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株価は高いのか安いのか、日銀は見解を説明すべきだ(ダイヤモンド・オンライン)
http://www.asyura2.com/15/hasan96/msg/422.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 5 月 13 日 00:06:05: igsppGRN/E9PQ
 

                株価は今や、国民にとっても日銀にとっても重要な問題だ


株価は高いのか安いのか、日銀は見解を説明すべきだ
http://diamond.jp/articles/-/71375
2015年5月13日 山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員] ダイヤモンド・オンライン


■注視はしてもコメントはしない 株価水準は日銀のタブーか?

 日本銀行は、日本の株価水準について、長らく公式にはコメントせずにきた。

 筆者の記憶を辿ると、いわゆる80年代バブルの立ち上がりの時期である1986年頃に、急騰する株価に対して当時の日銀総裁がやや警戒的なコメントをしたところ、特に証券界から、「株式に関して素人である日銀が株価に口を出すのは余計である」といったニュアンスの批判を受けた。

 証券界としては、せっかく株価が上昇して商売が順調なのに、水を差すとはけしからん、という気分であった。投資家も批判に同調的だったし、当時の大手証券会社は政治家に対する影響力が今よりも大きかったので、政界もこの件に関しては日銀に冷たかった。

 これ以降、日銀は、経済の重要な一部として株式市場を注視しているとしながらも、株価水準に関するコメントは公式には行わないという方針を旨としてきたように見える。

 80年代バブル時の推移で言うと、1988年から1989年にかけて日本株価水準は正当化できるかといった議論が起こったときにも、日銀はそこからは距離を取ったままだった。日銀の金融研究所の研究員が研究レポート等で株価に言及する場合もあったように記憶するが、その内容は日銀の公式なコメントではなく研究員個人の見解であることが慎重に注記されてきた。

 株価水準へのコメントは日銀にとって一種の「タブー」であった。

■アベノミクスで株価はタブーから政策手段になった

 しかし、アベノミクスによって時代は変わった。

 2012年末に民主党から自民党の安倍政権への政権交代があり、次期日銀総裁に黒田東彦氏が指名され、13年4月には「黒田バズーカ」とも呼ばれた大規模な金融緩和政策が発表・実施された。

 この記者会見の質疑応答の中で、金融緩和政策の一環としてETF(上場型投資信託)を買う理由を問われた黒田総裁は「株式のリスクプレミアムにはまだまだ縮小の余地がある」と答えた。

 リスクプレミアムとは、投資家が将来の利益を現在の価値(=株価)に評価する際に、リスクを負担するにあたって追加的に要求する利回りを指す概念だ。将来の企業利益を一定として、金利も一定であるとした場合、リスクプレミアムが縮小すると株価は上昇し、逆に、リスクプレミアムが拡大すると株価は下落するという関係になる。

 黒田総裁の発言を、主語を「株価」にして金融論的に言い換えると、「日本の株価は、利益の増加や金利の低下といったことがなくとも、現状のままでもっともっと高くていいはずだ」とでも言ったのと同じ意味だ。

 この発言は、それまでの日銀の方針からして大きな転換であった。しかし、会見の場にいた記者達はその意味に気づかなかったのだろう。

「今、総裁が言及された日本株のリスクプレミアムについては、具体的にどれくらいと推定されていますか?」とか、「リスクプレミアムが適正になる株価をどのくらいとお考えでしょうか?」とか、「日本株にあって適正なリスクプレミアム水準はいくらぐらいで、それは日経平均で言うならどれくらいの株価になりますか?」といった追加の質問がなかったのは大変残念だった。

 加えて日銀は、ETFを通じて株式を買っている。GPIF(年金積立金管理運用特別行政法人)の影に隠れて目立たないが、年間3兆円とは相当なペースだ。株価は金融政策の手段の一つにもなった。

■「米株価は要警戒」と発言したイエレン議長の勇気と誠意

 さて、先週水曜日の5月6日、米国FRBのイエレン議長は、IMFのラガルド専務理事との対談形式の講演で、米国の株価について「バリュエーションが高い」ことを警戒していると発言した。

 この発言は、その直後に株価の下落をもたらしたが、米株価は、週末には良好な雇用統計データの発表に反応して大きく戻った。

 S&P500のPER(株価収益率)で、歴史的に高水準の目処とされる20倍を上回っている現在の米株価の水準が割高ゾーンにあることに、常識的には頷ける。とはいえ、中央銀行トップの立場を考えると、これは勇気のある発言だ。日銀では、四半世紀以上にわたって黒田総裁以前の総裁にはできなかった種類のものだ。

