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16年にサラリーマンの残業代がゼロになる 危険な残業代ゼロ制度で年収大幅ダウン(Business Journal)
http://www.asyura2.com/15/hasan95/msg/188.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 4 月 08 日 07:36:05: igsppGRN/E9PQ
 

                安倍晋三首相(「首相官邸HP」より)


16年にサラリーマンの残業代がゼロになる 危険な残業代ゼロ制度で年収大幅ダウン
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150408-00010000-bjournal-bus_all
Business Journal 4月8日(水)6時1分配信


 いわゆる「残業代ゼロ法案」(労働基準法改正案)が4月3日に閣議決定され、今国会に提出された。与党が絶対安定多数を握る国会では法案成立が確実な情勢だ。成立すれば16年4月1日に施行される。

 最大の柱は「高度プロフェッショナル制度」の導入と「企画業務型裁量労働制」の拡大だ。この2つの実現は経済界の長年の悲願だった。しかし、経営者には莫大な利益をもたらすが、どこから見てもサラリーマンには不利益どころか、長時間労働による健康被害を引き起こしかねない極めて“有害”な仕組みなのだ。

 筆者は第一次安倍晋三政権で世論の反対を受けて廃案になった今回と同じ制度が、サラリーマンの生活にどのような悪影響を及ぼすのかを取材した。そしてアベノミクスの成長戦略の目玉として再登場したこの制度が現実味を帯びてきた中で、このままではサラリーマンが何も知らされないままに制度の対象にされてしまうことに危惧を感じ、政府・経済界の本当の狙いを知ってもらいたいと思い、このほど『2016年残業代がゼロになる』(光文社)という本を緊急出版した。

 本稿では、なぜこれら2つの制度がサラリーマンにとって有害な仕組みなのかを説明したい。

●高度プロフェッショナル制度

 高度プロフェッショナル制度は、管理職以外の一定のホワイトカラーのサラリーマンを労働時間規制の適用除外にするもので、アメリカのホワイトカラー・エグゼンプション(適用除外制度)の日本版だ。つまり、時間外、深夜・休日の残業代を一切支払わなくてもよいとする制度だ。

 日本の労働時間規制は「1日8時間、週40時間」以上の労働を原則禁止している。それでも働かせたい場合は、時間外労働は25%以上の割増賃金(残業代)を支払うことを義務づけている。言うまでもなく、割増残業代というペナルティを使用者に課すことで、労働者の健康を守るためである。

 では高度プロフェッショナル制度の対象になるのは誰か。「法律案要綱のポイント」(厚労省)では「高度の専門的知識等を必要とし、職務の範囲が明確で一定の年収要件(少なくとも1000万円以上)を満たす労働者」となっている。年収は「平均給与額の3倍を相当程度上回る」ことが法律に書き込まれ、具体的金額は法律より格下の省令で「1075万円以上」にする予定になっている。ちなみに法律に明記される「平均給与額の3倍」とは、厚生労働省が使う指標で計算すると936万円だ。

 業務要件の「高度の専門的知識等を要する業務」が何を指すのかよくわからない。具体的な業務は省令で決めることになっている。法案の根拠となる厚労省審議会の報告書では例示として、金融商品開発、ディーリング、アナリストの業務を挙げている。しかし金融に限らず、あらゆる業界・企業には専門的知識が必要な業務がたくさんある。おそらく特定の業務に絞り込むことは難しいだろう。仮に当初は限定したとしても、法改正することなく政府の意向で随時変更できる「省令」で追加していくことは間違いない。

 そうなると歯止めになるのは年収要件だ。当初案は年収も省令で定めることにしていたが、審議会の労働側委員の反対で法律に先の「3倍」を盛り込むことになった。これに苦虫を潰したのは使用者側委員だ。制度の導入を長年主張し続けてきた経団連は、第一次安倍政権の検討時期には年収400万円以上の人を対象にすべきだと主張していた。

 また、経団連の榊原定征会長は「労働者の10%程度を対象にしてほしい」と記者会見で公言している。もちろん、時間規制から外れている管理職以外の10%であり、その数は約500万人だ。審議会でも中小企業の代表は「1000万円以上では中小企業では活用できない。もっと下げてほしい」と要望していた経緯もある。

 経済界は時期を見て、いずれ法改正の陳情を繰り返してくることは間違いない。しかも法改正といっても「3倍」から「2倍」へと数字を変えるだけだ。そうなると624万円。中所得層のサラリーマンのほとんどが対象になることになる。

●準残業代ゼロ制度

 ここまで読まれた20〜30代の方は「自分たちは当面関係ない」と思うかもしれない。しかし、そうではない。“準残業代ゼロ制度”の「企画業務型裁量労働制」の拡大で、多くの若年世代が対象になる。

 同制度は、会社が1日の労働時間を9時間と見なせば、法定労働時間の8時間を超える1時間分の割増手当は出るが、9時間を超えて働いても残業代が出ない仕組みだ(ただし、深夜・休日労働は割増賃金を支払う)。

 わかりやすくいえば、ブラック企業で問題になっている基本給に残業代を組み込む「固定(定額)残業代制」を法律で制度化したものだ。現在、この制度を導入している企業はわずか0.8%にすぎない。これまで対象業務が「企画・立案・調査・分析」を一体で行う人に限られていた上に、労基署への報告義務など手続きが煩雑であるからだ。それを今回の改正では手続きを緩和し、さらに対象業務を増やした。追加業務は以下の2つだ。

