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“時給0円”のサポートメンバーは、何のために働くのか? 眞紀子世代、ユーミン世代と「女のコトバ」 世代を軸に分析
http://www.asyura2.com/15/hasan97/msg/900.html
投稿者 rei 日時 2015 年 6 月 22 日 08:10:49: tW6yLih8JvEfw
 

“時給0円”のサポートメンバーは、何のために働くのか?

2015年6月20日(土)内藤 忍

 2014年11月。まだ手探りで店のコンセプトを練っていた頃のことです。私が毎日更新している公式ブログ「SHINOBY'S WORLD」にこんな記事を書きました。

【募集します】来年2月オープン「SHINOBY'S BAR」のお手伝い
飲食店経験者ではなく、新しいお店で資産運用や店舗経営の勉強をしたいという仲間に手伝ってもらいたいのです。仕事の内容や報酬については、直接ご希望を伺った上でフレキシブルに決めたいと思います(お金を稼ぐというより、経験を積む機会と思ってください)。お店の理念を共有でき、自分も成長したいという真面目でやる気のある方を待っています。
(ブログより引用 http://www.shinoby.net/2014/11/3742/
 最終的に、応募は15人。店長が全員と面接して、それぞれの希望を聞いて、サポートメンバーとしてお手伝いいただく運びとなりました。

ワインにまかないを楽しめる

 サポートメンバーが月に何回、店に手伝いに来るかは全くの自由です。仕事が忙しいときはまったく来られなかったり、逆に時間があると週に何回も来てくれたり。前月末までにスケジュールを全員で調整して、決めていきます。

 手伝ってもらう仕事ですが、出勤は19時ぐらいで、店長の仕事を手伝います。料理を運んだり、食べ終わったお皿を片づけたり、ワイングラスを洗ったり・・・。日によって意外に忙しいこともありますが、空いていればお店でのんびりと時間を過ごせます。

 1時間働くと、900円相当のワインチケット1枚をもらうことができます。仕事が終わってからワインチケットで飲んでもいいし、友達と一緒に別の日にやってきてワインチケットを使うこともできます。


1時間働くとワインチケットが1枚もらえる
 さらに、合間には「まかない」が支給されます。料理人が、その日の食材で作るスペシャルメニューで、店では出していません。これが、なかなか好評で、サポートメンバーがその日のまかないと写真撮影してフェイスブックのグループでシェアするというのが、お約束になっています。


サポートメンバーに振舞われたまかない
[画像のクリックで拡大表示]
 大げさかもしれませんが、このサポートメンバーというシステムは、「ポスト資本主義のライフスタイル」ではないかと思っています。

「非金銭価値」をシェアしよう

 資本主義が資本家と労働者の契約に基づく「金銭的価値の交換」だとすれば、ポスト資本主義のライフスタイルとは「非金銭的価値のシェア」です。

 資本家が賃金を支払って、その対価として労働を得るのが資本主義。そこには雇う者と雇われる者の2者に対立があります。労働組合ができたのは、その対立が原因です。

 実は、サポートメンバーには、労働の対価としてお金が払われるわけではありません。従って、アルバイトのような副業とはちょっと違います。仕事をするという点では同じでも、その動機付けが大きく異なるのです。

 「SHINOBY'S BAR 銀座」では、サポートメンバーとの間に契約もなければ、義務もありません。メンバーの中には、フェードアウトしていく人がいるかもしれませんが、無理に引き止めようとは思いません。価値をシェアして、本当に一緒にやりたい人と、良い関係を続けていく。仕事というより、自分の好きな環境で自分のやりたいことをやっている。そんな自由なスタイルとしています。

 サポートメンバーの中には、飲食関係の専門知識を持っている人や、農業をやっている人がいます。また、国内外の不動産運用をしている人もいます。「金銭的価値の交換」でつながる資本主義的な人間関係では得られないユニークなやる気のあるメンバーとのネットワークが構築されています。

 また、来店したお客様やセミナーのゲスト講師との交流が広がって、新しい価値が生まれたり、予想もしなかった展開が実現したりしています。

 果たして、このような新しいライフスタイルが、継続的に成り立つものなのか? 現時点では、「壮大な実験」と言うしかなく、確信はありません。ただ、少なくとも現時点で、はっきり言えることは、「一緒にいる仲間としてとても気持ちのいい空間をシェアできている」ということ。そして、お互いのシェアによって、今後もっと大きな流れが生まれるのではないかという期待があります。

