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コラム:米経済の減速継続なら、日銀物価シナリオ実現に壁 日本株の米国株離れ「デカップリング」は可能か=岩下真理氏
http://www.asyura2.com/15/hasan95/msg/254.html
投稿者 rei 日時 2015 年 4 月 10 日 18:32:11: tW6yLih8JvEfw
 

コラム:米経済の減速継続なら、日銀物価シナリオ実現に壁
2015年 04月 8日 18:17 JST
田巻 一彦

[東京 8日 ロイター] - 米経済の勢いがパッとしない。米連邦準備理事会(FRB)メンバーの一部からは、利上げを2016年後半まで先送りするべきだとの声も出始めた。大雪や港湾ストなどの一時的な要因なのか、それとも構造変化が始まったのか。

もし、米経済の力強さが幻に終わるなら、日銀が描く2015年後半からの景気回復と物価上昇の加速も、実現が難しくなる。日銀にとって米経済の動向は、かなりの比重を占めることになると予測する。

<黒田総裁、所期の効果を強調>

ワシントンで7日午後(日本時間8日未明)、大規模な停電が発生し、ホワイトハウスや国務省など米政権の中枢部も一時、真っ暗な闇に覆われた。米当局は、テロとの関連性は否定しつつ、原因を調査中という。

まだ、仮説の1つに過ぎないが、太陽の活動が活発になり、太陽フレアの大規模な発生が確認され、それが地球のどこかでの停電などにつながる可能性は、かねてから指摘されていた。

かなり以前から、経済のたとえ話として、米経済を太陽にたとえれば、日本経済は惑星に過ぎないという構図が、提示されてきた。日本経済の相対的な地位が低下し、世界経済に占める比重が一段と下がってきていることを踏まえれば、日米経済の関係は、まさしく太陽と地球にたとえられる。

日本経済の様子は、2013年4月4日の日銀による量的、質的金融緩和(QQE)の実施によって、劇的に変わった。

ただ、最近までの原油価格の下落などを主因に、黒田東彦総裁が先頭になって打ち出した「2年間で2%」の物価目標達成は、実現できなかった。

しかし、黒田総裁は8日の会見で、QQEは所期の効果を発揮していると強調。「企業収益は過去最高に近い水準、設備投資も増加基調。輸出もようやく持ち直している。失業率は構造失業率近傍で推移し、賃金も緩やかに増加している」と、政策効果が幅広く出ていると指摘。

さらに物価についても「昨夏以降、原油が大幅下落したのは想定外だが、緩和拡大の効果もあり、実際の物価上昇率の低下が予想物価上昇率の低下を通じて賃金や価格決定に影響を与えることは避けられている」とし、「2年程度を念頭にできるだけ早期に物価安定目標を実現する方針に変化はない」と述べた。

民間のエコノミストの多くも、今年の春闘での賃上げ実績が昨年を上回ることが確実で、さらに原油安のメリットが秋から本格化するため、2%の物価目標達成はともかく、物価は年後半に上がり始めると見ている。

<揺れるFRB幹部の発言>

ただ、これらの議論は、世界経済の動向への配慮が、やや薄いという印象を持つ。特に太陽にたとえられる米経済の動向が、一部の市場参加者が期待するほど輝きを強めずにいるのが気がかりだ。

3月米雇用統計における非農業部門の雇用者増が、12万6000人と市場予想の半分程度に下がっただけでなく、3月米ISM製造業景気指数が2013年5月以来の低す準に落ち込み、2月の米耐久財受注で航空機除く非国防資本財は、前月比マイナス1.4%と予想の同プラス0.3%を下回った。

イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長は3月27日の講演で、ドル高が米輸出を阻害する可能性があると指摘した。

また、NY連銀のダドリー総裁は6日、利上げに踏み切る時期は不確かで、最近の米系の弱含みが、より顕著な減速の兆しではないか、見極める必要があるとの認識を示した。さらに原油安や米国内の産業活動の低下が、米経済の「著しい足かせ」になると指摘した。

ハト派のコチャラコタ・ミネアポリス地区連銀総裁は7日の講演で、2016年後半まで利上げを遅らせるべきだとの見解を示した。

足元における米経済の減速傾向は、一時的な要因かそれとも構造的な変化の結果か──。その点の原因解明は、まだ途上にあるが、「大雪などの一時的要因」と決め打ちする見方が、米国内で少数派に転落したのは確かなようだ。

イエレン議長は3月27日の講演で、米経済には長期停滞リスクがあるとの見方を初めて公に示した。もし、議長の指摘が正しければ、米経済は3%台の成長に向けて力強い足取りを見せることは難しくなり、世界経済には強力なエンジンが不在になるリスクが高まる。

「太陽の活動」の変調は、周辺の惑星に強く影響するはずだ。米経済の減速は、米国向け輸出や米国内にある日系企業の稼働率低下につながりやすくなる。

日本企業にとっては、トップラインの伸び悩み要因として働き、いずれかの段階で市場の注目を浴びる展開になる可能性がある。

<日銀判断を左右する米経済の見通し>

一方、8日の会見で黒田総裁は、米経済の状況について、ドル高が米輸出に影響し、製造業の先行指標が弱いと言われているが「まだ、はっきりしているわけではない」とし、「米経済は民需中心にしっかりと回復している」と強気の見方を示した。

少し、うがった見方をすれば、今の「強気」の米経済の見通しを修正する時は、日本経済の体温が低下し、具体的には需要サイドが弱くなって需給ギャップがマイナス方向に開き出し、物価上昇の基調に変化が起きる兆しが見えることになるだろう。

ということは、日銀が米経済の見通しを厳しめに見る時は、物価の先行きの見方を修正し、追加緩和に動く可能性が高まるのではないか。

その意味で、FRBの主要メンバーの発言から、米金融政策の動向を探る作業をするということは、同時に日銀の金融政策の先行きを予測することにもつながると言える。

イエレン議長はじめFOMCの主要メンバーが、そろって米経済の弱さを一過性ではなく、何かの要因で下押しの圧力が高まっていると言い出した時は、日銀の追加緩和の決断時期も迫っている可能性がかなりあると予想する。
http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPKBN0MZ0PV20150408

コラム:日本株の米国株離れ「デカップリング」は可能か=岩下真理氏
2015年 04月 10日 15:58 JST
岩下真理 SMBCフレンド証券 チーフマーケットエコノミスト

[東京 10日] - 米国の株式相場格言に「Sell in May(株は5月に売れ)」がある。5月が他の月と比べ相場が軟調になることが多い状況を示したものであり、ヘッジファンドの決算が集中するためとも言われる。

2010年以降の米株動向を振り返ると、このアノマリー(経験則)は概して正解だった。直近で当たった理由は、予想外のイベントが5月にあったからだ。2010年はギリシャ危機、2012年はギリシャ総選挙、2013年はバーナンキショックである。

一方、足元の不安材料は、1)原油動向、2)ギリシャ債務問題・中東情勢などの国際情勢、3)米国経済の変調、の3つだ。これら下振れリスクの行方次第では、「Sell in May」が奏功する可能性もあれば、日米欧で株高・債券高が併存するゴルディロックス(居心地の良い)相場が長期化する可能性もあるだろう。

目先の注目は、来週以降に本格化する米企業決算だ。トムソン・ロイターの調査によると、米S&P総合500種指数採用企業の2015年第1四半期利益は前年同期比2.8%減少すると予想されている。米株市場はすでに、世界経済の減速や原油安、ドル高の悪影響を受けた減益を織り込む形で、高原状態になっている。S&P500は2月25日、NYダウは3月2日にピークを付けた後、適度な調整をこなしたように見えても、予想株価収益率(PER)水準では割高警戒感は残る。

ただし、仮に米株に「Sell in May」の短期的調整が前倒しで入っても、割安感のある日本株(8日時点:S&P17.6倍、TOPIX15.4倍)には、むしろ投資妙味が強まることになる。「日米株のデカップリング(非連動)」は可能だろう。

さらに日本株の強みは、新たな買い手の好需給が期待できることだ。4月1日にゆうちょ銀行が中期計画(2017年度までにリスク資産投資を14兆円積み増し)、2日には年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が今年度からアクティブ運用の比率を高める方針を発表した。

当面の日米株は、デカップリングを試す時間帯となろう。10日午前の東京株式市場で、日経平均株価は取引時間中としては約15年ぶりに2万円台を一時回復したが、これは通過点に過ぎないのではないか。

<米経済の変調、リスクオフ招く可能性は>

しかし、先ほど挙げた3つの不安材料のうち、米経済の変調とそれが日本経済に与える影響については、見通し難い状況であるのも事実だ。

実は筆者が前回3月上旬にコラムを執筆後、冴えない米国指標が相次いだ。4月29日発表の米国1―3月期実質国内総生産(GDP)は、昨年10―12月期の前期比年率プラス2.2%には及ばない1%台の低成長にとどまりそうだ。

2%に届かない弱さの要因は、大雪の影響を受けた消費の鈍化、原油安とドル高の影響を受けたエネルギー関連設備投資の低迷持続、輸出の減少である。ガソリン安の恩恵は期待したほどなかった。

2月分が強めに出ていた雇用統計も3月分で、非農業部門雇用者数が前月比12.6万人増と市場予想の同24.5万人増を大幅に下回ったこと(過去1月、2月分も合計で6.9万人の下方修正)を受けて、市場では6月の利上げ観測が一気に後退した(今回の雇用増加ペースの鈍化により、弱い他指標との整合性がようやく取れたとも言えるが)。

仮に天候要因剥落の4―6月期も、米経済の減速が続くようであれば、日本経済の緩やかな回復基調の持続という日銀シナリオにも黄信号が灯る可能性が高まってしまう。また、米国発の世界経済の下振れ懸念が強まるようなことがあれば、一時的でもリスクオフ相場(株安、債券高、ドル安)を招く可能性には注意が必要になろう。

米経済について筆者が特に気になるのは、雇用統計よりも米供給管理協会(ISM)発表の景況指数に見られる製造業と非製造業のセンチメントのかい離だ。

ISM製造業総合景況指数は昨年10月の57.9をピークに5カ月連続低下し、3月分は51.5と50超えだが2013年5月以来の低水準にある。2月分の悪化は大雪と港湾ストという一時的要因が大きいと見ていたので、3月分での多少の戻しを期待していたが下げ止まらなかった。輸出受注では今年1月から3カ月連続の50割れとなり、ドル高の影響がじわりと効いて全体の足を引っ張ったのは明確だ。

