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人手不足で始まる賃金インフレで 政府・日銀が狙う一発逆転(ダイヤモンド・オンライン)
http://www.asyura2.com/15/hasan95/msg/207.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 4 月 09 日 00:08:15: igsppGRN/E9PQ
 

人手不足で始まる賃金インフレで政府・日銀が狙う一発逆転
http://diamond.jp/articles/-/69837
2015年4月9日 山田厚史 [デモクラTV代表・元朝日新聞編集委員] ダイヤモンド・オンライン


「2年で物価上昇2%」を公約に黒田日銀総裁が就任して2年。大胆な金融緩和の効果はなく、消費税によるかさ上げが剥げ落ちる4月には、物価は0%近辺かマイナスになりそう。それでも黒田さんは「2015年度中には2%を達成する可能性は高い」と強気だ。そうだろう。「2年やったがダメでした」と総裁が頭を下げたらアベノミクスはお終いだ。前進あるのみ。株価は上がった、企業業績も好転した、失業率も改善した。これで消費に火がつけば、好循環が始まる、というのである。

 だが消費低調の理由ははっきりしている。人々の懐具合が悪いからだ。カネもモノも過剰。そんな中で一つだけひっ迫感が露わにな分野がある。ヒトである。「人手不足」がインフレの導火線になる可能性が浮上している。

■日本列島を覆う求人難 想定外の「人手不足で物価上昇」

 牛丼チェーンのすき家は8日、アルバイト時給を2.5%アップすると発表した。昨年度一年間で時給は2.9%上がっている。併せると5.4%賃上げだ。「生活水準と労働意欲の向上のため」と親会社のゼンショーはいうが、アルバイトの確保が難しくなっていることが背景にある。

 長時間労働など劣悪な労働環境が問題になったすき家は、世間から非難を浴び人集めに苦労が絶えない。賃金を上げることで不足人員を埋めようというわけだ。

 賃上げに伴い牛丼の価格も上げた。肉を増量し価格は同業他社より抑え気味にした。消費者の反応を見て次の一手を考える。

 デフレ下の外食チェーンは1円でも安く、という価格競争が主流だったが、円安で食材が高騰、値上に伴うお得感が勝負どころになっている。同時に若年層の人手不足が深刻化。店舗展開に採用が追い付かない。

 新卒者の採用も今年は「売り手市場」という。就職協定で採用活動の解禁が1ヵ月遅くなったことも手伝い、企業側の焦りが見える、という。少子化で新卒の数が激減している。これまで不況下の採用手控えが続いていた。社員構成が尻すぼみになり、労働現場に人手不足感が出ていた。

「いつでも採れる、と鷹揚に構えていた企業も今年は目の色が変わった」と就職斡旋会社はいう。ほぼ全業種横並びで積極採用が始まり、新卒市場は一転して売り手市場という。2年ほど前から、担当者の間では人手不足が問題視されていたが、今年は就職協定の見直しで求人が1ヵ月遅くなり、採用競争が一気に激化した、という。

 失業率も改善された。2012年は4.3%だったが14年は3.5%に低下し、完全雇用に近い数字となった。有効求人倍率は1.22%(2月)に改善、求職者を求人が上回る状況が定着した。一部の企業に人手不足感が出ている。市場心理のちょっとした変化で求人難は顕在化するだろう。

「実質賃金の低下、消費不振という経済状況に風穴を開けるのは人手不足かもしれない」。そんな感想を漏らす人事担当者もいる。

 労働力のひっ迫は土木・建設という公共事業で震災を機に表面化していた。それが外食産業などサービス業の非正規社員に飛び火し、新卒者にも波及している。需給のひっ迫は賃金に跳ね返るのが経済原理だ。

 円安で輸出企業を中心に好決算が目立ち、十数年来のリストラ旋風に終止符が打たれつつある。気が付くと企業の人員構成は歪み企業の将来を担う若年層が薄い。新卒採用に力を注いだものの、供給不足にぶち当たった担当者は少なくないという。

