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ユーロ圏CPI、5カ月ぶり下げ止まる  鏡の国の「マイナス金利」金融市場に広がる「あべこべの世界」  
http://www.asyura2.com/15/hasan95/msg/856.html
投稿者 rei 日時 2015 年 5 月 01 日 10:47:00: tW6yLih8JvEfw
 

ユーロ圏CPI、5カ月ぶり下げ止まる
By PAUL HANNON
原文(英語)
2015 年 4 月 30 日 18:48 JST
 ユーロ圏では4月、消費者物価指数(CPI)の下落に歯止めが掛かった。デフレが景気回復を阻むという懸念は一段と後退しそうだ。

 欧州連合(EU)の統計機関ユーロスタットが30日発表した4月のユーロ圏CPIは前年同月から横ばいだった。昨年12月から今年3月までは低下が続いていた。

 CPIの下げ止まりは、エネルギー価格の小幅な持ち直しに支えられた。エネルギー価格は5.8%低下したが、3月の6%低下に比べて落ち込みが縮小した。

 エネルギー・食品・アルコール飲料を除くコアCPIは3月と同様、0.6%上昇した。サービス価格は0.9%上昇にとどまり、3月の1.0%上昇から伸びが減速した。

 ユーロスタットが別途明らかにした3月のユーロ圏失業率は11.3%と、2月から変化がなかった。金融危機前の水準に比べて大幅に高い状況が続いている。失業者数は前月比3万6000人減の1810万人となった。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0CB4QFjAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB12312591300819944275804580612132155987238&ei=vRVCVa-cDca2mAXNqYDwCA&usg=AFQjCNEGKVMeIAkdYoCROuWNpcgpDG2ZWg&bvm=bv.92189499,d.dGY

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倉都康行の世界金融時評
鏡の国の「マイナス金利」金融市場に広がる「あべこべの世界」

2015年5月1日(金)  倉都 康行

 米国では引き続き利上げに関する議論が飛び交い、地区連銀総裁らが6月利上げから来年先送りまでバラバラの纏まりない議論を繰り広げて市場を右往左往させているが、ユーロ圏では反対にどこまでマイナス金利の世界が拡大するのかが焦点になっている。

 数年前までは思考実験に過ぎなかったマイナス金利が、いまでは世界中に現実論として受け容れられているのは興味深いことだ。その先端を走るのは欧州であり、政策金利から国債利回り、そして銀行間預金や社債利回りに至るまでマイナス金利が波及している。

ユーロ圏では3割の国債がマイナス金利に

 例えばスウェーデン中銀は、世界で初めて政策金利にマイナス金利を持ち込んだ。デンマーク中銀は年初来、銀行が中銀に預ける預金金利(CD金利)のマイナス幅拡大を4週間で3回も発表したが、その幅はマイナス0.75%と世界最大である。そしてスイスは、長期金利入札でマイナス0.055%という世界初の記録を達成、債券市場ではネスレの社債流通利回りまでがマイナスになった。

 ユーロ圏最大の経済国であるドイツにもマイナス金利がひたひたと忍び寄り、10年債利回りは限りなく0%に近付いている。同国の長期金利がスイスに続いてマイナス金利に転じるのも、もはや時間の問題かもしれない。

 ユーロ圏の国債市場では3年ほど前から短期債市場を中心にマイナス金利が散見されていたが、その範囲が一気に拡大したのは、ECBが量的緩和を開始するとの観測が高まった昨年以降のことである。今年1月に正式に導入が発表されて3月から国債買入れが開始されると、ギリシアを除く各国の国債に買いが殺到し、マイナス金利が2年債から3年債へそして5年債へと拡大、いまでは10年債までもその勢いに浸食されようとしている。

 市場の一部には、そもそも国債の流通量が日米などと違って多くないユーロ圏市場でECBが計画通りに国債を買い入れることは難しいのではないか、との懸念もあったが、3月は600億ユーロというハードルをクリアし、4月以降も順調に買入れ作業は進んでいる。現在、ユーロ圏国債4.8兆ユーロの30%に相当する1.4兆ユーロの国債がマイナス金利となっているが、そのシェアは月を追うごとに上昇してくことだろう。

