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150629 ビジネス知識源:緊急号:急展開したギリシア危機とその波及(1)
http://www.asyura2.com/15/hasan98/msg/305.html
投稿者 rei 日時 2015 年 6 月 29 日 12:43:05: tW6yLih8JvEfw
 

2015/06/29
150629 ビジネス知識源:緊急号:急展開したギリシア危機とその波及(1)
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 <あなたとチームの、ビジネス知識と仕事の技法の向上>
       ビジネス知識源(本誌は無料版です)

【良質な経営・ビジネス・IT・経済・金融・知識の提供を目標に】
     2015年6月29日: Vol. 332 

<Vol.332:緊急号:急展開したギリシア危機と、その波及(1)>
http://archive.mag2.com/0000048497/index.html

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     HP: http://www.cool-knowledge.com/
(過去の有料版からも抜粋し載せています)
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     感想/連絡:yoshida@cool-knowledge.com
           Systems Research Ltd.  吉田繁治
   42783部
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

こんにちは、吉田繁治です。先週の金曜日(6月26日)までは、資
金支援で合意すると見られていたギリシアに対し、支援交渉が打ち
切られたというニュースが飛び込んできました。緊急号を送ります。

資金支援の条件は、ギリシア政府の緊縮財政でした。

【政府支出の70%】
人口が1103万人のギリシアの政府支出では、年金を含む社会保障費
と、国民の50%の公務員の人件費が70%に達します。失業率は25%
(4人に1名)と、恐慌並みであり、商品の付加価値生産を示すGDP
は、2008年以来、下がり続けています。

2013年のGDPは$2422億(29兆円)です。国民1人当たりでは263万
円。日本は、1人当たりGDPが400万円ですから、その65%です。

公然とした脱税も多いという。ユーロ離脱を感じた銀行預金が、国
外に流出しています。ドラクマに戻ると価値が暴落するからです。
キプロスの財政危機のときのように、ビットコインへの交換も多い
でしょう。政府は、必ず、引き出し額を生活費以内にする預金封鎖
を実行するはずです。

【年金と公務員の給与】
政府支出を減らす緊縮財政は、年金のカット、公務員の削減、そし
て増税しかない。年金の支給開始の平均年齢は61歳です。55歳から
前倒しで支給ができます(注)2013年の危機の後の、改定後の支給
開始は67歳に引き上げられています。

ただし55〜65歳で働く人は、まだ36%でしかない。働く人の率は米
国の60%、ドイツの63%、日本の65%と比べて低い。(注)南欧圏
のフランス、イタリアもこの年代の就業率は、40%台と低い。

【賃金と年金】
現役の賃金は$2.4万(288万円:2013年)です。この96%もあった
年金は、2013年の削減後は54%です。今、155万円でしょう。削減
後も、現役の賃金に対する支給率は高い。わが国の1世帯は200万円
くらいですが、支給率は現役賃金の50%程度です。

ギリシアの現チプラス政権は、EU(欧州経済連合)とIMF(国際通
貨基金)の債権者団に対し、一層の年金と公務員の削減を約束する
緊縮案を出していました。合意に達したと報じられのが、先週の火
曜だったのです。

【国民投票にかける】
ところが、国民の支持を失うことを恐れたチプラス政権は、緊縮案
採否の国民投票を決めたのです(今週火曜日)。その途端、債権団
は支援交渉の打ち切りを通告しました(金曜日)。

国民投票が、ふたたび年金をカットされ、公務員も職を失うのを否
決することは確定でしょう。一方では、矛盾したことですが、ユー
ロからの離脱に対し、国民の70%は反対しているのです。

ユーロが強く、それがドラクマの時より賃金の高さと生活水準の高
さをもたらしているという利益があるからです。

国民投票で反対が決まった後は、債権団が、ギリシア政府に対し緊
縮の要求をすることは難しくなります。南欧への債権国は、ギリシ
アへの資金支援を、ほぼ永久に続けなければならない。

【すでに45兆円の、支払い延期を含む支援】
2010年からのギリシア危機の後、債権国と銀行は、3回の合計で
3260億ユーロ(45兆円)の貸付金を含む支援をしています。