6日のダドリー・ニューヨーク連銀総裁の講演では、スタッフ試算で、昨年半ばからドルが15%近く上昇したことにより、今年の実質GDPを0.6%ポイント押し下げることを明らかにした。足元の為替相場ではドル高はとりあえず一服しているが、その影響はまだ残ろう。

日本の輸出動向を占う上で、筆者が注目している新規受注も弱含んでいる。2―3カ月程度のタイムラグを考えると、4―6月期の日本の輸出(製造業)にも勢いが欠ける状況が予想される。

ただし、ISM非製造業総合景況指数は3月分が56.5と4カ月連続でほぼ同水準をキープし、下げ渋る底堅さを見せたのは明るい材料だ。この背景には、ドル高・原油安によるコスト低下のメリットがある。為替の逆サイドにある日本の企業が、円安によるコスト上昇を価格転嫁するかどうかに苦悩するのとは対照的だ。

それに加え、足元で米国企業での賃上げの動きが広がっており、米国の内需押し上げにいずれ働こう。具体的にはウォルマート・ストアーズ(WMT.N)、ターゲット(TGT.N)、TJX(TJX.N)などの小売り大手が最低賃金の引き上げ方針を発表、秋には全米自動車労組が12年ぶりに賃上げを要求する方針を固めた。

政府が賃上げに積極的に取り組んでいるという点は、日米の共通点である。賃上げによる所得増から消費増という形での、前向きな循環メカニズムに働きかけていると言えよう。内需主導の米国の緩やかな回復持続は、日本にも世界にもフォローの風となる。

ちなみに、3月の雇用統計に話を戻せば、失業率は5.5%と上昇せずに横ばいにとどまり、時間当たり賃金は上昇(前月比プラス0.3%)、長期失業者数は減少と改善している。労働市場のスラック(余剰)は緩やかに減少持続との見方は維持できるだろう。

このように総じて見れば、米経済の状況は、緩やかな回復基調のもと一時的な弱さに見舞われているといったところであろう。

<米利上げは9月か12月が有力>

こうしたなか、市場関係者の関心は現在、米利上げのタイミングに集まっているが、3月17―18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録で、6月利上げに踏み切るべきかどうかをめぐり、FOMCメンバーの意見が割れていたことが改めて確認された。

また、3月雇用統計発表後の8日に、2人のFOMCメンバーが以下の注目すべき発言をしている。

ダドリー・ニューヨーク連銀総裁はロイターのインタビューに対し、「次回の雇用統計が力強く、第2四半期のGDP統計で経済が大きく上向いていることが示されれば、6月の利上げはなお可能な状況にある」と指摘。その上で、6月に利上げを開始する「ハードルは若干高い可能性がある」とも述べた。今後の経済指標次第で、6月の利上げを全面否定はせず、若干ハードルが高いことを素直に認めている。一方で、パウエル米連邦準備理事会(FRB)理事はニューヨークでの講演で「急ぐ必要はないが、ゴールに着くよりも相当前に動き始めなければならない」と述べた。

両者に共通するメッセージは、利上げを視野に入れて経済指標を吟味するというものであり、利上げ開始後は緩やかなペースで進めていくと受け止められよう。

筆者は利上げ時期について、イエレンFRB議長会見のある9月、12月が有力と考えている。イエレン議長はこれまでも経済指標次第と繰り返し強調しており、その時期は決めていないだろう。

一時的な弱さの判定には、その後3カ月程度のデータを確認する必要がある。まずは7月30日発表の4―6月期GDPでドル高と原油安の影響を見極め、賃金の下げ止まりを待つことになろう。一部には早くも「年内の利上げは無理」との見方が浮上し始めているが、来秋の米大統領選を勘案すると、年内に1回は利上げを行い、何かあった時に緊急対応ができる金利水準にしておく(のりしろを作る)のが望ましいのではないだろうか。

過去2年間では、「テーパリング(量的緩和の段階的縮小)決定」(2013年12月)「忍耐強くなり得るという文言盛り込み」(2014年12月)、と12月FOMCで重要な決定をしてきた。前のめりの市場での「9月観測」に対して、待たされて「12月実施」というパターンが今年も踏襲されるのか、二度あることは三度あるのだろうか。

FRB議長の議会証言は年2回、通常なら2月、7月にある。次回7月の証言、毎年恒例の8月下旬開催のジャクソンホール会合によって「9月米利上げ」の可能性が試されることになりそうだ。

<日銀の正念場は秋口以降>

翻って日本では、春闘で2年連続のベア上昇となっても前年比プラス1%(連合集計の3月末時点で今春はプラス0.7%、昨年プラス0.4%)には届かず、日銀の物価安定目標2%に向けては、期待ほどの力強さには欠けそうだ。

しかし、昨年の今頃(消費増税直後)を思い出すと、2年連続のベア上昇、さらには昨年を上回る上昇率に対して懐疑的な見方が強かった。それを実現できたのは新たな一歩だ。異次元緩和決定から2年経過したが、円安・株高進行のもと企業収益を増加させ、企業の価格設定行動を変化させ、期待インフレ率を上昇させた点は評価できるだろう。

消費増税後の消費落ち込みの大きさについては、特に年金生活者の実質所得減少を甘く見たのは反省点だ。もっとも、昨夏以降の原油急落は誰も予想しておらず、今年秋口までの物価下振れはやむなしだ。

足元では2月分の輸出、生産、消費、公共投資が弱く、5月20日発表の1―3月期実質GDP1次速報は当初想定(ESPフォーキャストの予測平均は4月調査プラス2.26%、3月調査プラス2.64%)から下振れ、昨年10―12月期の同プラス1.5%から伸び率鈍化、3月分の持ち直しが弱ければプラス1%割れの可能性もある。

4月30日発表の日銀展望レポートでは、2014年度、2015年度の成長率見通しの下方修正も検討されよう。それでも8日の黒田総裁会見では、引続き強気見通しを示した。また、「昨年10月(追加緩和時)のようなリスクは解消されている」との発言もあった。展望レポートの標準シナリオには変化なく、追加緩和を検討するとは考え難い。

日本の基調的な物価動向だけであれば、企業の価格設定に影響を与える消費動向が大きな鍵を握る。今後は2年連続の賃上げを踏まえて、前向きな循環メカニズムが作用できるかだ。所得増加に伴って消費堅調となれば、景気とバランスが取れた良い物価上昇は可能となろう。時間をかければ、2%方向には近づいていく。期待に働きかける施策である以上、物価目標達成期限の修正も考え難い。筆者は日銀の物価シナリオの正念場は秋口以降と見ている。

こうした日米の経済状況を考えると、日米経済のデカップリングは無理でも、各々の内需主導による緩やかな回復持続のもと、PER比較、日本の好需給、金融政策の方向性の違いから、日米株価のデカップリングは可能な局面にあると見る。

*岩下真理氏は、SMBCフレンド証券のチーフマーケットエコノミスト。三井住友銀行の市場部門で15年間、日本経済、円金利担当のエコノミストを経験。2006年1月から証券会社に出向。大和証券SMBC、SMBC日興証券を経て、13年10月より現職。

http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPKBN0N108F20150410  

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コメント
 
01. 2015年4月10日 18:40:50 : e9xeV93vFQ

インタビュー:物価の基調不変なら追加緩和は不要=中曽日銀副総裁
2015年 04月 10日 17:21 JST
[東京 10日 ロイター] - 日銀の中曽宏副総裁はロイターとのインタビューに応じ、今後、消費者物価(生鮮食品除く、コアCPI)の見通しが下振れても需給ギャップやインフレ期待など物価の基調が変化しない限り、「追加緩和は不要」との認識を示した。

日本経済は企業や家計の前向きな行動の変化が生じており、デフレマインドは「払しょくされつつある」と表明。量的・質的金融緩和(QQE)に伴う大規模な国債買い入れを今後も続けていくことは「十分に可能」と語った。インタビューは9日に行った。

<デフレ心理「払しょくされつつある」、リスクは海外動向>

日銀が2年程度で2%の物価目標を達成すると宣言し、2013年4月にQQEを導入してから2年が経過したが、足元のコアCPI上昇率は消費税率引き上げの影響を除くベースで前年比ゼロ%まで伸び率が縮小している。

中曽副総裁は物価動向について「(2%の)物価安定目標との隔たりが残っている」ことを認めながら、鈍化の原因は原油価格など「エネルギー価格の下落」によるものと説明。日銀が重視している需給ギャップやインフレ期待などを反映した「物価の基調」は「着実に改善している」と語った。

そのうえで、日本経済は「企業、家計部門とも所得から支出への前向きな循環メカニズムが作用し、景気は緩やかに回復している」とし、QQEの効果もあって企業や家計の「前向きな行動の変化が起きている」と強調した。

具体的には企業の賃金設定において、今年の春季労使交渉(春闘)で昨年を上回る水準のベースアップ(ベア)が実現する見通しなど「賃金の上昇傾向が続いており、企業の予想物価上昇率の上昇を示唆しているものとして非常に心強い」と歓迎。賃上げの内容も「中小企業や非正規労働者に広がっており、雇用・所得環境の質的改善を示すもの」と評価した。

企業や家計のデフレマインドは「払しょくされつつある」と表明。「この点は隔世の感がある」とし、日本経済はデフレ脱却へ着実に前進しているとの認識を示した。

日本経済の好循環が「中断する」リスクについて、「海外動向により目を向けていく必要がある」と言及。特に、深刻な債務問題に直面しているギリシャが「仮にユーロ圏から離脱するようなことになれば、国際金融資本市場の混乱などを通じて日本の市場、経済にも影響があり得る」とし、ギリシャ問題の行方に注視が必要とした。

<2年程度の目標期限は変えない、政策効果の起点>

物価2%達成に向けた道筋は、原油価格が日銀の想定通り先行き緩やかに上昇していくことを前提にすれば、コアCPIの前年比は「原油価格下落の影響がはく落するにつれて伸び率を高め、2015年度を中心とする期間に2%に達する」と展望。もっとも、原油価格の動向によっては達成時期が「多少前後する可能性はある」との見方を示した。

日銀がQQE導入当初に約束した2年程度を念頭とした目標達成期限についても「(期限の)コミットメントは政策効果の起点であり、この方針を変える考えはない」と強調した。2年程度での目標達成が困難になれば追加緩和を迫られることになるが、仮にコアCPIの見通しが下振れても「物価の基調的な動きに変化が生じない限り、追加緩和は不要」と断言。一方で、物価の基調に変化が生じた場合は「物価安定目標の早期実現に必要となれば、ちゅうちょなく調整を行う」とも語った。

