アベノミクス第1の矢は足元から崩壊しつつあると大前研一氏
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150528-00000014-pseven-bus_all
週刊ポスト2015年6月5日号

　安倍晋三首相と黒田東彦日銀総裁の考え方が大きくずれはじめ、日本国債は暴落の危機をむかえつつある。大前研一氏は、そもそも日本経済を良くするはずのアベノミクスは、「3本の矢」で知られるが、「第1の矢」（大胆な金融緩和政策）から役に立たないものだった、と現状に至る政権の無策について指摘する。

　＊　＊　＊
　いよいよ日本銀行の“尻”に火がついた。デフレ脱却を目指して2013年春に掲げた物価上昇率2％のインフレ目標達成時期を、当初の「2015年度を中心とする期間」から「2016年度前半頃」まで1年半も先送りしたのである。

　黒田東彦・日銀総裁は、原油安の影響などを除けば「（2年で2％の物価上昇率を目指す）コミットメント（約束）通りになっている」と述べ、「景気回復で企業業績が改善し、賃金の上昇を伴って物価が緩やかに上昇する基調は変わらない」と強弁した。しかし、私に言わせれば、それらは言い訳にすぎず、「2年で2％上昇」の約束は守られなかったと判断せざるを得ない。

　実際、黒田総裁は焦りを隠せなくなっている。たとえば、このほどマスコミに報じられた、2月の経済財政諮問会議で黒田総裁が安倍晋三首相に財政再建をめぐって直言した際のオフレコのやりとりだ（以下、黒田総裁と安倍首相の発言部分は日本経済新聞4月15日付記事より引用）。

　それによると、黒田総裁は「ここからはセンシティブな話なので、外に出ないように議事録から外してもらいたい」と切り出し、昨年11月に消費税増税の先送りを決めた後、格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスが日本国債の格付けを「Aa3」から「A1」に1段階引き下げて中国や韓国よりも低くしたことから、国際的な銀行の資本規制では「外国の国債については、その格付けに応じて資本を積まなければならない。

　格付けが下がると、どうしても外国の国債を持たなくなる。現に欧州の一部の銀行がそのように動いた」と指摘。この動きが日本の銀行などにも拡大すれば、日本国債暴落のリスクが高まるとして、財政再建に本腰で取り組むべきだと訴えた。

　これに安倍首相は色をなし、「格付け会社にしっかりと働きかけることが重要ではないか。グロス（政府の1000兆円以上の債務総額）で見ると確かに大きいのだが、ネット（政府の債務から資産を差し引いた純債務）で見ると他国とあまり変わらないという説明などをしなければならない」と応じたという。

　ともにアベノミクスを支えてきた黒田総裁と安倍首相の考え方が完全に乖離（かいり）し、2人の間に大きな亀裂が入ったわけだが、この議論は100％黒田総裁のほうが正しいと思う。格付け会社に働きかけろ、という安倍首相の反論は実に幼稚である。

　実際、ムーディーズに続いて今年4月27日にはフィッチ・レーティングスも日本国債の格付けを「Aプラス」から「A」に1段階引き下げた。「A」はイスラエルやマルタと同じで、中国やチリよりも1段階下である。フィッチは、安倍政権が消費税率引き上げ延期を決めておきながら、2015年度予算でそれを補う財政再建策を講じなかったことを理由に挙げている。

　いずれにしても、世界は日本国債の保有リスクが確実に高まっていると見ているのである。

　私がこれまで何度も警告してきたように、日本国債が暴落したら、それを腹一杯食べてフォアグラ状態になっている日銀が一番危ない。つまり、日本経済を良くするはずのアベノミクスは、年80兆円ペースで国債保有残高を増やす異次元金融緩和という「第1の矢」の足元から崩壊しつつあるのだ。

