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韓国経済の停滞に日本こそ学ぶべき
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投稿者 rei 日時 2015 年 5 月 26 日 10:53:35: tW6yLih8JvEfw
 

韓国経済の停滞に日本こそ学ぶべき

2015年5月26日(火)  田村 賢司

 「3月の輸入車のシェアを聞いて、現代自動車の営業本部は『守れ、守れ』と大騒ぎになったらしい」

 韓国のある大手紙の記者が先月、筆者にそっと耳打ちしてくれた。韓国の自動車市場と言えば、現代自動車と、そのグループの起亜自動車が事実上、独占してきた。国内にほとんど敵のいない現代自動車にとって、唯一のライバルとも言うべき輸入車のシェアは、5年前にはわずか6.9%だった。それがここに来て急速にシェアを奪われているのだという。

 現代自動車は2014年通期も最終利益が前期比15%減となっており、今年1〜3月期の売上高は前年同期比3.3%減、営業利益は18.1%減。営業利益は過去4年で最低水準だった。

 現代自動車だけではない。サムスン電子も同四半期はスマホの不振で営業利益が前期比30%減と急落している。同社のスマホの世界シェアは2013年10〜2014年2月期には29%あったが、昨年10〜12月期には20%に落ち、その足元は大きく揺らいでいる。

 そして、韓国を牽引する大財閥の停滞に引きずられるように韓国経済も、GDP(国内総生産)成長率が2014年7〜9月期の前年同期比3.3%から、今年1〜3月期は同2.4%へ、急ブレーキがかかっている。

 ただし、韓国企業と韓国経済のこの不振が、2012年からのウォン高と、主要な市場としてきた新興国経済の伸び悩みによるものという解説はもはや珍しくもない。ウォンは対円で2012年初めから約40%も切り上がって輸出企業に大打撃を与えた。

 成長の発射台だった新興国市場の中でも、輸出の25.4%、輸入の17.1%(2014年)を占めるほど依存した中国が低成長に陥ると、同国への投資と韓国からの輸出でその高成長に乗るという好循環が一気に逆回転した。

 だが、そこにはもう1つ別の要因が潜んでいるのではないか。それをうかがわせるのが前述のGDP成長率。ブレーキはかかったが、それでも2%台。それ以前は年間でほぼ3%台以上が続いている。2000年頃からマイナス成長さえ珍しくない日本に比べればまだ高い。

 それでも、「経済に停滞感が強く、国民の間にも窮乏感が増している」(キム・ヒョンチョル・ソウル大学国際大学院教授)のは、経済のバランスが悪すぎるためだ。10大財閥の売上高がGDPの7割に相当するほど、極端な財閥依存が進んでいるため、財閥がマイナス成長にでもならない限り、経済全体の数字は伸びる。しかし、その「成長」の恩恵は、国民に行き渡らないから、停滞感や窮乏感が増すのである。

 そして、この財閥依存型経済は、民の側の努力の成果ではあるが、一面では長年にわたる政策の「齟齬」でもある。日本の戦後復興から高度成長期の入り口までと同様、ある時期までは官の主導が効果を現すこともある。しかし、その時期を逸したり、必要以上に官が強い関わりを残したりすると、経済を歪めかねない。その政策の齟齬の軌跡を、新たな視点から眺めてみよう。

 下に掲載したのは、サムスンのここ10年余りの業績と、税額控除、利益剰余金の推移である。

多額の税額控除を得てきた
サムスン電子(連結)の業績、税額控除などの推移
売上高 税額控除 当期純利益 利益剰余金
2004年度 9兆159億
3100万円 1848億
4600万円 1兆1868億
4800万円 3兆3634億
6400万円
2005年度 8兆8692億
4600万円 1422億
2200万円 8404億
1000万円 4兆1106億
1800万円
2006年度 9兆4418億
600万円 1232億
8400万円 9013億
200万円 4兆8910億
500万円
2007年度 10兆8358億
5900万円 1154億
7100万円 8715億
2700万円 5兆6171億
6900万円
2008年度 13兆3423億
7500万円 1192億
7400万円 6479億
2300万円 6兆961億
5200万円
2009年度 15兆2893億
300万円 882億
300万円 1兆1252億
9100万円 7兆687億
3200万円
2010年度 17兆93億
3600万円 2076億
3400万円 1兆7761億
1700万円 9兆3516億円
2011年度 18兆1501億
9400万円 1796億
7900万円 1兆5107億
4700万円 10兆7296億
7700万円
2012年度 22兆1213億
9700万円 2178億
7800万円 2兆6229億
8100万円 13兆1984億
2500万円
2013年度 25兆1561億
9300万円 2372億
1700万円 3兆3522億
2400万円 16兆3460億
3100万円
2014年度 22兆6826億
5800万円 1641億
7300万円 2兆5667億
7900万円 18兆6482億
5600万円
出所:サムスン電子のアニュアルレポートなどから本誌作成(以下同)
 税額控除とは、企業に様々な“恩典”を与え、その法人税額などを減らす措置だ。設備投資や研究開発、雇用拡大などに多額の費用を投じた場合、その一部に相当する額だけ法人税を軽減する。税を通じて、企業を強くしたり、景気拡大のきっかけにしたりしようというものだ。

