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浜田参与が言う「ドル円は105円が妥当」は正しいか(ダイヤモンド・オンライン)
http://www.asyura2.com/15/hasan95/msg/814.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 4 月 30 日 00:17:05: igsppGRN/E9PQ
 

浜田参与が言う「ドル円は105円が妥当」は正しいか
http://diamond.jp/articles/-/70879
2015年4月30日 村田雅志 [ブラウン・ブラザーズ・ハリマン通貨ストラテジスト] ダイヤモンド・オンライン


4月半ば、浜田宏一・内閣官房参与参与がテレビ番組で「購買力平価からすると、1ドル120円はかなり円安で、105円くらいが妥当」と発言したことは、為替市場を揺るがした。この発言は海外にも即座に伝わり、ドル売りが加速。相場は一時円高ドル安方向に巻き戻し、先行きでも“行き過ぎた円安”が修正されるのでは、との観測が強まる形となった。浜田参与の見方は正しいのか。そもそも、購買力平価とは何を意味するのか。(ブラウン・ブラザーズ・ハリマン通貨ストラテジスト 村田雅志)

■浜田参与が持ち出した「購買力平価」とは何か

 安倍首相の経済ブレーンとされる浜田宏一・内閣官房参与(米エール大名誉教授)が、「購買力平価からするとドル円は105円くらいが妥当」との見方を示したことで、「購買力平価」に対する注目が集まっているようだ。これは、為替レートの適正水準を求める考え方の一つである。

 購買力平価とは、同じものであれば、どの国であっても同じ値段で売られるはずだ、という「一物一価」の考え方に基づいて為替レートの適正水準を探る方法である。たとえば、スマホやタブレットといった製品は、どこの国で販売されていても、同じ機種であれば(言語の部分を除けば)同じ性能を持つと考えられ、同じ性能を持ち、かつ同じタイミングで販売されるのであれば、どこの国であっても販売価格も同じであろうと考えられる。

 世界中で大ヒットしているスマホが日本と米国で売られているとしよう。そして、このスマホは、日本では5万円、米国では500ドルで、それぞれ売られているとする。ここで一物一価が成り立つのであれば、

 5万円=500ドル

 となり、計算すると、円とドルの関係は、

 100円=1ドル

 となる。

 ここでスマホの価格が変わった場合を考えてみよう。日本のスマホの価格は変わらないのに、米国のスマホの価格は1年後に550ドルに上がったとする。一物一価が成り立つのであれば、

 5万円=550ドル

 となり、円とドルの関係は、

 90.9円=1ドル

 もしくは

 100円=1.10ドル

 となる。

 1年前は、100円=1ドルだった円とドルの関係は、米国だけスマホの価格が上がった1年後には、90.9円=1ドルに変わった。つまりドル安・円高が進んだことになる。

■物価が変わると通貨の購買力=通貨の価値も変わる

 米国のスマホ価格が上がった、ということは、同じスマホを買うのにより多くのドルが必要になったことを意味するが、これは、ドルで何かを買うことができる力(購買力という)が下がったと考えることもできる。一方、日本ではスマホの価格は変わらなかったため、日本円の購買力は変わっていない。ドルの購買力だけが下がったため、ドルが安くなった(ドル安になった)、と考えることもできる。

 では次に、米国のスマホの価格は変わらないのに、日本のスマホの価格だけが下がった場合を考えてみよう。日本で5万円で売られていたスマホが、1年後に4万円に値下げされたが、米国では同じスマホが1年後も引き続き500ドルで売られているとする。ここで、先ほどと同じように一物一価が成り立つのであれば、

 4万円=500ドル

 となり、円とドルの関係は、

 80円=1ドル

 もしくは

 100円=1.25ドル

 となる。

 1年前は100円=1ドルだったのに、日本だけ価格が下がった1年後には100円=1.25ドルとなり、日本円の価値が1ドルから1.25ドルに上がった、つまり円高になったことが分かる。