返済のリスケジューリング(延期)は、約定返済分を追い貸しする
ことと同じです。債権のカットは、$1000億(12兆円です)でした。
ドイツの負担が30%(15兆円)を占めています。

4年間の支援45兆円は、ギリシア国民1人当たりで400万円です。3人
家族への換算では、1200万円という、とても大きな金額です。

【デフォルト】
債権国が支援を打ち切れば、ギリシア国債と対外借り入れは、同時
にデフォルト(支払不能)します。政府は支援金で支払って来た年
金と公務員給与を、更に50%はカットしないと払えないでしょう。

同時に、統一通貨ユーロ圏から、離脱を迫られます。弱い通貨(新
ドラクマ)に戻ります。その前に、現在はユーロのギリシアの預金
は、ユーロである間に国外に逃走するでしょう。ドラクマなら、半
額どころか4分の1に減るからです。国家が破産したとき、通貨は数
分1に暴落します。

ギリシアの対外債務は、2015年で3160億ユーロ(57兆円:1ユーロ
=138円換算)です。

2014年のユーロ18か国のGDPは、13兆ユーロ(1794兆円)です。

【ユーロ18か国のGDPに対しては、ギリシアの債務は小さいが】
ユーロのGDPは日本(名目490兆円:2014年)の3.7倍、米国($16.
8兆:2016兆円)の89%です。

参考のために中国を言えばGDPは$9.24兆(1100兆円)に増えて日
本の2.2倍になっています。日本が、アベノミクスとともに、50%
の円安になったことも原因です。通貨の下落は、その国の経済を縮
小させ、窮乏化させるのです。

ギリシアの対外債務3160億ユーロ(57兆円:2015年)が100%デフ
ォルトしても、ユーロのGDPに対しては3.2%です。1/30ですから小
さい。大きな影響はないように思えます。

しかし、想定できる波及は小さくはないと見ています。

【検討すべきこととテーマ】
予測のためには、ユーロ(特にドイツ)の金融機関の構造とデリバ
ティブ、そして、かつてはPIIGSと言われ、現在は周辺国と言われ
ている南欧の対外債務を知る必要があります。

本稿のテーマは、<急展開したギリシア危機とその波及>とします。
ドイツの銀行の破産や、ユーロの崩壊にまでも至る可能性もあるか
らです。

【まさか・・・】
債権国とIMFは、ギリシアのデフォルトが、ユーロ崩壊にまで波及
する可能性もあるとは思っていないでしょう。

世界の投資家や銀行も今はまだ、「まさか」と考えています。果た
して、まさか」かどうか、本稿で材料を発掘して可能性を検討しま
す。確定ではないので、念のために言い添えておきます。

ただし、銀行と投資家が、08年のリーマン危機のときのように、債
券、証券売りの心理的なパニックに陥らなければ、波及は浅い。デ
フォルト後、1週間くらいを見れば、わかるはずです。

さっきのBBCのニュースではユーロから離脱することを恐れた預金
の国外流出を抑えるため、政府は、銀行の営業を停止し、預金封鎖
を発動したようです。引き出しは、少額の生活費しかできないはず
です。(2015年6月29日:午前8:30)

預金封鎖の発動とは、ギリシア危機はいよいよ、ユーロ離脱問題
になったことを意味します。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

<Vol.332:緊急号:急展開したギリシア危機と、その波及(1)>

      2015年6月29日:午前8時30分 作成

【目次】

1.西欧諸国の利害が一致した、統一通貨ユーロ
2.ユーロ圏内の、巨大になった対外債務
3.GDPの2倍を超える対外債務が、火薬庫になっている
4.ギリシアのデフォルトの、波及の可能性

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■1.西欧諸国の利害が一致した、統一通貨ユーロ

欧州は、米国と世界に輸出し、代金を基軸通貨である米ドルで受け
とっていました。外貨準備やドル債として蓄めておいても、定期的
に切り下がるため、ドイツやフランスは、不満を抱いていたのです。

通貨が異なる国家を超えた貿易で使う基軸通貨は、経常収支の黒字
またはバランス国が発行し、価値が変わらないものであるべきです。

【基軸通貨の利益】
米国は「自国通貨であるドルを増刷すれば(信用を拡大すれば)、
海外から商品がいくらでも買える」という特権的な地位を、甘受し
ています。(注)ドル紙幣の散布を含む米国の対外債務は$20兆
(2400兆円)にもなっています。2400兆円分、現金と債券を刷って、
海外の商品と資産を得てきたということです。

