも新しいウルトラCの作戦かと思いきや、(良くも悪くも)定番の政策を実施しているだけ、というのが実際のところです。 あ、気づいちゃいました? 
ただ、普段の政策とすべてがまったく同じなわけではありません。“アベノミクス”にも特徴があります。 
特徴って、なに? 
大きな特徴は二つあります。一つは、「 インフレ2%を目標!」と数値化させて明確にしたこと。もう一つは、「人々の期待に訴えたこと」です。
全然わからないんですけど……。 期待に訴えた?? インフレ2%? 
これだけではまったく意味がわからないと思います。一つずつ説明していきますね。まずは「インフレ2%を目標」についてです。 
「インフレ2%」は何が狙い?
アベノミクスの特徴の一つに「インフレ2%を目標」というものがあります。これは正しく言うと、インフレーション率2%を目標ということで、要するに「毎年物価を2%ずつ上げること」を目標に掲げているんです。 
なんでそんなことするの?? 商品の値段が高くなっちゃうじゃん! 物価を上げることが目標なの!? 
それは、インフレが起きると、みんながお金を使うからです。 どういうことか、説明しましょう。インフレとは、継続的に物価が上がることです。 
たとえば「インフレ率1%」だったら、「世の中の商品が全体的に毎年、1%値上がりしている状態」です。このインフレが起きると、同じ商品でも去年より今年、今年よりも来年の値段が高いということですよね。 
うん、そうだね。で? 
今年よりも来年の方が高くなっちゃうんだったら、今年買った方が「得」ですよね。だとしたらみんな「だったら、今年買おう!」と言って、お金を使うようになります。その結果、商品が売れて、景気が良くなるんです。 
また、インフレになれば、借金の返済が楽になります。物価が上がれば、商品を1個売ったときにもらえるお金が(物価が上がった分)増えるわけですね。 
自社の商品がこれまで1個100円だったのに、インフレが起きた結果110円に上がったとします(10%値上がり)。世の中全体的に値上がりしているので、ライバル商品と比べて割高になったわけではありません。消費者からすると「結局、前と同じ」という状態なので、前と同じ数が売れます。となると、売上も10%増え、収入は10%増えます。 
うん、だから何? 
ポイントは借金の金額です。収入は10%増えても、借金の金額は増えません。となれば、借金が返しやすくなりますね。極端な話、物価が2倍になり、収入が2倍になったら、実質的に借金が半分になるのと同じなんです。要は、インフレの分だけお金を稼ぎやすくなるということ、そして、それだけ借金を返済しやすくなるわけですね。 
それで? 
ということは、企業も借金しやすくなる、つまり(借金をして)ビジネスをすることが簡単になるということになります。 
ビジネスをすることが簡単になれば、経済が活気づいて、景気が良くなりますね。だから大ざっぱに考えると「インフレは景気にプラス」なんです。 
なるほどね、じゃあデフレは反対にマイナスなの? 
その通り。反対に、デフレ(物価が下がり続ける状態)だと、消費者もなかなかお金を使おうとしません。物価が下がる→給料も下がる→これから収入が少なくなる→「今使うのをやめよう」となるからですね。 
企業にとっても、物価が下がる→自社の商品の値段が下がる→お金を稼ぎづらくなる→「借金をしたら返済が大変!」→「銀行からお金を借りるのをやめよう」、となります。その結果、ビジネスが盛り上がらなくなるわけですね。だから、アベノミクスでは「2%のインフレ」を目標に掲げていたのです。 
たまたま? でも、なんで2%なの? 
鋭いですね。それが次の「期待に訴えた」という部分に関係してきます。 
「期待に訴える政策」って、どういうこと?
アベノミクスのもう1つの特徴が「期待に訴える政策」だということです。 
「自民党に期待してください!」ってこと?
そうではありません。経済学でいう「期待」は、一般用語の「予想」の意味です。「期待に訴える」というのは、国民が「これから、こうなるだろうな」と予想するように仕向け、そう予想して動くようにし、結果的にそれを実現させようと考えている、ということです。 
もともと、いろんな政策で「期待に訴える」ということがされています。たとえば、総理大臣が「来年、景気対策のために、減税をするかもしれない」とインタビューで口にしたとします。 
じゃあ、来年は少し楽になりそうだから、貯金を切り崩していいかも♪」といって、買い物を始めます。まだ減税されていないのに、減税されたことを見越して動いてしまうわけです。 そうすると、それを聞いた国民は「まじ!? 
