★阿修羅♪ > 経世済民97 > 259.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
 利上げしたくて仕方がないFRB 淡々と進むドル高の行方 黒田総裁率いる日銀は、まるで「ビリギャル」
http://www.asyura2.com/15/hasan97/msg/259.html
投稿者 rei 日時 2015 年 6 月 02 日 01:09:44: tW6yLih8JvEfw
 


「上野泰也のエコノミック・ソナー」


倉都康行の世界金融時評
利上げしたくて仕方がないFRB

淡々と進むドル高の行方

2015年6月2日(火)  倉都 康行

 先月、イエレンFRB議長は「見通し通りに経済が改善すれば年内に利上げすることが適切だ」と述べ、6月の利上げ確率はほぼ消えたものの、下半期以降の利上げが当局のメイン・シナリオであるようなニュアンスで市場に伝わった。

 だが、議長は常々「利上げ判断は経済指標次第だ」と述べており、同じ講演の中でもその考えを繰り返している。つまり、年内利上げはFRBの予想が当たることを前提とした希望的観測に過ぎないが、ヘッドラインしか見ない人々にそれがあたかも既定路線であるかのような印象を与えたことは否めない。 

 またフィッシャーFRB副議長も「利上げ判断はデータに基づいて行われるものであり、その時期だけに過度の関心を抱くのは適切でない」と警告する一方で、2018年末には政策金利が3.25-4.0%の水準に上昇するだろう、との見通しを示している。これもまた、予想を都合に合わせて取捨選択しているような発言構成になっている。

 政策決定の鍵を握る主流派がこういう言い方をすれば、市場が米国金利上昇とドル高への相場観を強めるのは当然である。ドル円は先週124円を超えて2002年12月以来の水準となり、2007年7月以来の水準を超え、ユーロドルは1.09を割り込んで再びパリティ(等価)に向かって下落し始めている。

「のりしろ」作りとしての利上げ

 だが、この二人の重鎮の発言には、米国経済が思うように改善しない苛立ちと、早めに政策金利を正常化したいという焦りが、それぞれ滲み出ているように思われる。

 昨年秋頃のシナリオに基づけば、今頃は利上げ準備万端の筈であった。だが悪天候や港湾ストに加えて、ドル高による企業業績の低迷や原油安による設備投資の削減などで、同国の実体経済は描かれた軌道から大きく外れてしまった。

 それでもイエレン議長は、第1四半期の低迷は一時的要因によるものだと強調し、第2四半期以降は順調な成長軌道に戻る、との見方を採っている。6月がダメでも9月または12月には利上げできる、との思いが前述した発言に繋がったのだろう。

 従来の同議長の利上げに関する発言には、資本市場の混乱を避けるための「事前警告」的なニュアンスが含まれていた。低水準で推移する長期金利が利上げでパニックを起こし、株式市場や新興国通貨などへの影響を通じて実体経済を揺さぶることを避けたい、との思いが含まれていたように思われる。それは、2年前の「Taper Tantrum」の再現を回避する、という強い意志の表れでもあった。

 だが、昨今では「ひとまずゼロ金利からの脱却だけは早めに実施しておきたい」との意味合いが強まってきた印象を受ける。その後の利上げペースは緩慢になる、と何度も繰り返しているのも、「取り敢えずは利上げする」のが最優先課題になっていることを示唆している。

 それは、議長らのFOMC主流派が必ずしもタカ派の主張に近づいてきたことを意味するものではなさそうだ。恐らくその心中には、2007-8年に防げなかった資産バブルへのトラウマとともに、兎に角利上げしておけば今後の景気後退の際に量的緩和ではなく利下げで対応できる、という読みがあるのだろう。即ち利上げは、今後の政策的な「のりしろ」作りなのである。

 だが、経済指標はまだFRBサイドに与していないように見える。3月末にこのコラムで指摘したような米国経済のもたつきは、いまなお継続しているのが実態だ。筆者は12月利上げの可能性が高いと思ってはいるが、低調なマクロ経済に即して考えるならば、来年に先送りされたり、来年に入っても利上げの目途が立たなくなったりするような、穴馬的なシナリオも有り得る。

 4月28、29日に開催されたFOMC議事要旨の内容はほぼ予想通りのものであった。そこには6月利上げの可能性がほぼなくなったことが示されていたが、その中で注目されたのが、FOMCの調査スタッフが示した見通しとメンバーの見通しとの間のズレである。

