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5月米貿易赤字:419億ドルに拡大−輸出が減少、輸入は横ばい さよならギリシャ ECB:モラルハザード緊急流動性支援停止
http://www.asyura2.com/15/hasan98/msg/559.html
投稿者 rei 日時 2015 年 7 月 08 日 00:03:14: tW6yLih8JvEfw
 

5月米貿易赤字:419億ドルに拡大−輸出が減少、輸入は横ばい
2015/07/07 23:00 JST
  (ブルームバーグ):5月の米貿易赤字は前月から拡大した。輸出の減少が響いた。輸入はほぼ前月並みだった。
米商務省が7日発表した5月の貿易収支 統計によると、財とサービスを合わせた貿易赤字(国際収支ベース、季節調整済み)は前月から2.9%増えて419億ドル。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は427億ドルだった。前月は407億ドル(速報値409億ドル)に修正された。
輸出額 は0.8%減の1886億ドル(前月は1901億ドル)。民間航空機や産業機械、通信機器、医薬品、半導体の輸出が減った。
一方、石油製品や化学製品の輸出は堅調だった。石油を除いたベースでは貿易赤字は6.5%拡大した。
輸入額 はほぼ変わらずの2305億ドル(前月は2308億ドル)。原油や化学製品、資本財の輸入が減った。
国内総生産(GDP)の算出に使用されるインフレの影響を除いた実質財収支の赤字は584億ドルと、前月の569億ドルから拡大した。
統計の詳細は表をご覧ください。
原題:U.S. Trade Gap Grew in May as Exports Fell Most in Three Months(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ワシントン Michelle Jamrisko mjamrisko@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Vince Golle vgolle@bloomberg.net; Carlos Torres ctorres2@bloomberg.net
更新日時: 2015/07/07 23:00 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NR4DGBSYF01V01.html

【コラム】さよならギリシャ、それが最善の道−ギルバート
2015/07/07 16:34 JST

  (ブルームバーグ):ギリシャ国民がチプラス政権の緊縮拒否を明確に支持したにもかかわらずバルファキス氏が財務相を辞任したのは、チプラス首相の交渉への真剣さを示すものだろうが、多分もう遅過ぎる。
ユーロ圏は今や、2つの最悪の道から選ばざるを得ない。あらためて国民の支持を得て交渉に臨むチプラス首相が税や年金について今までより譲歩するはずもない。ここで債権者側が合意すれば、どう見てもギリシャのごね勝ちとなる。ギリシャをユーロ圏から出て行かせれば自国通貨としてのユーロの採用は取り消すことができると証明してしまうことになるが、2つの悪の間ではこの方がまだましだろう。
ユーロの守護者たちはギリシャ国民に、投票はユーロ圏にとどまるかどうかを選ぶものだと訴えてきた。61%の国民が「ノー」と投票した今、ギリシャが出て行かなければユーロ圏が恐喝に屈したように見える。
ギリシャが破産しないように複雑な資金供与の仕組みを考え出すよりは、欧州の指導者らは損切りをしてギリシャを共通通貨圏から出て行かせるプロセスを開始すべきだ。ユーロ圏にはとどまりたいが条件に従うのはいやというギリシャの矛盾したかたくなな姿勢は、ユーロの将来にプラスとはならない。
ギリシャにとっては、離脱に関して最善の条件を引き出すチャンスだろう。債務再編もその一つだ。国内総生産の約180%に及ぶ債務を減らし、新しい切り下げられた通貨の下で、経済を成長軌道に乗せることができるかもしれない。キャピタル・エコノミクスのロジャー・ブートル氏らエコノミストはこれがギリシャにとって最善の道だと指摘している。(マーク・ギルバート)
(ギルバート氏はブルームバーグ・ビューのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
原題:Sorry Greece, The Only Remedy Is a Cathartic Exit: Mark Gilbert(抜粋)
コラムに関する翻訳者への問い合わせ先:アムステルダム 木下晶代 +31-20-589-8544 akinoshita2@bloomberg.net コラムに関するエディターへの問い合わせ先:笠原文彦 +81-3-3201-3761 fkasahara@bloomberg.net コラムに関する記者への問い合わせ先:ロンドン Mark Gilbert +44-20-3525-3051 magilbert@bloomberg.net コラムについてのエディターへの問い合わせ先: Mary Duenwald +1-212-617-8620 mduenwald@bloomberg.net
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更新日時: 2015/07/07 16:34 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NR3UUL6K50XX01.html