景気対策を実行する前に、景気が良くなっちゃうかもしれません。そしてもしかしたら、言うだけで減税はしないかもしれません。みんなの「期待(予想)」をうまく利用すると、現実を変えやすいんです。 
今回のアベノミクスでは「物価の上昇率を2%にするのが目標!(インフレ2%)」としています。じつは2%物価を上げることは簡単ではなく、かなり本気にならなければ達成できない目標なんです。「2%」という数字には、政府が「本気」で取り組むことが表れているんですね。 
そして、国民も「政府が本気で取り組むんだったら、本当にそうなりそうだ」と思うようになります。それが狙いでした。 
アベノミクスの大まかな内容は、これまで行ってきた政策と同じです。ただ、「インフレ目標2%」と、明確な数字を出し、覚悟を見せたこと、そしてそれを基に国民の期待を変えたことが違いました。 
金融緩和政策の波及効果は?
じゃあ、アベノミクスで金融緩和をしたときは、うまくいったの? 
それを説明していきましょう。 率直に言うと、「多少はうまくいった。でも想定通りにはならなかった」というのが、ぼくの印象です。つまり、期待していたくらいの効果はなかったということです。なぜ「想定通り」にはならなかったのでしょうか? 
金融政策は「世の中の企業や個人が、お金を借りやすくする政策(お金を借りやすくしてお金を使いやすくする政策)」です。そしてもともと、「お金を借りたい人はたくさんいるだろう」という前提で行われています。 
だから金利が下がれば、企業はたくさんお金を借りる!と考えられていました。でも、そうではなかった。 
なんで? 
たしかに、お金を借りたい人にとっては、金利は低い方がいいです。金利が高いと「資金を借りて商品を仕入れたりしたいけど、諦めるか……」となります。そんなときに、「金利が下がりました!」と言われたら、「じゃあうちも借りたい!」と手を挙げる人が増えます。 
うん、そうだよね。今回は違ったの? 
今回は違いました。問題は、そもそもお金を借りたいと思っている人が、それほどいなかったということです。お金を借りたいと思っていなければ、金利が低くなっても借りません。「歴史的な超低金利ですよ!」と言われたとしても、「いやいや、いりません」と断るだけです。 
みなさんがご自身のケースで考えても同じように感じると思います。また、普通の買い物も一緒です。いらないものは、いくら安くても、いりません。ということは、金利を下げても、企業が融資を受けたい!と思っていなければ、借りないということなんです。 
「金融緩和をすると、景気が良くなる」という理屈には、「金利が下がれば、もっと企業・個人がお金を借りる」という前提が組み込まれています。この前提が崩れたら、結果が変わってしまいます。「金融緩和をしても、景気は良くなるとは限らない」となるのです。お金を借りたいと思う人が少なければ、金融緩和政策の波及効果が小さくなってしまうんですね。
景気は良くなるという「消費者の気持ち」が大切
それじゃあ、アベノミクスの“2本目の矢”財政出動の効果は出たの? 
結論から言うと、こちらも「期待していたよりは効果が小さかった」と思います。繰り返しになりますが、財政出動は、 政府がお金を使うことなので、必ず何らかの効果は出ます。でも、それだけではダメなんです。
「1兆円の財政出動をして、1兆円分の効果があった」では合格点をあげられません。最初の「1兆円」は、単なる呼び水なので、その後に広がっていかなければいけません。ただし、その後広がるかどうかは、政府がコントロールできません。
え、そうなの? 
財政出動をするということは、国がお金を使うということです。そして国がお金を使うと、 
(1)そのお金は、誰かの給料になっている。そしてその結果、
↓  
(2)国民がもっと多く買い物をする。そしてその結果、
↓  
(3)世の中のお店がもっと儲かる。そしてその結果、
↓  
(4)国民の給料がもっと増える
という流れで政策の成果が出てきます。このように、効果が波及していくことを、「乗数効果」といいます(詳しくは第3回参照)。
ただ、国民の給料が増えても、(2)で「買い物をたくさんする」とは限りません。各自の判断です。みなさんも給料が増えたからといって、すぐに「もっと買い物しよう!」となるとは限りませんよね。 
うーん、たしかに。将来が不安だから貯金するかも。 
そうです。個人個人で考えたら貯金も大切です。でも、せっかく給料が増えても、みんなが貯金してしまったら、波及しなくなっちゃうわけです。この財政出動がどれくらいの効果をもたらすかは、じつは、ぼくら国民がどれだけお金を使いやすくなっているかによるんです。 
じゃあ、財政出動がうまくいくかどうかって、消費者の気分次第ってことなの? 
