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命も「爆買い」? 訪日医療ツアーに殺到する中国人と、中国国内の悲惨な医療事情 中島 恵(ジャーナリスト)
http://www.asyura2.com/15/hasan96/msg/367.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 5 月 11 日 13:48:06: igsppGRN/E9PQ
 

命も「爆買い」? 訪日医療ツアーに殺到する中国人と、中国国内の悲惨な医療事情 中島 恵(ジャーナリスト)
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20150511-00043252-biz_gendai-nb&ref=rank
現代ビジネス 2015/5/11 07:21 中島 恵


■中国人富裕層が押し寄せる「訪日医療ツアー」


 「日本のしっかりした病院でちゃんと検査してもらえて、どこも悪くないとわかってホッとしました。これで安心して北京に帰れますよ。あと2〜3日、温泉にでも行ってゆっくりすればよかったかな」


 北京で事業を営む50代の裕福な夫婦は、すっきりとした表情でこう話す。日常の激務に加え、PM2.5(微小粒子状物質)の影響で、最近咳き込むことが増えてきたような気がして心配していたが、とくに問題がないことが判明し、晴れやかな表情で帰国した。


 昨今、中国人観光客による「爆買い」が注目を集めているが、この夫婦のように、ショッピング目的ではなく、健康診断のためにわざわざ日本の医療機関にやってくる中国人富裕層が急増している。


 旅行会社ビッグホリデーインターナショナルのホームページを見ると、「PET/CT検査と東京の休日4日間」という中国人向けのツアーが目に留まる。


 詳細を見ると、1日目、成田空港(または羽田)に到着後、中国語ガイドが出迎えて専用車でホテルへ。医療コーディネーターがホテルを訪問し、検査の流れなどを説明し、夕食にご案内。2日目、午前中に日本医科大学検診医療センターへ移動。全身PET-CT検査、頭部MRI、腫瘍マーカー、血液検査、脳検査を実施(4〜5時間)。検査の間、医療通訳士が言語面でサポートする。午後は都内観光(浅草見物や銀座でショッピングなど)。3日目、フリータイム。4日目、中国語ガイドが専用車で見送り、帰国というスケジュールだ。


 これは夫婦2人で参加した場合の参考プラン。同社によると、現時点は体制の事情で同ツアーを休止しているというが、中国語ガイドや医療コーディネーターが専属で付き添うので言葉の壁がなく、全身を丁寧にチェックしてくれるという充実した内容は魅力的だ。


 日本旅行も09年から「訪日医療検診ツアー」を実施している。PET検診だけなら1泊2日からあり、観光もセットにした4〜5日のツアーの人気があるという。料金は検診内容によって幅があるが、平均的なツアー代金は100万円ほどだという。


 また、ツアーではなく、在日中国人の友人を頼ったり、知人から紹介されたりする形で、直接日本の医療機関に申し込みをする中国人もいる。


 千葉県鴨川市に本拠を置く亀田総合病院は、その先駆け的な存在だ。同病院には中国事業統括室という専門の部署があり、中国人医師、中国人看護師などが常駐。専属スタッフによる手厚いサポートで知られる。昨年は115人、今年は1〜3月までにすでに59人が受診しており、受診後のアンケートでも96%以上が「満足」と答えたという。受診者は40代が中心だが、上は80代もいる。PET-CT、大腸内視鏡など中国では受けられない検査が人気だ。


■日本の高度な医療サービスに着目



北京の病院にて (筆者撮影)


 今後、中国人富裕層をターゲットにした医療ツーリズムはますます増加することが予想される。


 それはそうだろう。中国からの観光客数は、2014年に241万人と過去最高を記録した。今年は1〜3月だけですでに約92万人が来日し、「爆買い」という流行語も生まれた。前年比でも95%という驚くべきペースで推移している。


 観光庁が4月末に発表した訪日外国人消費動向調査によると、1〜3月期に中国人が消費した金額は2,775億円にのぼり、全体の約4割を占めている。彼らの旺盛な消費意欲には驚くばかりだが、そのおカネを日本の医療のほうにも落としてくれれば、と願う人々が出てくるのは当然の流れだろう。


 むろん、当の中国人も、日本の高度な医療サービスに着目している。今、中国人が日本で「爆買い」しているのは主に医薬品、化粧品、温水洗浄便座、家電製品などだが、なぜそれらを求めるのかといえば、中国で売られている商品では日本製品と同等の品質やスペックが得られないからだ。それどころか、中国で同様のものを買えばもっと高額になる上に品質も劣る。彼らにはそんな不満があるのだ。


 不満はモノに対してだけではない。拙著『なぜ中国人は日本のトイレの虜になるのか?』(中公新書ラクレ)でも詳しく紹介しているが、彼らの不満はもっと根本的なところ、中国で送る 日々の暮らし にこそある。