 日本でスマホの価格が下がった、ということは、より少ない日本円でスマホが買えるようになったことを意味し、日本円の購買力は上がったと考えられる。一方、米国ではスマホの価格は変わらなかったので、ドルの購買力も変わっていない。日本円の購買力だけが上がったため、円が高くなった(円高になった)と考えることもできる。

 まとめると、一物一価の法則が成り立つのであれば

 物価が上がる=その国の通貨の購買力が下がる=その国の通貨は安くなる
 物価が下がる=その国の通貨の購買力が上がる=その国の通貨は高くなる

 という関係にあることが分かる。

■実は“恣意的”な購買力平価による適正水準

 一物一価という考え方は、直感的に分かりやすいこともあり、一物一価に基づいた購買力平価から求められる為替レートの適正水準も、あたかも正しいもののように思えるかもしれない。しかし市場関係者の多くは、為替レートの先行きを考える手法として、購買力平価を使うことはほとんどないのも事実である。

 直感的に分かることだが、一物一価という考え方は現実的ではない。よほどのことがない限り、品質なども含めて全く同じものが、2つの国で同時に売られることは現実には考えにくい。購買力平価の一例として、外食チェーン大手マクドナルドのビッグマック販売価格から算出する為替レートの適正水準(ビッグマック指数)が紹介されるが、ビッグマックの重さや大きさは国によって大きく異なっているのも事実。違うものを同じものと想定している時点で合理性は失われている。

 また先の例ではスマホを使ったが、我々の生活はスマホだけで成り立っておらず、様々なモノやサービスに取り囲まれている。また2つの国のうち、1つの国にしか存在しないモノやサービスも数多くあるだろう。このような状況において、為替レートの適正水準を求めるために、どのようなモノやサービスを使うべきかを決めることは、購買力平価による適正水準が客観的なものではなく、一定の恣意性が含まれていることを意味する。

 これは、購買力平価による適正水準が、用いる物価指標によって大きくばらつくことからも分かる。たとえば購買力平価によるドル円の適正水準(2015年2月時点)は、消費者物価を用いると129.8円、企業物価だと101.0円、輸出物価だと77.5円と大きく違う。

 一般にはあまり知られていないが、購買力平価による適正水準は、物価指標だけでなく、設定する基準時点によっても大きく異なる点にも注意が必要である。

 購買力平価から適正水準を求める際には、過去のある時点(基準時点)での実際の為替レートにおいて、一物一価の考え方が成り立っていたと想定して計算をする。たとえばドル円の場合、変動相場制に移行して2年が経った1973年を基準時点に採用されることが多いが、その理由は当時のドル円があまり大きく変動せず、日米の実体経済を反映した水準であったと「考えられるため」とされている。

 しかし、1973年のドル円の水準が、一物一価の考えが成り立つ水準であったことを証明する確たる証拠があるわけではなく、基準時点を1973年にした時点で、購買力平価による適正水準は恣意的なものといえる。

■為替と株価では性質が異なる適正水準を算出するのは難しい

 株式市場では、企業収益をベースに株価の適正水準を求めることが一般的となっている。現在の株価が適正水準から大きく乖離していればいるほど、現在の株価は行き過ぎたものであり、いずれ適正水準に株価が調整される、との考え方も普及している。

 株価の適正水準、という考え方が普及しているためか、為替レートについても適正水準が存在する、と考える方は多いようだ。そのように考えたくなる気持ちは理解しなくもないが、為替レートの適正水準を求めることは株価に比べ難しい。

 株式は企業の所有権を示すもので、企業が稼いだ利益を配当金などで受け取る権利も有する。このため、株価の適正水準は企業が稼ぎ出す利益に基づくべき、との考え方は広く共有されており、適正水準を定量的に計算する方法論も学術的に確立されている。