 前者に拠れば、1-3月期の成長を下押しした要因は消えて、今後は2016年に向けて潜在力を超えるペースでの成長が始まる、という。インフレ見通しも若干ながら上方修正されており、2016-2017年に2%水準に達する方向で徐々に物価が上昇し始める、と見ている。雇用に関するリスクは上下のバランスが取れており、現状のペースが維持されると予想している。

 これに対し、FOMCメンバーの一部からは景気下振れを警戒する声が上がっていた。悪天候や港湾ストのような一時的悪材料は消えたものの、ドル高と原油安の二つの要因は長期化する可能性があり、それが米経済に対する逆風として吹き続けるリスクを何人かが指摘している。またガソリン安が個人消費を刺激していないことは予想外だと述べたメンバーもおり、3月時点よりも成長率の下振れリスクが高まっている、との認識を示していた。

 5月以降の経済指標も総じて停滞気味であり、以前紹介した「的中率抜群」のアトランタ連銀のGDPNowが示す4-6月期GDP予想値も0.8%と低空飛行のままである。短期金融市場は12月利上げの確率を高めているが、予断は許さない状況である。

世界的な消費行動に変化

 米国の成長率やインフレ率がなかなか上昇しない背景として、賃金上昇率の弱さが指摘されてきたが、エコノミストらがいま一番ショックを感じているのは、原油安が全く個人消費を刺激していない、という事実だろう。

 Bloombergは、消費動向の読みの外れは米国だけでなくグローバルに起きている、と報じている。1-3月期GDPで示された日本の個人消費も、客観的に見て基調判断が上方修正されるような伸びではない。

 自動車販売だけ見れば、個人消費は復調しているように見える。米国の自動車販売ペースは年率換算で1700万台前後のペースが続いており、EUも前年同月比6.9%増となった4月まで12カ月連続での増加基調を維持している。中国では4月に前月比0.5%減となったが金融緩和策の効果もあって3月の3.3%減から減少幅は縮小した。日本では軽自動車の不振が続いているが、登録車は消費増税の影響が外れた4月には前年同月比5.0%とプラスに転じている。

 だが個人消費全般を見れば、世界各国おしなべて伸びに勢いが無い。各金融機関はそれぞれに消費動向の予測モデルを擁し、小売売上高を推計するのに雇用統計やインフレ率、可処分所得、株価変化といったパラメータを入力して予想値を弾き出しているが、最近の的中率は過去10年間になかったほどの悪さだ、とJPモルガンは述べ「世界的な消費者行動に何か変化が起きているのかもしれない」と首を捻っている。 

「アップルウオッチ」が家計消費の救世主に

 米国に関しては、バンカメが面白い分析を披露している。彼らの推計に拠れば、4月以降のリフォームや日用品など家庭用品に対する消費支出は、プラスを記録していた1-3月期の平均値よりも悪化している、という。デパートの販売額も減少しており、悪天候の要因が外れても家計消費は戻っていない。春以降に好転しているのは、電化製品や家具、安売り品、外食などの数字である。中でも好調なのは電化製品だが、そこには「アップル」という大きな特殊要因があったのだ。

 4月に発売された「アップルウオッチ」は、事前にネガティブな見方が少なくなかったにもかかわらず、各国で好調な売れ行きを見せている。因みに米国のある調査は、今年のスマート・ウオッチ市場の出荷予想である2810万台のうち「アップルウオッチ」が1377万台とほぼ半分を占める、と予想している。

 これが米国の個人消費の統計を低迷から救ったのだ、とバンカメは分析している。個別製品の販売による影響は、季節調整に反映されないからだ。過去数年間を振り返っても、2011年のiPhone4Sや2012年のiPad3-4、iPhone5、2013年のiPhone5S、2014年のiPhone6Sなど、アップルは定期的に消費需要を作り上げてきた。逆に言えば、今回アップルウオッチという救世主が登場しなければ、春の家計消費はさらに落ち込んでいたのかもしれない。

低下傾向にある米国の生産性

 FRBが利上げ判断を行う際に重視するのが雇用動向と物価動向であるにしても、そのベースとなるGDPの70%を占める個人消費の動向を無視して良い筈はない。確かに今年も昨年と同様に、4-6月期以降の快進撃を期待することは出来ようが、一方では米国にも成長速度にブレーキを掛ける「構造問題」が指摘されて久しい。

