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世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第126回 緊縮財政至上主義と地方創生(週刊実話)
http://www.asyura2.com/15/hasan97/msg/155.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 5 月 29 日 18:28:05: igsppGRN/E9PQ
 

世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第126回 緊縮財政至上主義と地方創生
http://wjn.jp/article/detail/2389187/
週刊実話 2015年6月4日 特大号


 日刊工業新聞の5月12日の報道によると、財務省は5月11日、財政制度等審議会の財政制度分科会に対し、「公共事業費は当面は増やせない」との考えを示したとのことである。

 財務省は公共事業関係費について、
 「新規投資については社会資本の整備水準の向上や今後の人口減などを踏まえれば、これまで以上に厳選すべき状況にある」
 と、指摘したそうだ。相変わらず、「総人口」と「生産年齢人口」を区別していない。

 今後の日本で相対的に減少する人口は、生産年齢人口である。生産年齢人口対総人口比率が低下していく以上、我が国にとって生産性向上のための公共事業拡大は必須だ。

 財務省路線に従う限り、日本経済が生産性向上により健全な成長を遂げる日は訪れそうにない。財務省は日本経済が成長するとは思っていないのだろう。

 さらに、日本政府は財務省主導で「東北被災地の復興事業について、被災地負担を求める」「教職員を10年で4万2000人減らす」「救急車を有料化する」など、これでもかとばかりに「緊縮財政」路線を推進しつつある。

 もはや、日本国の主権者は国民でも政府でもなく、財務省としか見えない。財務省主権国家「日本」である。

 そもそも、我が国には「財政問題」も「国の借金問題」も存在しない。なにしろ、日本政府の負債(いわゆる“国の借金”)は100%日本円建てで、かつ我が国は独自通貨国なのだ。

 日本銀行が国債を買い取ると、政府の負債が実質的に消滅する我が国において、何故に「財政破綻」とやらを懸念しなければならないのか。

 現在、黒田(東彦)日銀は年に80兆円ペースで日本国債を買い取っている。日本銀行保有のいわゆる“国の借金”については、政府は返済する必要がない。理由は、日本銀行が政府の子会社であり、親会社と子会社の間のおカネの貸し借りは、連結決算で相殺されてしまうためだ。

 これは、民間企業でも同じ“会計ルール”である。

 政府の返済が必要な「負債」が減少している我が国には、「国の借金問題」も「財政問題」も存在しない。具体的な数字を書いておくと、政府に返済義務がある「日銀以外が保有する国債・財融債・国庫短期証券」は、ピークの2012年9月と比べ、2014年末までに69兆円も減った。

 政府の負債(国の借金)が約70兆円も減少した。これが「事実」だ。

 それにもかかわらず、政治の世界では「財政健全化」ばかりがクローズアップされ、政府の支出削減や消費税増税に代表される国民負担増が強行され、我が国は再びデフレのとば口(入り口)に足をかけている。

 2015年3月のコアCPI(日銀定義のインフレ率)は、対前年比でわずか0.2%増(消費税増税分除く)。間もなく、再びマイナスの領域に突入することになるだろう。第二次安倍(晋三)政権発足時に謳われた「デフレ脱却」の約束は、もはや風前の灯である。

 さらに、安倍政権の「目玉政策」であるはずの地方創生までもが、財務省の「緊縮財政至上主義」に足を採られ、奇妙な方向に進んでいる。

 日本政府は地方創生推進のための新型交付金制度の概要をまとめたのだが、予想通り、
「市町村ごとにつくる活性化策の総合戦略によって交付規模や対象範囲に差をつける」
 形になっていた。すなわち、地方創生政策に競争原理を導入しようしているのだ。

 安倍政権の地方行政に関する根本的な間違いは、主に二つある。一つ目は、
「地方自治体が【事業に失敗した。では、撤退】と、民間企業と同じスタイルを採ると、住民が迷惑する」
 という点だ。

 民間企業の場合は、主に自社の「従業員」に責任を負っている。事業が失敗した場合、事業部を閉じ、従業員を他事業部に回すなど対処が可能だ。理由は、関係者が「少ない」ためである。

 それに対し、地方自治体の「事業の失敗」の影響を受けるのは、地域住民である。その数は数万、数十万人に達する。

 しかも、地方自治体は地域の住民について「取りこぼし」することは許されない。企業の「経営」においては取りこぼしが認められるケースもあるが、政府(地方自治体含む)の「経済」では許されないのだ。

 さて、安倍政権の間違いの二つ目であるが、
「あらゆる事業は、失敗の可能性があり、事前にどの事業が成功するかは、政府も自治体も、企業さえもわからない」
 という点だ。

 事前に「どの事業が成功するか」がわかるならば、この世から倒産する企業は消え失せることになる。自治体が事業計画を作ったところで、成功するところは限られる。

 しかも、事業の成功は多分に「運」に左右される。運がなかった自治体は、経済の再生に失敗し、負債だけが拡大、政府は「負けた自治体」を自己責任として切り捨てる。こんなものは、政治でも何でもない。

 無論、政府が地方創生政策を進めるのは無駄、という話ではない。やり方が間違っているのだ。

 正しい「地方創生」は、まずは各地にインフラを整備し、その上で税制において優遇措置を講じ、民間企業がその地域に「投資したくなる」環境を構築する他には存在しない。

 より具体的に書くと、高速道路、港湾、新幹線といった交通インフラの整備と、法人税の優遇措置のパッケージである。インフラ整備と法人税減税の組み合わせならば、どの分野の企業が地方に投資するかは、それこそ民間企業側の勝手であり、自治体職員が下手に頭を悩ませる必要もない。

 安倍政権は「地方自治体に競争させる」という間違った地方創生政策を捨て去り、インフラ整備と税制優遇の強化という正しい路線に舵を切り直すべきなのだ。

 一応、安倍政権は、地方に本社機能を移転した企業の法人税を優遇する制度「地方拠点強化税制」を推進しているが、財務省の緊縮財政至上主義とは真っ向から対立する。安倍政権が財務省の緊縮財政至上主義を打破できない限り、目玉政策の地方創生もまた、絵に描いた餅に終わるだろう。

三橋貴明(経済評論家・作家)
1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、わかりやすい経済評論が人気を集めている。


 

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