「夜食べるあさのカレー」の誕生

 サポートメンバーの一人に、あさのさん(ニックネーム)がいます。様々な地域のカレーを趣味で食べ歩いており、ご自身でもスパイスを調合してオリジナルカレーを作ってしまうほどの食いしん坊です。

 ワインエキスパートの資格も持っており、まだほとんど注目されていないカレーとワインの相性を究めようとしていることを聞きました。そこで、店がお願いしたのが、ワインの後に締めで食べておいしいカレーの開発です。

 隠し味に赤ワインを入れたり、辛味よりも香りが立つようなスパイスの調合を考えたりといった工夫を経て完成したカレーは、さっぱりとしているのに食べた後に香りが鼻に抜ける飽きない味。ワインの後でも食べたくなる、ありそうでない味わいに仕上がりました。

 そこで、このカレーを「夜食べるあさのカレー」と名付けて、メニューに掲載することに決めました。ワイン好きな人に大好評で、焼きトリュフリゾットと並ぶ看板メニューになっています。


「夜食べるあさのカレー」は1280円で提供している
 あさのさんには、さらにレシピの改良をお願いしました。店のスタッフでも仕込みができるようにするためです。

 大人気のカレーですが、それだけにとどまろうとは思っていません。将来の野望は、このカレーをレトルトにして、コンビニエンスストアなどで全国販売することです。ワインに合うカレーとは、どのような味なのか――。ぜひ一度、食べに来てください。

ニックネームを付けて、もう1人の自分を演じる

 15年3月29日、「SHINOBY'S BAR 銀座」にサポートメンバーと店長、シニアアドバイザーが集まりました。お店が開店してから2カ月、メンバー間の交流をし、店舗運営の改善点を話し合い、そして新メニューを試食するのが目的です。

 メニューを5月から改訂する予定があり、その候補となる新しい料理と新しいワインをテイスティングしながら、それぞれが自由にコメントしました。料理人はその意見を参考にしながら、メニューの改良をさらに進めていきます。

 サラダにトリュフを載せた料理に対して「せっかくの新鮮な野菜にトリュフはもったいない」とか、フライドポテトの揚げ具合が「もう少し火を入れてこんがりさせたほうがいい」といった具合で、容赦ない改善コメントが出てきます。といっても、前菜からお肉まで食べきれないぐらいの料理が出てきて、ワインも飲み放題。サポートメンバーと店長、そしてオーナーである私も入って、懇親会のような楽しい雰囲気でした。

 その場で、店の運営についての新しいアイデアや改善案もざっくばらんに提案されました。そのうちのいくつかは早速、取り入れました。

 「SHINOBY'S BAR 銀座」のスタッフは、サポートメンバーも含め、全員が名刺を持っていて、個人のナンバーが割り振られます。オーナーである私は、ナンバー000。サポートメンバーは004から順番に自分のナンバーが入っており、店のショップカードの代わりにもなります。


サポートメンバーの名刺
 さらに、サポートメンバーには自分のニックネームを決めてもらい、それをウェブサイトやメールマガジンで使ってもらうようにしています。

 この名刺の狙いは、仕事したり、家族と過ごしたりする普段の時間とは別の自分を演じてもらうところにあります。バーでサポートメンバーをするときには、そんなもう1人の自分がそこにいるはずだからです。仕事の場所でもなく、家でもない「第3の場所」。日常生活では味わえない、ちょっとした非日常の時間を楽しんでもらいたいと思っています。

サポートメンバーが店の売りに

 サポートメンバーの中には、数年前から資産運用の仕事を手伝ってもらっている仲間もいます。資料を作ったりセミナーの準備をしたりしているうちに、資産運用に関する知識が自然に身に付いて、今や国内外に不動産を複数持ち、金融資産やワイン投資まで始めてしまっている人もいます。知識と経験がゼロであっても、そこまで一気に到達することは可能なのです。