 そんな異様な金融環境の中で、多くの銀行が悩んでいるのが預金者にマイナス金利を適用するか否かの問題である。ユーロ圏に引き摺られてマイナス金利の進行が進んでいるスウェーデンやデンマークでは、大口預金者や法人の一定金額以上の預金に対して手数料を課す銀行が増えていると言われる。

 問題は一般個人にまで「預金手数料」が適用されるかどうかであるが、一部の小規模な銀行の中には2月から預金すべてに対して0.5%のマイナス金利を導入したところもある、という。マイナス金利の定着と長期化により、その余波は順次拡張するかもしれない。

お金を借りて金利が貰える世界

 また、デンマークの一部の銀行が消費者金融でマイナス0.0172%という金利を付けた、という衝撃的な話題をフィナンシャル・タイムズ紙が報じている。マイナス金利で発生する「借り手の利子受け取り」が、遂にローンの借り手にまで及んできた、ということだ。

 北欧諸国では家計所得に対する負債比率が高く、安易な借金増が経済を狂わせる可能性も指摘されている。上記のケースは、金額にすれば100万円借りて年間172円ほどの利息ではあるが、お金を借りて金利が貰えるというのは、まるで物事があべこべになる「鏡の国のアリス」の世界のような話である。

 筆者は3年ほど前に、本コラムでマイナス金利の経済をドイツの児童文学作家ミヒャエル・エンデの「モモ」を引き合いに出して述べたことがある。この物語は「時間貯蓄銀行」という組織をメタファーに用いて、物質や生命は時間の経過とともに劣化や老化を回避できないのに、何故お金だけが時間とともにその増殖しうるのか、という疑問を提示したものだ。マイナス金利とは、まさに時間が経つにつれてお金の価値が減少する制度である。物語の中で、目的地に近付くには後ろに向かって歩くことが必要なことに気付くモモは、そんなマイナス金利の世界を体感しているかのようだ。

 もっとも、欧州の人々は昨今のマイナス金利に包まれた市場を「鏡の国のアリス」に見立てるのが好きらしい。英国の数学者ルイス・キャロルの手になるこの物語には、文字が左右逆になっている本や、喉の渇きを癒すのにあてがわれる乾いたビスケット、時間を逆向きに生きて将来のことを記憶している白の女王など、現実とはあべこべのストーリーが壮大なチェス・ボードのイメージを背景に展開される。

 そしてアリスは鏡の中の世界で、目の前に広がる丘に辿りつくために後ろに向かって歩かねばならなくなる。モモの原型の一つは、アリスにあったのだ。そしてアリスやモモが驚いた「あべこべの世界」という想像上の現象が現実化している異常性に、金融市場がだんだん驚かなくなっているは恐ろしいことである。

 先月、過去の経済統計を見ながら金融政策を判断したり資産運用を行ったりするのはバックミラーを見ながら運転するようなものだと書いたが、マイナス金利の世界とは目的地へ向かうために常にバックギアに入れて運転しているようなものだろう。ここでは安全運転のマニュアルなど無いに等しい。

 もちろん、欧州の投資家も「マイナス金利は異常事態」と受け止めて、いずれそれは解消されると思っている筈だ。だが、デフレへの恐怖感が渦巻く昨今の経済・金融情勢を見ると、この異様な状態が長期化する可能性は決して小さくないように思える。

 そんなマイナス金利が加速すれば、ECBの量的緩和策における計算が狂い始めるかもしれない。例えば、マイナス金利に引き摺られた社債市場の過熱である。欧州には金融危機以降の銀行資産縮小のプロセスで、ジャンク債市場が急速に拡大してきた。リスク資産への資金誘導は量的緩和策が目指す一つのテーマでもあるが、過剰な資金移動は間違いなく新たなリスクを生む。