ユーロ作りに貢献したとしてノーベル賞を受けた経済学者のマンデ
ル(本当は金本位主義者)は、EU(欧州経済連合)に対して統一通
貨ユーロの、基礎理論を提供しています。

この理論を元に、EU内(28カ国)の中に統一通貨圏を作ることを行
ったのは、ドイツとフランスです。ユーロの加盟は、ギリシアを含
んで18国です。

(注)マンデルは、世界金融危機の後の2010年頃から中国に対して
は、元を金価格と連動する金本位通貨にして、世界の新たな基軸通
貨にすることも提案しています。

▼ユーロに入るための財政偽装

ユーロへの加盟の条件は、政府債務がGDP比60%以下、毎年の財政
赤字はGDPの3%未満でした。

通貨を強くするため、ユーロ加盟を望んでいたギリシアは、米国の
投資銀行、ゴールドマン・サックスが提案した「通貨スワップ付き
のレポ金融」によって、政府債務オフバランスにして60%以下に、
財政赤字も3%以下に偽装します。

【通貨スワップ付きの、レポ金融を使う】
・ギリシアは、ヘッジ・ファンドに、ドラクマ国債を1兆円分、担
保に差し出す。
・ヘッジ・ファンドは、担保の2倍の、2兆円を貸し付けする。
・2兆円の債務の支払いとしては、国有のギリシア空港の使用料、
年金資金、社会福祉の基金を充てる契約を、裏で交わす。

【差し出した担保との差額は、政府収入になった】
以上の取引によって、ギリシア政府は1兆円の国債発行(財政赤
字)で2兆円を得ます。

将来の政府収入を引き当てた税収が、今年1兆円あったようになっ
て、1兆円分の財政赤字が、消えたようになるのです。将来の税収
で返済すると約束して2兆円借り、担保は1兆円の国債発行であり1
兆円しか借りていないようにもできるからです。

この方法で、ギリシアは財政赤字をGDPの3%以内と偽装し、加盟条
件を作りました。(注)1兆円は例えです。実際の金額はもっと大
きい。

ゴールドマン・サックスの傘下のヘッジ・ファンドは、未来のギリ
シア政府の税収を担保にとりました。通貨スワップを含むレポ金融
(債券担保借入)のデリバティブは、政府会計から、オフ・バラン
ス(簿外取引)にできます。

後に、ゴールドマン・サックスは、財政偽装を、ギリシアの次期政
権とともにバラし、あらかじめかけていたCDS(債務の回収を保証
する保険)を6倍から10倍高騰させて、巨大利益を得ています。

ゴールドマン・サックスは、生命保険をかけた殺人のようなことを
行っていのです。

【ドイツにとっての、ユーロのメリット】
自動車や機械などの商品力が強く、貿易が恒常的に黒字のドイツマ
ルクは、通貨が強くなり続けます。

一方で、ユーロの価値は、「(ドイツマルクの価値+他の17カ国の
通貨の価値)÷2」で、ドイツにとって、安くなります。このため、
ユ―ロは、輸出力の強いドイツにも有利な通貨になります。

【経常収支の赤字国にとってのユーロのメリット】
フランスと南欧を含む経常収支(貿易収支+所得収支)の赤字国に
とって、自国の単独通貨より高くなるユーロは、以下の利点があり
ます。

・輸入商品を、安く買える。
・為替差損がないので、ユーロ圏からの対外借り入れが容易になる。
・同じく為替差損がないため、ドイツから南欧へは不動産投資が起
こる。
・対外借り入れを、低い金利で行える。

経常収支の赤字国と黒字国で利害が一致したユーロは、1999年にま
ず貿易通貨から、2002年から紙幣の発行が開始されました。

米国からのユーロ買いも起こって、ユ―ロは、加盟国に、経済的な
繁栄をもたらします。

太陽がふんだんに降り注ぎ、セザンヌの青のように美しい地中海に
面した南欧へは、陰鬱な気候のドイツや、曇天が多いフランスから、
不動産投資が起こって、南欧の不動産は3倍〜4倍に高騰しています。