 企業は景気への不安から賃上げに慎重だが、人手不足が深刻化すれば賃金が跳ね上がる事態も起きかねない。

 安倍・黒田が想定した金融緩和による物価上昇シナリオとは異なるインフレが、不況下の労働市場にひっそり芽吹いている。

 賃上げは消費を刺激し、金利を押し上げるだろう。不況に慣れ切っていた経営者や投資家の心理が一転する局面が訪れるかもしれない。

■株式市場は腕力相場、企業業績は円建てマジック

 朝日新聞は4月2日「景気回復途上」という記事を1面に掲載した。消費税増税で冷えた消費は戻りつつある、だが本格的な景気回復はまだ、という内容だ。

「回復途上」という言葉には、現状は不十分だが、回復に向かっているという方向性が感じられる。果たしてそうだろうか。改めて、景気の現状を点検してみよう。

 好転をうかがわせる明るい材料は、まず株価だ。安倍政権が誕生する直前8000円台だった日経平均株価は、2万円に迫る勢いだ。株価の上昇は心理的な明るさを呼ぶ。

 企業業績も好調。円安のおかげで海外で稼いだ利益が膨らみ、トヨタ自動車の営業利益が2兆7000億円に膨らむなど自動車、電機、商社などは空前の好決算だ。

 国庫に納付される税収が増えた。2013年度は47兆円だったが14年度は51.7兆円に拡大する見通しだ。

 景気は不況から脱するかに見えるが、この動きは本物か。もう少し中身を検討してみよう。

 まず株価。これには「膨らし粉」が入っている。昨年まで上昇相場の主役は外国人投資家だった。ところが今年に入って外国人は売り越しに転じている。買い越しているのは投資信託である。「その後ろに年金資金がいる」と市場で言われている。

 昨年10月末、130兆円を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が株式の運用比率を2倍に引き上げた。債券中心から株主体へと方針が変わり、約17兆円が国内株に投入される。株式市場という池に年金マネーというクジラが飛び込む。当然、水位は上がる。

 時同じくして日銀の黒田総裁は追加の金融緩和策を発表した。GPIFの発表と併せ「ダブルバズーカ」と囃された。

 政府と日銀が手を携える「腕力相場」の色彩が濃い。政権にとって日経平均はアベノミクスの成功を示す広告塔になっている。

 企業業績の好転は円安の恩恵である。1ドル=100円が120円になれば、ドルでの稼ぎが円換算で20%増になる。海外で稼ぐ大企業の利益が膨らんだ。企業努力によるものではなく、産業が強くなったからでもない。何もしなくても円建て利益が増えたのである。

 株高で資産家が儲かり、円安で大企業の利益が膨らむ。経済ピラミッドの頂点が潤えば恩恵はやがて下々にしたたり落ちる、という「トリクルダウン」こそ政権が考える好循環の構図だった。

 利益が増えれば設備投資にカネが回る。雇用が増える。賃金が上がる。家計が潤う。消費が増える。そんな好循環が始まるはずだった。ところが恩恵はしたたり落ちず、トリクルダウンは絵に描いた餅だった。

■官製春闘も低所得層まで届かず 底流に経産官僚立案の政策

 唯一の救いは労働市場のひっ迫だった。きっかけは被災地の人手不足。膨大な復興予算が投入され公共工事や除染で大量の作業員が必要となった。人件費の高騰、求人難は全国に波及した。

 地方の土木工事から始まった労働力の不足が都市に波及し、サービス業や製造業の非正規社員の不足へと進んだ。外食チェーンで深夜勤務に必要なアルバイトが採れない、などと問題が表面化している。

 労働力不足は少しずつ賃金を押し上げている。名目賃金は14年3月から11ヵ月連続で前年比プラスで1月は1.3%増。しかし消費増税で物価が上がったことで実質賃金は13年7月から19ヵ月連続で前年割れが続いている。

 実質所得が減っているから消費が振るわないのは当然。日銀がお札をどんどん刷ってインフレ期待を煽っても庶民は将来不安が募りおカネを遣わない。

 金融を緩和しても、株式市場に流れ込む資金は増えても、生産や消費にカネが向かう好循環は起こらなかった。

 そこで政府は労使問題に介入した。経団連など財界団体と連合など労組の代表を呼び政労使協議を開き、「賃上げ」を要請した。政権が財界に「給与増額」を要求するという前代未聞の出来事である。

