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過剰な金融活動がありがた迷惑な理由 問われる金融の役割、経済全体にダメージを与える恐れも(Financial Time)
http://www.asyura2.com/15/hasan96/msg/933.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 5 月 28 日 00:20:10: igsppGRN/E9PQ
 

金融活動は経済にとって欠かせないが、過剰だとかえって害になる(写真はウォール街© Can Stock Photo Inc./ labamba)


過剰な金融活動がありがた迷惑な理由 問われる金融の役割、経済全体にダメージを与える恐れも
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43895
2015.5.28 Financial Times JBpress


(2015年5月27日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 金融活動が行われ過ぎているなどということがあり得るだろうか。金融危機の余波で傷を負い、金融機関の救済に腹を立て、高額な報酬を得ているとの話に苛立ち、繰り返される違法行為に愕然とし、責任者が罪を免れる様子に怒りを覚えている大半の普通の人々なら、迷うことなく「あり得る」と答えるだろう。

 そう思っているのは彼らだけではない。複数の学者、そして国際通貨基金(IMF)や国際決済銀行(BIS)といった影響力のある国際機関のスタッフも同じ意見だ。

 金融活動が行われ過ぎているということはあり得る。そしてより重要なことに、日本と米国などの主要国がその状態にある。

 金融活動の役割に疑問を呈することは容易だ。何と言っても、金融機関は2012年1月から2014年12月までの間に計1390億ドルもの罰金を米国の法執行機関に支払っている。

 さらに根本的なことを指摘するなら、1998年から2014年にかけて金融セクターは米国の国内総生産(GDP)で平均7%のシェアを得ているが、同じ時期の企業利益におけるシェアはこれを大きく上回る平均29%にも達している。

■市場でレントを得る金融機関が経済に及ぼすダメージ

 組織化された社会でお金持ちになる道は2つある。1つ目は、独占力を行使するという通常のやり方だ。歴史をひもとけば、土地(大抵、力ずくで奪ったもの)に対する独占的な支配が富に至る主要ルートになっていることが分かる。競争的な市場経済では、財・サービスの発明・生産という社会的に見てより好ましいルートも提供される。

 悲しいかな、市場でレント*1を得ることも可能だ。業務が複雑で暗黙の補助金も受けている金融セクターは、レントを手に入れるのにうってつけの立場にある。しかし、そのような行為は、多くの比較的貧しい人々から少数の比較的裕福な人々にマネーを移転させるだけではない。経済全体にもひどいダメージを及ぼす恐れがある。

 これはシカゴ大学ブース経営大学院に籍を置き、自由市場を強く信奉するルイジ・ジンガレス教授が米国金融学会(AFA)の会長講演で披露した議論である。同教授によれば、経済全体へのダメージは2つの形態を取る。

 1つ目は直接的なダメージで、信用の拡大を原動力とする持続不可能な好景気などがこれに当たる。

 もう1つは、金融危機、顧客を「カモ」にする行為の拡大、またはその両方によって金融取引への信頼が崩れることによる間接的なダメージだ。

 ジンガレス教授は間接的なコストを重視している。教授によれば、一般の人々が怒り、レントの獲得がひどくなり、人々の怒りがさらに強まるという悪循環が生じる恐れがある。人々の怒りが強くなれば、分け隔てのない迅速な契約締結を続けることは難しくなる。

 一般の人々の支持が得られなくなったら、金融機関は政治の保護を求めるしかない。しかし、ロビー活動にお金をかけられるのは巨額のレントを享受している金融機関だけだ。従って、一般の人々の怒りに直面し、生き残れるのは、レントを手に入れている金融機関――特に大手銀行――だけになる。これでは、さらに怒りが強まる事態は避けられない。

■信用残高と経済成長率の関係

 この議論は、文明的で繁栄した社会には金融が必要不可欠だという命題を否定するものではない。むしろ金融が非常に重要だからこそ、上記のような立場の悪用は危険なのだ。

 実際、GDPに対する信用残高の比率の上昇は初めのうちは経済成長率を高めるという証拠は豊富に存在する。しかしこの関係は、比率が100%を超えると逆方向に働くようだ。ある研究によれば、信用残高の急激な増加は金融危機の重要な予兆だという。

 またIMFは先日公表したリポートで、金融の発展度を測る指標として、GDPに対する信用残高の比率よりも洗練された指標を利用している。これによると、金融は急速に、特に先進国で発展してきている。そしてある点を超えると、金融は経済成長にダメージをもたらすという。

 さらに、この悪影響は「全要素生産性(TFP)」の伸びに集中して生じているらしい。TFPとは、労働力や資本の利用効率の向上やイノベーションのペースを測る指標である。

 IMFによれば、ある点を超えると、特に資本の配分や企業支配の効力が歪んでしまうという。従って、金融の影響が企業統治の質に及ぼすインパクトは重要な課題となる。

 これは由々しき事態である。金融活動が過剰に行われると、経済の安定と成長にダメージが及び、所得の分配が歪み、市場経済に対する信頼が損なわれ、政治が腐敗し、規制の爆発的な(そして十中八九有効でない)増大につながるという証拠がたくさんあるのだ。

 これには誰しも不安を覚えるはずだ。競争的市場は道徳的にも経済的にも優れていると強く信じる人なら特にそうだろう。

 では、何をすべきなのか。以下、予備的な答えをいくつか挙げよう。

■現状を正すためにすべきこと

 第1に、倫理性は重要だ。ジンガレス教授が主張しているように、もし金融の世界に入る人が、自分たちには報いを受けずに済むことを何でもやる権利があると信じるよう促されたら、信頼が崩壊する。

 利益相反と非対称情報に満ちた市場を取り締まるのは、コストが非常に高くつく。我々が、概ね、医師をこのような形で取り締まっていないのは、医師を信頼しているからだ。これと大体同じように金融業者を信頼できる必要がある。

 次に、過剰な金融活動のインセンティブを減らすべきだ。断トツで重要なインセンティブは、金利が税控除の対象になることだ。これを終わらせるべきである。長期的には、多くの債務契約をリスクを分担する契約に転換する必要がある。

 第3に、「too big to fail(大きすぎて潰せない)」と「too big to jail(大物すぎて投獄できない)」を一掃すべきだ。この2つは表裏一体だ。大きすぎて潰せない金融機関を一掃する最も簡単な方法は、グローバルでシステム上重要な金融機関に求められる自己資本を大幅に引き上げることだ。

 そうなれば、多くの金融機関は会社を分割することを選ぶだろう。ひとたびそれが起きたら、訴追の結果に対する不安も減るはずだ。

 個人的には、筆者はさらに踏み込み、「ナローバンキング」――要求払預金を中央銀行に預けた準備金で裏付ける仕組み――の導入を通じ、通貨制度を金融システムから切り離す。

 最後に、万人がそうした「約束の市場」すべてで働くインセンティブを理解しなければならない。こうした市場は、約束が守られるかどうかなど気にせず、相手方が何が約束されているのかを理解できなくてもお構いなしの人たちの腐敗に見舞われやすい。

 必要なのは、より多くの金融活動ではなく、より良い金融活動だ。そして、より良い金融は結局、大幅に少ない金融活動でもある可能性がある。

 

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