ECB:「モラルハザード」が緊急流動性支援停止の理由に
2015/07/07 20:57 JST
  (ブルームバーグ):欧州中央銀行(ECB)は7日、「モラルハザード(倫理観の欠如)」が緊急流動性支援(ELA)を停止する理由になり得ると警告した。ギリシャの銀行向けELAで担保の割引率を拡大させた翌日に規則も強化した。
ECBはウェブサイトに掲載した文書で、「ELA供与の条件が寛大に過ぎれば資金を受け取る金融機関や管轄当局のモラルハザードのリスクを高め」、ユーロシステムの機能を損ないかねないと指摘。「ELAは支払い能力があるが短期的に流動性の問題に直面している与信機関を支えることが目的で、金融政策手段ではない」とも説明した。
金融リスク管理に関する同文書はELAをめぐる規則を明確化した。ギリシャがデフォルト(債務不履行)に向かっているとみられる状況の中で同国の銀行へのELAで規則を曲げれば、将来にELAを利用する銀行が無責任な行動をとりかねないとECBが懸念している状況がうかがわれる。
ELAに関する従来の規則は、供与を受ける銀行が支払い可能であることとELAがユーロシステムの目的の妨げとならないことを規定していた。新規則では「域内で単一の金融政策」や短期金利誘導などの「金融政策の実施」、「各国中銀の独立性」への脅威になってはならないとも明記した。
欧州連合(EU)協定が定める財政ファイナンス禁止もあらためて明文化した。
原題:ECB Adds ‘Moral Hazard’ to Emergency Liquidity Assistance Rules(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:フランクフルト Jeff Black jblack25@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Fergal O’Brien fobrien@bloomberg.net Paul Gordon, Angela Cullen
更新日時: 2015/07/07 20:57 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NR47ZP6K50XY01.html

ECB、銀行支援「過度に寛大な」条件で提供できず
2015年 07月 7日 23:23 JST
[フランクフルト 7日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は7日、銀行に対する緊急流動性支援について、過度に寛大な条件、もしくは不十分な担保に対して提供することはできないとし、ギリシャを含むユーロ加盟国に対し厳しい姿勢で臨むとの見解を示した。

ECBは前日、ギリシャ銀行向け緊急流動性支援(ELA)の増額を見送ると同時に、銀行が差し出す担保基準を厳格化している。

この日にウェブサイト上に公表した文書でECBは、「ELAを過度に寛大な条件で提供することは、金融機関、もしくは関連当局におけるモラル・ハザードのリスク増大につながる恐れがある」と警告。

また、ELAに伴うリスクは担保の差し入れで完全に相殺されるわけではないとの認識も示し、「リスク管理に向けた措置が適応された後も、一部のリスクは残存する」とした。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKCN0PH1KT20150707

ギリシャ、第2通貨の導入が最も現実的シナリオ=ラトビア中銀総裁
2015年 07月 7日 23:11 JST
[リガ 7日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのリムシェービッチ・ラトビア中銀総裁は7日、ギリシャの国民投票で欧州連合(EU)が求める財政緊縮策の受け入れが否決されたことを受け、ギリシャは第2の通貨を導入するというのが最も現実的なシナリオ、との認識を示した。

国営テレビに対して述べた。将来的にはユーロ圏加盟国が一つ減る可能性もあるとした。

ギリシャのユーロ圏離脱の可能性、否定できない=欧州委副委員長
2015年 07月 7日 20:48 JST
[ブリュッセル 7日 ロイター] - 欧州委員会のドムブロフスキス副委員長は7日、ギリシャのユーロ圏離脱について、可能性を否定できないとの考えを示した。

臨時のユーロ圏財務相会合出席前に「それはわれわれの目的ではないし意図でもない。われわれは合意できるシナリオに向けて努力しているが、もし信頼が再び形成されず信頼できる改革パッケージが提示されなければ、除外することはできない」と述べた。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKCN0PH15A20150707