 今年で2007年のサブプライムローン問題発生から7年が経過したが、HSBCに拠れば、米国の景気のピークから7年間の平均成長率を見ると、1981年以降は3.5%、1990年以降は3.1%、2000年以降が2.1%と徐々に低下しており、2007年以降はなんと1.1%にまで落ちている。このトレンドを見れば、今日における経済回復力の低迷は、金融危機という特殊要因だけに拠るものではなく、趨勢的な構造が底流に潜んでいる可能性が高いと解釈することも出来よう。

 その理由の一つに挙げられるのが生産性上昇率の低下傾向だ。それは米国に限った話ではないが、コンファレンス・ボードの推計に拠れば、全要素生産性を2007-2012の平均値で見れば、米国の数値は1996-2006年の水準から約1%へと半減しており、日本と殆ど差が無いレベルにまで低下している、という。

 飽くまで統計的な話ではあるが、1945年以降の同国の景気サイクルにおける拡大期間の平均は58カ月であり、今回は2009年6月から数えて71カ月目にあたっている。過去には1961年2月からの106カ月や1991年からの120カ月といった「長寿サイクル」もあったので、景気拡大がもう終わりという結論を下すのは時期尚早だろう。また、成長率が比較的低いことで拡大局面がその分長持ちするのではないか、と見る向きもある。

 だが、資本主義経済の宿命としていつかは後退期間がやってくる。イエレン議長もその可能性を見据えているからこそ、雇用が改善し物価も安定しているうちに、つまり景気のモメンタムが上向きなうちに早く利上げを行っておこう、と考えているように思われる。

 三度にわたる量的緩和策の投入の末に、出口戦略を採る前に再び量的緩和を迫られるような展開は、同議長にとって悪夢以外の何物でもあるまい。経済指標が多少もたついていても、FRBが見切り発車的に利上げを敢行する可能性が無いとは言えない。

 金融緩和からの出口が見ない日本と違って、バランスシート調整や金融システム修復、経営戦略転換などで素早い対応を見せた米国が利上げに近づいていることは事実だ。だが、勇み足的な利上げはさらなるドル高による企業への打撃と、金利上昇への免疫力が回復していない家計への逆風となって、同国経済にダウンサイド・リスクをもたらすことになるかもしれない。

ドル高の流れが変わる契機とは

 そんな想像を膨らませながら為替市場を眺めれば、やはり当面はドル高の方向を読まざるを得ない。年初来のドル円は120円前後の推移を続け、一時は円高局面が予想されたこともあったが、現在の市場ベクトルはドル高へと傾いている。

 確かに日本の貿易赤字が縮小して3月には一時的にせよ黒字化したことは、円安局面の終わりを示唆している可能性がある。中期的には円高材料になり得るだろう。だが現時点では、輸出の拡大や輸入の縮小が構造的に定着したとまでは断定できない。

 また欧州ではギリシアのデフォルト懸念にスペインへの警戒感が加わったことで、新たなユーロ売り・ドル買いが誘発されている。スペインでは先月の統一地方選挙で緊縮財政に反対する新興政党が躍進し、与党が大幅に議席を減らしたことで年末の総選挙で政権交代となる可能性が浮上しているのだ。対ユーロのドル買いは必然的にドル円にも影響する。

 日銀の金融政策もまだ緩和継続の方向にある。足許の日本経済は「物価上昇無き経済成長」という、アベノミクスの描いたシナリオとは異なる軌道を辿っており、物価上昇率の2%への引き上げを錦の御旗に掲げてきた黒田日銀も戸惑いを隠せないでいるが、世界に向けて公言した目標を降ろすことは、プライドが許さないだろう。

 従って、日銀は景気が回復しているのに異次元の緩和策を継続するという自己矛盾に陥り始めているが、現在の緩和ペースが継続される限り、そして目標未達リスクを回避するための追加緩和といった思惑が市場に残る限り、円は買えそうにない。

 こうしたドル高の流れが変わる契機があるとすれば、イエレン議長らが利上げの難しさに言及したり、黒田総裁が政策軌道修正への素振りを見せたりするような場面だろう。だがそんな場面は、少なくとも秋までは予想し難い。ドル円は125円を突破すれば130円近くまで上昇するかもしれない。

 仮にそうした動きになれば、米企業の業績不安から割高圏にある株価が急落することも想定される。となればFRBも利上げどころではなくなる。日銀も円安がもたらす資産バブルや悪い輸入インフレなどの批判を受けて、目標達成以前に撤収が始まるかもしれない。