ただし、ユーロは経済力、財政、賃金、税制が異なる国で通貨を同
じにするため、反ドルのマンデルが想定していなかった構造的な欠
陥をかかえていたのです。

【ユーロには、構造的な欠陥がある】
(1)貿易赤字国が、貿易赤字を増やしても、ユーロ18か国内では、
通貨が下がらない。このためドイツは貿易黒字が拡大するが、赤字
国の貿易赤字も拡大し続ける。通貨での調整はない。

(2)対外債務国の債務が増えても、通貨は下がらず、金利も上が
らない。つまり、対外債務を減らすための通貨シグナルが働かない。

このため債務国の債務は、膨らみ続ける。ギリシアを含む南欧(イ
タリア、スペイン、ポルトガル)がこれでした。大国フランスも含
みます。

ユーロは、この構造に内在する問題から、必ず債務問題が起こって、
将来いずれの日かは、必ず、破綻する通貨だったのです。

■2.ユーロ圏内の、巨大になった対外債務

                  対外債務
     GDP(ユーロ) 対外債務(円換算) GDP比
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
フランス   1.8兆   4.2兆(580兆円) 2.4倍
スペイン   0.7兆   1.9兆(260兆円) 2.8倍
ポルトガル  0.2兆   0.4兆( 55兆円) 2.5倍
イタリア   1.2兆   2.0兆(275兆円) 1.6倍
アイルランド 0.2兆   1.7兆(235兆円) 10.9倍
ギリシア   0.2兆   0.4兆( 55兆円) 2.5倍
ドイツ    2.4兆   4.2兆(580兆円) 1.7倍
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
以上7国合計 6.7兆   14.8兆(2040兆円) 2.2倍 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(2011年)
http://scholar.google.co.jp/scholar?q=CDS,+bond+spread+and+sovereign+debt+crisis+in+peripheral+EU&hl=ja&as_sdt=0&as_vis=1&oi=scholart&sa=X&ei=M22PVe-5Eofk8AWBhpLgDw&ved=0CB0QgQMwAA

2011年の若干古いデータですが、危機後の現在も、対外債務のGDP
比は変わっていません。

ユーロ内は、為替リスクがないため、単に金利差で、金融機関の対
外貸付が、上記のように増えました。経済力が弱い南欧への貸し付
けは、北部欧州に貸すより、金利が高かったからです。

【日本の対外債務】
日本の対外債務も、578兆円であり、GDP(名目490兆円)の1.2倍で
す。しかし対外債権が945兆円(GDPの1.9倍)もあり、対外純資産
が366兆円です(2014年12月末)。
https://www.mof.go.jp/international_policy/reference/iip/
2014_g.htm

日本では、政府の、国内に対する債務(1200兆円:GDPの2.4年分)
が、大きな問題です。対外債務の問題はない。海外が借金の返済を
迫って、あるいは追加の貸しつけをしないという理由で、国家つま
り政府が破産することはないのです。

■3.GDPの2倍を超える対外債務が、火薬庫になっている

ユーロ諸国は、対外債権が対外債務とほぼ同じ額のドイツを除き、
フランスの対外債務がGDPの2.4倍、スペインが2.8倍、ポルトガル
が2.5倍、イタリアが1.6倍です。

2010年9月以降、債務危機になったアイルランドに至っては、GDPの
10.9倍でした。ユーロ圏内では為替差損がないので対外貸付と海外
借り入れが、どんどん増えたのです。ユーロがもつ構造的な欠陥が
これです。

(注)このため、ギリシア危機を乗り越えても、その後ずっと、
ユーロには定期的に(2年や2.5年サイクルくらいで)、危機が来る
と予想しています。原因は、対外債務の累積問題です。

ユーロの構造がもつ問題は、時間が経っても改善せず、悪化するか
らです。

【財政赤字と対外債務は、今後、一層増える】
欧州諸国も、日本を追って高齢化に向かうので、年金と医療費が増
え、経済の成長率は低下し、政府の赤字と債務は増加を続けるから
です。ユーロは、今回ではなくても、いずれ対外債務問題で崩壊す
る宿命にあります。いずれは100%来るユーロ崩壊を、見通してい
る人がいるかどうか。

