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ドイツ人が午後5時で仕事を終える理由 独ローランド・ベルガー創業者、ローランド・ベルガー氏に聞く
http://www.asyura2.com/15/hasan96/msg/586.html
投稿者 rei 日時 2015 年 5 月 18 日 07:24:03: tW6yLih8JvEfw
 

ドイツ人が午後5時で仕事を終える理由

独ローランド・ベルガー創業者、ローランド・ベルガー氏に聞く

2015年5月18日(月)  広野 彩子

日本では今後、人口減少が急速に進んでいく。少子高齢・人口減少社会の中、不採算事業に配分している資源を成長分野に移し替え、個々人の生産性を高め、かつすべての働く者が家庭の責務を果たせるような仕組みづくりが急務だ。一足先に働き方改革が進められたドイツでは、優秀な職業人ほど午後5時に仕事を終えるという話も聞く。そうした社会のムードは、どのようにしてつくられていったのか。ドイツの戦略コンサルティング会社、ローランド・ベルガーの創業者、ローランド・ベルガー氏に聞いた。(聞き手は広野彩子)
ベルガーさんは定期的に来日しています。今回の来日で面談した日本の経営者の景況感はどうでしたか。

ベルガー:今回は大企業の幹部5人ほどとお会いしましたが、景況感はよかったです。少なくともいずれの企業も増収増益でした。ただ、多くはアベノミクスによる円安のおかげです。

株価も一時、2000年以来の最高値を記録しました。

ベルガー:訪問した会社はいずれも好業績でしたが、もし構造的な固定コストがかさまなければ、売り上げはさらに上昇し、利益も大幅に増えていたことでしょう。それもあって楽観ムードだったのでしょう。

改革すれば、日本社会はもっと柔軟に

 しかし忘れてならないのは、為替相場が1ドル=ゼロ円まで下がることはないということです。本当の構造改革が始まれば、多くの伝統的なビジネスに影響し、厳しい改革が必要となり、祭りが終わることでしょう。


ローランド・ベルガー(Roland Berger)氏
独ローランド・ベルガー創業者・名誉会長。米系コンサルティング会社のパートナーを経て1967年にドイツでローランド・ベルガーを創立。2003年から同社会長、2010年から現職。独ルードビッヒマクシミリアン経営大学院でMBA(経営学修士)取得。欧州委員会や域内国家における政府専門委員などを歴任。(写真=陶山勉、以下同)
企業には厳しい構造改革が必要ということですか。

ベルガー:構造改革が断行されれば、日本の社会構造はもっと柔軟になります。まず、自動車業界を除く多くの日本企業は、今でも事業を多角化し過ぎています。

 多角化で始めた事業の多くが、低収益です。きちんと低収益なビジネスを畳んで、中核的なビジネスに集中すべきでしょう。まずは「自社の要は何か」を再定義することです。成長が見込め、収益性が高く、かつ企業文化や企業体質になじみ、これまでのノウハウが生かせ、市場で強みを発揮できるものは、何か。

 不採算事業を完全にやめることができないのなら、少なくとも休止にすべきです。何らかの行動を起こさなければなりません。不採算事業に補助金を与え続けるわけにはいかないのです。

 日本企業は伝統的に、環境の変化に応じた思い切った事業リストラや経営の方向転換に不慣れですし、従業員の雇用を守ることを大切にする傾向があります。余剰人員が生まれて米国企業なら解雇で調整する場面であっても、日本企業は雇用整理を避けることが多い。

 雇用整理までいかなくとも、長く勤め続けた余剰人員に対して厳しい対処をすること自体が、日本人の気質には合わないかもしれません。日本のマネジメントスタイルは米国とは違いますからね。日本人にとって、従業員に厳しい処遇をすることは、政治的にも正しくないと思えるのかもしれません。

 しかし、ビジネスはビジネスです。無理に自分たちが目の前の同僚の雇用を守らなくても、もっと高収益な企業や事業に転じた方が、最終的には該当する従業員にとっても幸せかもしれない。

リストラについて、現実にはいろいろ厳しい事例もあるようですが、おおむね日本の経営者は、余剰人員に対して気を遣い過ぎるということですか。

ベルガー:それだけではなく、伝統やしきたりにこだわり過ぎます。ここで私が言う伝統というのは、例えば「我々は、造船業界で一番古い企業で、かつては最も強い企業だった、だから造船をやめるべきではない」というような、脈々と受け継がれてきた会社の価値観のことです。

経営者がどうしても、過去の歴史や経験に捉われた判断をしてしまうということですね。それは働き方についても同じかもしれません。少子高齢化が進む日本では、仕事と家庭の最適なバランスを取るための働き方改革が進んでいます。政府や企業が残業代の仕組みを変えたり、様々なインセンティブを与えたりすることで改革しようとしていますが、現場はなかなか変わりません。ドイツ人の経営学者に話を聞くと、仕事のできるドイツ人は午後5時に帰宅すると聞きましたが、これは本当でしょうか。

