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ネパール地震の教訓、企業は海外の自然災害に備えよ 新興国、アジア地域は特に自然災害リスクが高い(JBpress)
http://www.asyura2.com/15/hasan96/msg/137.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 5 月 04 日 12:36:05: igsppGRN/E9PQ
 

ネパール地震の教訓、企業は海外の自然災害に備えよ 新興国、アジア地域は特に自然災害リスクが高い
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20150504-00043685-biz_jbp_j-nb
JBpress 2015/5/4 12:24 茂木 寿



 現地時間2015年4月25日11時56分26秒(日本時間25日午後3時11分26秒)、ネパールの首都カトマンズの北西約77キロメートルのガンダキ県ゴルカ郡サウラパニを震源とするM7.8の地震(震源の深さ約15キロメートル)が発生した。


 ネパール国内では建物の倒壊、雪崩、土砂災害等により甚大な被害が発生したが、いまだに被害の全容は不明である。また、周辺のインド、中国、バングラデシュでも人的被害が発生する等、地震の規模が大きいことを物語っている。


 ネパールはヒマラヤ観光の拠点として日本人にもなじみ深く、2008年5月まで王政であったことから、日本の皇室とも親密な関係を維持し、日本からの援助も長年にわたりネパール経済の基盤を支えていた。


 現在、ネパール国内には1011人の在留邦人(2013年10月1日現在)が居住しているが、国内の主な産業が農業、繊維業、観光業となっていることから、日本企業の進出は観光業を中心に64社にとどまっている。そのため、今回の地震(以下、「ネパール地震」)による日本企業への影響は極めて限定的である。



世界の自然災害の発生件数(1900〜2013年)(出所:EM-DAT)


 一方、ネパール地震は新興国を中心に海外展開を拡大している日本企業にとって大きな教訓を与えていると言える。そこで以下では、ネパール地震が、日本企業が海外進出する際のリスクマネジメントにどのような示唆を与えているのかについてまとめてみた。


■世界的に自然災害は拡大傾向


 下の図は国連国際防災戦略事務局(UNISDR)が運営する世界的な自然災害のデータベースである「EM-DAT」から抜粋した1900年以降の自然災害の発生件数のグラフである。このグラフからは1970年代以降、急激に自然災害が増加していることが分かる。


 この要因には世界的な気候変動の要因も挙げられるが、最大の要因は人口の増加であるとされる。


 1970年代初頭、世界の年平均の人口増加率は2%を超え、1900年以降、最高の増加率を記録(1975年当時の世界の人口は約40億人であったが現在では約70億人とされている)している。このような急激な人口増加が自然災害増加の要因とされる。


 人口の増加が自然災害の増加を助長する理由は、一般的に自然災害とは人間に影響を与える自然現象であるためである。例えば、南極で大規模な地震が発生しても、人に影響を与えない場合には、自然災害とはされていない。そのため、人口増加は直接的に自然災害の増加を助長することとなる。


■新興国はなぜ自然災害リスクが高いのか


 新興国においても、同様の傾向となっている。特に、BRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国)はいずれも大国であり、4カ国で全世界の人口の約4割を占めている。そのため、自然災害のリスクは相対的に高くなる傾向にある。特に、新興国においては人口増加率が高いことから、当然ながら、増加傾向となる可能性が高いとされる。


 一方、新興国では、防災対策は他のインフラ整備よりも優先順位が低いことが多いことから、新興国における自然災害リスクは今後も高い傾向が続くことに留意が必要である。


■地質、気候の特性から自然災害リスクが高いアジア地域


 アジア地域は、北は中国・モンゴル、東は韓国・日本、西はパキスタン、南はインドネシアにわたる地域である。アジアの地理的特徴は起伏に富んだ地勢および気候帯が多岐にわたることが挙げられる。アジア地域は地質学的に、太平洋プレート、フィリピンプレート、ユーラシアプレート、オーストラリアプレート、インドプレート、アラビアプレート等の多くのプレートおよび境界線が存在することにより、地震・噴火・津波のリスクが非常に高い地域となっている。また、気候帯が多岐に分かることから、台風・サイクロン等の風害のリスクも高くなっており、地域別では世界で最も自然災害のリスクの高い地域とされている。