格付けの境界線がBBとBの間に移動

 超低金利環境を受けて、1-3月の欧州ジャンク債発行額は前年同期比73%増の300億ユーロに達している。2月にはユーロ圏ジャンク・ファンドへの資金流入額が7億6500万ドルと過去最高を更新した。ユーロ圏市場では株だけではなくジャンク債にも人気が集まっている。ユーロ圏の投資適格債のうち3分の2以上の利回りが1%割れとなっている現実を見れば、それも当然かもしれない。

 その結果として、投資家の社債選好は高利回りを求めてBBBからBBへそしてBへと信用力の低い債券へと向かう。従来、投資適格と投機的な格付けの境界線はBBBとBBの間に敷かれていたが、今ではそのラインがBBとBの間に移動してしまった、とUBSは警戒している。

 確かにユーロ圏BB格付け社債の半分以上の利回りは2%を割り込んでおり、あたかも投資適格債のような扱いを受けている。それはECBがもたらした一種のモラルハザードだ、との批判もある。

 ユーロ安に助けられ企業業績は回復中であり信用リスクは低下中だという論評には、一理あるだろう。だが、国債同様に社債も市場流動性が大きく低下しており、正常な売買を支えるマーケット機能が消失しつつあるリスクを投資家が軽視していることは否めない。

 そもそもECBの量的緩和が英米と異なっているのは、既に低金利状態の環境で政策を導入したことだ。そして財政規律を重視するユーロ圏では、日本や英米ほどには国債残高が多くない。そんな背景から、ECBの量的緩和は「Too Late, Too Big(遅過ぎたし大き過ぎた)」と揶揄されることもある。

 特にECBにとって市場規模の問題は、域内に流通する国債の約30%がマイナス金利に陥ってしまったことで浮き彫りになりつつある。前述したように、仮にドイツの長期金利がマイナス金利に突入すれば、ユーロ圏最大の国債市場で買入れが困難になる可能性が浮上するからだ。

 ECBが国債買入れに関して設定した利回り下限はマイナス0.2%であり、仮に同国10年債がそのレベルに達することになれば、ECBは同国債を購入することが出来なくなるのである。ムーディーズは、年末にもそのリスクが顕在化する可能性がある、と指摘している。

 金融市場の人々は、マイナス金利の水準には限界があると考えてきた。常識的に見て、わざわざ損するような国債など買う投資家などいないからだ。だがここは鏡の国の世界であり、あべこべの出来事は幾らでも起きるのだ。

 例えばいま、ユーロ圏国債のレポ市場ではドイツ国債を中心に債券の品薄を反映して大幅なマイナス金利が定着し始めている。つまり、債券不足が顕著になったために保有国債を担保に資金調達する人がお金を貰える状況になっている、ということだ。デンマークの消費者金融と似た現象である。

 それは、マイナス金利で国債を買ってもレポ市場に放出することで利益を上げられる可能性を示唆している。つまりマイナス金利でも買う動機が発生しているのであり、市場のマイナス金利化を更に進行させる媒介にもなり得る。そうなれば、ECBが買える国債がどんどん市場から無くなるシナリオが現実味を帯びてくる。

 従って、当初策定した金融政策を目的達成まで遂行するためには、最終的に国民負担増となりうるECBのマイナス金利許容幅の拡大や低格付け債券の購入、或いは財政赤字の増加要因となる国債の新規発行といった、本末転倒の現象が起きてしまう。

 もっとも、物価上昇率を2%水準にまで引き上げるために、円安にして消費者に支出増の負担を押し付けながら、原油価格が上昇して金融政策の目標が達成されるのを待っているという、不可思議な金融思考が許容されている日本も、一種の鏡の国の世界なのかもしれない。

ギリシアが迎える「最後の審判」の日

 ユーロ圏にはもうひとつあべこべの世界が共存している。それはドイツとギリシアの間に仕切られた鏡が映し出す、真逆の経済像だ。歳出削減や歳入ルート確保などを通じた財政再建を最優先課題とするドイツと、まずは大幅な債務削減が必要だとするギリシアに、合意点はなかなか見出しにくい。以下、簡単にギリシアを巡る最近の情勢をアップデートしておこう。

