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世界経済、もう輝かないかもしれない未来 低下する潜在成長力、過剰貯蓄と長期停滞の議論に火
http://www.asyura2.com/15/hasan95/msg/414.html
投稿者 rei 日時 2015 年 4 月 16 日 07:49:59: tW6yLih8JvEfw
 

世界経済、もう輝かないかもしれない未来
低下する潜在成長力、過剰貯蓄と長期停滞の議論に火
2015.4.16(木) Financial Times
(2015年4月15日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

中国の資源買い占め、過剰在庫でまもなく減速か アナリスト
潜在GDPを押し下げる要因となる人口高齢化などの傾向は中国でも顕著(写真は中国の建設現場)〔AFPBB News〕
 最初は、わけの分からないシナリオのように見える。国内総生産(GDP)は潜在GDPの水準にはなり得るが、そうなっても持続可能にはならない恐れがあるだなんて、そんなことが果たしてあり得るだろうかと首をかしげる人もいるかもしれない。

 しかし、国際通貨基金(IMF)が先日公表した「世界経済見通し(WEO)」のある章で論じられているのは、まさにこのシナリオだ。

 しかも我々は今、そのシナリオに沿って暮らしている可能性さえある。

 潜在GDPとは、インフレ圧力もデフレ圧力も生み出さない水準のGDPのことをいう。持続可能性――本稿では環境面のそれではなく、財政・金融面のそれを指す――はまったく別の話だ。

経済の潜在成長力と持続可能性

 金融・財政の観点からGDPが持続可能であるのは、経済活動の果実が金融システムの危険な不均衡を作り出すことなく吸収され得るような歳出パターンや所得分配が行われている時だ。

 もし、国内で生産されたものを吸収するのに十分な量の需要が、過大な借り入れか0%を大幅に下回る実質金利、あるいはその両方がなければ確保できないという状態であるなら、その国のGDPは持続可能ではない。

 そのような窮地はどのような過程を経て実現する可能性があるのだろうか。この点を考えるために、次のような経済国を想定してみよう。

 この国では、家計と企業が貯蓄したいと思っている金額と、家計と企業が実物投資に使いたいと思っている金額とがぴったり一致しており、その意味で均衡している。ここまでは良い状態だ。

 しかし、ここで潜在GDP成長率が急低下したらどうなるだろうか。恐らく、家計と企業が望む投資の水準も急低下するだろう。必要な資本ストックが小さくなるからだ。

 だが、人々が貯蓄したいと思っている金額は、同じようには減らないかもしれないし、まったく減らないかもしれない。

 それどころか、人々は自分がこれから貧しくなると予想し、貯蓄をむしろ増やしたいと考える可能性もある。

 もしそうなったら、投資と貯蓄の均衡を回復するために、実質金利が急低下しなければならないかもしれない。

 そのような実質金利の低下は、長期資産の価格上昇とそれに付随する貸し付けの増加を引き起こすかもしれない。もしそうなれば、需要の減退は一時的に緩和されるだろう。しかし、その貸し付けブームが後に破綻すれば、借り手は債務の返済に苦労することになり、需要は二重の重荷を背負うことになる。

 過大な債務と、リスクを回避する金融セクターがもたらす中期的な結果は、潜在GDP成長率の低下がもたらす長期的な結果を悪化させることになろう。

先進国、新興国の双方で潜在GDP成長率が低下している理由

 今回公表されたWEOは、このようなシナリオの重要な側面を明らかにしてくれている。これによれば、潜在GDP成長率はこれまでよりも低下しつつある。先進国ではこの低下が2000年代の初めに、新興国では2009年以降にそれぞれ始まっているという。

 世界金融危機以前は、先進国の潜在GDP成長率低下の主因は「全要素生産性」の伸び率低下にあった。全要素生産性とは、資本と労働の投入量がある値を取る時にGDPがどんな水準になるかを示す指標だ。

 この件については、インターネットが経済に及ぼす好影響が弱まっているからだとか、人間のスキルが向上するペースが鈍っているからだといった説明がなされたていた。

 そして金融危機の後、潜在GDP成長率はさらに低下した。投資が急減したためでもあるが、人口の高齢化も重要な要因になっている。

 新興国でも、この人口動態の影響は見受けられる。生産年齢人口の伸び率の低下は、特に中国で劇的なものとなっている。また、2000年代の大規模な投資ブームが終わった後は資本投入の伸びも鈍っており、これも特に中国で顕著になっている。

 全要素生産性の伸び率も、先進国に「キャッチアップ」するペースが鈍るにつれて、長期的には低下するかもしれない。

 この潜在GDP成長率の低下は、貯蓄の過剰と長期停滞に関する議論に直結する。そしてそこでは、ローカルとグローバル、一時的と恒久的という2つの重要な区別が浮かび上がる。