QQEからの出口政策については、物価目標実現の途上にある中で「早い段階から具体的なイメージを持って話すことは適当ではない。市場との対話の観点からも、かえって混乱を招く」とし、議論は時期尚早と指摘。そのうえで、日銀は超過準備への付利や、資金吸収手段として国債売り現先、手形売出という「実用可能な手段を有している」と述べ、出口に対応することは「十分に可能だ」と自信を示した。

<大規模な国債買入継続「十分可能」、市場の流動性維持は重要>

QQEに伴って長期国債の保有残高を年間80兆円増加させる大規模な国債買い入れを日銀が続ける中、国債市場では市場機能や流動性への懸念が一段と強まっている。

中曽副総裁はQQE導入が国債市場の需給や価格形成に影響を与えることは「当初から不可避と思っていた」としたが、これまでのところは「国債市場の機能度、流動性が通常取引が困難になるほど著しく低下しているわけでない」との見方を示した。

一方で「私自身は流動性の維持がとても重要であることを十分に認識している」と強調し、これまで以上に市場参加者と密接な意見交換に努めるとともに、「新しい分析手法なども活用しながら、市場の流動性や機能度について包括的、丁寧にフォローしていきたい」と語った。

市場では現行の大規模な国債買い入れの持続性を疑問視する声も多いが、中曽副総裁は、今後も買い入れを続けていくことは「十分に可能」と明言。さらなる国債の買い入れに関しても「今後も買い入れに支障をきたすような特段の事情があるとは考えていない」と述べ、追加緩和を行う場合の増額余地もにじませた。

さらに、今後も国債買い入れを続けていく中で、「従来は安定的・固定的な投資家とみられていた主体が保有する国債まで掘り起こして買っていくことになる」と指摘。「こうした投資家は、より高い価格でなければ日銀に国債を売却しないかもしれない」と述べ、「その場合は、オペレーションを通じてイールドカーブの低下圧力や、ポートフォリオ・リバランスを促す効果が強まる」と、さらなる金利低下の可能性に言及した。

<マイナス金利は緩和効果の一形態、金融機関収益の厳しさ「十分認識」>

また、金利低下によって短期国債市場などで異例のマイナス金利が発生しているが、「マイナス金利は金融緩和効果の一形態であり、借入コストの低下やポートフォリオ・リバランスの促進という意図するメカニズムに沿ったもの」と政策効果を主張。現段階では「マイナス金利が市場取引のインセンティブを大きく阻害したり、金融サービスの提供に持続的な負の影響が生じているとは考えていない」と語った。

超低金利環境の長期化が貸出金利ザヤの縮小などを通じ、地域金融機関を中心とした金融機関の基礎的な収益力の低下をもたらしている。

中曽副総裁は、QQE推進に伴う金利の低下によって「地域金融機関の収益環境が非常に厳しい状態に置かれていることは十分に認識している」とする一方、QQEの効果によって経済の好循環が強まれば「貸出の増加や資金利益の改善などの効果が生じ、金融機関の収益向上にもつながっていく」と期待感を示した。

一方、大規模な金融緩和を続ける中でも「現時点で資産市場や金融機関行動において、過度な期待の強気化は観察されていない」と、金融面の不均衡は生じていないとの認識を語った。

(伊藤純夫 木原麗花)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0N10N020150410



コラム:世界経済減速で日銀追加緩和の現実味=村田雅志氏
2015年 04月 10日 13:35 JST
村田雅志 ブラウン・ブラザーズ・ハリマン 通貨ストラテジスト

[東京 10日] - 今年第1四半期の世界景気は減速感が広がった。消費増税後の低迷から回復が期待される日本経済も、この動きと無縁でいることは難しく、日銀は景気減速を背景に追加緩和に踏み切るだろう。

ただ、日銀が追加緩和に踏み切ったところで、2%の物価目標を今年度に達成することは難しい。為替市場での追加緩和期待は、来年度も続くことになろう。

市場関係者の間では、米国景気が第1四半期に減速したとの見方が強まっている。米雇用の拡大ペースは、昨年第4四半期の月平均32.4万人増から第1四半期には同19.7万人増と大幅に鈍化。米景気との連動性が強いことで知られる、米供給管理協会(ISM)発表の製造業景況指数も、3月には51.5と昨年10月の57.9から5カ月連続で低下した。

市場関係者による第1四半期の米成長率見通しは1%台後半と3月時点の2%台前半から下方修正され、昨年第4四半期(2.2%増)からさらに鈍化する格好となっている。

第1四半期の景気減速は米国だけでなく世界的な現象である。新興国の製造業購買担当者景気指数(PMI)をみると、昨年第4四半期から第1四半期に低下した国は14カ国中8カ国。改善を示した6カ国のうち韓国、台湾、メキシコ、ポーランドの4カ国は2月から3月にPMIが低下しており、米国と同様に3月になって減速感を強めている。

3月の貿易統計のうち、すでに発表されている韓国、ブラジル、台湾の輸出はいずれも前年割れ。国別にみると、中国や日本を含めアジア向けの落ち込みが大きく、堅調に推移した米国だけでは輸出全体をカバーしきれない構図となった。

3月調査の日銀短観でも、海外での製商品需給判断(製造業)は、大企業、中小企業ともに悪化。業況の先行きに関する判断指数(DI)をみても、自動車など輸出業種で大きく悪化しており、日本企業も世界景気の減速を認識していると推察される。

こうした状況を踏まえると、日本の輸出は2月に続き3月も数量ベースで減少が続くことになりそうだ。内閣府によると、輸出数量は1月に前月比プラス5.7%と大きく上昇したが、2月は同マイナス7.6%と昨年8月以来の水準に大きく低下。3月もアジア向けの落ち込みを主因に前月比マイナスとなる可能性があり、第1四半期の国内総生産(GDP)成長率を押し下げると予想される。

国内景気は、外需だけでなく内需も拡大が期待しにくくなっている。特に個人消費は伸び悩む状況が続くだろう。2月の現金給与総額は、前年比0.5%増と市場予想を大きく下回り、1月分も同1.3%増から同0.6%増に大きく下方修正された。今年の春闘でのベースアップ(ベア)は、3月31日時点で平均0.7%程度と昨年(0.4%)から伸びが加速したが、その一方で非正規雇用の拡大は続いている。

また、所定外給与(いわゆる残業代)は前年並みに伸び悩み。昨年(2014年)春闘でのベアが平均0.4%だったにもかかわらず、所定内給与はサンプル入れ替えの影響もあって前年比0.0%から同0.4%減に下方修正された。こうしたことから考えても、今年も賃金の伸びは限定的となりそうだ。

<原油安効果は貯蓄増か>

原油安によって家計の購買力が強まるとの期待もあるが、過度な期待は持たない方がいいだろう。小売業販売額は1月、2月ともに前年割れ。原油安は昨年11月から続いているが、消費を押し上げる形にはなっていない。

家計調査で平均消費性向が若干ではあるが低下しているように、原油安によって生じた余剰資金の多くは貯蓄に回っている可能性もある。家計貯蓄率が2013年度にマイナス1.3%と史上初めてのマイナスを記録したことも考慮すると、消費者は原油安を消費拡大ではなく貯蓄回復の好機とみなしているのかもしれない。

アベノミクス「第2の矢」として持てはやされた大規模な財政支出も、今後は目にすることができないだろう。公共投資の先行指標である公共工事請負額は2014年8月以降、前年比で減少基調が続いており、第1四半期以降は成長率の押し下げ要因となる見込みだ。その後も、2014年度補正予算による経済対策が、過去2度の対策と比較すると小規模であることから、政府支出は今年度いっぱい成長率を押し下げることになる。

政府は景気減速が目立ってくると、追加経済対策を検討する可能性があるが、安倍首相が2020年度に基礎的財政収支の赤字解消を公約として掲げていることもあって対策の大規模化は期待できない。そもそも建設業では人手不足が慢性化しており、対策規模を大きくしたところで公共事業が成長率を短期に押し上げることは難しい。

内需、外需ともに軟調な動きとなれば、日本も第1四半期の成長率が1%台半ば程度と、昨年第4四半期から伸び悩む可能性が高まる。こうなると黒田日銀総裁が重視する需給ギャップの改善が一服することになり、(同総裁のこれまでの発言との整合性が保たれると想定していいのなら)、追加緩和を検討することになる。

ただ、追加緩和の内容が、2度目の大規模緩和のように、長期国債の買い入れペースの拡大が中心だと、為替市場は大きな円売りの反応を示さないだろう。保有残高が年間約80兆円に相当するペースで増加するとした現時点での長期債買い入れペースですら、円債市場関係者を中心に実現可能性が疑問視されている。これ以上、長期債買い入れペースを拡大すれば、金融政策の実現可能性に対する疑義がさらに強まることになる。

一部市場関係者から提案されているように、日銀が追加緩和として長期国債の代わりに、財投機関債や地方債の買い入れを開始したとしても同じことだ。買い入れ余地が狭まっている長期国債に比べれば、日銀のオペは容易となるだろうが、円債のイールドカーブが、さらにフラットニングするとは考えにくい。

財投機関債や地方債のスプレッドが縮小したところで、政府関係機関や地方自治体が短期間で予算規模を拡大させるわけではなく、象徴的な意味合いばかりが目立つ。買い入れペースの拡大幅によるところもあるが、円売りの動きが持続的なものになるとは期待しにくい。

<ETF買い入れが効果的>

一般の人々のインフレ期待を醸成し、総需要を下支えするという点では、長期国債などの公債買い入れよりも、上場投資信託(ETF)の買い入れ規模を拡大させた方が効果的だろう。日本株の上昇は資産効果を通じ個人消費を押し上げることが期待できる。

また、日本株の上昇で市場のリスク選好姿勢が強まれば、円売りの動きが加速することも考えられる。市場の公的関与が強くなるとして、日銀によるETFの買い入れ拡大を批判的にとらえる見方が強まるかもしれないが、2%物価目標に強いコミットメントを示す黒田総裁にとっては意味のある批判とならない。

ただ、このような追加緩和が実施されたとしても、今年度中に内需が拡大することでインフレ圧力が強まり、2%物価目標が達成されることは考えにくい。2度目の大規模緩和で示されたように、日銀がマネタリーベースの拡大ペースを加速させても、需給ギャップが目立って縮小したわけでもなければ、予想物価上昇率(インフレ期待)が高まったわけでもない。

黒田総裁は、物価が事実上のゼロ%になっているのは原油価格の下落が主因で、物価の基調は着実に改善していると抗弁するが、原油価格との連動性が弱い家賃は前年割れが常態化したままだ。耐久消費財にいたっては、消費税率の引き上げ効果を除くと前年割れとなっている。