純利益の1割にも相当する税額控除

 サムスンの場合、この税額控除が11年間で計1兆7798億8600万円にも達する。これは、同期間中の純利益の約1割にも相当する。税額控除の大半は韓国政府によるものと見られるから、サムスンは国によって利益を1割もかさ上げされていた計算になる。

 これ自体、巨額だが、子細に眺めるともう1つ別の姿も浮かぶ。まず、純利益の増大は、内部留保である利益剰余金も増やす。そして、利益と内部留保は、設備投資の趨勢を示す「設備購入額」を押し上げる。

税の恩恵に応えるように設備投資も積み上げてきた
サムスン電子の設備購入額の推移

 あえて言えば、韓国は企業が行う「利益増→内部留保増→投資拡大」という価値創造の輪の入り口で政府が税額控除を使ってドライブをかけている。「国を挙げて輸出企業を育成しようという」(海外企業の会計に詳しい岡崎一浩・愛知工業大学教授)わけだ。

 これほど巨額の税額控除を受けている上に、サムスンの場合はグローバル化を進め、法人税率の低い国で事業を拡大しているため、法人税の負担率も、毎年ほぼ20%以下と非常に低くなっている。

税負担率は一貫して低い
サムスン電子の法人税負担率の推移

 韓国の法人税率は元々24.2%で、先進国クラブと言われる経済協力開発機構(OECD)加盟国の中では下位3分の1辺り。ただし、企業が“本来”支払うべき法定税率は、母国の税に進出先の国で支払う税を入れて計算するため、さらに異なる。サムスンの場合は年によって異なるが、それでも25〜30%程度。サムスンは実態として、それを5〜10%分押し下げているのである。

 だが、財閥育成ともいえそうなこうした政策をここまで長く続ける必要はあったのか。

 サムスンの業績と税額控除、利益剰余金などの数字をさかのぼって見ていくと、2000年頃には今とは大きく異なる状況が見える。当時は、税額控除の額が年によっては純利益の20%前後になっているのである。一方、規模がはるかに大きくなった2014年は、これが6%にまで落ちている。

 つまり、サムスンなど大財閥にとっては税の恩典は、もはや以前ほどに大きな意味を持たなくなっている。

 韓国政府も、かつて地方への投資促進のために、首都圏の過密制限地域以外の地域に工場などの投資をした場合、年間投資額の7%の法人税を控除していた制度を途中で改正している。新規雇用を増やした場合に、その増加人数に応じて控除が受けられる「雇用創出税額控除」にしたのだが、それはようやく2010年になってのことだ。

 その後、「大企業の控除率を下げて、恩典を縮小していった」(プライスウォーターハウスクーパースのリー・スンチョル韓国公認会計士)ものの、2012年から順次だった。長年課題となってきた中小企業育成にようやく本腰が入ったのである。

 ところが、その後の景気停滞で政府は今年に入って、投資、賃上げ、配当などへの支出が所得の一定額に満たない場合、その不足分に10%課税する企業所得還流税制を導入した。狙いは「落ち込んだ景気の浮揚」(向山英彦・日本総研上席主任研究員)。その他の政策も一斉に景気浮揚に舵を切り、中小企業育成策はまた後ろに下がった感がある。

2010年代に入って本腰の入った?中小企業育成

 財閥依存が進み過ぎた韓国経済は今、その二重構造の弱点を露呈している。経済が上り坂の時には財閥という大きな機関車に牽引されて力強く成長するが、下り坂になると、牽引力が一気に落ちるというものだ。

 今、韓国では「日本の失われた20年から経済停滞への処方箋を学べ」との声が高まっている。しかし、官が民間産業に過度に関わって財閥育成を行い、その政策転換にも遅れたツケが今来ているとすれば、今の日本にもその影はある。

 「アベノミクスが日本を立て直している」という雰囲気とともに、永田町と霞ヶ関には過大な「自信」が膨れ上がる。官主導の「日の丸」型企業再生、ベンチャー発掘、企業の海外進出支援、農林水産業の競争力向上などのためとして乱立する官民ファンド…。経済への政官の支援は必要だが、最小限にする自制もまた必要だろう。韓国の停滞の一因に日本も学ぶ必要がある。

このコラムについて
記者の眼

日経ビジネスに在籍する30人以上の記者が、日々の取材で得た情報を基に、独自の視点で執筆するコラムです。原則平日毎日の公開になります。
 

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コメント
 
01. 2015年5月26日 17:59:13 : yUDqv3T4uU
アホウ。日経は好調な時も韓国に学べと言っていた。不調の時も韓国に学べか。韓国に学ぶものなど何一つとしてない。ここ10年日経を見てきたが何が経済紙か。あまたある宣伝紙にすぎない。

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