 推測するに、これは、影響と効果を相当に計算した上でなされた、周到な準備に基づく発言だろう。

 発言の直接的な効果が株価に対してネガティブであることは疑いないが、他方、背景には「株価が高騰しすぎない方が、金融緩和を長く引っ張ることができる」という金融緩和継続への意思が感じられた。株式市場が最も恐れているイベントは、FRBによる利上げの開始とその影響なので、イエレン発言は、株式の投資家にとって、総合的に見てそう悪いものではなかった。

 だからこそ、週末に発表された米雇用統計の好調に、株価は素直に反応することができたのだと考えられる。

 効果と影響を考えると、イエレン氏の発言は、株式市場及び米経済に対して、FRBの政策のオプションを幅広く確保しながら、懸念される株価上昇のスピード調整を行う点で、なかなか巧妙なコミュニケーションであった。

 同時に、頭が熱くなりがちな株式投資家に対しては、「株価水準は必ずしも安くないのだから、気をつけなさい」というメッセージを届けたのだから親切だ。かつてのグリーンスパン元議長のように、「バブルは、はじけてみるまで、そうとは分からないものだ」と開き直るよりは、何倍も誠実だ。

■いくらから株価は高いと思うのか 高くてもETFを買い続けるのか?

 さて、日経平均はいったん2万円をつけて現在1万9000円台で推移している。あるべき株価は前提条件の少しの違いで大きく変わるものではあるが、「リスクプレミアムに縮小の余地がある(=株価は割安である)」と黒田総裁が述べた13年4月時点の日経平均で、1万2000円台の水準を割安と判断したことに違和感はない(発言には驚いたが)。

 現在の企業収益(日経予想)に対して日経平均2万円でのPERは約18倍だ。米国などで経験的に高値圏とされる20倍にはまだ届いていないので、「割高」と断じるほどの水準ではないが、日銀が国債を大量に買い入れていることで低下している長期金利が、将来自然な水準に戻ることを想定すると、必ずしも安いとは言えない。

 そろそろ株価に対する日銀の考え方を説明すべき時期ではないか。株価は、「まだ買ってもいいほど安い」のか、あるいは「もう高いので日銀は将来損をするかもしれないが、それでも買う」のか、株価水準に対して日銀がどう考えているのかは、日銀自身の説明を要する重要な問題だ。

 仮に、株価が高くて、日銀が将来損をする可能性があるとしても、現在株式を買うことが正しいと日銀が考えている可能性もあるが、その場合でも、損が出る前に考え方を整理しておく必要があるだろう。

 株価水準に対する言及は、市場参加者の利害が絡むし、日銀といえども将来の株価予測を正確にできる訳ではないから、コメントしたくない気持ちも分からなくはない。しかし、国民にとっても、日銀自身にとっても重要な問題なのだから堂々と議論する方がいい。

 その場合株価について、「はっきり分かる事」と「よく分からない事」をわけて、さらに「よく分からなくても決めなければならない事」について、率直に説明し、広く議論に応じるべきだろう。「よく分からない事」については、はっきりと「分かりません」と答えるのでも構わない。

 証券界や株式投資家など、日銀が日頃議論を交わす相手とは趣の異なる相手から、質問や批判・反論などが殺到するかもしれないが、日銀にとっても国民にとっても、いい議論になるのではないだろうか。

「株価にはコメントしないでおこう」という従来の腰抜け日銀に戻って、だんまりを決め込むべきではない。

 

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コメント
 
01. 2015年5月13日 08:04:05 : jXbiWWJBCA
FRB議長、米国株と物価の関係見落とす−さほど割高感ない
2015/05/12 14:04 JST 
 
  (ブルームバーグ):イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長は先週、株式市場のバリュエーション(株価評価)が「かなり高い」と言及したが、インフレ調整後でみると株価は議長が示唆するほど割高ではない。S&PキャピタルIQの米国株ストラテジスト、サム・ストーバル氏が指摘した。
添付のチャートは米労働省が集計する消費者物価指数(CPI)上昇率を5つに区分けし、それぞれの物価区分について1948年以降のS&P500種株価指数の株価収益率(PER)の平均を示した。このチャートはストーバル氏が11日付のリポートで引用した四半期ごとのデータに基づくもので、収益は一般会計原則(GAAP)ベース。
先週末時点で、S&P500種株価指数のGAAPベースのPERは21.3倍だった。これは、前年比上昇率1.5%未満の物価区分のPER平均(22.5倍)を下回る。3月のCPIは前年同月比0.1%低下だった。
ストーバル氏はリポートで「インフレを考慮すると、PERにそれほど割高感はない」と説明した。
原題:Yellen Misses Inflation Link in Calling U.S. Stocks ‘Quite High’(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ニューヨーク David Wilson dwilson@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Chris Nagi chrisnagi@bloomberg.net Jeremy Herron, Michael P. Regan
更新日時: 2015/05/12 14:04 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NO7YCH6JIJUW01.html

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