政府が基礎的財政収支の黒字化という公約に縛られている以上、日銀が2%物価目標を今年度中に達成できるとすれば、為替市場が円安方向に動き、輸入物価の上昇を通じて外生的に物価を押し上げる経路に限られる。2013年半ば頃と同じように円を20%ほど減価(ドル円を140円超に上昇)させることができれば、ゼロ%に落ち込んだコア消費者物価指数(CPI)を2%程度に押し上げることも期待できるだろう。

しかし、すでに円は実質実効ベースで1973年以降、最も低い水準に下落。さらなる円安は、米国も含め世界各国から非難の対象となるほか、国内からはコストプッシュ型インフレに対する批判も強まるため、日銀の意に反して政府が円安に歯止めをかける可能性もある。円安だけで2%物価目標を達成するのは現実味に乏しい。

黒田総裁にとって幸いなことは、いわゆる異次元緩和から2年が経ったことで、2%物価目標を慌てて達成する必要がなくなったことだ。黒田総裁はすでに、2%物価目標を達成する時期を「2015年度を中心とする期間」と、以前の「2年程度の期間を念頭に置いてできるだけ早期」から変更済み。量的・質的金融緩和が始まった2013年度を開始時点とし、2015年度(2013年度から2年後)を中心とすれば、2%物価目標は中心からさらに2年後の2017年度までに達成すればよいことになる。

2015年度はようやく始まったばかりで、黒田総裁には3年もの猶予がある。その間には、政府の財政再建姿勢が変わる可能性もあれば、国際経済がさらなる円安を容認する可能性もある。

もしかしたら日本のインフレ期待が、理由はともかく、5%くらいに上昇するかもしれない。黒田総裁が現時点で慌てる必要はない。2%物価目標が達成されるまで、為替市場は追加緩和観測を抱き続けることになるのだろう。

*村田雅志氏は、ブラウン・ブラザーズ・ハリマンの通貨ストラテジスト。三和総合研究所、GCIキャピタルを経て2010年より現職。
http://jp.reuters.com/article/jp_forum/idJPKBN0N104T20150410


緩和マネーが押上げた日経2万円、ドル/円や金利とギャップ
2015年 04月 10日 17:14 JST
[東京 10日 ロイター] - 日経平均.N225が15年ぶりに2万円を回復したが、ドル/円JPY=EBSや日本の長期金利は落ち着いた動きを続けている。一段の円安が増益期待を高めたり、インフレ期待が強まっていることによる株高ではないようだ。

実体経済がさえないなかで、世界的な金融緩和が株価を急激に押し上げている構図の中に日本株もあり、経済や各市場間とのギャップには警戒感も広がりつつある。

<バーナンキ前FRB議長のブログ>    

バーナンキ前米連邦準備理事会(FRB)議長がブログを始め、市場関係者の間で話題になっている。そのなかで注目されている指摘の1つが、世界で広がる低金利についての記述だ。

中央銀行(FRB)が、政策金利を低くしているから、世の中の金利が低くなっているわけではなく、世の中の金利(均衡する実質金利)の水準が低いから、政策金利が低くなるのだと指摘している。つまり景気や物価が上がらないから、もしくは近い将来上がるという期待が小さいから政策金利も自然と低くなるというわけだ。

日本の低金利は、日銀が「異次元緩和」によって国債を大量に購入し、金利を人為的に低くしているからという見方は多い。しかし、それを可能にしているのが、バーナンキ前議長が言うように、低い均衡実質金利の水準、つまり日本の低成長や低物価が長引くとの予想であるとすれば、高値を更新し続ける日経平均には「違和感」が否めないことになる。

低金利はビジネスや投資活動を活発化させるほか、利回りの相対的な比較でも株高をもたらす材料になる。いわゆる不景気の株高だ。しかし、歴史的な金融緩和が、歴史的な低金利と歴史的な株高を「同居」させている現在の状況が、いつまでも続くと考えるにはリスクもある。

「ドイツでは景気に過熱感も出始めている。経済が弱い国のために、ECB(欧州中央銀行)は緩和をやめることができないでいるが、今の金融緩和環境がいつまでも続かないリスクも考慮に入れておくべきだ」と三菱UFJモルガン・スタンレー証券・投資情報部長の藤戸則弘氏は指摘する。

<見えない日本企業の「実力」>

株価を大きく構造分解すれば、企業業績とPER(株価収益率)だ。日本全体の景気が悪かろうと企業業績さえ良ければ株高は正当化される。日本企業のガバナンス改善や株主還元への積極的姿勢、ROE(株主資本収益率)の向上も好材料として、海外の長期投資家は日本株を買い続けている。

NNインベストメント・パートナーズ(旧:アイエヌジー投信)のマルチアセットブティック統括責任者のヴァレンタイン・ファン・ニューウェンハウゼン氏は「株価は直接的にはGDPではなく企業業績で決まる。日本企業の利益は伸びているし、日本株のPERはそれほど高いわけではない」と話す。

しかし、日本企業の持続的な増益基調が見えたわけではない。2014年度の平均ドル/円レートは110円程度であり、120円程度の水準が15年度も続けば、10─15%増益程度は期待できる。

しかし、16年度も円安が続くとは限らない。「円安効果を除いて本当に稼ぐ力を付けているかは、企業経営者自身もよくわかっていないようだ」とニッセイ基礎研究所・チーフエコノミストの矢嶋康次氏は指摘する。

日経平均の予想PERはバブル期まではいかないが、歴史的に見てレンジの上限に近い17倍後半まで上昇。増益をかなり織り込んだ水準にある。

また、一段の円安による企業利益の上積みは、期待しにくい状況だ。ドル/円も120円台半ばに上昇してきているものの、高値3月10日に付けた122.40円には及ばない。

さらに07年6月22日に付けた124.14円や02年1月31日に付けた135.20円にはまだ遠い。

米利上げ期待が後退していることもあるが、日本のインフレ期待が一向に強まらないことも、ドル/円の上値を押さえている。2年2%の物価目標に届かないことは日銀の追加緩和期待も高めるものの、「インフレがイメージできず、インフレを前提にしたポジションは組みにくい」(三井住友信託銀行・為替セールスチーム長の細川陽介氏)という。

<「歪み」もみえる日本株>

さらに日本株もしくは日経平均にも「歪み」が目立つ。特に「官製相場」といわれるように公的マネーの買いが日本株の需給に大きな影響を与えている。

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の2014年12月末時点の国内株式の運用比率は19.80%と、9月末の17.79%から2ポイント上昇。運用資産額と収益額を用いて試算した買い入れ額は3カ月間で約1兆7000億円に上った。日銀も年間3兆円のETF(上場投資信託)買いを予定している。

今年に入っては再び海外勢が買いの主役に戻ってきたが、海外勢も「日銀やGPIFの公的マネーの買いへの期待が大きい」(外資系証券エコノミスト)という。公的マネーを「売らない主体」と目した思惑が相場を歪めている可能性は小さくない。

またTOPIXに対する日経平均の「独走」ぶりも目立つ。日経平均は15年ぶりの水準に達したが、TOPIXはまだ約8年前の水準を回復したにすぎない。

日経平均とTOPIXの比率であるNT倍率.NTIDXは10日、一時12.55倍まで上昇し、昨年2度止められた節目水準を突破し、2013年12月以来の高水準となってきた。当時は過去最高の12.74倍まで上昇したが、その後は、日経平均が約2300円下げる大きな調整が待っていた。

日経平均の大台突破で達成感も出ている。こうした「歪み」の修正には十分注意が必要だろう。

(伊賀大記 編集:田巻一彦)

日経平均が一時15年ぶり2万円乗せ、利益確定で終値は4日ぶり反落
2015年 04月 10日 15:41 JST
[東京 10日 ロイター] - 東京株式市場で日経平均は、一時15年ぶりに2万円を回復する場面があった。外部環境の改善に加え、根強い先高観から買いが先行。SQ(特別清算指数)算出に絡む売買が買い越しと観測されたうえ、好決算を発表したファーストリテ(9983.T)の株価上昇も指数を押し上げた。もっとも利益確定売りや週末要因から上値は重く、終値では4日ぶりに反落した。

日経平均の大台回復に対し、甘利明経済再生相は「市場が景気回復を実感し始め、先行き、企業収益の拡大が好循環に影響を与えるとの期待値」の表れだと評価した。日経平均は前日の米株高や円下落を受けて、寄り付き後に一時2万0006円00銭まで上昇。ザラバベースでは2000年4月17日以来となる高値水準を付けた。

市場関係者からも評価する声が相次いだ。緩和マネーに加え、余剰資金を有効活用し始めた国内企業の姿勢変化が株高の原動力という。三井住友アセットマネジメント・シニアストラテジストの市川雅浩氏は「グローバルな過剰流動性と日本企業の姿勢の変化、2つの要素がかみ合ったことが大きい」と述べた。

ロイターが10日午前に実施した日経2万円緊急インタビューでは、年内の日経平均の上値めどとして2万1000円─2万3000円を挙げる声が出ており、日経平均2万円は通過点との見方が多い。

この日はファーストリテが指数を押し上げた側面も強かった。9日に発表した2015年8月期業績見通し(IFRS)の上方修正が評価され、株価は一時4.4%高と年初来高値を更新。1銘柄で日経平均を約46円押し上げた。指数寄与度の大きいソフトバンク(9984.T)や京セラ(6971.T)も堅調だった。

もっとも日経平均が2万円台に乗せていたのは2分程度にとどまり、買い一巡後は利益確定売りが優勢だった。大台回復の達成感などから利益確定売りが優勢だったほか、週末を控え様子見ムードが広がったという。市場では「米金融引き締めが消えたわけではなく、ここからは過度に楽観的にはなりにくい」(大手証券)との慎重な見方もあった。

日本取引所グループによれば、4月限日経平均オプションの最終決済に関わる日経平均のSQ(特別清算指数)値は2万0008円47銭となった。SQ算出に絡む売買は市場推計値で約2900億円となった。

個別銘柄では、イオン(8267.T)が続伸し、連日で年初来高値を更新。9日、2016年2月期の連結営業利益を前年比23.8%増の1750億円とする計画を発表し、材料視された。

半面、ローソン(2651.T)は大幅安。同社は9日、2016年2月期の連結営業利益が前年比0.7%増の710億円になりそうだと発表。13年連続の過去最高となるが、市場予想を下回ることが嫌気された。

東証1部騰落数は、値上がり751銘柄に対し、値下がりが969銘柄、変わらずが159銘柄だった。

日経平均.N225

終値      19907.63 -30.09

寄り付き    19989.55

安値/高値   19845.31─20006

TOPIX.TOPX

終値       1589.54 -4.65

寄り付き     1596.52

安値/高値    1584.33─1596.81

東証出来高(万株) 204579

東証売買代金(億円) 27469.32

(杉山容俊)