(注)すぐ崩壊ということではありません。ユーロは長期的な観点
からは、スイスフランに替えておいたほうがいいでしょう。

【財政危機とは】
アイルランドがギリシア危機の引き金を引き、次に債務危機になっ
たのはスペイン、ポルトガル、イタリアでした(2010〜2012年)。

債務危機とは、国債が信用を失って下落し、金利が上がり、追加の
国債発行が困難になるため政府の支払いができなくなることです。

ユーロに属すると、自国での通貨発行権は、なくなります。中央銀
行に、自国の国債(政府の債務証書)を買わせ、マネーを増発する
という方法はない。つまり財政危機を先延ばしする手段がなくなり
ます。

(注)米国と日本は、国債を中央銀行に買わせることで、財政危機
の先延ばしを行っています。国債への信用がある間、これができま
す。信用がなくなると、国債は売られて金利が高騰し、中央銀行が
買っても価格の維持ができなくなって、財政危機になります。

通貨(為替レート)は同じでも、国債の金利は、各国で異なります。
ある国の長期国債の流通価格が20%くらい下がって、金利が7%を
超えることが続くと、政府は破産します。

ユーロ内の各国政府は、通貨発行権がない企業と同じです。財政赤
字が大きくなって、対外債務が増えると、通貨の増発には頼れず、
破産します。

(注)日本では政府債務が1200兆円と多い。長期国債の金利が3%
になると、国債価格を一層下げ、金利は更に上げる追加の国債発行
が難しくなって、財政は破産に向かいます。

財政破産とは、政府が支払うべきもの(一般会計、特別会計、国債
の返済と利払い)が、払えなくなり、延べ払いやカットされること
です。国債が発行できないために資金が不足するときは、どうやっ
ても払えない。

財政信用がなくなったときの国債発行は信用を更に落とし、金利は
ギリシアのように20%、30%と高騰して、売れない国債がますます
下がって、国債発行ができなくなるからです。

【ECBが打った対策】
2010年から2012年のユーロ危機の時は、ECB(ユーロの中央銀行)
が、PIIGSの信用収縮で足りなくなったユーロを、緊急に供給しま
した(月間600億ユーロ:8.2兆円)。

最終的には「ギリシアと南欧を救うためには、何でも行う」という
ドラギ総裁の「口先介入」により、2014年には、国債の価格を決め、
長期金利も決める債券市場で売りが減って落ち着きを見せていたの
です。

このときギリシアと南欧の債務問題は再発するというメールマガジ
ンを送りましたが記憶されているでしょうか。(注)米国にも、実
は、リーマン危機のときの不良債権が、まだ最低でも500兆円は残
っています。

【市場は、理論価格に対して、心理で価格をつけている】
国債の信用は、日々売買をしている市場の投資家と金融機関の心理
によります。未来を信じる信用は、心理的なものです。

ドラギ総裁の「口先介入」が効果を上げたことからも、信用は心理
的なものからとわかるでしょう。心理的なものは他へも波及します。

■4.ギリシアのデフォルトの、波及の可能性

ギリシアのデフォルトが決定すれば、どうなるか? 

ギリシアの対外債務は、総額で3160億ユーロ(57兆円)です。18か
国合計の経済力(GDP:13兆ユーロ(1794兆円))に対し3.3%であ
り、大きくはない。問題は「波及」です。

▼2008年の米国の金融危機のときは・・・

米国の金融危機は、リーマン・ブラザーズ(総資産6910億:83兆
円)を政府が救済しなかったことによって、全面的な債券の下落に
まで波及し、大きくなりました。

金融機関と投資家は、「米国政府とFRBは、リーマンを救済するた
めに、資金を出す」と見ていたからです。ところが、政府とFRBは、
リーマン・ブラザーズを、倒産させるままにしまた。(AIGを救い、
リーマンを破産させた理由は謎です)

市場が起こるはずがないと前提していたリーマンの破産により、債
券、株、デリバティブをもつ投資家と金融機関は、心理的なパニッ
クに陥ります。

自分がもっている債券やデリバティブ(MBS:住宅ローンの回収権
を証券化した証券)が、多くの金融機関の破産で、無価値になるの
ではないかという心理でした。

このため、債券とMBS(住宅ローン担保証券)に一斉の投げ売りが
起こって価格は暴落し、下がっても買い手は増えず、それらの証券
をもつ金融機関の全面的な危機になっていったのです。