 いずれ、店にいらっしゃるお客様が、投資経験豊富なサポートメンバーに投資の相談をする。そんなことが当たり前になるのはもうすぐです。

 サポートメンバーは閉鎖的なグループではなく、いつも外に対して開いています。これからも新しいメンバーが加わって、新しい試みが生まれるきっかけになるのではないかと期待しています。

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目利き問屋


このコラムについて
内藤忍が仕掛ける隠れ家ワインバーの秘密 cooperation with 日経レストラン

東京・銀座に隠れ家ワインバーを立ち上げた内藤忍氏。しかし、これまでに飲食店経営の経験はゼロ。周囲に繁盛店があふれかえるなかで、どのように利益が出る店をつくっていくか。

そこで考えたのが、「一日店長」「サポートスタッフ」「忍の部屋」といったユニークなシステム。従来の飲食店ではあまり見られない仕組みで、集客し、売り上げを伸ばしている。

この取組みは、従来のビジネスモデルとは違う、コミュニティーやシェアの考え方を取り入れたサスティナブルモデルでもある。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/281665/061500001


 

眞紀子世代、ユーミン世代と「女のコトバ」

世代を軸に分析する新語・流行語(前編)

2015年6月20日(土)もり ひろし

 かねてから筆者は、新語・流行語に関する「ある仮説」を持っていました――新語・流行語の世界では「1960年代生まれの女性の存在感が大きいのでは?」。

 例えば1964年生まれの女性について考えましょう。芸能人で言えばYOU(ゆう・以下敬称略)がこの世代に該当します。本稿ではこの世代を便宜的にYOU世代と呼ぶことにします。

 このYOU世代が22歳であった1986年。4年制大学に通っていた人たちが卒業を迎えて、就職することになった年です。世の中では、男女雇用機会均等法の施行という大きな出来事がありました。つまりこの世代は、女性の社会進出が本格的に進んだ時代に社会人となった最初の世代であるわけです。

 この世代が、新語・流行語大賞の受賞語の幾つかに絡んでいるのです。例えばオヤジギャル(受賞年は1990年・以下同)、負け犬(2004年)、アラフォー(2008年)といった具合です。

 1968年生まれ(YOUの4歳年下)の筆者は、これらの言葉が少し年上の女性たちと密接に関係していることを、体感的に知っていました。それゆえ、新語・流行語の世界では1960年代生まれの女性の存在感が大きいのでは?という仮説を持っていたのです。

 こうなると気になるのが「他の世代」の動向です。そもそも他の世代の女性たちは、どんな新語・流行語に絡んでいるのでしょうか。そしてYOU世代に関連する新語・流行語の受賞傾向は、他の世代に比べて「特殊」なのでしょうか。

 今回の「社会を映し出すコトバたち」は、新語・流行語大賞の受賞語のうち「女性関連の言葉」を、世代別に紹介・分析しましょう。本稿はその前編です。

眞紀子世代(1)仕事・趣味の新しい地平

 分析対象とする女性は「戦後の昭和生まれ」とします。また分析対象とする新語・流行語は原則として「新語・流行語大賞(1984年創始)の受賞語」とします。

 また各世代の代表を、1944年生まれ(2015年で71歳になる人・以下同)、1954年生まれ(61歳)、1964年生まれ(51歳)、1974年生まれ(41歳)、1984年生まれ(31歳)と設定します。前述したYOU世代(男女雇用機会均等法の第1世代)から見て、10年単位の先輩・同輩・後輩世代に相当します。

 田中角栄の娘、田中眞紀子 が誕生したのは1944年1月14日のこと。昭和でいえば19年。第2次世界大戦が終わる1年前のことでした。本稿では1944年生まれの世代(広義にはその前後5年間に生まれた世代)を便宜的に「眞紀子世代」と呼びます。

 ちなみに「団塊の世代」が生まれるのは1947年(昭和22年)から1949年(昭和24年)にかけてのこと。つまり田中眞紀子よりも、ちょっとだけ年下の世代となります。ただし広義の眞紀子世代の範囲と考えます。

 眞紀子世代の女性像を語るうえで欠かせないのが「アンノン族」と「キャリアウーマン」という2つの言葉です。

 アンノン族は、女性誌「anan」や「non-no」の影響を受けた女性を指す言葉でした。とりわけ旅行分野では、アンノン族の流行以降、女性の一人旅という新習慣が定着しました。