日経2万円:一段高には家計の変化が必須=岡三証石黒氏
2015年 04月 10日 12:46 JST
[東京 10日 ロイター] - 日経平均.N225が15年ぶりに2万円の大台を回復した背景について、岡三証券・日本株式戦略グループ長の石黒英之氏は、国内企業の姿勢変化があるとの見方を示す。

緩和マネーの流入に加え、余剰資金を有効活用し始めた企業への評価が高まっているという。ただ、更なる長期株価上昇のためには家計に眠る資金の変化が必要と述べた。

10日午前、ロイターのインタビューに答えた。

──日経平均が2万円を回復した。原動力は。

「足元では企業姿勢の変化が大きい。米利上げ時期の後退など金余り相場という外的要因はあるが、デフレ下で現預金を溜め込んできた日本企業が、ISS(インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ)による新たな助言方針などをきっかけに、M&A(合併・買収)や設備投資、株主還元、賃上げなど余剰資金を有効に活用する動きを強めている。次の決算では資本効率を重視する企業が増えるとみられ、一段と評価が高まるだろう」

──今後の株価見通しは。

「年内の日経平均の上値めどは2万3000円とみている。12カ月先の予想PERでみると、米国の18倍、欧州の17倍に比べ、日本は16倍と先進国では最も割安圏にある。需給面では、公的年金に加え、今後はゆうちょやかんぽなどの新たなプレーヤーの台頭も期待され、上昇基調は続く公算が大きい」

「もっとも目先的にはITバブル時の高値2万0800円台が意識されるだろう。時価総額でみても同水準を超えると過去最高を更新する見込みで、めどとなりやすい」

──長期上昇トレンドが続く条件は。

「眠っている個人マネーの変化だ。2012年には政権が交代、13年に日銀が異次元緩和の導入を決定し、14年には年金の運用改革があった。15年は企業のガバナンス強化がある。来年以降も上昇トレンドを描くためには、890兆円に上る家計の現預金が投資の果実を得るようにならなければならない。そうすれば日経平均3万円も夢ではないだろう」
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0N10GO20150410?sp=true


焦点:中国のインフラ建設ブームが生み出す「無用の長物」
2015年 04月 10日 17:55 JST
[大長山島(中国) 10日 ロイター] - 中国北東部の黄海に浮かぶ大長山島。同島の東端に位置する大連長海空港は、2008年に約600万ドルをかけて改修工事が行われ、2010年に4万2000人、2015年には7万8000人の利用客が見込まれていた。

しかし民間航空当局の統計によると、2013年の利用者数は計4000人にも満たなかった。1日にわずか10人程度しか利用していない計算になる。

昨年2月以降、中国政府は景気浮揚策の一環として、少なくとも1兆8000億元(約34兆9300億円)に上る新たなインフラ計画を承認した。しかし、先の財政出動で建てられた空港や高速道路やスタジアムには、十分に使われていないものもあり、その代償が今になって重くのしかかりつつある。

建設ブームで建設会社が利益をあげた一方、地方政府は約3兆ドル(約361兆円)相当の債務を抱えることになり、地方経済の悪化を招いた。

大長山島のある遼寧省は2014年の経済成長率が5.8%となり、目標の9%を大幅に下回り、中国国内で最も成長が減速した省の1つとなった。

中国科学院の陸大道氏は「大規模建設事業の経済的合理性を真剣に議論する必要がある」と指摘。「われわれはここまで多くの高速道路や空港を本当に必要としているのか」と疑問を呈した。

政府当局者とエコノミストによる昨年11月の推計では、2009年以降の5年間で約42兆元が「非効果的な投資」によって無駄となったという。

<飛行機が飛ばない空港>

現代的な大連長海空港だが、定期便の唯一の目的地となる大連周水子国際空港の職員は、過去6カ月間運航を停止していると語った。

大連長海空港の発券カウンターは8日朝、空港職員の女性がいるのを除けば閑散としていた。それでも大理石の床は清掃員によってきれいに磨かれ、トイレも汚れ1つなかった。

女性職員はロイターに対し、飛行機は整備中だとし、「フライトがあるかどうか2─3日電話してみて」と話した。手荷物検査係の男性は居眠りをしているようだった。

この小さな空港が、人口約3万人のこの島に大きな影響を与えているようには見えない。空港周辺には小売店や飲食店ではなく、漁師の家が建ち並ぶ。住民たちは大連市への交通手段は主にフェリーだと話した。

しかし、地元メディアの報道によると大連市は今年、景気刺激策と観光促進策の一環として同空港の拡張に14億8000万元を投じ、2020年までに年間25万人が利用できるようにする計画だという。

大連市長海県の広報担当者は、空港拡張は島の発展に沿ったものであり、昨年には110万人の観光客が当地を訪れたと語った。

2012年から中国のインフラ建設をウオッチしているJキャピタル・リサーチのアナリスト、スザンナ・クローバー氏は「GDPの観点から言えば、これは決して悪いことではない」としたうえで、「ただリソースを効果的に使っているかと言えば、それは明らかに違う」と述べた。

<世界一長い海上橋>

中国の地方政府は大規模なインフラ建設や不動産開発の融資を得る際には、企業を設立する場合が多い。積み上がった債務は現在、中国経済の主要リスクと見られている。

山東省青島市には世界一長い海上橋である青島膠州湾大橋が建てられ、青海チベット高原に高速鉄道が走るようになった。中国の高速道路の利用者数に関する公式な情報はほとんどないが、2013年は通行料不足で多額の損失が出た。世界最長の鉄道網を監督する中国鉄路総公司は昨年9月、3.4兆元の債務を抱えていることを明らかにした。

ただ、当局の過剰な建設熱を鎮めるのは困難だと指摘する声もある。とりわけ、承認済みインフラ計画の約40%が位置する内陸の西部地域で、建設が加速する兆しが表れているからだ。

政府発表のデータによれば、同国で最も貧しい省の2つである貴州省と雲南省などでは、セメント生産がこれまでにない速いペースで拡大しているという。

一方、地方政府が建設ブーム後の鉄鋼とセメントの過剰生産に対処している北部では、「建設し尽くした後で何が起きるか垣間見ることができる」と、前述のJキャピタル・リサーチのクローバー氏は語る。同氏によれば、こうした傾向の初期段階が、現在は他の地域でも見られ始めたという。

(Brenda Goh記者、翻訳:伊藤典子、編集:宮井伸明)
http://jp.reuters.com/article/jp_forum/idJPKBN0N10PA20150410



アングル:ドル強気派債券ファンドが方針転換、米利上げ先送りを懸念
2015年 04月 10日 17:15 JST
[ボストン 9日 ロイター] - 世界的な債券ファンドのうち幾つかのドル強気派が、ここ数週間で方針を転換した。これらのファンドは米連邦準備理事会(FRB)が利上げを先送りするのではないかとの懸念から、ドル資産比率を縮小しているのだ。

ファンドマネジャーやアナリストによると、方針転換の背景には、弱い米経済指標に加えて、欧州中央銀行(ECB)によるテコ入れで欧州の景気が持ち直してきていることで、12年ぶりの高値をつけたドルの上昇に息切れの気配が漂っていることがある。

グローバル債券ファンドのマネジャーは国ごとの経済パフォーマンスの差に注目している。彼ら自身の成績は各国中央銀行の動き次第ですぐに急変動しかねない。

こうした中でレッグ・メーソンBWグローバル・オポチュニティーズ債券ファンド(GOBSX.O)(資産額39億ドル)のジャック・マッキンタイア氏は、ドルはこれまで米国と他の国の経済格差から多大な恩恵を受けたが、そうした構図が今後も続くとは考えにくいと指摘した。

マッキンタイア氏は、このファンドのドル資産比率を3月初めの43%から通貨ヘッジを外すことで37%まで下げたと説明。「ドルはごく短期間で未曾有の値動きを見せた。ドル高ペースは鈍化していかなければならない。現状は持続不可能だ。極めて大幅に、極めて急速に動いてしまった」と話した。

トムソン・ロイター傘下のリッパーの調査で2014年にドル資産比率を最も高めた10人のファンドマネジャーのうち、4人はロイターに対してそれ以降ポジションを縮小したと答えた。ドル資産比率を高めたのは1人だけで、残る5人はコメントしなかった。

ドル最強気派の一角を占めていたプルデンシャル・グローバル・トータル・リターン・ファンド(資産額3億9800万ドル)(GTRAX.O)は、14年末で58%だったドル資産比率を2月末時点で54%に引き下げた。

運用担当者のマイケル・コリンズ氏は「われわれはドル高について、米国の輸出品を割高にすることから、米国経済にとっての『逆風』とみなしている」と語った。またドルは上値が重くなる気配を示していると分析し、「ドル買いはみんなが殺到する取引なので、いつも少し不安を覚える」と打ち明けた。

プルデンシャルの13年末時点のドル資産比率は27%にすぎなかったという。

そのほかドル資産比率を下げたのは、エリック・ワイスマン氏のMFSグローバル債券ファンド(6億4700万ドル)(MGBAX.O)や、クリストファー・ディアス氏が率いるジャナス・グローバル債券ファンド(3億6100万ドル)(JGBAX.O)。ディアス氏は、米利上げまでこれまで予想されたよりも長い時間をかける可能性があるという「ハト派的」なシグナルがFRBから最近発せられたとの理由で、ドル資産比率を縮小したという。

ジャナスのドル資産比率は14年末の76%が2月末に57%となった。

ファンド・エバリュエーション・グループの調査責任者グレゴリー、ダウリング氏によると、ファンドマネジャー全般の中でも今後ドルが強くなるかどうかの見方はほぼ真っ二つに割れていて、ドル高が続くとの予想が多数派だった数カ月前とは様変わりした。

主要通貨に対するドル指数.DXYの7日終値は14年6月末比で23%上昇し、ドル資産比率が高かったファンドのリターンを押し上げた。ただ、ドル指数は3月半ばにつけた高値からはやや軟化し、3月雇用統計が低調だったことによる痛手も続いている。

それでもモルガン・スタンレー・グローバル・フィクスト・インカム・オポチュニティーズ・ファンド(2億4500万ドル)(DINAX.O)