最終的には「消費者の気持ち(消費マインド)」がとても重要な要素になります。社会の雰囲気が暗くなり、個人がお金を使わないときはいくらバラマキ政策をやっても効果が限られます。そういう意味で「気分」はとても重要で、みんなに「これから景気は良くなりそう」と思わせること自体がすごく大切です。 
成長戦略って何をしているの?
消費者のマインドを変えるよりも、もっと大事なことがあります。それが「成長戦略」です。アベノミクスの“1本目の矢”金融緩和、“2本目の矢”財政出動は、多少の効果はあったものの、日本経済を浮上させる威力はありませんでした。となると期待は“3本目の矢”成長戦略に期待が集まります。 
もともと、金融緩和政策と財政出動は、一時的にしか効かない栄養ドリンク剤のようなものです。これらをやっても、経済の実力が上がるわけではありません。これら金融緩和・財政出動の政策が終わってしまえば、景気はまた元に戻ってしまう可能性があります。そうならないようにするために、経済の実力を引き上げなければいけないんです。そのために行うのが、「成長戦略」です。 
ほほぅ、なるほどね。これで安心できる。 
しかし正直なところ、この成長戦略は「まだ何も始まっていない」と言ってもいいくらいです。最重要の政策なので、もっと素早く手掛けてほしいところですが、ほとんど進んでいません。成長戦略では、「女性が輝く社会に!」や「新しい市場を創ろう」など、日本経済の実力を底上げする作戦が掲げられています。その中でも重要な作戦「外需を取り込む」というテーマを次に解説していきましょう。 
これからの日本は、海外にもっと商品を売らなければ! 
日本は少子高齢化の社会です。これは「人口の平均年齢が上がる」ということだけではなく、人口が減っていくということでもあります。 
そして、人口が減っていけば、お客さんの数も減っていきます。お客さんが減っていくということは、同じように商売をしていても、どんどん売上が減っていくということです。商品の質が変わらず、これまでと同じようにがんばっても、商品がなかなか売れなくなるわけです。売上が減れば、社員の給料も減っていきます。とすると、国民一人一人が使えるお金も減っていき、ますます商品が売れなくなってしまいます。 
う……。大変だ……。 
そうですね。すぐにお客さんが来なくなるわけではありませんが、確実に減っていきます。何か対策をしなければいけません。そのためのキーワードが「外需を取り込む」です。 
それ、何? 外需? 
「外国からの需要」です。つまり、外国人に買ってもらう商品ということですね。国内の消費者が減るので、海外のお客さんに買ってもらおうということです。
 第1回で紹介した「誰が商品を買うか」を改めて思い出してください。商品を買うのは、「国民」と「企業」と「外国のお客さん」でしたね。この3者のどれが増えても、日本の商品が売れることになり、日本経済が活性化することになります。
で、どうすれば外需を取り込めるの? 
やり方は二つあります。一つは (1)「日本を外国にアピールする」、もう一つは(2)「外国のみなさんに日本に来てもらう(観光客を増やす)」です。
外国人に「クール・ジャパン」で日本を知ってもらう
日本から輸出するのは、自動車や機械だけではありません。日本には、最高のコンテンツがあります。また、まだまだ外国に知られていない日本の素晴らしさ、日本の技術力の高い商品もあります。それを国をあげて外国に売り込めば、もっと「輸出」は増えるでしょう。 
「クール・ジャパン」という言葉を聞いたことがあると思います。あれは、日本文化の魅力を伝える取り組みです。
“クール・ジャパン”ってアニメのことだと思ってたよ。
アニメも日本が世界に誇るコンテンツで、これも“クール・ジャパン”です。『ドラえもん』や『ポケモン』は、世界中で放送されていますね。キティちゃんも世界的なキャラクターになっています。 
外国で日本のアニメが放送されれば、日本の会社が放送料を受け取れますし、キャラクターグッズが売れれば、日本の会社が儲かります。知ってもらうだけでなく、ビジネスになるわけです。ちなみに、ぼくが好きな『ドラゴンボール』も世界中で人気です。 
クール・ジャパンは、形がないコンテンツだけではありません。たとえば“和食”も、日本が世界に誇れる食文 化で、クール・ジャパンです。和食の料理や食材、また“和食の心”が世界に認められた結果、各国で和食ブームが起きています。そしてその影響で、食材の輸出が伸びています。
また、日本の技術を世界に広めようという動きもあります。日本の技術力は世界的に見て非常に高いレベルにあります。その技術を活かして、外国の鉄道や道路などのインフラ工事を請け負ったり、コンサルティングをしたりしています。 
へぇ。何のために? 