 そこでドル円が天井を付けて2012年以来の円安トレンドが終わるのではないか、と勝手なシナリオを描いているが、これは飽くまで思考実験に過ぎないし、その時期もまだ当分先のことだろう。目先はドル高が淡々と進みそうな気配である。

このコラムについて
倉都康行の世界金融時評

日本、そして世界の金融を読み解くコラム。筆者はいわゆる金融商品の先駆けであるデリバティブズの日本導入と、世界での市場作りにいどんだ最初の世代の日本人。2008年7月に出版した『投資銀行バブルの終焉 サブプライム問題のメカニズム』で、サブプライムローン問題を予言した。理屈だけでない、現場を見た筆者ならではの金融時評。

日経BP社
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20150528/281727

黒田総裁率いる日銀は、まるで「ビリギャル」

筆者と友人との会話

2015年6月2日(火)  上野 泰也


黒田東彦総裁率いる今の日銀は「ビリギャル」に似ている?(写真=Rodrigo Reyes Marin/アフロ)
 黒田東彦総裁が率いている今の日銀は、「ビリギャル」と似ているのではないか。ある友人と先日、そういう会話になった。「ビリギャル」というのは、名古屋の進学塾講師・坪田信貴氏のベストセラー『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』に出てくる主人公である。

 有村架純主演で映画化され、5月1日に公開されてから観客動員数はすでに120万人を突破した(ちなみに筆者は出演者と監督の舞台挨拶付きの回を5月2日に見に行った)。以下、なかなか示唆に富んでいたので、その時の会話を再現しよう。

「合格圏」に達していない日銀

(友人)
 日本ではデフレが1990年代半ばからずっと続いてきたし、「物価の番人」であるはずの日銀はそこからの脱却に失敗してきたわけだから、日銀は「ビリギャル」と立場が似ているね。

(筆者)
 そもそも日銀という組織を女性に例えるのはどうかという問題はあるかもしれない。外国では、イングランド銀行が「スレッドニードル街の老婦人」と呼ばれることがあるし、同行の紋章にブリタニアという女神が入っているが、日銀の場合、旧館の正面玄関入り口に付いている紋章に描かれているのは、ほえている2頭の雄ライオンだよ。政策委員会メンバーの講演要旨などの表紙にも、この紋章が左上に入っているね。

 まあ、そういうトリビア的な議論はともかく、欧米の中央銀行の場合も2%という数字を含んでいる物価目標などを達成できない状態が近年続いているし、偏差値が「合格圏」に達していないという点では日銀と結局は同じ立場だと思う。けれども、人口動態や為替の長期トレンドなどを全く見ず、トラックレコードを欧米と単純に比較するなら、偏差値が50を大きく下回る「ビリギャル」に日銀を例えることも、できなくはないだろう。

(友人)
 映画「ビリギャル」で主人公(工藤さやか)が学校の教室で「慶応大学に合格します!」と宣言して自分を追い込む姿も、日銀が2013年4月4日に「量的・質的金融緩和」を導入する際に対外公表文で、「日本銀行は、消費者物価の前年比上昇率2%の『物価安定の目標』を、2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現する」と宣言したこととダブって映るね。

 そして、そういう強い決意表明が周囲のほとんどの人から信じてもらえず、主人公が孤立感を深めるあたりにも、共通項があるように思う。

(筆者)
 まあ、そう言われるとそうかもしれない。

想定外のことが起こりピンチに

(友人)
 それから、「想定外のこと」が起きてしまい目標達成がピンチになるあたりも、よく似ている。工藤さやかの場合、慶応義塾大学の第1志望の学部の入試当日、坪田先生からもらった合格祈願の缶コーヒーを試験が始まる直前に飲んで気合をいれたところ、急に腹の具合が悪くなり、トイレに何度も行くはめになって試験に集中できないというアクシデントに見舞われた。

 一方、日銀の場合、原油価格の急落という予想外のことが起こったので物価目標の達成時期が先送りになってしまったわけだね。

 黒田総裁は2015年5月15日に行った講演で「私自身の感想」として、「経済政策では、思った通りのこと、想定外のこと、いろいろと起こります。『量的・質的金融緩和』導入からの2年を振り返ってみても、いくつかの『思い通り』や『想定外』がありました」「最大の『想定外』は、半年で6割にも及ぶ原油価格の下落です」と振り返っていたね。