コメント
01. 2015年5月28日 18:24:07 : nJF6kGWndY 大前は相変わらずわかってないな こういうのはスルーするのが正しいのだろうが >物価上昇率2％のインフレ目標達成時期を〜1年半も先送り >日本銀行の“尻”に火　 単に無理な目標だっただけで 構造改革も海外景気も悪いのに、逆に金利やインフレ率が２％に急上昇する方が遥かに問題だろう >日本国債の格付け　1段階引き下げ >黒田総裁〜国債暴落のリスクが高まる〜財政再建に本腰で取り組むべき >格付け会社に働きかけろ、という安倍首相 歳出改革など財政再建に取り組む必要は当然あるが、 格付け会社の言うことを、額面通り受け取る必要も無い 変な緊縮や増税で国内産業の空洞化をまた加速させ崩壊させるほうが遥かに有害だ >日本国債が暴落したら　日銀が一番危ない。 >異次元金融緩和という「第1の矢」の足元から崩壊 ここも意味不明 インフレ率が低いのだから、普通に追加緩和すれば別に暴落は無いし 国債が暴落したところで、日銀は別に困らない 政府の財政再建を進めるために、わざと追加緩和しない可能性はあるｗ
02. 佐助 2015年5月28日 19:43:10 : YZ1JBFFO77mpI : EADAn2gPfQ 2007〜10年にスタートした第二次世界金融大恐慌の渦中にアベノミクスとは馬鹿みたい？ 世界恐慌はドル一極からユーロ・円(元)三極への移行が根因なので，多極化にしないと解消しません。 しかもバブルは国ごとに時差と姿を変えて発生する。これは、過去のバブルの反省から、投機の主役や方式を変えるためだ。そこでバブルの正体が見えなくなる。そして紙幣を土台とした金融商品は、自然に信用を膨張させバブルを発生させる。人間はバブルから教訓を学び、二度と繰り返さないように、制御コントロールしようと努力する、だが、バブルは姿を変えるために、その破裂を予知できない。 さらにＴＰＰなど包括関税引下げ交渉は行き詰まり、二国間の交渉に中心が移った。これは第一次世界信用大恐慌前後と同じ状況に突入したことを意味する。世界信用大恐慌の渦中に，金本位制や産業革命以外に何を対策しても解決しません。二幕・三幕が先送りされ，知らず知らず何時のまにか，深みに嵌り込み脱出できなくなっている。ただ嘘と誤魔化してバタバタしているだけなのでさらに深くなります。 そして昔も今も、財務大王は人民に我慢を強制するだけで、金持ちのかまどの煙しか気にする様子がない。消費者の購買力を縮小させたまま、人為的にインフレ発生させ、国家と企業の悩みを解消したいというインフレ待望論者の妄想は、雄鶏の首を締め殺せば、早起きから開放されると考えたイソップ物語の寓話とそっくりではないか！ 信頼感などが永遠につづいたためしはない。バブルは、信頼感を崩壊させる事件を連続させる。そのため、世界で膨張する巨大な基軸通貨ドルのマグマは、地震や火山の爆発のように、出口を求めて徘徊する。そして長期不況に突入しなければならない。 前回のバブルの体験から、賢くなっているハズだ。万が一破裂しても、その影響は限定され、景気は軟着陸できるに違いない。そう、世界のエコノミストたちがそう考えるのも無理はない。だが政府は貧乏人と弱者には我慢、金持ちや大企業には借金棒引きでは、回復する時間を長期化させてしまう。だが世界恐慌でその時の「世界的商品の優位性のある国家」の大企業の消失劇を体現することになる。 日本政府は一千万円以下の預金を払い戻すルールを採用すれば、取付け騒ぎは発生しないと錯覚してしまった。だが、銀行や証券会社が倒産すれば、短期間でも、死に金（引き出せない預金）を発生させる。死に金はビジネスを破産させる。そして、1500兆円の国民資産は、投信に傾斜すると、投信の解約は、早い者勝ちとなるため、取り付け騒ぎの発生は不可避となる。 取付け騒ぎパニック発生を沈静化させた見えない本当の原因は、政府や経済界の口先声明や徹夜で輪転機を回して積み上げた札束ではない。「信用膨張商品は、名目の一割を流通させて運営されているため、一斉に取付けるなら、バブルは必ず弾ける」ということを、国民が学んだ。だが、その後長く、金融会社の倒産がなくなると、この教訓を、国家も企業も個人も忘れ、木を見ても森を見なくなり、すべての人間が、死を連想して思考を停止し、死から逃れるために、逃走パニックを発生させる。 安倍総理は国会で「木を見ても森を見なくなる」とまくし立てた。だが取り付けや暴落防止のために、全国の金融市場が閉鎖されると、人間は平等感の心理に支配されるため、暴動は発生しない。この教訓を忘れた頃に、バブルも人災もやってくることをお返しする。 このように日本は銀行・証券・為替の一時閉鎖を金融緩和や円安で先送りしている。この反動で凄い勢いで襲ってくる。この対策には，暴落を停止させる即効薬には、株式市場や銀行のモラトリアム（一斉閉鎖）、売買価格の固定、負債の凍結＆借金棒引きしかありません。もしこのようなモラトリアムにならないようにするには，基軸通貨の多極化から次期産業革命を前倒ししないと解決しません。このままでは間違いなく恐ろしいことになる。