これも、日本の会社のビジネスを拡げるためです。鉄道や道路工事を請け負うと、その国からお金をもらえますね。そうしたら、工事を請け負った日本の企業は儲かりますね。このような日本の素晴らしい技術やコンテンツを、国(日本政府の人や総理大臣)が先頭に立って外国に売り込む動きがこれから活発になるでしょう。 
これまで、日本政府が“営業マン”になって外国の工事の仕事をもらいに行ったことは多くありませんでした。でも、他の国ではよく行われていることで、とても重要なことなんです。 
なるほどね。政府が企業のサポートをするんだね。 
観光客を呼び込まなきゃ!
そして同時に、 (2)「外国のみなさんに日本に来てもらう」作戦も大切ですね。外国人を日本に呼び込んで、日本でたくさん商品を買ってもらおうとしています。要は「観光客を増やそう!」ということですね。
日本は、2001年の小泉政権時代から、外国人観光客をもっと呼ぼう!とがんばっています。訪日外国人旅行者の数は、ここ数年で850万人前後、2013年には初めて1000万人を突破、2014年には年間1300万人を超えました。 
すごいじゃん! 1300万人も日本に観光に来てるってこと? 
そうですね、たくさんの人が日本に遊びに来てくれています。ただ、以下の数字のように世界と比較すると、「もっともっと来てほしい!」という思いがします。 
■世界の観光客数(2013年)
8500万人 1位:フランス
6976万人 2位:アメリカ
6066万人 3位:スペイン
5568万人 4位:中国
4770万人 5位:イタリア
3779万人 6位:トルコ
3145万人 7位:ドイツ
3116万人 8位:イギリス
2835万人 9位:ロシア
2654万人 10位:タイ
・・・・・・・・・・・・・・
1038万人 30位:日本
日本は、フランスの8分の1、イタリアの約4分の1です。そして、タイにも大差をつけられて負けているのです。どこもそれぞれ、いい観光地を持っています。ですが、これほど負けているのはちょっと納得がいきません。 
日本って、そんなに魅力がない国なのかなぁ? 
いえ、決してそうではありません。観光庁の調査によれば、日本に旅行に来た人の満足度は非常に高いです(「大変満足」44.7%、「満足」46.4%で、合計約9割が満足!)。また、「10回以上リピートで日本に来ている人が、全体の10%もいる」という統計もあります。一度来たら、満足し、また来たくなる。日本は、そんな素晴らしい観光国なのです。 
知らなかった! へぇ? 
このことを世界中にアピールできれば、もっと日本に遊びに来てくれるでしょう。2020年の東京オリンピックは、そんな日本を全世界にアピールする絶好のチャンスです。オリンピックをきっかけに、日本に興味を持ってもらい、世界中から観光客を呼び込むチャンスですね。 
どんなことをアピールすればいいんだろう? 
外国人旅行者が興味を持っているのは、 
●「日本食を食べること」53.3%
●「温泉入浴」46.9%
●「ショッピング」40.1%
などです。
これらを起点に日本を紹介し、日本を経験してもらうのがいいでしょう。また、日本に来た旅行者は、1人あたり平均約15万円のお金を日本に落とします。 
単純計算で、旅行者が1万人増えれば、15億円、10万人増えれば150億円、1000万人増やすことができれば1.5兆円のお金が日本経済に落ちることになります。 
そんなに増えるかなぁ? 
ようやく1300万人に達したところですから、もちろん簡単に「さらに1000万人増加!」が達成できるわけではありません。しかし、フランスが8500万人、イタリアが4770万人、タイが2654万人であることを思い出してください。まだまだ“伸びしろ”はあるはずです。 


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