(1)課題解決型提案営業
(2)事業の運営に関する事項について企画、立案調査および分析を行い、その成果を活用して裁量的にPDCAを回す業務

(1)はいわゆる「ソリューション営業」のこと。客のニーズを聞いてそれにふさわしい商品やサービスを販売する営業職だ。具体的には報告書では「店頭販売や飛び込み販売、ルートセールス」は入らないとしているが、要するにそれ以外の営業をしている人のほとんどが対象になる。

(2)はわかりにくいが、営業以外の事務系の業務を指す。審議会の報告書では「個別の製造業務や備品等の物品購入業務、庶務経理業務」は入らないとしている。一般にいうブルーカラーや定型業務は入らないということだが、それ以外の業務はほとんど入る可能性もある。

 企画業務型裁量労働制は高度プロフェッショナル制度と違って、年収要件はない。ということは、入社2〜3年目の営業職が入る可能性もあるのだ。ちなみに独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査(14年6月)によると、企画業務型裁量労働制の対象者の年収は300〜500万円未満の人が13.3%も含まれている。300万円といえば、20代前半の平均年収に近い。

●100万円以上の残業代が消える

 ではどのくらいの残業代が消えてなくなるのか、国の統計資料をもとに試算してみよう(詳しくは拙著をご覧いただきたい)。

 13年度の労働者の月間平均残業時間14.5時間。しかし、総務省の労働力調査(12年)によると、週20時間以上も残業している30〜39歳は20%もいる。月間では80時間以上になる。仮に50時間の残業をした場合、31歳の平均基本給から計算した月間残業代は、11万6900円。35歳は14万1100円。39歳は16万9350になる。年収換算では、以下の金額になる。

・31歳:140万2800円
・35歳:169万3200円
・39歳:203万2200円

 これを見ても、いかにサラリーマンの生活が残業代に支えられているかがよくわかる。もちろん、企画業務型裁量労働制の対象になれば、みなし労働時間を何時間に設定するかで違う。仮に8時間を超える9時間に設定すれば、1時間分の割増手当が出る。それでも月に約22時間分だ。50時間残業している人にとっては、上の金額の半分以上が消えてなくなることになるのだ。もし、これだけの収入が減れば、暮らしは当然苦しくなるだろう。

 一方、経営側にとっては大幅な人件費の削減につながる。一般労働者の所定内賃金約30万円、月間平均残業時間14時間で計算すると、一人当たりの年間残業代は40万6350円。これに経済界が要望している労働者の10%である500万人を乗じると、全体で年間2兆円以上の削減効果があるのだ。

●世界的に見てもいびつな仕組み

 実は今回の法案が成立すると、法体系上も、世界的に見てもあまりにもいびつな仕組みというしかないものだ。

 高度プロフェッショナル制度という専門職の時間規制を外す制度は、世界でアメリカに次いで日本が2番目の導入国となる。業務の定義が極めて曖昧であるのに、対象者になると労働時間規制の適用除外となり、休日・深夜を含む時間外のすべての割増賃金が支払われなくなるという厳格な処遇が待っている。

 しかも、もともとの適用除外者であった「管理職」には、深夜の割増賃金の支払い義務は残っているのだ。つまり、同じ正社員でも課長だと夜10時以降は残業代が出るのに、高度プロフェッショナル社員には出ないという矛盾が発生する。アメリカのホワイトカラー・エグゼンプションでも、こうした特例は存在しない。エグゼンプションの母国アメリカのオバマ大統領は「何百万人もの残業代や最低賃金の権利が保護されていない」と述べて、14年3月に労働長官に見直しを指示している。近いうちに見直し案が示される予定だ。それに逆行するかのように、日本は労働者に犠牲を強いる法案を成立させようとしている。

●日本中の労働現場で混乱必至

 また、企画業務型裁量労働制自体はもともと完全な時間規制を外すエグゼンプションの中間形態として、経済界の要望で実現したものだが、経団連はいずれ裁量労働制をエグゼンプションと統一化しようとしていた(拙著を参照)。そもそもこんな制度が存在するのは世界で日本だけである。にもかかわらず、今回は対象業務が大幅に拡大される。

 今後日本の企業には、対象業務の範囲が区別しがたい高度プロフェッショナル社員と企画業務型裁量労働制社員が並立することになる。だが、法制的な位置づけが曖昧な制度であっても、企業にとっては社員を「管理職」にするのか、「高度プロフェッショナル」にするのか、「裁量労働制」にするのか、思いのままにできるメリットがある。

 このような抜け道の多い中途半端な状態で導入が進めば、いずれ日本中の労働現場で矛盾が噴き出し、混乱するのは必至だろう。それは取り締まる側の労働基準監督署も同じだ。

 そして最も危惧される点は、法令の矛盾に翻弄され、犠牲を強いられるのは常にサラリーマンだということだ。

(文=溝上憲文/労働ジャーナリスト)


 

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コメント
 
01. 2015年4月08日 10:17:37 : jXbiWWJBCA

>高度プロフェッショナル制度の対象になるのは誰か。「法律案要綱のポイント」(厚労省)では「高度の専門的知識等を必要とし、職務の範囲が明確で一定の年収要件(少なくとも1000万円以上)を満たす労働者」となっている。年収は「平均給与額の3倍を相当程度上回る」こと

いわゆる1%以上。あまり影響が無い制度。


02. 2015年4月08日 10:50:15 : EagMtQr2Mo
ともかく、こんな生命を奪われかねない法案を通すことをわかっていたか、あるいはろくに注意もせずに自公に投票したり、棄権したりした有権者の責任。

粛々と死んでもらわなくてはならない。


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