投げ売りとは指し値ではなく、市場がつける価格で売ってしまうこ
とです。金融機関からの、一斉の投げ売りが起こると、債券市場は
崩壊し価格がつかなくなります。

PIIGSには、2010年から2012年の「前科」があります。

▼デフォルトが起こったときの金融機関と投資家の、想定心理

EU(欧州経済連合)、ECB(ユーロの中央銀行)、IMFが救うはずの
ギリシアが救われず、デフォルトした。

対外債務がGDPの2倍以上の国は、ギリシア(2.5倍)以外に、ポル
トガル、スペイン(2.8倍)、フランス(2.4倍)である。イタリア
は、対外債務はGDPの1.6倍だが、国債残がGDP比で1.5倍(2015年)
もある。

(注)国債残のGDP比は、日本2.3倍、米国1.1倍、英国1.0倍、ドイ
ツ0.8倍、フランス1.2倍、イタリア1.5倍です(2015年)。
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/007.htm

●2008年9月に、米政府が大手投資銀行リーマン・ブラザーズを救
わなかったために、金融危機が全体に拡大したように、ギリシアが
デフォルトした場合、市場の投資家心理から、南欧債売りが増えて、
PIIGS危機が再来する可能性があります。

【理論価格は無視される】
国債、債券、証券、株は、投資家が自信を失い一斉に売りに出ると、
理論価値がいくらであっても、どこまでも暴落する性格をもってい
ます。これが、われわれが選んでいる市場経済の、本質的な性格で
す。

【危機の再来の可能性】
ギリシアがデフォルトすれば、2012年のPIIGS危機が再来する可能
性も高くなります。

月曜日(6月29日:日本時間 月曜日深夜から火曜日早朝)の
FTSE100(ユーロ100社)、次に米国ダウやナスダックの株式市場を
注目しましょう。注目点は、投資家からの、売りの勢いです。

ただし、ユーロの政治的な決定は、言葉と論理が不明瞭な性格があ
ります。前言を翻(ひるがえ)して救済することも、わずかですが、
残っていないわけではない。

本号は、いったんここまでで送ります。

【後記】
2015年6月29日午前8時時点の、日経平均先物、NYダウ、欧州の
FTSE100には、まだ、目立った動きは出ていません。

今後、1週間くらいを見る必要があります。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
【ビジネス知識源アンケート:感想は自由な内容で。
以下は、項目の目処です】

1.内容は、興味がもてますか?
2.理解は進みましたか?
3.疑問点、ご意見はありますか?
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5.差し支えない範囲であなたの横顔情報があると、今後のテーマ
と記述のとき、より的確に書く参考になります。

気軽に送信してください。感想やご意見は、励みと参考にもなり、
うれしく読んでいます。時間の関係で、質問への返事や回答ができ
ないときも全部を読み、多くの希望がある共通のものは記事に反映
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<772号:FRBの利上げ予想が、なぜ世界の金融を揺らすのか>
      2015年6月10日

【目次】

1.リーマン危機は、なぜ世界的な金融危機になったのか
2.投資銀行の資金調達は、レポ金融
3.証券化金融でできたMBSの暗転
4.レポ金融での担保価値の下落
5.2015年12月に想定するFRBの利上げは、レポ金融を縮小させる
6.シャドー・バンク間で$3.75兆(450兆円)の信用縮小が起こる
とどうなるか。

【後記】  

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コメント
 
1. 2015年6月29日 15:28:41 : nJF6kGWndY

こうして、たまにデフォルトが起これば、負債(=金融資産)のGDP比の膨張は、反転し、格差拡大は緩和されることになるし、浪費癖のある国民の反省材料にもなるから、そう悪いことばかりとも言えないが

問題は、政府や中銀が救済することで、(カットされるとはいえ)、本来は投資家が負うべきだった損失が、結局、ほぼ無関係な国民に転嫁され続けることだ

やはり解決策は、(成長は下押しするとしても)規制強化くらいか


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