より長く働き、より成果は少ない日本人

ベルガー:その通りです。日本人の平均労働時間は、1700時間だと思いますが、ドイツ人は1350時間程度です。日本人は400時間以上長く働いているわけです。問題は、日本人の労働者が長く働いた分も、生産性が高いのか? ということです。働く時間が長い分、見合う分の付加価値を増やし、経済価値を増やしているのか? それが、きちんと金銭的に報われているのか? ということです。答えは単純にNoです。

 統計データが正しければ、日本の労働1時間当たりGDP(国内総生産)について、米国を100としたら、62.5にしかならない。ドイツは91です。これはとてつもない違いです。日本人はより長く働いているのに、成果はより少ない。生産性が著しく低い。

働く時間が長い分だけの付加価値すら、もたらしていないと。

ベルガー:もちろん、日本人もドイツ人も知性ある国民で、やる気もあり、質の高い教育を受け、職業人として鍛えられている。日本人が自問すべきなのは、この国では仕事に対する「ひたむきさ」が、やや過大に評価されているのではないか? ということです。働く姿勢や企業倫理など、企業がよしとしている内容は、本当に人の「人生」にやさしいのでしょうか。働く人の家族にとって、いいのでしょうか。

 そのことを一緒に考えるため、「家庭と職業」という、当社が以前かかわったアクションプランについてお話しましょう。この調査はドイツの財団数カ所と、ドイツ版経団連ともいえる、業界団体のスポンサーの支援で実施しました。

 この調査を受け、ドイツの首相と連邦大統領の双方が、15〜20年ほど前から、従業員、とりわけ女性にとって家庭の仕事と会社の仕事が両立しやすい働き方の仕組みを作った企業を表彰しています。例えば、夜に10時間もダラダラ会議をしない、夕方5時以降に8時まで続くような会議を開かない、などといったことも含みます。


 遅く始まる会議のせいで女性の帰宅が遅くなり、家族と時間を過ごせないわけですが、それは男性にとっても同じことです。子供の教育に責任があるのは母親だけでなく、父親にも責任があります。企業はそうした、従業員の家庭における重要な責務を全うさせるために、知恵を出すべきです。

 働いている間も子供が安心して過ごせるよう、きちんとしたケアを受けられるようにすべきです。従業員が働いている間、会社が子供の勉強の面倒を見たっていいぐらいだと思います。

 ドイツの労働環境は過去20年で、所帯持ちがどんどん働きやすいものになりました。当社の調査は、ドイツ企業の変化を後押ししたと自負しています。ファミリーフレンドリーだと見なされた企業は、いまや最も優秀な従業員を雇うことができますし、労働者も、会社の責務と家庭の責務の双方を組み合わせて実行したいと思うようになります。家族を持つことも、社会人としての大切な責務だからです。

 男性が妻の面倒を見なければならないように、妻も夫の面倒を見なければいけません。そして2人は力を合わせて、自分たちの子供の面倒を見なければいけません。子供が少ないために人口問題を抱える国で活動している企業ならばなおさら、すべての従業員が家庭における重要な責務を果たしやすいよう、働き方や仕組みを改善することを考えないと、もう相当まずい段階にあると思います。

子供がいることは、誇らしいこと

ドイツでも、人口減少と少子化は問題ですね。

ベルガー:もちろん大問題になっています。数字としては日本と同じぐらい悪い。欧州で合計特殊出生率が2人を超えているのはフランスだけですからね。子供がいる家族が有利になる税制があるからうまくいっているのです。子供が増えれば増えるほど、税金が安くなる仕組みです。

 3歳以降の子供であれば誰でも入れるチャイルドケア施設がありますし、他の欧州各国よりはるかに先を行っています。

 仕事の仕方も女性にとってやりやすい。フランスは、少子化がもたらす問題を最も早く理解した国で、それに対する対応策を真っ先に取った国です。フランスでは子供を複数持つことは、米国同様、社会の中で誇らしいことと見なされています。

フランスは19世紀に一度、少子化による人口停滞と格差拡大を経験して歴史に学んでいますからね。ちなみに、フランスの生産性はどうなんでしょうか。

ベルガー:先ほどと同じ指標でいくと、ドイツに近い90です。悪くないですね。

日本はフランスよりも生産性が低い。

ベルガー:今の数字は企業業績とは何も関係がない、GDPを使った指標です。

常々言われていることではありますが、日本の生産性はなぜ、そんなに低く、何度指摘されても変わらないのでしょう。

ベルガー:日本には長い間、会社に長時間いて働くのがカッコイイと見なすようなムードというか、その方が正しいと言うような社会的な慣習があったのでしょう。同じ作業が自宅でもできるにもかかわらず、です。