ギリシャ首相、ブリュッセル入り−ユーロ残留最後のチャンス
2015/07/07 22:16 JST


  (ブルームバーグ):ギリシャのチプラス首相は7日、ブリュッセル入りした。欧州から救済を確保し同国をユーロ圏にとどめるためこれが最後のチャンスとなる可能性がある。
ドイツのメルケル首相は6日、ギリシャにとって「時間はなくなりつつある」と警告した。ユーロ圏財務相らは7日午後に会合し、首脳らは6時30分から会議を開く。
政府と銀行の資金は底を突きつつあり、ドイツなど債権国の忍耐も限界に近づくなか、今のギリシャはユーロ圏離脱への最短距離にある。欧州中央銀行(ECB)は流動性支援を増額せず、銀行の営業停止は続き、経済は酸欠状態に陥っている。
ショイブレ独財務相は会合前に、「ギリシャ政府は救済プログラムを望まないと強く意思表示することに成功した。しかしプログラムがなければ、ユーロ圏の枠組み内でギリシャを支援する可能性はなくなる」と述べた。
新プログラムを議会が承認するまでの間のつなぎ融資なども選択肢として言及されているが、フィンランドのストゥブ財務相は現時点では検討されていないと述べた。
チプラス首相は何らかの形での債務救済を求めているが、財務相らの間では賛否両論がある。
原題:Tsipras Begins Brussels Campaign to Keep Greece in the Euro (1)(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:アテネ Eleni Chrepa echrepa@bloomberg.net;ベルリン Arne Delfs adelfs@bloomberg.net;アテネ Matthew Campbell mcampbell39@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Heather Harris hharris5@bloomberg.net Rodney Jefferson
更新日時: 2015/07/07 22:16 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NR3YZ46K50XS01.html

コラム:骨太方針が軽視する財政健全化「2つの教訓」=河野龍太郎氏
2015年 07月 7日 21:11 JST
河野龍太郎 BNPパリバ証券 経済調査本部長

[東京 7日] - 日本では1970年代以降、何度も財政再建が試みられてきた。だが、橋本財政構造改革や小泉歳出歳入一体改革などを含め、その全てが頓挫した。

唯一の成功例とされるのは1984年に導入された「特例公債脱却目標」だが、90年度の目標達成は80年代後半のバブルによる想定外の税収増と、特別会計を絡めた「隠れ借金」などの会計操作によってもたらされたものである。要するに日本は近年、財政健全化に成功したことが一度もないのである。

ではどうすれば、財政再建が可能になるのか。今回、諸外国の成功例から得られた財政健全化のための最も重要な「2つの教訓」を紹介したい。

残念なことに、6月30日に閣議決定された骨太方針(経済財政運営と改革の基本方針2015)では、この2つの教訓は全く生かされていない。そのことは、かなり高い確率で今回の財政健全化策が失敗に終わることを示唆している。

ここ数カ月間、安倍首相に「成功国の教訓」を進言する経済ブレインはいなかったのだろうか。各国の財政健全化の成功例や失敗例を検証すれば、今回の財政健全化プランに高い評価を与えることはできないはずである。

<好況の継続を前提にしてはいけない>

まず、成功する財政健全化の「第1の教訓」は、高い成長を前提にしてはならない、というものだ。

高成長を前提にすれば、高税収を見込み、歳出削減も増税も必要ないという甘い見通しになってしまう。しかし、簡単には潜在成長率を引き上げることはできないため、結局、税収も期待したほどには増えず、一方で歳出削減も十分に行われず、増税も全く検討されていないから、財政健全化計画は破綻を来たす。

「捕らぬタヌキの皮算用は避けよ」ということである。少なくとも過去2年半、潜在成長率が回復したという証左は全く得られていない。0.3%程度で低迷したままで、低下傾向が続いている。

もちろん、一時的に高成長が訪れ、税収が上振れすることはある。昨年度に続き、今年度の税収も上振れするだろう。しかし、景気は循環しているのであり、好況もあれば不況も訪れる。好況期の高い成長を前提にすると、不況が始まった途端に、財政再建は頓挫する。

多くの場合、財政健全化プランが策定されるのは、景気回復が続き、現在のように税収が上振れし始める局面である。そうした状況が続くという楽観を戒めるためにも、「高い成長を前提にしてはならない」という第1の教訓は、「好況の継続を前提にしてはならない」と言い換えるべきかもしれない。

率直に言って、「実質2%成長・名目3%成長」という今回の財政健全化プランの前提はあまりに高すぎる。成長戦略の中だけであれば、高い成長目標を掲げるのは必ずしも悪いことではないのかもしれない。高い目標を掲げることで常に新たな工夫を求め、経済構造改革が尻すぼみとなることを回避できる。しかし、成長戦略と財政健全化は全く別物であり、成長戦略の高い成長目標を前提に財政健全化プランを策定するのは、完全な誤りである。

潜在成長率を引き上げるのは容易ではなく、わずかでも引き上げることができれば成長戦略は成功だと言えるが、財政健全化策において前提となる成長率が下振れすれば、見込んだ税収は得られず、財政再建はかなりの確率で失敗する。

安倍政権は「経済再生と財政健全化の二兎を得る」と言うが、真に二兎を得ようと言うのなら、財政健全化目標の前提は、保守的な成長率とすべきである。

「経済再生なくして財政健全化なし」と副題が付けられた新たな骨太方針は、高い成長でも解消できない基礎的財政収支(プライマリーバランス、以下PB)の赤字を解消すべく、さらに高い成長や自然税収増を生み出す成長戦略を打ち出したという構成になっており、このままでは、格言通り「二兎追うもの、一兎も得ず」に終わってしまう。必要なのは高成長の下でしか達成できない財政健全化プランの策定ではなく、低成長の下でも持続可能な財政健全化プランの策定だ。