 好循環が働かないなら、人為的に企業の内部留保を人件費に回すしかない、という窮余の一策である。経団連に参加する大企業は応ずる構えだが、慎重だ。稼ぐ力がついた実感がないからである。では中小企業はどうか。円安で輸入資材のコストが上がり、経営は苦しくなるばかり。人件費に回す原資がない。

 本気で景気対策をするなら、所得が消費に直結する低中所得層や若者の収入を増やすことが肝要だ。高額所得者や高収益企業から税金を取り、若者や低所得層に手厚く配る「分配政策」が有効だ。

 安倍政権は逆のことをやっている。法人税減税で儲かる企業に優しく、低所得者ほど負担が重い消費税増税を進めている。労働者の40%が非正規社員では若者層は不安定だ。

 消費を原動力に内需をまわす構造になっていない。消費者=従業員にガマンを強いて、生産者=企業の競争力を重視する政策が採用されている。

 安倍首相の政務秘書官は経産省官僚、成長戦略も経産省が原案を作り、大企業の国際競争力を重視する政策が底流にある。

 金融緩和で物価を上げようとする安倍・黒田政策では「所得の再分配」は進まない。上層は熱くても下層は冷たい風呂桶のような経済構造は改まりそうにない。

■アベノミクスはいよいよ「危うい手仕舞い」に?

 政府の発表によると、高額商品を中心に消費の一部に動きが出てきた、という。株の値上がりや配当収入の増加など高所得層の動きだが、消費の大部分を占める中間層は鈍い。経産省がこのほど発表した2月の鉱工業生産指数は前月比3.4%の下落、2010年を100として98.9だった。企業業績は好調でも設備投資にまだ力が入っていない。先行きが不透明なことが増産をためらわせている。好調な自動車産業さえ国内市場の低迷で投資を手控えている。トヨタがメキシコに新工場建設を発表したように、利益を回す投資先は海外だ。日本経済の回復は国内の再生しかない。カギは消費力、すなわち賃金だ。

 労働力のひっ迫から賃金が上がれば、消費にまわり景気好循環の糸口がつかめるかもしれない。

 だが賃上げが物価高に連動すれば、政府・日銀は目標を達成することができるかもしれないが、物価がぴたりと2%近辺で安定する保証はない。

 一方で日銀に設けられた金融機関の口座には金融超緩和の副産物である数十兆円の資金が行き場がないまま溜まっている。賃上げで物価に動きがでればこの滞留資金が流れ出る可能性が高い。「過剰流動性」と呼ばれるマネーの奔流が大混乱を起こすこともないとは言えない。

 考えたくない事態だが、時代の節目にしばしば起きてきたことだ。長期にわたるデフレから脱却するには「リスクなしのシナリオ」はない。アベノミクスはいよいよ「危うい手仕舞い」に入るのかもしれない。


 

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コメント
 
01. 2015年4月09日 08:24:11 : ZeE1I3iZbI
ただの、悪性インフレで、選挙惨敗。

02. 2015年4月09日 09:54:08 : nJF6kGWndY

>本気で景気対策をするなら、所得が消費に直結する低中所得層や若者の収入を増やすことが肝要だ。高額所得者や高収益企業から税金を取り、若者や低所得層に手厚く配る「分配政策」が有効

さすが元朝日w

再分配強化はもちろん貧困抑制にとって有効だが、それだけ進めれば、ただのバラマキになり、日本のように超富裕層の占有率が低い場合、あまり意味は無い

そして労働分配率の限界から再び投資不足による深刻な経済停滞と供給不足インフレ(またはデフレ不況と実質賃金低迷)に陥る


>日本列島を覆う求人難 想定外の「人手不足で物価上昇」

日本に限らず、先進国では潜在成長率の想定外の低迷が明らかになっている

再分配に加え、介護、医療、食など需要が高まる重要産業に対して、規制緩和や投資促進など生産力の強化を行うことが、より重要だ



03. 2015年4月09日 12:58:37 : wAtVSA2hbg
安易な移民政策には反対する。

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