 将来的にはすべての通信手段や電子機器をフル活用して、オフィスで全く時間を過ごさなくてよくなるかもしれません。そのおかげで、妻や子供たちともっと簡単にコミュニケーションが取れるようになるかもしれません。これは企業にとっても政府にとっても個人にとっても、プラスです。

ところで、ベルガーさんご自身の働き方はどうだったのですか。

ベルガー:私は戦前の人間ですので、あまりいい例にはならないでしょう(苦笑)。そもそも時代背景と環境が違います。私が育った時代は、ドイツの人々は週に100時間働いていました。まずは基本的な市民生活を成り立たせなければいけなかったからです。

 今のドイツには4つの世代がいます。第一世代は、戦中世代です。働くことがすべてで、必需品を手に入れるために働きました。家や、服や、食糧、それから初めてのクルマ、などを手に入れるためです。

 次の世代はいわゆるベビーブーマーです。1955年から65年の間に生まれた、とても楽天的な世代です。将来に対しても楽天的でした。なんでも合意がすべて、成長がすべてという価値観でした。自分自身が成長すること、経済が成長すること、会社が成長することを求め、豊かになり、幸せになり、大量のモノに囲まれることを求めました。

 次の世代が、ドイツの「ジェネレーションX」で、1965年から80年代に生まれた人たちです。もちろん、この世代の人たちも成果と働く喜びを結び付けようとしています。しかしもう少し考え方が多様で、もう少しグローバルです。経済だけに関心があるわけではなく、文化、芸術、音楽にも関心があります。いわゆる反権力の世代でもありますね。

トップダウンより協調型を好むジェネレーションX

ベルガー:この世代は個人の自己責任や自尊心、自立心を尊重します。また、新しい技術や創造的なものが好きな世代です。単なるトップダウンのマネジメントではなく、協調的なマネジメントスタイルを好みます。

 そして、それ以降の世代をジェネレーションYといいます。1980年から2000年に生まれた人たちです。彼らにとって、仕事は目的があってするものです。もちろん、目的の1つは良い暮らしをすることなのですが、彼らには社会的な目的も必要なのです。

 仕事を通じて社会的責任を果たすことが重要です。例えば、環境問題の解決などがそうでしょう。また、自分自身の責任と同時に自身の身の安全にも気を遣います。安全な仕事を確保することですね。ただ、通信や在宅勤務なども登場した後に育っているので、仕事に対する姿勢が柔軟で、上の世代とは意識が違う。日本も似ていませんか?

日本ととても似ていますね。

ベルガー:そうですよね。しかし、日本のマネジメント層、公的セクターの人々に関しては、経営や政策を動かして全体として成果を出すうえで、世代ごとにこうした違うニーズがあることをきちんと理解しているとは到底思えません。本当に成果を出そうと思えば、やりがいが持てる組織にすべきです。その結果としていい結果が出せれば、皆、うれしいのです。仕事が好きなのです。やりたいことをやりたい。

 第一世代は生活を成り立たせるために働いていた。働くために生きていた一方、若い世代はさらに豊かな暮らしのために働いている。ここはかなり違います。人生、それも仕事とは切り離された私生活のほうにより高い価値があるわけですから。

確かに、私生活をより大事に思う傾向は、若くなればなるほど強まっている感じがします。


ベルガー:経営者は、そうした従業員の思いを理解して、実現させる必要があるのです。

経営者の意識改革が必要、ということですか?

ベルガー:それが一番重要ですね。経営陣は大体、年齢を重ねている世代の方が就任しますから。少なくとも、世代による価値観の違いを理解する必要がある、ということですね。そうでなければ、有能なハイパフォーマーを雇うことができません。また、現在の日本の中間管理職の世代は恐らく、自分が一生懸命働いて、家族に対しては十分なお金を与えていさえすればそれだけでいい、と考える世代でしょう。そうではないと考える人達と働いているということを、自覚しなければいけない。

取り組む企業に「プレミアム」を

それぞれの世代固有の価値観を否定はしない。ただ、自分たちと違うのだということを実感として理解して受け入れてもらい、変わってもらうわけですね。

ベルガー:そう、我々はみな違うのです。まずは違いを認めることです。若い世代に、自分たちと同じように生きろとは言えないのです。80歳の私が育った時の時代の空気は、もちろん今とまるで違いました。しかし経営者や管理職はこうした違いを認識し、受け入れて、若い世代にとって必要な職場環境をつくるべきなのです。

このコラムについて
キーパーソンに聞く

日経ビジネスのデスクが、話題の人、旬の人にインタビューします。このコラムを開けば毎日1人、新しいキーパーソンに出会えます。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20150420/280201/?ST=top
 

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コメント
 
01. 2015年5月18日 19:17:18 : C3lq0gpU9A

  定時で帰ろうとしても、クソ上司が帰してくれないんだよ。


02. 2015年5月18日 22:58:01 : I9olc560RE
まだまだワークホリックみたいな上や同僚がいるので難しい。

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