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欧州の銀行、マイナス金利の「あべこべ」の世界 スイスの年金基金は預金の大量引き出しを検討  転機を迎える世界の債券市場
http://www.asyura2.com/15/hasan97/msg/461.html
投稿者 rei 日時 2015 年 6 月 08 日 13:55:49: tW6yLih8JvEfw
 

欧州の銀行、マイナス金利の「あべこべ」の世界
スイスの年金基金は預金の大量引き出しを検討
2015.6.8(月) Financial Times
(2015年6月2日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

スイスフランやユーロは高額紙幣があるため、米国などより現金を保管するコストが低くて済む(写真はスイスフラン紙幣 (c) Can Stock Photo)
 秘密の金庫室に現金を仕舞い込むのは、通常は犯罪者と関係する類の行為だ。ところが今、スイスの年金基金がこの流れに乗ることを検討している。

 スイス年金基金協会(ASIP)によると、その理由は、年金基金が普通の口座に資金を置いておくだけのために銀行にカネを払うことにうんざりしており、預金をごっそり引き出すことを検討しているからだという。

 マイナス金利というアリスの不思議の国にようこそ。ここは、中央銀行が低インフレの見通しを恐れるあまり、借り入れコストをマイナスまで引き下げ、口座の収支を黒字にするために事実上、金融機関から利子を徴収する「あべこべ」の世界だ。

 政策立案者は、この課金によって、銀行がまだマージンがかなり大きい家計や企業向けの融資を増やすことを期待している。

預金に利子を徴収される世界

 今年3月、ユーロ圏では3年ぶりに企業向けの融資が増えた。だが、マイナス金利は、銀行や他の投資家が多少のリターンを求めてリスクの高い資産を買うことでバブルを生み出すリスクを増大させる恐れもある。

 「極端な低金利は金融市場の主体に、過度なリスクを取るよう促してしまう恐れがある」。ブリュッセルのシンクタンク、ブリューゲルの特別研究員、シルビア・マーラー氏はこう話す。「ユーロ圏の監督構造が今後、かなり強化されること、そして監督官が以前よりはるかに金融の安定性に重点を置くことが極めて重要だ」

 欧州中央銀行(ECB)は昨年6月、大規模な中央銀行として初めてウサギの巣穴に入り込み、現在、ユーロ圏の銀行が中銀の金庫室に預けておく預金に年率0.2%の利子を課している。スウェーデンでは、リクスバンク(スウェーデン国立銀行、中銀)が現在、中銀から資金を借りる市中銀行に年率0.25%の利子を払っている。

 中銀預金に対して0.75%の利子を設定しているスイス国立銀行(SNB)は、あまりにも金利を低くしたことから、経済政策の立案者の間で「ゼロ下限制約」として知られるナゾめいた概念に近づいている模様だ。

 この水準になると、年金基金のような預金者は、現金を引き出して金庫室に仕舞い込もうとする。

 一番の高額紙幣が1000スイスフラン、500ユーロであるスイスやユーロ圏のような経済では、紙幣の額面が比較的小さい米国や英国に比べると、現金の保管にかかるコストが小さい。

 「スイスの年金基金がマイナス金利の影響を受けていることは明らかだ」とASIPのディレクター、ハンスペーター・コンラッド氏は言う。「マイナス金利を穴埋めするために我々にできることがこれほど限られているのは残念だ」

 この未知への旅の究極の目標は、低利の現金で経済を溢れかえらせることで、インフレ率を約2%の中銀目標に向けて引き上げることだ。おカネが溢れかえれば、経済活動と物価に波及していくからだ。

顧客に転嫁できない金融機関の苦悩

 お金を借りると利子がもらえる――あるいは逆に、貯金すると利子を課される――という考え方は、大半の人にとって不気味な話だ。しかし、エコノミストはもう何年も、マイナス金利という概念に対処してきた。

 名目金利がマイナスになることは滅多にない。だが、マイナスの実質金利は、世界金融危機の初期段階の特徴だった。

 2011年の秋、英国でインフレ率が5.2%に達した際、イングランド銀行は金利を0.5%まで引き下げていた。ユーロ圏のインフレ率がゼロ近辺で推移している今、ECBがマイナス領域へ踏み出したにもかかわらず、実質金利は当時の英国よりかなり高い水準となっている。

 しかし、このマイナス金利という発想の奇妙さは、少なくともユーロ圏の大部分では、マイナス金利があまり流行しないことを意味した。エコノミストが「マネーイリュージョン(貨幣錯覚)」と呼ぶもの、つまり、人々が名目ベースでものを考える傾向のために、金融機関はマイナス金利を顧客に転嫁することを恐れたのだ。

 そして中央銀行は、低インフレがあまりに定着して、市民が貯蓄に利子を課されることを進んで受け入れるようにならないことを望んでいる。

 ドイツでは、コメルツ銀行やHSBCなど一部の銀行が、一部通貨で貯蓄する一部の預金者に利子を課し始めた。一方、北欧のセックスセラピストが利子を受け取って融資を受けた話がニュースになった。しかし、これは比較的珍しいことだ。

