スイフトは、ウォーターポンプのプーリーに弱点があり、そのリコールが立て続けに出た。エンジンの冷却システムが効かなくなり、最悪の場合はエンジンが動かなくなる。

当方が日本にいた頃から、スズキの自動車と言うのは、とにかくコスト削減が優先されて、鋼板でもトヨタやホンダと同じ新日鉄名古屋製鉄所の製品を購入しているにも関わらず、トヨタは最高級品を買うのに、鈴木は最低価格製品を買うのだと、新日鉄の社員から聞いたことがある。このため、塗装の劣化が速く、すぐ錆が来るのだという。

エンジンのオイルリングでも、耐摩耗性の高いリケン製品を使わず、知らないようなメーカーの製品を使うから、オイル下がりやオイル上がりが起きると聞かされた。いまどきの日本メーカー車で起きるとは考えられないが、スズキの軽自動車で実際に青い煙を排気ガスとして吐いているところを見たのである。

スズキと言えば、今やカリスマ経営者とされる鈴木修社長のことが目に浮かぶが、昔の同社の軽自動車は、安かろう悪かろうであった。これではダメだとばかり、1990年代から品質はよくなっていったが、それの結果が今日の日本国内のシェアの高さである。とは言うものの、スズキの品質について否定的な意見も多い。

スズキにとって問題なのは、低い安全性だろう。同社の軽自動車は、とてもじゃないがEuro NCupに合格できるものではない。そのため、アルトのプラットフォームを拡大してリッターカークラスにしてセレリオを開発し、欧州や東南アジア、オーストラリアなどで販売しているが、低い安全性が祟って販売は期待したほど伸びていない。同社のクラッシュテストを見ていただきたい。

Euro NCAP Crash Test of Suzuki Celerio 2014
https://www.youtube.com/watch?v=k0AwHKJwz9Q

●日本国内で軽自動車が売れているところだけを見て、同社の未来を語ってはいけない。「井の中の蛙、大海を知らず」になって欲しくないのだ。同社がフォルクスワーゲンとの資本提携を打ち切りたいと言っているが、そうなる以前に提携を持ちかけたのは誰か。スズキだろう。では、何の目的があったのか。フォルクスワーゲンの「安全ボディ」の技術が欲しかったのだ。

Euro NCAP | VW Golf VI | 2008 | Crash test
https://www.youtube.com/watch?v=Gix7ymymhTo

スペインのセアトや、チェコのシュコダが、それぞれスペイン政府、チェコ政府の民営化方針でフォルクスワーゲンの傘下に入った。フォルクスワーゲンは、これらのメーカーに、自社の旧世代のプラットフォームを供与し、これをベースに新型車を開発させた。その結果、両社ともシェアが拡大したのである。しかし、両社とも100％の株式をフォルクスワーゲンに握られている。鈴木社長は、これに危機感を抱いた。そこで資本提携解消を言い出したのである。この係争は、今や国際仲裁裁判所に持ち込まれている。同社の将来を決定する、重大な問題である。

〖詳細レビュー〗新型 スズキ スイフトスポーツ
2021/02/08
carwow 日本語
https://www.youtube.com/watch?v=FIDYOjfkCrQ&t=165s