 潜在GDP成長率が世界的に低下していることから、この両方にスポットライトが向けられている。

 米連邦準備理事会(FRB)の議長を務めたベン・バーナンキ氏は、超の字がつくほど低い実質金利がローカルな状況だけで決まることは考えにくいという正しい議論を展開している。人々の望む貯蓄の量が人々の望む投資の量を上回る国では、経常収支の黒字を通じて過剰な貯蓄が輸出できるはずだからだ。

 これはドイツがずっとやってきたことにほかならない。

著名エコノミストが繰り広げる議論

 しかし、ここで難題が立ちはだかる。第1に、ノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマン氏が指摘しているように、実質為替レートは十分に下落しない可能性がある。その場合、この国は恒久的な停滞に苦しむことになるかもしれない。

 第2に、この国が出す経常黒字を世界のほかの国々は持続的に吸収できないかもしれない。2007年にかけて見られたのは、まさにこの状況だった。

 中国や産油国、そしてドイツやそのほかの高所得国が経常黒字を出す一方で、米国やスペインをはじめとする多くの国々が経常赤字を出していたが、この赤字はぞっとするほど持続不可能であることが明らかになった。

 次は、ローカルとグローバルの区別に勝るとも劣らないほど根本的な、一時的と恒久的という区別に目を向けよう。実は、バーナンキ氏とローレンス・サマーズ元米国財務長官の見解における主たる違いはここにある。

 バーナンキ氏は、超低水準の実質金利を生み出している状況は一時的なものだと示唆している。石油輸出国の、今では消えてしまった対外黒字はその分かりやすい例である。また、金融危機前に見られた中国の経常黒字も大部分が消えてしまった。危機が引き起こした経済の不振も一時的である公算が大きい、というわけだ。

 これに対しサマーズ氏は、この低い実質金利をもたらしている状況の少なくとも一部は危機の前から存在しており、まだしばらく居残りそうだと見ている。

 具体的には、高所得国における民間セクターの投資の弱さなどがそうした状況に当たるという。

 潜在GDPの成長鈍化に関するIMFの論点は、サマーズ氏の見方を支持するものになっている。従って、潜在GDPの成長が遅くなることは、経済成長がこれまでよりも持続可能でなくなることなのかもしれない。

暗い将来は不可避ではないが・・・

 もしそうだとしたら、不活発な投資や低水準の名目・実質金利、信用バブル、そして制御不能な債務が長期にわたって世界経済の特徴になる恐れがある。

 この何とも暗い将来は、避けられないものではない。しかし、もっと明るい未来を迎えられると決めてかかることはできない。潜在GDPの成長を加速させて不安定性を低下させるためには、国家的、地域的、そして世界的な改革が必要だ。

 そうした改革がどんな形を取る可能性があるかという議論は、別の機会に譲ることにしたい。

By Martin Wolf
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43550  

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コメント
 
01. 2015年4月16日 09:34:51 : nJF6kGWndY

>不活発な投資や低水準の名目・実質金利、信用バブル、そして制御不能な債務が長期にわたって世界経済の特徴になる恐れ

国や地域によるが

既に日本のような先進国ではメインシナリオ

新興国も、高齢化が進めば、同じ


02. 2015年4月16日 20:15:07 : njCYmPIq7w
既得権が社会資源を押さえていれば新規の起業は非常に不利になる。ゾンビが既得権にあぐらをかいてサービスの低下、モラルハザードを引き起こし乗客百数十人を道連れにして自殺なんてのもやらかす。これが旅客機でなくて原発なら犠牲者は数千万人か。核ミサイル基地や原潜なら人類絶滅だろう。こうなるなら枢軸国が戦争に勝っていた方がまだマシだったかもな。

03. 2015年4月17日 03:38:57 : bfiJIUelwU
>もし、国内で生産されたものを吸収するのに十分な量の需要が、過大な借り入れか0%を大幅に下回る実質金利、あるいはその両方がなければ確保できないという状態であるなら、その国のGDPは持続可能ではない。

この現象が世界的な規模で起こっているのだ。その中心は中国だ。持続不可能になった国は、最終的に低インフレと低金利と低成長の経済が長期化する。しかし、こうした時こそ不要な出費を抑え、技術革新を成し遂げる時だ。


04. 2015年4月17日 04:17:19 : bUldPVTmnw
これはもう金貸しをやってる方が、リスクを背負って起業するよりも
楽で大儲けできる構造だからと結論が出てる。なのでこの議論はおしまい。

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