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残業代ゼロ法案が通っても 人事部が変わらなければ意味はない(ダイヤモンド・オンライン)
http://www.asyura2.com/15/hasan97/msg/709.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 6 月 16 日 00:36:20: igsppGRN/E9PQ
 

深夜残業代を払わない裁量労働制は是か非か。単なる不払いはブラックだが、労使双方が納得できる、よりよい働き方につながる方法もある。ただし、それには人事部が相応の仕事をする「覚悟」が必要だ


残業代ゼロ法案が通っても 人事部が変わらなければ意味はない
http://diamond.jp/articles/-/73189
2015年6月16日 山口 博 ダイヤモンド・オンライン


■深夜残業手当支払いに例外はないのか

 一定年収以上の労働者に対して、時間外、深夜、休日労働などの割増賃金支払の適用除外とする、いわゆる「残業代ゼロ法案」が、今国会で再審議されている。過長労働を抑止するために、年間104日の休日、日単位での休憩時間確保、在社時間の上限設定のいずれかの措置をとることも併せて検討され、2016年4月施行を目指している。

 多くの経営者からは、ビジネス状況に応じた働き方の裁量を確保するという点から、一歩前進させる対応としてみられている。

 では、同法案成立前である、現行の労働行政下においては、時間外、深夜、休日労働の割増賃金は、必ず、例外なく支払わなければならないのであろうか。

 この問いに関して、多くの人事担当者は、時間外労働は裁量労働制の適用により、休日労働は振替休日の適用により、時間外割増賃金としては支払わなくてもよい場合があるが、深夜労働の割増賃金は、例外なく支払わなければならないと答えるだろう。

「深夜労働手当を支払わなくてもよい方法がないでしょうか」。経営者から、こう問われることが多い。そう質問する経営者の大半は、なにも深夜労働手当を支払わずに、社員をこき使って深夜労働させたいと考えているわけではない。そのように考えるのであれば、とうの昔に不払いをしている。

 わざわざ質問してくる経営者は、ビジネス状況に応じた働き方の自由度を確保することがビジネス発展に不可欠だと確信している経営者にほかならない。

 経営者からのこの問いに対して、私は、迷いなく「方法があります」と答える。経営者は、「え、本当ですか」、「実際にあるのですか」、「自社の人事部からはあるはずがないと言われたのですが」と、自ら質問してきたにもかかわらず、驚きの表情をする。

 多くの人は、「深夜労働手当を支払わなくてよい例外などないはずだ」、「労働基準法を知らないのか」、「ブラック企業を指南するとは何事か」と思うかもしれない。しかし、その方法とは、ブラック企業の不法行為でも、労働基準監督署に知られないように抜け駆けしたケースでもない。実際に行われているケースであり、複数の労基署が是認した事例なのである。

 そして、その方法は、人事部の専門家たちにも、ほとんど知られていない、今日の人事部の定説を覆す事例なのである。

■「できませんよね」と聞けば「できません」との答えが返ってくる

 その事例を紹介する前に、裁量労働の適用に関しても、人事部における定説を覆す事例があるので紹介したい。やや細部にわたる事例になるが、専門業務型裁量労働のケースである。

 専門業務型裁量労働とは、定められた19業務のうち労使協定を締結した業務について、業務遂行手段や時間配分を労働者の裁量に委ね、実際の労働時間にかかわらず協定で定めた時間労働したとみなす制度で、時間外労働手当が発生しない。

 この19業務のひとつに「いわゆるシステムコンサルタントの業務」と表記されているものがある。ここで、「いわゆるシステムコンサルタントの業務」に、システム以外も含むビジネスコンサルタント、システム以外も含むインダストリーコンサルタント、システムエンジニア、システム関連のヘルプデスクサポートなど、システムコンサルタントの周辺業務を担う社員を含めてよいか、すなわちこれらの社員を裁量労働の対象としてよいかどうかという問題が生じる。

 多くの人事部の専門家たちは、労基署に確認をせずに、「いわゆる」と表記されているとはいえ、「システムコンサルタント」と明記されているので、システムコンサルタント以外の職名を有している社員は、対象としてはならないと独断する。

 たまに労基署に問い合わせたという人事担当者もいるが、「対象とはなりません」という返事が返ってくるようだ。

 しかし実は、私が確認すると、該当させてよいという答えが、労基署から返ってくる。特殊な取引をしたり、労基署担当者を口八丁手八丁で煙に巻いて言わせたのではないかないかと冗談交じりに問われたこともある。そのような不適切なことは一切していない。