 なおanan(対象読者は20代女性)の創刊は1970年。眞紀子世代が26歳の時の出来事でした。アンノン族が本格的に流行したのは70年代中期なので、該当する消費行動を実際に行った女性の年齢は、もう少し年下だったかもしれません。

 いっぽう同じ1970年代(眞紀子世代の26〜35歳)に徐々に定着したのがキャリアウーマンという言葉。広辞苑(第6版)は「熟練した知識や技術をもち第一線で働いている女性」と説明しています。ただ、この言葉を筆者なりに言い換えると「結婚ではなく職業を選んだ女性」を実質的に表していたように思います。

 ともあれ眞紀子世代の女性は、20代から30代のころ趣味・職業の両面で新しい価値観を体験した人たちだったのです。

眞紀子世代(2)専業主婦・妻という立場

 新語・流行語大賞における眞紀子世代に関連する受賞語には、「専業主婦」や「妻」に関連したものが多くあります。

 おそらくそのタイミングのせいもあるのでしょう。新語・流行語大賞が始まった1984年に、眞紀子世代は40歳を迎えました。つまり彼女たちが20代・30代の時期に絡んだ新語・流行語(例:1964年の「みゆき族」など)は、受賞の機会がありませんでした。

 例えば1983年(眞紀子世代39歳)に話題になった言葉に「家庭内離婚」(受賞は1985年)がありました。これは、夫婦の少なくとも一方(多くの場合は妻)が離婚を望んでいるのに、実際には離婚できずに同居している状況を指します。現代的な家庭環境(核家族化、妻の高学歴化、高齢化社会の到来、受験戦争の激化)と、伝統的な夫婦の価値観(一度結婚したら離婚は難しい、亭主関白など)が食い違ってきたことが背景にある――と言われた問題でした。

 また「くれない族」という言葉も新語・流行語大賞を受賞しています。これは1984年(眞紀子世代40歳の年)放映のドラマ「くれない族の反乱」(TBS系)で話題になった言葉。経済的には安定している専業主婦が、実は不満を抱えている様子(夫は◯◯してくれない、など)を描いたドラマでした。

 受賞語の中でも特に強烈なのが、1989年(眞紀子世代の45歳)に受賞した「オバタリアン」という言葉。ホラー映画のタイトル「バタリアン」と「オバサン」の合成語で、同名の4コマ漫画から話題になりました。図々しく、羞恥心がなく、自分勝手なオバサンのことを言います。

 そして1993年(眞紀子世代49歳の年)には、プロ野球選手・落合博満(当時)の夫人である落合信子(当時49歳) のエッセイ「悪妻は夫をのばす」も受賞語となっています。

 まとめると、2014年末現在、新語・流行語大賞を受賞した眞紀子世代に関連する言葉は、上記の4語と、2004年受賞の「冬ソナ」(眞紀子世代も主要な視聴者層だった)を加えた5語となります。このうち「家庭内離婚」「くれない族」「オバタリアン」「悪妻は夫をのばす」の4語が「専業主婦」または「妻」に関連した言葉でした。

 総括すると、眞紀子世代はキャリアウーマンやアンノン族などの新しい価値観を体験した世代でした。しかし新語・流行語大賞の範囲では「専業主婦」や「妻」としての存在感が大きい世代だった、と言えそうです。

ユーミン世代(1)社会進出に立ちはだかる障害

 次に分析するのは1954年生まれの女性です。この年に生まれた有名人女性には、シンガーソングライターの松任谷由実、作家の林真理子、女優の檀ふみや高畑淳子などがいます。本稿では1954年生まれの世代(広義にはその前後5年間に生まれた世代)を、松任谷由実の愛称からユーミン世代と呼称しましょう。一般的な世代呼称では「ポスト団塊世代」あたりに相当します。

 このユーミン世代が若いころに流行った言葉の1つに「翔んでる女」という言葉がありました。1977年から79年ごろ(ユーミン世代の23〜25歳ごろ)に流行した言葉です。その1979年には、映画「男はつらいよ」の23作目「翔んでる寅次郎」も公開されています。この回でマドンナだったのが、当時28歳だった桃井かおり(1951年生まれ) でした。彼女も広義のユーミン世代です。