のマイケル・クシュマ氏は、ドルに最も楽観的な1人で、ファンドのドル資産比率を14年末の97%から現在は約99%まで引き上げている。

クシュマ氏は、米国の雇用トレンドの明るさと安いエネルギー価格のおかげで、FRBが来年初めまでに利上げする可能性は依然として大きい半面、他国の中銀による金融緩和の効果が実体経済に浸透するにはまだしばらくかかると主張。「米国以外で良いニュースは依然としてそれほど多くないし、米国内の悪いニュースは一過性だと、われわれは考えている」と述べた。

(Ross Kerber記者)
http://jp.reuters.com/article/jp_forum/idJPKBN0N10MW20150410

アングル:中国政府、地方債のデフォルト放置は口だけか
2015年 04月 10日 17:10 JST
[上海 10日 ロイター] - 中国政府は地方政府債などのデフォルト(債務不履行)を許し、投資リスクを市場価格に反映させるようにする方針を示した。しかし同時に相反するメッセージも発しているため、投資家はいざとなれば政府が今後も救済に入るとの見方を変えていない。

中国財政省は3月、推計3兆元に上る地方政府の高金利債務のうち、1兆元(1610億ドル)を低金利の地方政府債と交換する計画を発表。中央政府ではなく地方政府が返済責任を負うとした。新たな債券は「市場原則に基づき」発行されると財政省は強調した。

しかし当局は4月1日、全国社会保障基金(NSSF)の投資範囲を拡大し、地方政府債を購入できるようにする方針も示した。

国際通貨基金(IMF)のショーン・ローシュ香港常駐代表はNSSFの新方針について、地方政府債の購入層を広げ、利回りが上昇し過ぎないよう抑えるのが狙いの一部かもしれない、と見ている。同時にこれで、地方政府のデフォルトが放置される可能性が低下するともローシュ氏は指摘する。デフォルトすればNSSFに預けた納税者の資金が吹き飛ぶからだ。

厳しく管理された中国の債券市場において、社債発行を許可された企業の大半は何らかの形で国の支援を受けている。このためNSSFによる購入のニュースに反応して社債利回りは急低下した。格付けが「AA」と「AAA」の社債利回りは15ベーシス(bp)前後の低下と、2014年11月のサプライズ利下げ以来で最も大きく下げた。

7日には、投資家がデフォルトを恐れていないことを示す出来事がさらに加わった。インターネット企業、中科雲網科技集団(クラウド・ライブ・テクノロジー・グループ)がデフォルトに陥ったが、社債利回りがほとんど動かなかったのだ。これは1年前、上海超日太陽能科技がデフォルトを起こし、社債利回りが急上昇したのとは対照的だ。

同社は数カ月後に地方当局の支えで救済された。中国の金融システムがこれほど小さな企業の破綻さえ受け止められないのなら、地方政府やその関連企業の破綻が見過ごされるはずはない、と投資家は結論付けた。

NSSFによる地方政府債の購入許可というニュースが、この結論をさらに強固なものとした。

ある主要なベンチャーファンドの投資マネジャーは「政府はこれら地方政府と関連企業の債務を保証すると正式に認めた。クレジットリスクの分析という見地からすると、これは良くないことだ」と話す。

<ソブリン債と同等>

その上、金融市場では中国の地方政府債がソブリン債と実質的に同等に扱われている。

債券清算会社がまとめた地方債指数の利回りは、期間5年のソブリン債(利回り3.5%)を10bp上回るにとどまっている。高格付けの商業債務の利回りが5%程度なのに比べ、はるかに低い。

政府は地方政府が債務返済の責任を負うと表明したが、これは地方政府が返済に窮するずっと前に中央政府が財政移転その他の方法で介入するという事実を覆い隠している、と専門家は指摘する。

これで地方政府債はデフォルトを起こしにくくなるだろうが、代わりに中央政府が損失を負うことになる。

これは中国ソブリン債の利回りを押し上げかねない。事実、地方政府の債務交換が発表されて以来、ソブリン債利回りは約15bp上昇した。

UBSの債券アナリスト、シー・チェン氏は8日のリポートに、「(地方政府債の)供給ショックにより国債利回りは極端なケースでは50─100bp上昇する可能性があるとみている」と記した。もっともデフレ圧力と景気減速の影響が利回りの上昇を抑えそうだという。

(Nathaniel Taplin記者)
http://jp.reuters.com/article/jp_forum/idJPKBN0N10MM20150410


02. 2015年4月10日 23:34:17 : jXbiWWJBCA

中曽日銀副総裁インタビューの一問一答
2015年 04月 10日 17:25 JST
[東京 10日 ロイター] - 日銀の中曽宏副総裁はロイターとのインタビューに応じ、量的・質的金融緩和(QQE)の効果と金融政策運営、市場機能の状況や金融システムなどについて発言した。インタビューは9日に行った。一問一答は以下の通り。

――量的・質的金融緩和(QQE)の導入から2年が経過したが、所期の効果を発揮しているとする具体的な根拠は。

「企業、家計部門とも所得から支出への前向きな循環メカニズムが作用し、景気は緩やかに回復している。企業部門は収益が過去最高水準まで増加し、設備投資は緩やかな増加基調。輸出もようやく増加に転じ、持ち直している。家計部門は失業率が構造失業率近辺まで低下し、雇用者所得が緩やかに増加している。こうしたなかで個人消費は全体として底堅く推移しており、長引いていた消費税率引き上げ前の駆け込み需要の反動減の影響も収束してきている」

「物価面では、消費税率引き上げの影響を除いた消費者物価(生鮮食品除く、コアCPI)が、エネルギー価格下落の影響でゼロ%程度となっており、(2%の)物価安定目標との隔たりが残っている。しかし、大事なのは物価の基調であり、それは着実に改善している」

――物価の基調が改善しているとの根拠は。

「物価の基調を決めるのは、需給ギャップと予想物価上昇率だが、このうち需給ギャップは概ね過去平均並みのゼロ%程度まで改善している。予想物価上昇率は、原油価格の下落にもかかわらず、やや長い目でみれば全体として上昇している。(市場のインフレ予想を表す)ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は、原油価格が大幅に下落するもとで昨年末にかけてグローバルに低下していたが、原油価格の下げ止まりでここのところ上昇してきている。また、家計や企業、エコノミストのアンケート調査でみた中長期的な予想物価上昇率は総じて維持されている」

――デフレマインドの転換は進んでいるのか。

「特に指摘しておきたいのは、企業、家計の行動に前向きな変化が生じている点だ。中長期的な予想物価上昇率は、最終的に家計や企業の行動に表れる。企業でいえば、設備投資をどうするか、価格をどう設定するか、賃金をどう設定するかという判断だ。賃金設定では、賃金の上昇傾向が続いており、企業の予想物価上昇率の上昇を示唆しているものとして非常に心強い」

「昨年春の賃金改定交渉で約20年ぶりにベアが実現し、今年も実現する見通しだ。ベアの幅も現時点の集計によれば前年の実績を上回っている。中身をみても中小企業や非正規労働者に広がっており、雇用・所得環境の質的改善を示すものと受け止めている。いずれにしても、デフレ下ではすっかり影を潜めていた企業、家計の前向きな行動の変化が起きており、デフレマインドが払拭されつつある。この点は隔世の感がある」

――コアCPIはゼロ%に鈍化している。2年・2%のコミットメントについて表現を変える必要はないか。2年程度で物価2%の実現が難しい場合は追加緩和が必要か。

「物価の基調は着実に改善していくと考えており、原油価格が現状程度の水準から先行き緩やかに上昇していく前提に立てば、原油価格の動向によって多少前後する可能性はあると思うが、消費者物価の前年比は原油価格下落の影響がはく落するにつれて伸び率を高め、2015年度を中心とする期間に2%に達するとみている。2%の物価安定目標を2年程度の期間を念頭にできるだけ早期に実現するというコミットメントは政策効果の起点であり、この方針を変える考えはない」

「物価の基調的な動きに変化が生じない限り、追加緩和は不要と考えている。逆に物価の基調に変化が生じて物価安定目標の早期実現のために必要となれば、ちゅうちょなく調整を行う方針だ」

──コアCPI見通しが下方修正となっても、基調がしっかりしていれば追加緩和は必要ないということか。

「そのように説明した」

――目標達成に向けたリスクは何か。

「国内については、家計、企業とも所得から支出への好循環が働き始めており、これを定着させるフェーズに入っていると思う。私自身は、好循環を中断するリスクとして、海外動向により目を向けていく必要があると思っている。当面、気になるのはギリシャ情勢。ギリシャの銀行の預金流出は続いており、ギリシャ政府の資金繰りも厳しい。ギリシャが仮にユーロ圏から離脱するようなことになれば、国際金融資本市場の混乱などを通じて日本の市場、経済にも影響があり得る。この点を特に、よくみていきたい」

――QQEの出口政策のタイミングや手法について、現時点での考えは。

「現在、2%の物価安定目標をできるだけ早期に実現するよう、国債など各種資産を積み上げながら最大限の努力を行っている真っ最中。出口戦略を議論することは時期尚早だ」

「日銀は各種の市場調節手段を持っている。超過準備への付利のほか、流動性吸収手段として国債売り現先オペ、手形売出オペを実用可能な手段として有している。このため、量的・質的金融緩和からの出口への対応は十分に可能だ。ただ、出口に向けた対応やその後の政策運営のあり方は、その時々の経済・物価情勢や市場の状況によって変わる。早い段階から具体的なイメージを持って話すことは適当ではないし、市場との対話という観点からもかえって混乱を招く」

――QQEによる大規模な国債買い入れによって、市場の機能や流動性の低下が懸念されている。

「QQEは巨額の国債を市場から買い入れることを通じて、金利低下圧力をかけることを一つのトランスミッション・メカニズムとしており、金利の低下は政策効果の表れといえる。一方、この政策が国債市場の需給や価格形成面にある程度影響することは当初から不可避と思っていた。ただ、私自身は流動性の維持がとても重要であることを十分に認識している。私たちはQQE導入に際し、市場参加者とこれまで以上に密接に意見交換することが必要と考えていたし、市場の機能や流動性について日々、注意深く見る必要があると思っている」

「市場の流動性や機能度をどう定義するかは難しいが、一般的には市場参加者が意図した価格で速やかに売買を執行できる状況が想定される。その観点でみると、これまでのところ国債市場の機能度、流動性が通常取引が困難になるほど著しく低下しているわけではないと思っている」

――市場の機能や流動性が低下していないとする具体的な理由は何か。

「国債の取引高自体は減少していない。取引高と日中の値幅を比べた比率も過去の平均的なレベルに収まっている。先物市場のビッド・アスクスプレッドも特に拡大しているわけではない」