 ネパールも南部のタライ平原の海抜約100メートルからヒマラヤ山脈の8000メートルまで高低差があり、全土が起伏、傾斜に富んだ姿勢となっている。これに伴い、気候帯も多様化しており、ネパールには6つの季節があるとされている(大きく分けて雨季6月〜8月・冬12月〜2月)。



新興国における自然災害(2014年) (出典:United Nations University EHS Institute, Alliance Development Works, World Risk Report 2014 )


 また、地質学的には、インドプレートがユーラシアプレートに沈み込む収束型境界を形成しており、世界的に地震活動が活発な地域の1つとなっている(このプレート運動によってヒマラヤ山脈が形成された)。そのため、自然災害も多様化しており、地震の他、干ばつ、異常気温、洪水、地すべり、火災(家屋および森林)、風害、異常低温、風害がある。特に、洪水、地すべり、火災の発生頻度が高く、経済的損失額もこれらがほとんどを占めている。


■自然災害に対する「脆弱性」に注意が必要


 このようなネパールでの自然災害リスクはインドでも同じ傾向であると言える。例えば、インドでも洪水の発生件数が最も多く、経済的損失額も最大である。6月から9月の雨季に発生することが多く、特に、アッサム州、ビハール州、西ベンガル州で発生することが多い(洪水の次に経済的損失額が大きいのがサイクロン等の風害)。地震は西部のグジャラート州、マハラシュトラ州で発生することが多いが、北部パキスタンとの国境地帯での発生も多い。


 下の表は国連大学環境人権研究所が発表した自然災害のリスク(発生可能性・脆弱性等を総合的に勘案)についてのランキング(ランキングが上位な程リスクが高い)である。


 この表ではネパールの自然災害リスクのランキングは世界171カ国中108位となっており、リスクの低い国に分類されている。特に自然災害の発生の可能性は9.16%と極めて低い数値となっている。しかしながら、脆弱性は57.73%となっており、耐震対策等の災害対策が脆弱であることが分かる。


 また、インドの自然災害の発生の可能性も11.94%と低くなっているが、脆弱性は58.91%となっており、ネパール同様、災害対策が脆弱であることが分かる(インドの自然災害リスクのランキングは世界171カ国中73位)。


 インドについては、昨今、製造業を中心に日本企業の進出が加速している。今回の地震はネパールで発生したものであるが、同じような規模の地震がインドの主要都市の近郊で発生したことを想定した場合、事業継続を含め極めて甚大な被害が発生することは明らかである。既述の通り、世界的に、特に新興国での自然災害リスクは拡大傾向であることを念頭に、日本企業はネパール地震を大きな教訓として捉える必要があると言える。


■日本企業が講じるべき事前の対策


 日本企業における、海外の自然災害リスクへの対策のポイント、留意点は下記の通りである。


 ・日本は世界で最も自然災害の多い国の1つであることから、日本国内においては企業の防災対策は十分に講じられていると言える。一方、海外においては、日本よりも自然災害のリスクは低いとの先入観を持つ場合が少なくない。事実、日本よりも災害リスクが低い国の方が多いことから、あながち間違いとは言えないが、いずれの国であっても、地域によって災害リスクは異なっている。そのことを十分に留意する必要がある。


 ・日本企業の海外進出が拡大し、特に製造業における海外生産比率は近年格段に上昇している。また、国内においては事業継続計画等の策定も進んでいるが、海外拠点において事業継続計画を策定している例はそれ程多くないのが実情である。今後はグローバルでのサプライチェーンという点から海外拠点も含めたグローバルな事業継続計画の策定が不可欠となっていることに留意する必要がある。


 ・企業としては進出時、操業開始時、操業期間を通じて、拠点所在地における自然災害リスクを評価する必要がある。ほとんどの国においては、公的な機関が過去の自然災害の記録を開示しており、場合によってはハザードマップ等のリスク評価結果も公表しているので、これらを参照することが可能である(大規模な工業団地等に入居する場合、周りに有名企業等があることから安心してしまい、このようなリスク評価をしない例が非常に多い)。


 ・拠点所在地における自然災害リスク評価の後は日本国内での対策と同様、被害想定、対策の選択肢の洗い出し、実際の対策の実施、マニュアル等の整備、教育・訓練等を継続的に実施することが肝要である。


 (本記事は執筆者の私見であり、有限責任監査法人トーマツの公式見解ではありません)


 

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