 翔んでる女の語源は、当時の若い女性が、格好良い感じのことを「翔んでるぅ!」と表現したこと。現代だと「イケてる」「ヤバい」に似た語感でしょうか。ユーミン世代が、当時としては最先端の感覚の持ち主だったことが分かります。もっとも、若い世代が先端的感覚を持つことは普遍的な傾向でもありますが。

 さてそんなユーミン世代が絡む「新語・流行語大賞の受賞語」を観察すると「女性の社会進出に立ちはだかる障害」を思わせる言葉に存在感を感じるのです。

 例えば1987年(ユーミン世代33歳の年)に話題になった「アグネス論争」はその1つ(受賞年は1988年)。産休後にテレビ出演への復帰を果たしたタレントのアグネス・チャン(当時32歳)が乳児を連れてテレビ局に出向いた話を、作家の林真理子(当時33歳)などが「プロ意識に欠ける」などとして批判。様々な論客を巻き込んだ論争に発展したのです(アグネス・チャンがテレビ局から「子連れで来ていいから番組に出てくれないか」と持ちかけられていた話は当時あまり知られていなかった)。

 また1989年(ユーミン世代35歳の年)には「セクシャル・ハラスメント」(セクハラ)も受賞語となりました。日本初のセクハラ裁判と呼ばれる訴訟が起こった年のことでした。ちなみにこの裁判の原告となった女性の年齢が、当時32歳(広義のユーミン世代)だったのです。

 アグネス論争もセクハラも「女性の社会進出に立ちはだかる障害」が背景になった言葉です。この障害は、ユーミン世代の新語・流行語に独特の「傾向」だと思ってよいでしょう。

ユーミン世代(2)専業主婦や妻としての側面

 いっぽうでユーミン世代の新語・流行語のなかにも、眞紀子世代と同じように「専業主婦」や「妻」に関連する受賞語がありました。

 例えば1986年(ユーミン世代32歳の年)の受賞語である「亭主元気で留守がいい」は、KINCHO(大日本除虫菊)のテレビCMで話題になった言葉。CMに出演した女優のもたいまさこは、当時34歳でした。

 また1997年(ユーミン世代43歳の年)の受賞語である「失楽園(する)」は、作家・渡辺淳一による同名小説から広まった言葉で、「不倫」を意味する流行語でした。作中で不倫の一方の当事者となる登場人物・松原凛子の設定年齢は30代後半。広義のユーミン世代(当時38〜43歳)とぎりぎり重なります。

 また眞紀子世代の項にも登場したドラマ「冬ソナ」(冬のソナタ)は、ユーミン世代も主要な視聴者層の1つでした。

 まとめるとユーミン世代の受賞語は、2014年末現在、亭主元気で留守がいい、アグネス論争、セクシャル・ハラスメント、失楽園(する)、冬ソナの5語ということになります。

 このうちアグネス論争とセクシャル・ハラスメントの2語に、筆者はこの世代独特の傾向――すなわち「社会進出に立ちはだかる障害」という傾向――を感じているところです。

後編はYOU世代、ベッキー世代などを取り上げます

 ということで前編はここまで。

 前編の内容を、いったん、まとめましょう。まず1944年生まれの眞紀子世代は(新語・流行語大賞の範囲に限ると)「専業主婦や妻に関する言葉」(家庭内離婚など)に存在感がありました。それに比べて1954年生まれのユーミン世代は「社会進出に立ちはだかる障害」(セクハラなど)に存在感があったわけです。

 後編では引き続き1964年生まれの「YOU世代」、1974年生まれの「吉田羊世代」、1984年生まれの「ベッキー世代」、1994年生まれの「まゆゆ世代」を取り上げる予定です。

 果たしてYOU世代の受賞傾向は、他の世代と比べて特殊なのか? 後編でさらに検討を加えることにします。

このコラムについて
社会を映し出すコトバたち

毎回、○○が付く言葉、○○に関連する言葉といった具合にテーマを設けて、そのテーマに該当する「コトバたち」を紹介していくコラムです。登場語 に共通する背景を探ることで「社会を映し出す」ことを目指します。題して「社会を映し出すコトバたち」。どうか気軽にお付き合いください。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/216653/061700001  

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