(筆者)
 「ビリギャル」のアクシデントの場合は、他人の善意が結果的にうまく働かなかったわけだし、自分から招いた出来事でもある。これに対し、「量的・質的金融緩和」導入から2年での物価目標2%未到達は、原油相場の動向という外部要因の読みが甘かった結果であって、両者には本質的な違いがあるのではないか。

 黒田総裁は同じ講演で、「もっとも、こうした『想定外』にもかかわらず、『量的・質的金融緩和』のメカニズムはしっかりと働き続けています」と強弁していたが、果たしてそうだろうか。

 例えば、主要企業の今年の春闘で2年連続のベアが実現したのは、日銀が言うように企業や組合の物価観が変わった結果だというよりも、政府が個別企業ごとに賃上げの状況を公表するというプレッシャーをかけたことが大きく寄与した結果だろう。企業の経営者はレピュテーション(世間の評判)を気にせざるを得ないからね。

(友人)
 講演で黒田総裁はさらに、「このまま経済の好転が続き、デフレ脱却が実現すれば、経済政策によるレジームシフトを実現した稀有な成功例になるのではないかと思います」「私は、いくつかの『想定外』より、むしろ、大きな構図が『思い通り』であることに、確かな手ごたえを感じています」「日本銀行としては、2%の『物価安定の目標』の早期実現に向け、引き続き『量的・質的金融緩和』を着実に推進してまいります」という、強気の発言を並べていたよ。

 模擬試験での成績不振など、受験の途中段階での失敗にはくじけない姿勢が、やはり「ビリギャル」と重なる。

(筆者)
 日銀の場合、4月の展望レポートで「2016年度前半頃」に物価目標2%が達成されるだろうという見通しを示したわけだが、これは時期の先延ばしだね。当初コミットした「2年程度」では達成できなかったわけだから、「ビリギャル」にあてはめるとこれは「現役合格」に失敗して、浪人生活に入ったということだよ。

そもそも勉強方法が間違っている日銀

 それから、物価目標を当初コミットした期限までに達成できなかったのに、それを原油価格急落という「想定外のこと」のせいにして、誰も(辞任という責任のとり方に以前言及したことがある岩田規久男副総裁を含め)この結果に対する責任を日銀ではとっていないことも、潔いとは言えないね。民間企業のケースなら、続投はまずあり得ないのではないか。子供の教育によい話だとも思えない。

 それから、日銀の場合は、そもそも「勉強法」が間違っているわけだから、いくら頑張っても成績が上がらないのは当然ではないか。工藤さやかの場合は、小学校のドリルに戻って、基礎から学力を立て直す努力をした。

 一方、日銀の場合、まずは物価を持ち上げるという「逆転の発想」に立ち、「リフレ派」のロジックに依拠して巨額のマネタリーベースを積み上げることを通じて人々のインフレ期待への働きかけを試みるなど、従来とは全く異なる実験的な手法を採用している。でも、「奇手」に打って出ることによって受験が成功することは、多分ほとんどないよ。

(友人)
 ・・・・・・。

このコラムについて
上野泰也のエコノミック・ソナー

景気の流れが今後、どう変わっていくのか?先行きを占うのはなかなか難しい。だが、予兆はどこかに必ず現れてくるもの。その小さな変化を見逃さず、確かな情報をキャッチし、いかに分析して将来に備えるか?著名エコノミストの上野泰也氏が独自の視点と勘所を披露しながら、経済の行く末を読み解いていく。http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20150529/281769  

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
1. ノロイコロスキー 2015年6月02日 09:00:48 : pmeXQAFg9becg : ZPxIt85K8g
前にも書いたけど、結局内野安打現象が今の株価を支えてるな。
バッティングは失敗なんだけど、結果はヒット。
政策は失敗なんでしょうが、結果として金をばら撒いて、「人の心は金で買える」って言っていた人みたいなことをしてる。
問題はいつまでいたずらな円安・株高が続くということ。

2. 2015年6月03日 18:14:25 : sa8Amt5mOk
<利上げしたくて仕方がないFRB>

利上げしたくないFRBが正解。

利上げぐらい出来るぞ!


  拍手はせず、拍手一覧を見る

フォローアップ:


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法

▲上へ      ★阿修羅♪ > 経世済民97掲示板 次へ  前へ

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。
 
▲上へ       
★阿修羅♪  
経世済民97掲示板  
次へ