 一方、為替レートを構成する通貨は、株式のように利益を得るために発行されているわけではない。このため、為替レートの適正水準を計算する際に、発行体(通貨であれば国家など)の収益性を使うことは適切だと考えられていない。そもそも国家は、利益を上げるために存在しているわけではない。

 国家の収益性を考える代わりに、国全体の経済状況を分析することで、為替レートの適正水準を計算するという考え方もある。しかし、国全体の経済は複雑に入り組んだものであり、特定の尺度で国全体の経済を的確に把握しようとすること自体に無理がある。

 たとえば、国全体の経済規模を示すとされるGDPであっても、GDPそのものは国全体の経済取引によって生じた付加価値額でしかない。GDPだけでは過去に蓄積した資産(ストック)を評価することもできなければ、不動産、株式、債券といった資産価格の変動を把握することもできない。

 為替レートは2つの通貨の交換比率であるため、適正水準を数値化する際には、対象となる2つの通貨を同時に分析対象とする必要もある。仮に通貨の適正水準を算出するための方法論が確立されたとしても、2つの分析対象を同時に検討する必要があるため、大きな不確実性が生じてしまうことは避けがたい。

 こうした困難があるのは承知の上とはいえ、それでも為替レートの適正水準を求める試みは過去から続いている。購買力平価は、一般の方にも(ある程度の)納得が得られ、学術的にも一定の支持が得られているものではある。

■浜田参与も購買力平価の難点を十分に認識しているはずだが…

 しかし、上述したように、為替レートの適正水準を株価のように求めることは難しい。購買力平価による適正水準は、当てにならないのを承知しているが、何もないよりはマシ、程度の感覚で受け止めるべきものといえる。

 高名な経済学者である浜田氏も、こうした難点を十分に認識しているはずだが、それにもかかわらず購買力平価を持ち出したのは、現在のドル円が円安水準にあることを説明するために「仕方なく」という方便の一つと考えていいだろう。

 今年初めの為替市場では、日米の金融政策の違い(ダイバージェンス)を背景に、ドル円が上昇を続けるとの見方が優勢だった。ドル円は3月上旬、米利上げ開始観測を背景に122円ちょうど近辺まで上昇。そのままドル円は上昇を続けると思われたが、その後、ドル円は伸び悩み。4月のドル円は、おおむね118円台半ばから120円台半ばでのレンジ内での推移が続いている。

 ドル円が方向感に欠ける動きとなったことで、これ以上の円安を期待するのは難しい(もしくは好ましくない)との見方(円安限界論)も示されるようになった。そんな中で浜田氏が、購買力平価を持ち出し、ドル円の妥当な水準として105円という具体的な数値を示したのだから、市場が注目したのも無理はない。

 しかし繰り返しになるが、購買力平価が示す数値は、基本的には恣意的なものであることを忘れてはならない。現に浜田氏も、その後の発言で、ドル円が120円程度に推移しても、それは許容できる範囲内であるとの認識を示している。

 米FRBが利上げを開始する姿勢を見せる一方で、日銀は現在の金融緩和を継続し、場合によっては追加緩和も辞さない姿勢を示し続ける構図に変わりはない。日米の金融政策の違い(ダイバージェンス)が維持されている以上、ドル円が今後、足元の下値の目途である118円台半ばを大きく割り込み、ドル安・円高の方向に大きく傾くとみるのは無理があるように思われる。今後発表される経済指標を通じ、第1四半期に大きく減速した米景気が第2四半期に持ち直すことが確認されれば、FRBによる利上げ開始期待が再び盛り上がり、ドル円は125円を目指す動きを強めると予想される。


 

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コメント
 
01. 2015年4月30日 03:31:26 : R8TuVcpRCs
>浜田参与が言う「ドル円は105円が妥当」は正しいか・・・・

 過去の地球形態を基にした古い考え。
 しかも、経済学者は実は本当の事はわからない(らしい!)。
 神でもあるまいし、言葉になんの重さも感じない。
 


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