 「大きな問題は、少なくとも今のところは、銀行が顧客にマイナス金利を転嫁できないということだ」。ゴールドマン・サックスのエコノミスト、ディルク・シューマッハ氏はこう言う。「例外が多少あるが、銀行部門が大半のコストを負担せざるを得なかった」

 SNBは市中銀行が中銀に預けている預金から12億スイスフラン(13億ドル)の利子を得る見込みだ。だが、各行がコストを顧客に転嫁しようとしなかったため、マイナス金利の影響は抑えられてきた。とはいえ、マイナス金利政策の衝撃効果は、一定の利益をもたらした。

対ドルでのユーロ安の一因に

 ECBのマイナス金利政策のインパクトを、1兆1000億ユーロの量的緩和策などの他の対策の効果から切り離すことは不可能だ。だが、マイナス金利の奇怪さは、対ドルのユーロ安の一因と見られている。マイナス金利が導入される前、ユーロは1.40ドルを若干割り込む程度だった。現在は1ユーロが1.10ドルを下回っており、競争力を大きく押し上げる要因となっている。

 「マイナス金利は多分に為替相場に影響を及ぼした」とシューマッハ氏は言う。「要は、ユーロの流動性を保有するためにはカネを払わなければならないという、マイナス金利の心理だ」

By Claire Jones in Frankfurt
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43976


転機を迎える世界の債券市場 
By RICHARD BARLEY
原文(英語)
2015 年 6 月 8 日 12:30 JST

フランクフルトの欧州中央銀行(ECB)本部 Martin Leissl/Bloomberg News
 国債投資家にとって素晴らしい新世界が開けるのだろうか。

 先週のドイツ国債相場は大荒れとなり(10年物の利回りは1日の0.5%から4日には1%近くまで上昇。5日は0.85%で取引を終えた)、油断していた投資家に一撃を食らわせた。これほどの変動こそなかったが、米国債利回りも急伸し、10年物は0.3%程度上昇して約2.4%で先週の取引を終えた。

 5月後半に見られた国債相場の上昇は、砂上の楼閣だったことが判明した。ボラティリティー(変動率)の抑制力としての中央銀行に対する信頼は、厳しい課題に直面している。投資家らは、皆が大きな賭けに出るモメンタム主導の取引への参入に極めて慎重になるべきだ。今後は経済指標の良しあしが一段と重要になるだろう。

 ドイツ国債が急落した結果、世界の債券市場はよりどころを失った。欧州中央銀行(ECB)の量的緩和(QE)だけを視野にドイツ国債利回りが低下し続けている間、これは他国の利回りを抑える役割を果たした。ドイツの低利回りで米国債の魅力は高まったが、両者の利回り差は縮小している。

 さらに、焦点は米国経済へ移る可能性がある。ECBがQEを進める中、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げに関する議論が市場を動かす最大の要因になる可能性は高い。米労働省が5日発表した5月の雇用統計は強気の結果となり、こうした見方を支えている。このため、米国債は金融の重心という伝統的な役割を取り戻すかもしれない。


10年物の米国債とドイツ国債の利回り差
 この状況においてギリシャは大きなリスクであり続ける。市場がギリシャのユーロ圏離脱を真剣に心配し始めた場合、高利回りは続かないかもしれない。ギリシャは5日に期限を迎える国際通貨基金(IMF)への債務返済を先送りし、月末に一括で支払う決定を下した。これは支援合意が近いという期待の表れかもしれないが、その一方でユーロ圏離脱に向けた一歩に相当する可能性もある。債券市場が後者のリスクを織り込んでいるかは分からない。

 国債相場の急落は、世界の無リスク金利の上昇につながっているため、他の資産クラスに影響する可能性もある。恐らく今回限りだろうが、社債や株式のようなリスク資産が一歩先を行っている。国債市場が次第に合理性を欠く中、欧州株式市場は横ばいで推移し、信用スプレッドは拡大した。リスク資産の投資家は、不思議の国のアリスがウサギを追いかけたように国債を追いかけようとはしなかった。

 投資家はここでまた、ファンダメンタルズ(基礎的諸条件)にさらなる注意を払うべきだ。これは株式においては株価収益率(PER)の収益の要素で、今後最も重要になるだろう。PERの上昇を招いた金融緩和による大幅な再評価は、恐らく終了している。一方、社債投資家は企業のリスク許容度が高まる兆候を注意深く見守る必要がある。

 国債の急落は悪いことばかりでもない。国債市場の自信が低下した場合、ボラティリティーが手に負えない状況にならない限り、金融リスクは抑えられる可能性がある。また、債券投資家が持ち高調整やモメンタムより経済のファンダメンタルズを重視した場合、FRBや英中銀イングランド銀行のような政策当局との足並みが一層そろうだろう。

 とは言え、長期の債券強気相場に安心しきっていた投資家は大きな課題に直面するだろう。楽な選択は過去のものとなっている。


https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0CB4QFjAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10913733382003054274504581034702354608370&ei=FiB1VfjnHJDc8AXxwoKgBg&usg=AFQjCNGrDGQb6Im25TH57_aQlTr2et2uIw&sig2=yBAfkWQppVkSljW19vPV0w&bvm=bv.95039771,d.dGc
 

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