「ただ、市場参加者から、国債市場の機能や流動性が伝統的な指標でとらえにくい形で低下しているのではないか、との意見があることは十分に認識している。市場における板の厚みの低下や、あるいは特定の国債銘柄の借り入れコストの上昇などがみられているほか、今年から開始した債券市場サーベイでも3カ月前に比べると、市場の機能度は低下しているとの回答も目立った。これまで以上に市場の声に丁寧に耳を傾けるとともに、新しい分析手法なども活用しながら、市場の流動性や機能度について包括的、丁寧にフォローしていきたい」

――QQE推進の結果として市場ではマイナス金利が発生。金融の取引やサービス提供に支障が出る可能性は。

「昨年秋以降、主として短期国債市場で流通利回りがマイナスになるケースが観察されている。背景には、QQE推進によって短期金融市場の金利が極めて低水準になっている中で、短期国債の担保としての需要や、債券ポートフォリオのデュレーション調整としての短期国債需要、為替スワップ市場におけるドル投/円転コストのマイナス化を背景とした海外投資家の需要がある。こうしたいろいろな要因が重なって実現したものと分析している」

「いずれにしても、マイナス金利は金融緩和効果の一形態であり、借入コストの低下やポートフォリオ・リバランスの促進という私たちが意図するメカニズムに沿ったものと理解している。マイナス金利が市場機能に及ぼす影響についてフォローしているが、少なくとも現在のところマイナス金利が市場取引のインセンティブを大きく阻害したり、金融サービスの提供に持続的な負の影響が生じているとは考えていない」

――マイナス金利について今後、注視していくべき点は何か。

「2点ある。1点目はマイナス金利がどこまで広がっていくのかということだ。先進国の中央銀行で非伝統的な金融政策の採用が目立っている中で、マイナス金利は欧州の比較的多くの国々でも見られるようになっている。今後、ユーロ圏の中央銀行による国債買い入れが進むにつれて、欧州におけるマイナス金利が日本を含めて他の先進国の市場にどのような影響を与えていくかに注目したい」

「2点目は、マイナスの円転コストの背景にある要因だ。円転コストのマイナス化の背景はいくつかあるが、日本の金融機関が外貨建ての資産運用を増やしており、それに伴ってドルの調達需要が増加している。さらに、米国の利上げ観測の強まりのほか、国際的な金融規制強化を受けてドル供給スタンスも消極化している。規制が及ぼす影響なども含め、円転コストのマイナス化の背景にあるいろいろな要因の今後の動向にも注視が必要だ」

――大規模な国債買い入れを今後も続けていくことは可能なのか。

「QQEの下でマネタリーベースが年間約80兆円に相当するペースで増加するよう、長期国債を始めとした広範な金融資産を買い入れているが、これまでのところオペレーション(金融調節)は政策委員会で定めた方針に沿って着実に進められている。今後も、こうしたオペレーションを続けていくことは十分に可能だ」

「長期国債は、新規国債の発行額の約2倍に相当する額をネットで増やすペースで買い入れている。おそらくQQEの推進に伴って、従来は安定的・固定的な投資家とみられていた主体が保有する国債まで掘り起こして買っていくことになる。こうした投資家はより高い価格でなければ日銀に国債を売却しないかもしれないが、その場合は、オペレーションを通じてイールドカーブの低下圧力や、ポートフォリオ・リバランスを促す効果は、むしろ強まるだろう」

――QQEはしばらく続く。金融調節は一段とチャレンジングになる。

「QQEは、日銀が過去15年間、知恵を絞りながら生み出してきた各種の非伝統的な金融政策手段のいわば集大成としての大規模な緩和政策だ。非伝統的な金融緩和の効果はチャレンジングなオペレーションの積み重ねの中で発揮されている」

「非伝統的な金融緩和政策は、今や日本だけでなく先進国の中央銀行にとって共通言語のようになっている。QQEのオペレーションの効果や経験についての知見や分析、成果を蓄積し、各国中央銀行間での議論の場に還元し、お互いに知見を深めていくことがますます求められている」

――さらなる国債の買い増しは可能なのか。

「基本的には方針に沿って買い入れは着実に進んでいるし、今後も買い入れに支障を来すような特段の事情があるとは考えていない」

――QQE推進による超低金利の継続が、地域金融機関などの収益力を低下させている。

「QQEの下で生み出された極めて低い金利によって、地域金融機関の収益環境が非常に厳しい状態に置かれていることは十分に認識している。私たちの政策は、地域金融機関の理解と協力があってこそという面があることは認識しており、感謝もしている。そのうえで、QQEの効果が今後浸透し、経済の好循環が強まっていけば貸出の増加や資金利益の改善などの効果が生じ、金融機関の収益向上にもつながっていく」

「しかし、現状は貸出利ザヤが縮小を続けるなど、地域金融機関を中心に金融機関の基礎的収益力が低下しているのも事実だ。加えて地域金融機関は人口減少といった地域経済の構造変化に伴って営業基盤の縮小や、基礎的収益力のさらなる低下が懸念される先も少なくない。超低金利だけでなく、地域経済の構造変化にどのように対応していくかも大きな課題になっている。自らの営業基盤や収益力の先行きを適切に分析し、長期的な展望から経営戦略を定めていくことが重要と思う」

「地域金融機関は地域に密着しながら、長い間地域経済を支えてきた。それぞれの地域経済の特性や、産業構造、潜在性を熟知している。地域経済活性化のために地域金融機関が果たし得る役割は非常に大きいと思う」

――資産価格が上昇している中で、ETF(上場投資信託)やJ━REIT(不動産投資信託)などリスク性資産の買い入れ継続が金融不均衡を助長しないか。

「QQEでは質の面から資産価格のプレミアムに働きかける効果も重要と考え、ETFやJ━REITなどのリスク性資産を買い入れている。QQE推進にあたり、金融面の不均衡リスクを含めて上下双方向のさまざまなリスク要因を展望リポートで点検し、金融システムレポートでも金融面の不均衡について定期的に点検している。現時点で資産市場や金融機関行動において過度な期待の強気化を示すような動きは観察されていないと評価している」

――趣味と休日の過ごし方は。

「趣味は特にない。デフレを脱却してから考えます」

(伊藤純夫 木原麗花 竹本能文)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0N10NL20150410


03. 2015年4月10日 23:34:46 : jXbiWWJBCA

債券は上昇、日銀オペ結果受け超長期債中心に買い−長期金利も低下
2015/04/10 15:42 JST

  (ブルームバーグ):債券相場は上昇。日本銀行がきょう実施した国債買い入れオペで超長期ゾーンの需給の改善基調が示されたことが買い手掛かりとなった。超長期債利回りに加えて、長期金利も低下に転じた。
10日の長期国債先物市場で中心限月6月物 は、前日比8銭安の147円51銭で取引を開始した後、じり高に推移した。午後の取引開始後にオペ結果を受けて一段高となり、一時147円75銭まで上昇。結局は、14銭高の147円73銭で引けた。
日本相互証券によると、現物債市場で長期金利 の指標となる新発10年物国債の338回債利回りは、前日午後3時時点の参照値より0.5ベーシスポイント(bp)高い0.36%で開始。午後に入ると0.34%まで低下している。2年物の351回債利回りは0.5bp低い0.005%と、新発債としては3月18日以来の低水準。新発20年物の152回債利回りは1.5bp高い1.15%で開始したが、午後は1.115%まで水準を下げた。新発30年物46回債利回りは1.5bp低い1.365%に低下している。
岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、「超長期等のオペの結果が良かったことろが好感された」とし、日銀の買いに支えられた好需給環境という面が強いと説明。一方、来週以降の入札や、株高・円安に対する警戒感もあると言い、「10年債利回りの0.35%以下をどんどん買っていくムードというのはなかなか難しい」とみる。
日銀買いオペ
日銀が実施した長期国債買い入れオペ4本の結果によると、残存期間1年超3年以下と3年超5年以下の応札倍率が前回から上昇した。一方、10年超25年以下と25年超は低下し、売り圧力の弱まりが示された。落札金利は4本ともおおむね市場実勢の範囲内に収まったもよう。
メリルリンチ日本証券の大ア秀一債券ストラテジストは、「4月は超長期ゾーンの発行が多いため、国債入札をこなしながら金利の居所を探るタイミング。9日の30年債入札後にいったんは値動きが荒くなったものの、30年債利回りの1.4%手前では打診的な買いを確認した」と話した。国内景気は足元で弱めの内容だとし、「10年債利回りは0.3%台半ばでもみ合いつつ、徐々に0.3%台前半に水準を切り下げるイメージ」との見方を示した。
9日の米株式相場 は続伸。原油高を背景にエネルギー株が上昇した。一方、米債相場は下落し、10年債利回り は前日比5bp高い1.96%程度となった。10日の東京株式市場では日経平均株価 が一時、2000年4月以来となる2万円台を回復した後は伸び悩み。前日比30円09銭安の1万9907円63銭で取引を終えた。
来週は14日に5年利付国債、16日には20年利付国債の入札が予定されている。岡三証の鈴木氏は、20年債入札について、「30年債入札を無難に通過しており、1%を上回る利回りに対する需要はかなり幅広くある」と指摘。入札を控えて上値が重くなる可能性があるものの、期初の押し目買いムードは強いと話した。
記事に関する記者への問い合わせ先:東京 三浦和美 kmiura1@bloomberg.net;東京 山中英典 h.y@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Garfield Reynolds greynolds1@bloomberg.net 山中英典, 崎浜秀磨
更新日時: 2015/04/10 15:42 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NMJ3TP6K50YA01.html


04. 2015年4月10日 23:35:51 : jXbiWWJBCA

インタビュー:追加緩和、そろそろ好ましくない=岡本・日生会長
2015年 04月 10日 22:13 JST
[東京 10日 ロイター] - 日本生命保険の岡本圀衞会長は10日、ロイターのインタビューで、日銀の量的・質的金融緩和(QQE)について、追加緩和は好ましくないとの認識を示した。

市場における日銀の突出した売買状況などから、「もとに戻していく必要がある」としたが、出口の時期などの情報は持ち合わせていないとした。

経済同友会の財政・税制改革委員長を務める岡本氏が、同友会が1月にまとめた政策提言「財政再建は待ったなし」を主なテーマにするインタビューの中で述べた。

岡本氏は今後の金融政策について「QQEは入口はいいが、出口となるとなかなか出られない。経済がよくなってもまた腰折れするのではないかということで、なかなか実行できない。入口をどんどん広げるのはよくない」と述べ、異次元緩和からの出口の難しさを指摘。追加緩和について「そろそろ好ましくない」と語った。