03. 2015年5月29日 01:46:36 : TbQtEekF3E 格付け会社もテレビや新聞と同じく飯を奢れば靡くと思ってるＷ。
04. 2015年5月29日 10:13:44 : NcQNSg2dYV 安倍の考え ・新聞やテレビ圧力をかける。ＮＨＫには百田や長谷川婆を送り込み籾井を会長ににする。 ・アメリカの新聞に従軍慰安婦の問題で広告を載せる。これは逆効果だった。 ・今度は格付け機関に圧力をかけようとする。これも逆効果。 もはや民主主義のイロハもわかっていない。ここまでの阿呆が首相になる。 そんな日本が恐ろしい。
05. 2015年5月29日 16:30:19 : Kw43MsHUyw 日銀総裁の黒田は、元財務官僚でノーパンしゃぶしゃぶ大蔵省出身ですから、今まで甘い汁を吸って国債を増やし、ここまでダメにした張本人です。もう破れかぶれ状態でしょう
06. 2015年5月29日 18:24:32 : RQpv2rjbfs トレンドが未来を占う、日本の国債は１９９０年代のＡＡＡから一貫して下げ続けている、この先格付けが上昇する材料は皆無である。 もう形振りかまっている時ではない、あるところからむしり取る他はないだろう、ギリシャやポルトガルと違って国民や企業はある程度お金を持っている。 日本の良い所は法治国家ではない点だ、勝手に法律を解釈してあるところからむしり取るのは案外簡単だろう。
07. 2015年5月29日 21:29:19 : v4dHaRkKr6 どこかの国とにほんが戦争でもやつているときのように、一万円札をどんどん刷りバラまくのは狂気の沙汰だ。乱発国債を日銀が買い入れるのは、戦時国債引き受けと同じだと思う。格だつてＢになるになる恐れもある。日本の現在の国債が第二次大戦後の国債と同じように「タダ同然に暴落する」する恐れは無いことを祈りたい。兜町やウオール街のと金紳士のガンブラーたちやたちや世界の１％の超富裕層に奉仕する異次元の金融緩和は止めて、庶民の生活に必要な食品などの生活必需品値段を現在より５０％ぐらい即時引き下げてほしい。弱肉強食の悪政は即時やめてくれ。
08. 2015年5月30日 03:36:15 : GPDvIZIZjc 1997年に韓国が通貨危機でIMFに救済してもらって外国資本に支配されたシナリオの焼き直しじゃね。 可能性アリ。
09. 2015年5月30日 08:34:43 : 3R2kgoP35M 黒田総裁は、財務省のDNAが抜けていない。 財務省には友人や後輩がたくさんいて、今でも付き合いが あるのうだろう。 安倍総理の発言のほうが明らかに正しい。 省庁が天下り法人に溜め込んだ莫大な資金を吐き出すのは、 インフレが加速した10年後くらいにやりたいのだろう。 デフレ時には、金を溜め込んでインフレ時に吐き出す。 公務員が金儲けしているのだから下々の民間は苦しいはずである。
10. 2015年5月30日 20:33:39 : 8iC1yVK51o 国債暴落はない 売られてもかまわない。

11. 2015年5月30日 20:38:03 : XS6jMDaUPg 追加緩和催促の格付け落とし。 黒田もいい加減に日本売り止めたらどうだ。 追加緩和言語道断。
12. 2015年5月30日 23:40:27 : TzF05EeFrQ 早急な対策は、まず米国債を売却すべし。
13. 2015年5月31日 10:06:01 : ADhx9Txozv 確かにそうだが 黒田は株高と引き換えに米国債を買ってるな。 この人は自分が助かる為に日本を売ろうとしているね。
14. 2015年5月31日 13:52:06 : h3HCflKBSY 11. 2015年5月30日 20:38:03 : XS6jMDaUPg 追加緩和催促の格付け落とし。 黒田もいい加減に日本売り止めたらどうだ。 追加緩和言語道断。＞ 黒田を辞任させろ。
15. 2015年5月31日 17:44:06 : peIWbv2Z6A 黒田の辞任は早いほうがいい。

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