 4月9日のIMFへの4.7億ユーロの支払いを何とか済ませたギリシアは、融資枠に残された72億ユーロの支援実施に向けてEUとの交渉を継続しているが、実のある結果は得られていない。5月1日そして12日に予定されているIMFへの支払いに関し、ギリシアは猶予を願い出たと報じられている。IMFのラガルド専務理事はこれを認めないと発言しているが、ギリシアも無い袖を振ることは出来ない。

 因みにIMFの支援に対して、過去に支払いを怠ったのは、ザイールやソマリア、スーダン、ジンバブエなど数例に過ぎない。まして「先進国」がIMFに対して債務不履行を起こすことになれば、前代未聞のケースである。

 EUとの合意に向けて、チプラス首相は国内向けに楽観的な発言を繰り返してきたが、ヴァルファキス財務相は「我々はこれほど譲歩しているのに債権者からは譲歩が全く無い」と不満を顕にし、現行案への署名を拒否している。両氏はともに、対外債務支払いよりも公務員給与や年金支払いなど国内支払いを優先する、との姿勢を示している。

 対外的には、IMFに対して5月6日に1億8600万ユーロ、12日には7億700万ユーロの支払いが迫っている。いま同国政府は、地方政府の手元資金をギリシア中銀に移管させるという荒業で何とか資金を確保しようとしているが、自転車操業に変わりはない。

 またギリシアはEUの不信感を強めてしまった同財務相を交渉チームから外して協議継続への姿勢を見せたが、国内では妥協に反発する声が圧倒的に強い。ギリシアにとっては、5月11日のユーロ圏財務相会合が「最後の審判」の日になる、との見方もある。

 こうした状況にギリシア国債は続落基調となり、2年債利回りは30%を突破、CDSも4000台を超えて市場にはデフォルト・ムードが強まっている。仮にIMFに対して債務不履行を起こせば、緊急流動性支援を拡大してきたECBも、デフォルト国債を担保に同国の銀行を支援することは不可能になる。ギリシアは経済活動を維持するために、借用証書(或いは国内のみ流通する自国通貨)の発行を余儀なくされるだろう。

ギリシアにとってメルケル首相は赤の女王

 ギリシアはドイツによって窮地に追い込まれたと非難するが、ドイツはギリシアが債務国としての責任を果たしていないと反論するなど、主張は食い違ったままだ。チプラス首相には、メルケル首相が鏡の国の中の赤の女王のように見えるのだろうが、国際世論や資本市場はそんなギリシアに冷たい視線を送っている。

 さて、アリスは夢から目覚めた後、鏡の国のストーリーは自分の見ていた夢だったのか、或いは赤の王様の夢であったのかと自問することになるが、結論は出ない。ギリシアも最後の審判の日を過ぎた後に、自分たちが夢を見ていたのか、それともチプラス首相の夢の中で自分たちが翻弄されていたのか、と悩む日が続くことになるのではないか。それは円安と株高のぬるま湯の中で生産性向上や財政再建などの重要課題を忘れがちな日本にとっても、他人事ではないかもしれない。

このコラムについて
倉都康行の世界金融時評

日本、そして世界の金融を読み解くコラム。筆者はいわゆる金融商品の先駆けであるデリバティブズの日本導入と、世界での市場作りにいどんだ最初の世代の日本人。2008年7月に出版した『投資銀行バブルの終焉 サブプライム問題のメカニズム』で、サブプライムローン問題を予言した。理屈だけでない、現場を見た筆者ならではの金融時評。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20150427/280474
 

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コメント
 
01. 2015年5月01日 10:57:31 : nJF6kGWndY

元々の制度設計の致命的なミスのため

欧州は政治崩壊が日本以上に進んでいるから、財政政策が機動的にできず

結果として、マイナス金利なのに金を借りられず投資も消費もできない周辺国と

金余りでバブル化リスクが高まる中核国という悲惨な事態が続いている

ただし、CPI上昇が示すように、そうした事態はいずれ打開され

生産力のリストラが進めば、日米の金融リスクが次の世界の問題へと変わっていく可能性も低くは無い

巨大災害や紛争だけでなく、常に世界は問題で満ちているということだな



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