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日本経済と乖離する日本企業 賃金抑制と製造業空洞化を招いた国の怠慢 農業保護の代償(Business Journal)
http://www.asyura2.com/15/hasan96/msg/312.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 5 月 09 日 08:40:05: igsppGRN/E9PQ
 

               (出典)KPMG、第一生命経済研究所


日本経済と乖離する日本企業 賃金抑制と製造業空洞化を招いた国の怠慢 農業保護の代償
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150509-00010000-bjournal-bus_all
Business Journal 5月9日(土)6時0分配信


 日本経済の地盤沈下の裏には、企業の分配構造の変化により、従業員や支払利息への分配率低下と、海外を中心とした設備投資への分配率上昇がみられる中で、内需が低迷してきたという側面もある。

 この背景にも、新興国の台頭を契機とする経済のグローバル化がある。つまり、(1)製造業の生産拠点や販売市場の国際化、(2)マネーの国際化による資源高、(3)株主構成の国際化、といった要因によって輸出企業が景気回復を主導しても賃金が伸び悩み、内需が盛り上がらない構造が影響しているといえる。

 今世紀以降は、先進国と新興国、資源国が相互に依存するかたちで世界経済が変動してきており、日本経済も世界経済に影響されやすくなっている。そして、日本企業が新たに生産拠点の海外移転や委託、販売市場のグローバル化を進めてきたことも内需低迷の一因となってきた。また、販売の面でも人口減少で伸び悩む国内市場を補うため、企業の海外市場の開拓が進み、企業業績の海外依存度が高まってきた。

 さらに海外進出の理由となってきたのが、新興国の人件費の安さや市場の成長期待だけではなく、関税や法人税といった税制面で日本が後れを取ってきたことである。近年では、各国のFTA(自由貿易協定)やEPA(経済連携協定)による貿易や投資の自由化の進展により、ヒト・モノ・カネ・サービス・情報のすべてにわたって、国境を超える移動を妨げる障壁が低くなっている。

 こうした中、日本企業はFTA締結に積極的なASEAN(東南アジア諸国連合)諸国などの生産拠点から輸出を拡張し、日本政府が自由貿易圏の構築に後れを取る中で製造業の空洞化が着実に進んできた。

 日本がFTAやEPA交渉で他国に後れを取ってきた原因の一つに、農産品の市場開放問題がある。すなわち、農業従事者の雇用維持や食料自給率低下を防ぐ目的で、一部の品目に高い関税が課されている。しかし、農業では従事者の6割が65歳以上であり、新たな担い手が必要とされているにもかかわらず、他産業に比べて著しく所得が低く、雇用の受け皿としての期待にこたえる将来像が描けていない。一方で、所得向上の一役を担うと期待される大規模で効率的な経営を行う法人の数は増加しているが、その進展は不十分であり、数々の制度問題が農業の効率化を抑制している。このように、日本経済の地盤沈下の背景には、農産物市場開放問題も関係しているといえる。

●法人税パラドックス

 法人税率の高さも、日本経済の地盤沈下を助長してきた。これまで、海外諸国では経済のグローバル化に伴う資本移動の高まりを背景に、国際競争力強化や経済活性化を見据えた法人税率の引き下げが相次いできた。こうした情勢の中で、日本の法人実効税率もようやく2016年度に31.33%まで引き下げられることが決まったが、海外の平均水準と比較すれば依然として5%以上も高い。

 法人税率引き下げ競争が激しいEUでは、法人税率引き下げと共に法人税収の名目GDPに対する比率が上昇する「法人税パラドックス」と呼ばれる現象がみられている。この成功の要因としては、法人税率引き下げと同時に課税ベースの拡大を行ったことや法人なりのインセンティブが働き会社数が増加したこと、さらには企業収益が増えて税収が増えたことなどが挙げられている。

 また、EU域内を個別にみても、実効税率がEU平均以下の国とEU平均以上の国の実質GDP成長率を比較すると、実効税率が平均より低い国の実質GDPの伸び率は、高い国より1%程度高くなっている。

 一方、日本企業はアジアの税制面での魅力に引き付けられるように海外展開を加速させてきた。例えば、タイでは地域統括会社の認定を受ければ法人税率30%を10%に軽減できる。また、スイスでも地域統括会社の法人税率21.17%について5年間5−10%の軽減税率が受けられる。さらに中国では、25%の法人税率が適格ハイテク企業の場合に15%に軽減されることになっている。

●「日本企業の好調」ノットイコール「日本経済の好調」

 技術立国の日本は、これまで国内で研究開発し、その技術を製品輸出に活かすだけでなく、同時に海外企業から特許料やロイヤリティを受け取る収益モデルに転換してきた。一方、税制面の立ち遅れや規制強化により日本企業の活力が損なわれてきた。さらに、デフレが長引く中で、日本企業は含み資産経営から脱却すると同時に、利益拡大を優先するスタンスに転じ、人件費の抑制を続けてきた。こうした企業行動の変化も内需の抑制要因となってきた。

 背景には、安価な労働力を大量に供給する新興国企業との競争激化により、世界的に人件費の低下圧力がかかってきたことがある。このため、相対的に賃金水準の高い先進国企業は、海外に現地法人を設立するかたちで海外進出を行い、国内での雇用者所得が失われてきた。

 つまり、日本企業が好調であるからといって、日本経済まで好調であるとは限らなくなっており、日本経済と日本企業はもはや別物になりつつあるといえる。人口の減少と経済のグローバル化により、日本企業は経営のグローバル化を進め、さらに日本経済から乖離していく可能性が高い。

(文=永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部主席エコノミスト)


 

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コメント
 
01. 2015年5月09日 09:52:16 : jXbiWWJBCA

>日本経済と日本企業はもはや別物になりつつある

自由貿易(グローバル経済の進展)の恩恵を蒙ってきた国では、大体、同じ。

特に先進国では相対的に生産性が低い一般労働者にとって損失が大きいため

グローバル化のデメリット(国内格差拡大)による政治的な不安定化により、

反グローバル化(規制強化、課税強化)が進みつつある。

結果として、世界全体としての経済成長と格差縮小の動き(新興国や途上国の経済発展)は減速することになるだろう。

ただ自国の既得権者の利益を優先し、企業への過大な課税や規制を行う国は、歴史的に見て、自由貿易の恩恵を失うので、最終的にはは貧しくなる。

フランス政府のルノーへの規制(日産の株主権利を半分)などが、その典型だろう。



02. 2015年5月09日 15:36:05 : 2QBqDKD7DU
企業には経営主体があり、必ずしも資本・株主に依存するとは限らない。したがって、法人税率が高いことと、製造業の空洞化や技術開発力の低下とは関わりが少ない。むしろ、労働分配率の低いことが生活向上への道筋を失い、高度な社会の創造を阻んでいるとも言える。ものの製造だけが、豊かな社会を作るのではない、豊かな生活のための多くの手段や関連品を生み出して普及させることが豊かな社会へと繋がっていくのであろう。とりわけ、生活時間の確保と多用なサービスの活用は密接に繋がっており、労働時間を安易に長くさせていると、総合的に貧しいサービス社会になってしまう。要は、日本経済と乖離しないような企業群の成長を促進することであろう。

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