 実は、多くの人事部の専門家たちは、「システム関連のヘルプデスクサポートを担う社員は、システムコンサルタントという職名を持っていませんので、該当しませんよね」と、否定語で質問するケースがほとんどである。これは、人事部の専門家に染みついた性がなせることと言えるかもしれない。あるいは、他意はないが、しっかりルールを読み込んでいることを強調したいあまりのことかもしれない。

 否定語には否定形で返答されることが多い。「該当しませんよね」と問われれば、「しませんね」と回答されるケースがほとんどである。聞き方が、「だめだ」という答えを引き出しているのである。

 私の聞き方は、「労働行政が実体主義に基づいていることは理解しています。当社では、システムコンサルタント以外の、ビジネスコンサルタントやカスタマーサポートという職名の社員が、いわゆるシステムコンサルタント業務を行っている実体がありますので、専門業務型裁量労働の対象とすべく労使合意の協定を締結しましたので、よろしくご確認ください」という意味の内容である。

 この説明で担当官のご理解をいただき、その後、複数回、労基署の調査が入ったが、問題視されたことはない。

■上回るベネフィット提供と合意形成で深夜残業手当の不払いは是認される

 さて、「深夜残業手当を支払わなくてもよい方法」に話を戻そう。既にお気づきだろうが、前出の例のように、「深夜残業手当を支払わなくてはなりませんよね」と労基署に聞けば、「当然、支払わなければなりません」という回答が返ってくる。

 私の聞き方は、製造業の人事部時代は、「当社では深夜残業はあり得ないことと労働時間管理をしていますが、もし発生した場合でも、個別同意と労働組合同意のもと、深夜残業手当を発生させる代わりに、その後数日の間に、深夜残業時間を大幅に上回る時短勤務や休務をさせることとしました。今後、運営していく中で、問題など出てきましたら、ご助言いただけますでしょうか」というものであり、別のIT企業時代は、「深夜残業の平均時間を見込んで給与反映させています」というものである。

 労働基準監督署の担当官の見解は、@個別同意と労働組合(または社員代表)同意の両方を取り付けているか、A深夜残業手当相当分以上のベネフィットが社員にあるか、B反対する社員を無理やり合意させていないか――の3点をクリアしたうえでなら是認するというものだった。

 もっとも、「将来、訴訟などが生じた場合には個別状況で判断されるので、この時点で訴訟が生じた場合の全てに対抗できるものではありませんよ」とのコメントもついた。両社のケースとも、これらの前提をクリアしていたので、実行に移したのだ。

 労基署担当者の助言をふまえて、代替策ではなく、深夜残業手当を得たい社員に対しては、それを支払うことにした。つまり社員に選ばせたわけだが、深夜残業手当を選択した社員はごく少数だった。パフォーマンスが上がらなかったり、体調を崩しかけたりした社員に対しては、裁量労働の対象から外し、時間単位労働に切り替えた。さらに、社員が享受する時短勤務や給与反映額が、深夜残業手当金額を下回らないようにウォッチし続けた。

■人事部の専門家は手間をかける覚悟を持っているか

 裁量労働制を導入するにあたり、パフォーマンスの管理、勤務実態の管理、体調管理など、人事部は従来に増して手間をかけた。しかし、人事部の手間よりも、社員たちは、裁量をもって仕事ができることの精神的な快適さにより、満足度を高めたメリットの方がはるかに大きかったように私には思えた。

 企業の裁量を念頭におき、実体主義に立ち、法規制の主旨を体現する姿勢を示してくれた担当官に出会ったことは、私がかつて所属した企業にとって幸いなことであった。

 労基署の担当官も、人事部の専門家も、できませんと言い続けていた方が、手間はかからず、楽であり、リスクはない。しかしそれでは、社員の満足度は決して上がらない。

 今国会で審議されている、いわゆる残業代ゼロ法案が施行されたとしても、今度は、この法律を表面的になぞった運用しかしないのであれば、そうした人事部はビジネス状況に応じた働き方の裁量を高めるという残業代ゼロ法案の主旨を体現できていない。

 人事部の専門家は、当然ながら、法の主旨に沿いながら、ビジネス伸展を極大化するためのソリューションを立案し実行できるかどうか、その審判の岐路に立っていると自覚する必要があるのではないだろうか。

※社名や個人名は全て仮名です。本稿は、個人の見解であり、特定の企業や団体、政党の見解ではありません。

 

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