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色褪せてきた成長戦略・国家戦略特区を問う ――熊野英生・第一生命経済研究所 経済調査部 首席エコノミスト
http://www.asyura2.com/15/hasan96/msg/424.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 5 月 13 日 00:23:25: igsppGRN/E9PQ
 

改革を加速する突破口である「国家戦略特区」の運用状況は、どうなっているのか Photo:yayoicho-Fotolia.com


色褪せてきた成長戦略・国家戦略特区を問う――熊野英生・第一生命経済研究所 経済調査部 首席エコノミスト
http://diamond.jp/articles/-/71381
2015年5月13日 熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト],森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト],高田 創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト] ダイヤモンド・オンライン


 毎年6月になると「日本再興戦略」が更新され、安倍政権の成長戦略が描き直される。期待する部分もあるが、成長戦略と聞いて当初抱いていた期待感の大きさと比べると、かなり色褪せてしまった感は否めない。

 そこで、改革を加速する突破口と位置づけられてきた「国家戦略特区」の運用状況について、振り返っておくことにしたい。

 まず、国家戦略特区の意義については、今すぐに全国展開が難しい規制緩和であっても、指定された地域で野心的に規制緩和を行って、それを全国展開する突破口にしようと説明されていた。事実、関係者たちは、国家戦略特区とそれまでの特区との違いは何かと問われて、地域色を前面に押し出した従来型特区とは一線を画すると発言していた。

 手続きとしては、2014年5月に東京圏、関西圏など6地域を区域指定した後、具体的な区域計画を順次決定している。たとえば、東京圏における計画の内容に、都市再生特別措置法の特例、保険外併用診療の特例、病床規制の特例などがある。

 ただし、そうした特例に沿って事業者が計画を実行した場合、事業が進んでから成果が見えるまでには相当の時間がかかる。事例によっては、その成果を広い範囲の国民が実感しにくいものもある。国家戦略特区の中身が、即効性を実感しにくいプランで構成されていたことが、実感の伝わりにくい理由と考えられる。

■規制緩和にある不確実性

 そもそも成長戦略という言葉には、多分に希望的観測が隠れていて、過大評価されやすかった。政府が旗を振れば、単純明快に経済成長率を押し上げられるような妙薬は存在しなかったのだろう。

 むしろ成長戦略とは、成功するか失敗するかがわからない規制緩和の束(パッケージ)である。だからこそ、実行してみなければ成果を確認することができなかった。成功は確率的にしか生まれないと、理解すべきだった。

 筆者の認識では、規制緩和は企業が行うイノベーションと密接な関係があると考える。たとえば、企業が新しい技術を導入して新事業を立ち上げようとすると、従来技術の前提の上にできていた規制が、新事業の展開を邪魔してしまうことがある。規制緩和の重要性とは、ルールを変えることで、歯止めのかかっていたイノベーションの芽をうまく育てて、大きく実らせることに他ならない。

 規制緩和がイノベーションと関連するものだと理解すれば、イノベーションを導くヒントは考えやすい。イノベーションを起こす確率を上げるには、失敗事例に学び、何をすべきではないかという経験値を頭に入れながら、先々の取組みでは失敗の教訓を活かすことが肝要だ。私たちは成功するイノベーションを正確に言い当てることができないが、失敗しそうな事例を言い当てることはある程度はできる。だから、過去の失敗事例を洗い出し、失敗確率を減らす(=成功確率を上げる)以外に有効な手立てはない。

■目標設定とのずれ

 次に、国家戦略特区の運用状況を、東京圏を例にとって見てみよう。特区の中で、東京圏は「国際ビジネスの拠点」として、「世界銀行ビジネス環境ランキング」において2020年には先進国中3位を目指す成果目標(KPI)を立てている。定性的には、「世界で一番企業が活動しやすいビジネス環境」をつくることを標榜している。

 今のところ、2015年時点での日本のランキングは29位、先進国中では22位である。それに関して、世界銀行のビジネス環境ランキングで日本の順位が低い理由を調べてみると、@開業、A建設認可取得、B不動産登記、C資金調達、といった項目で優位性が乏しいことが挙げられていた。

 こうして見ると「世界で一番企業が活動しやすいビジネス環境」をつくるためのアプローチはわかりやすい。新規事業者などが、開業、建設認可取得、不動産登記、資金調達、といった行動をすることが容易になるようにビジネス環境を改善すればよいのだ。このことは、日本企業だけではなく、海外企業にとっての利便性を追求することになる。対日直接投資を増やすという目標にも貢献できる。

 一方、現時点での国家戦略特区の運用は、世界銀行のビジネス環境ランキングの向上のために必要とされる対応策との間に、いくらかズレがあるように見える。岩盤規制を見直しだけでなく、ビジネス開始を容易にする制度改善が求められる。

■政策意図とのずれ

 国家戦略特区の運営に関して、当初は地域色を前面に押し出した従来型特区とは一線を画する方針だったが、それも2014年中盤くらいから変容してきたと感じられる。それは、地方には景気拡大の恩恵が乏しいという声が大きくなったり、2015年4月の統一地方選挙が近づいて、政治的指向が地方重視に傾いて行ったという事情があるからだろう。

 2014年11月に地方創生特区という枠組みが設けられることが、選挙公約として決まった。筆者は人口減少問題は極めて重要な課題だと認識しているが、国家戦略特区の枠組みを地方創生の目的と混同させることはあまり賛成しない。当初、特区の役割は、今すぐに全国展開が難しい規制緩和であっても特区で実験的に規制緩和を行い、それを全国展開につなげていくと言っていたのに、最近はいくらかズレが生じている。

 背景にあるのは、指定された6地域の国家戦略特区での成果が速やかに実感しにくかったために、特区の枠組みを地域振興のために用いたいという政治的願望の方が優先されてしまったという事情かもしれない。

 最後に、国家戦略特区で先進的に規制緩和に取り組むというアイデアが、完全に停滞しているのかというと、筆者は必ずしもそうではないという期待を持っている。国家戦略特区ワーキンググループが、応募に応じてきた提案をヒアリングした結果の内容を見ると、いくつも有望そうな内容を見つけることができる。

 その中から複数の提案をもっと積極的に登用すれば、試行錯誤の実施件数を増やすことは可能なように思える。

 斬新なアイデアを、もっと柔軟に受入れれば、イノベーションの鉱脈を掘り当てることができそうだ。


 

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