日銀が保有する国債規模は、今や国債発行残高の4分の1を占め、国債の買い入れ規模は政府の15年度市中発行額に対し、年換算で最大9割超に及ぶ規模になっていると指摘。「ここまでの規模になると、マーケットに対する影響は大きく、国債市場が正常に機能している状態とは言い難い」と指摘。「いびつな市場を作って、正常なマーケットでなくす」ことは、その後の影響が大きくなると警戒感を示した。

さらに岡本氏は、一般政府債務が家計金融資産(ネット)を上回ることや経常収支動向など、様々な要素が金利急上昇のトリガーとなり得るとし「悪い意味での金利上昇は、ある日突然起こる」と警告した。

国内勢が国債保有の9割超を占めることが、市場安定の一因と言われる点についても「マーケットにおいて、フローとして動いているのは外国(勢)が結構多い。それによって(市場が)どう動くかがある」と語った。

さらに、日本の金融機関や保険会社が国債を塩漬けで持ち続けるかどうかは、リスクを見ながらの判断になるとし、金利反転はリスクとして考えておかなければならないと語った。

*内容と配信カテゴリーを追加して再送します。

(吉川裕子 スタンレー・ホワイト 編集:田巻一彦)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0N10TI20150410

インタビュー:国債に依存しない体制へ=筒井・日生社長
2015年 04月 10日 18:03 JST
[東京 10日 ロイター] - 日本生命保険の筒井義信社長は10日、ロイターとのインタビューで、低金利を背景に、今後は国債に依存しない分散したポートフォリオを構築していく必要があるとの見解を示した。外国債券、国内外のクレジット投資、新興国やインフラ関連の投融資を増やす。

日本株への投資については、残高を大きくは減らさないが、大きく増やせる状況でもないと語った。

2015年度からの3カ年計画で、強化を打ち出しているアセットマネジメント事業は、国内外で買収・提携を検討すると表明。出遅れている銀行での保険販売事業は、新たに子会社を設立して展開する方針を示した。

日本生命は14年度中間期で、売上高に当たる保険料収入で第一生命保険(8750.T)に追い抜かれた。筒井社長は「トップライン(保険料収入)は、超長期で見るとボトムに影響する。あらゆる分野でナンバー・ワンという体制は堅持しなければならない」と語り、国内首位の座を守る方針を強調した。

主な一問一答は以下の通り。   

――保険料収入でトップにこだわる理由は。

「生命保険業は、トップラインがそう簡単には利益にはつながってはいかないが、超長期的には利益に影響する。もう1点は、トップラインが一番でないということは従業員の士気に影響してくる。あらゆる分野でナンバー・ワンという姿勢は堅持しなければならない。これまで歴史的にトップだったのだから、余計にこだわらなければならない」

――第一生命は、銀行窓販での販売が大きく寄与した。どのように対応するのか。

「新しい3カ年計画をまとめたが、大きく変わる世界と変わらない世界がある。営業職員チャネルを持続させて成長させるのが、変わらない世界の基軸だ。一方で、(他社が)窓販などの販売チャネルで大きな販売額を出してくると、トップラインで負けてしまう。それは、我々としては不本意だ。ステージを変えて、そちらにも踏み込んでいかなければならない」

「窓販は本体でやり続けてきたが、商品を機動的に出すという体制が十分ではない。銀行窓口や保険ショップなどの新しいチャネルには、子会社の方が機動的に商品供給できる。別会社方式は、自ら作るという考え方もあるし、国内の会社を獲得するという考え方もある」

――中期経営計画では、アセットマネジメント業務にも注力する方針だ。

「買収するか、提携するかは別にして、将来的にパートナーになりうる先を国内外で検討していく。すでに提携というかたちで海外のアセットマネジメント会社とのネットワークがあり、海外の商品を輸入してそれを日本でさばいたり、逆に日本株ファンドの海外への輸出にも取り組み始めている。相互商品供給の世界をさらに追及していく。米国には、特色あるアセットマネジメント会社がある。規模が大きい企業には入り込む余地はないが、そういうブティック型の運用会社は少しリサーチしている」

「子会社のニッセイアセットマネジメントは、運用資産を現在の7兆5000億円程度から3年間で9兆円程度に持っていきたい。10年タームでは、現在は中堅規模だがトップクラスに食い込みたいという希望はある」

――低金利状態が続く中で、運用はどう変わるか。

「ある意味で、運用のスコープを広げていく前向きな機会だ。国債に依存したポートフォリオ体制から、それに依存しないさらに分散を進めたポートフォリオ体制を組んでいく。1つは外国債券。2つ目は国内外のクレジット投資。3つ目は、成長新規領域に対する投融資だ」

「外国債券は、市場で大きく投資できる。規模としては一番大きい運用先だ。クレジット投資や成長新規領域は、市場で大きく押さえるというわけにはいかない。一つ一つのクレジットを見て審査をしなければならない。環境関連やインフラ、PFI、新興国投資などの成長新規領域には、向こう5年で1兆円程度を取り組む。挑戦的な目標だ」

――日本株に対するスタンスはどうか。

「がんばって持ちたいと思っている。大きく残高を減らすつもりはないが、大きく残高を増やせる状況にもない。局面局面で選別していくことになる」

「我々の対話を重視するスタンスは引き続き変わらないが、日本版ステュワードシップ・コード(機関投資家の行動指針)が導入されたことで、銘柄選別をより強化する契機になる。我々は、平均保有期間34年。長期投資家だ。対象銘柄と一緒に成長して、長期にわたって長期の還元を期待する」

「配当性向が短期的に低いという理由で、議決権行使に及ぶという考え方もあるが、そこは直結させないようにしたいに思っている。配当性向が低ければ、対話に入る。仮に低くても、その内部留保で将来の成長を計画するという説明があれば、我々は是認する。長期投資家の特性を、生かしていく」

*インタビュー時の写真に差し替えます。

(インタビュアー:布施太郎、浦中大我 編集:田巻一彦)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0N10FC20150410



05. 2015年4月10日 23:36:37 : jXbiWWJBCA

アングル:節目突破の日経平均、東京五輪まで「3つのハードル」
2015年 04月 10日 19:32 JST
[東京 10日 ロイター] - 日経平均株価.N225が15年ぶりに2万円台を回復した。海外投資家を引きつけた「アベノミクス」、黒田東彦日銀総裁による「バズーカ緩和」の円安効果、さらに世界的な緩和マネーが株高を演出。今後は公的マネーなどによる債券代替の買いも期待されている。

2020年の東京オリンピックまで株高は続くのか。一部では、消費再増税、量的・質的緩和の出口戦略、企業業績という3つのハードルが意識されている。

<売る材料のない相場>

2012年11月、いわゆる「近いうち解散」で民主党政権が終えんを迎え、同年12月には自民党の安倍晋三首相による新政権が誕生した。13年4月には日銀が異次元緩和を打ち出したことも追い風に、日経平均は12年11月安値からきょうの高値まで1万1386円高、2.3倍の大幅な上昇をみせている。

原動力となったのは、海外投資家の動きだ。日経平均が1年間で56.7%上昇した13年、海外投資家は現物と先物で日本株を約15兆円買い越した。

海外勢の買い越し額が約7000億円に減少した14年の上昇率は7.1%に鈍化したものの、今年2月以降の株高局面では、月間ベースで海外勢は買い越し姿勢を再び強め、大台突破の原動力となった。

世界的にみれば、株高は日本のみの現象ではない。三菱UFJモルガン・スタンレー証券・投資情報部長の藤戸則弘氏は「年初来の株価パフォーマンスをみれば、量的緩和を開始した欧州、追加緩和を示唆する中国、そして日本の順番となっている」と指摘。緩和マネーが世界各地の株価を押し上げているのが現状だ。

また、外為市場では11年に1ドル75円台を付けたドル/円相場も、足元は120円台までドル高/円安が進行。トヨタ自動車(7203.T)やパナソニック(6752.T)など輸出関連企業が収益面でV字回復を遂げた。

円安基調の継続による好業績への期待感に加え、配当性向の引き上げなど株主還元策を強化する上場企業の動きも評価されている。

さらに、日銀によるETF(上場投資信託)買いには余力がみられるほか「公的年金に加え、今後はゆうちょやかんぽなどの新たなプレーヤーの台頭も期待され、上昇基調は続く公算が大きい」(岡三証券・日本株式戦略グループ長の石黒英之氏)との見方も出ている。

強気が支配する今の市場では、日経平均が今年中に2万円に達成することは、ほぼコンセンサスとなっていた。今後も「売る材料も過熱感もなく、じりじりと上昇する相場が続いていくだろう」(中堅証券)との見通しが広がっている。

<現実味薄い3万円回復>

13年9月には、2020年の東京オリンピック開催が決定。株式市場にとどまらず、経済全体にとっても明るい材料となっている。

しかし、オリンピックイヤーまでの日経平均3万円台回復という「ばら色の未来」を想像する市場関係者は、今のところ少数派。消費再増税、量的・質的緩和の出口戦略、企業業績という3つのハードルが待ち受けているためだ。

日本アジア証券の清水三津雄エクイティ・ストラテジストは「東京五輪でインフラ需要などは出てくるが、景気の回復基調が強固ではないなかで、消費再増税を実施し経済に悪影響を及ぼすこととなれば、海外投資家が日本株買いに動く大前提が崩れる」と話す。税率の10%への引き上げは17年4月に延期されたものの、国内景気の先行きは予断を許さないのも事実だ。

さらに国内では2020年までの間、日銀の量的・質的緩和政策の出口戦略が議論されることも想定される。金利が上昇し円高圧力が強まれば、国内の輸出関連企業の業績に一定の影響を及ぼす可能性も考えられる。グローバルにみても「いまの金融緩和環境がいつまでも続かないリスクも、考慮に入れておくべきだ」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸氏)との指摘もある。

企業業績の先行きも不透明だ。9日時点の日経平均のEPS(1株利益)は1125円。予想PER(株価収益率)は17倍台後半にある。

予想PERが同水準で推移し、日経平均が3万円台を付けるためには、EPSが50%以上増加しなければならない。急激な円安進行がこれ以上見込みにくい中で、さらなる成長率の積み増しは「現実味に欠ける」(国内証券)との見方も多い。

もっとも「来年以降も上昇トレンドを描くためには、890兆円に上る家計の現預金が投資の果実を得るようにならなければならない。そうすれば日経平均3万円も夢ではないだろう」(岡三証券の石黒氏)との声もある。

市場では、日経平均の2万円回復は通過点に過ぎないとの強気な見方も多い。相場格言の中には「懐疑の中で相場は育つ」との言葉もある。

(長田善行 編集:田巻一彦)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0N10XB20150410


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