 中国国内では、とくに住居や医療の面で不自由を強いられることが非常に多い。北京や上海などでは、都心の好立地(東京でいえば山手線の内側やその周辺)でマンションを買おうとすると、2億円出してもまだ足りないほどに不動産価格が高騰している。医療も同様だ。中国人が最も恐れるのは病気にかかることだと言われているが、北京や上海の病院に行ってみると一目瞭然、すぐにその気持ちが理解できる。


■中国のお粗末な病院事情


 筆者も実際に、北京市内のある有名病院を訪れてみた。問診部と書かれた正面玄関前に到着すると、そこには段ボールやビニールシートのようなものが敷き詰められており、荷物に座る人々が大勢いる(※写真)。病院関係者に聞いてみると、はるばる地方からやってきたのに順番が回ってこなくて診察室に入れない人や、入院患者の家族などだという。中国の病院も完全看護なので、付き添いの家族は宿泊できない決まりなのだが、それにしても、玄関先の床に寝泊まりするとは・・・。


 診察室のドアは常に開けっぱなしだ。室内には患者と医師だけでなく、順番を抜かされないようにと見張っている次の患者と家族がいて、みんなで医師を取り囲み、その言動を見守っている。医師の言葉に固唾をのみ、患者の家族が録音することもあるそうだ。筆者が見た病室は4人部屋だったが、仕切りのカーテンは開けっ放し。その理由は「自分が他の患者と同じように、きちんと治療してもらえているか」を確認するためだという。


 治療はすべて「前払い制」だ。まず総合受付で受付料(20〜30元)を支払い、各診療科に移るのだが、その際に医師を指名することができる。有名な医師に診てもらうためには、順番待ちの長い列に並ばなければならない上に、治療費も高額となる。順番待ちのために、家族総出で病院に行くことも・・・。出産が近い妊婦であっても、炎天下に外で列に並ぶなどということは、中国では日常茶飯事だ。治療費は、戸籍(都市戸籍か農村戸籍か)や病状によって負担額の割合が異なるので一概にはいえないが、決して安くはない。


 今から3年ほど前、筆者の中国人の友人の夫が膵炎で緊急入院したが、夜中なので現金の持ち合わせがなく、「病室にいるのに、苦しんでいる夫の治療をすぐにしてもらえなかった」と嘆いていた。その後、半年ほど入退院を繰り返し、日本円にして数百万円もの大金を支払ったという。前払いのシステムは、治療費を払えず、踏み倒して逃げてしまう患者がいるから仕方のない制度とはいえ、たった湿布1枚貼るだけでも、前払いしなければ医師も看護師も動かないというやり方には首をかしげたくなる。


 同病院の最上階には「特別室」があり、筆者はそこも見せてもらった。看板は掲げていないものの一応「富裕層向け」なのだという。だが、廊下に並んだソファには穴が開き、スポンジがむき出しになっていた。患者用のシャワー室なども設置されておらず、カーテンもボロボロ。「これが本当に富裕層向けのフロアなのか?」と目を疑いたくなるほどだった。


 首都北京の大病院でさえこの有り様なのだ。


 このような中国のお粗末な病院事情を見るにつけ、中国人が「病気になることが何よりも怖い」と恐れる気持ちもわかるし、富裕層が中国国内ではまともな治療を受けられないと考え、「同じ高額な治療費を払うのなら最も近い先進国の日本で、安心・安全な治療をしてほしい」と思うのも無理はない。訪日医療ツアーに参加すれば、空港への送迎から病院での検査まで、一貫して中国語で丁寧に対応してくれて、検査結果も信頼に足るものだからだ。


 来日した中国人たちは日本各地を旅行して歩いているとき、「あ〜、このおいしい空気も缶に詰めて中国に持って帰りたい!」とよく叫ぶ。日本人にとっては「当たり前」のことが、GDP世界第2位の中国ではまだ珍しい。その最たるものが、医療という人間にとって最も大事な、命にかかわる分野なのである。


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中島 恵 (なかじま・けい)
ジャーナリスト。1967年、山梨県生まれ。1990年、日刊工業新聞社に入社。国際部でアジア、中国担当。トウ小平氏の娘、呉儀・元副総理などにインタビュー。退職後、香港中文大学に留学。1996年より、中国、台湾、香港、東南アジアのビジネス事情、社会事情などを執筆している。
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 著者: 中島 恵
『なぜ中国人は日本のトイレの虜になるのか?』
(中公新書ラクレ、税込み864円)
春節(中国の旧正月)にどっと押し寄せ「爆買い」パワーを見せつけた中国人。なかでも売れに売れたのが温水洗浄便座。なぜ彼らは日本製の高級便座に殺到し、買い求めていったのか? 


 

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