今回の財政健全化プランの最大の問題は、まさにこの点にある。周知の通り、内閣府の2月の試算では、アベノミクスが成功し、実質2%成長・名目3%成長の下でも、2020年度のPBは国内総生産(GDP)比で1.6%の赤字が残存する。アベノミクスが大きな効果をもたらさず、名目1%成長にとどまるベースライン・ケースでは、2020年度に3.0%の赤字が残存する。

アベノミクスがうまくいったシナリオでもPB赤字が解消しないのだから、歳出削減と増税を粛々と進めるしかない、というのがこの試算の正しい解釈のはずだ。しかし、成長戦略で成長をさらに促すことで、自然税収増によって不足分の大部分を解消するという野心的なプランが立てられた。歳出削減の本格化は2018年度以降であり、それまでは10%を超える消費増税の検討も封印されたままだ。一体、どこから税収が湧いてくるというのか。

新たな骨太方針では、「公共サービスのイノベーション」などによって、成長が一段と促され、自然税収増が可能になると説明する。しかし、それらの改革が全てうまくいって初めて、2%成長が可能になるのではないか。いや、仮に全てがうまくいったとしても、2%成長の達成は容易ではない。机上の空論である。現在が「四半世紀ぶりに良好な環境」だと首相自らが認めているのだから、それは現在が歳出削減を本格化させる好機ということではないか。

<トップダウンで歳出を抑制する>

各国の経験から得られた成功する財政健全化のための「第2の教訓」は、トップダウンでの歳出抑制である。具体的には、各省庁の歳出に対して数年間キャップ(上限)を設定すべきだ。この点は、日本が財政再建にこれまで失敗してきたこととも大きく関係する。ゲームの理論で考えれば、次のようなことである。

要求官庁や担当大臣、族議員など、予算編成に関わるプレーヤーは、歳出キャップなど財政ルールの除去に強いインセンティブが働くため、不況など外的ショックが訪れると財政健全化策を放棄する政治的圧力が高まる。それゆえ、プレーヤーが財政規律を維持するインセンティブ構造が予算制度に事前に組み込まれていなければ、財政再建はまず成功しない。

北欧などの成功例では、首相と財務大臣などごく少数のメンバーが各省庁の歳出額をトップダウンで決定し、数年間は動かさないことを明確化する。予算分捕り合戦のために労力を使っても成果は得られないと認識した要求官庁ら他のプレーヤーは、行動様式を変更する。与えられた予算内で歳出を効率的に利用することが、自らの評判向上、利益最大化につながることを認識するのである。

このことは、トップダウンで強力なキャップがかかるからこそ、ボトムアップによる効率的な予算配分へのインセンティブが各省庁で高まることを意味する。反対に、強力なルールがなければ、要求官庁や担当大臣、族議員は予算分捕り合戦に全精力を注ぎ、ボトムアップによる効率化は二の次となる。

驚くべきことに、今回の骨太方針の策定過程では、トップダウンでキャップをはめるとインセンティブが働かず、ボトムアップの効率化は進まず、財政健全化はうまくいかないと、各国の教訓とは全く逆の説明が経済財政担当大臣や専門家であるはずの民間議員からなされていた。先ほどのモデルで考えれば、要求官庁や族議員などの予算編成に関わるプレーヤーは、骨太方針の策定過程で、財政ルールの敷設回避にすでに成功していた、ということである。

もしトップダウンで強力なルールを決めるのなら、首相の強いリーダーシップが必要だが、首相の最大の関心事は財政健全化とは全く別のところにあり、希少なポリティカル・キャピタルは財政健全化にはほとんど割り当てられなかった。むしろ関心事の達成には、緊縮財政は不都合である。

安全保障問題などを最優先する首相が景気減速リスクを冒してまで、財政健全化を進めることはないと関係者が理解していたからこそ、財政ルールを導入しないことを正当化する説明を行ったのだろうか。

ちなみに、持続する財政健全化のための「第3の教訓」を言い添えれば、ルール遵守を監視する事後的な仕組みの導入である。日本では各プレーヤーに求める財政規律は、単年度の当初予算に対するものだけで、事後的なチェック制度はほとんど存在しない。財務省も自らが責任を負っていると考えるのは、当初予算のみである。

<小泉歳出歳入一体改革「瓦解」の教訓>

ところで、小泉歳出歳入一体改革が策定されたのは、2006年の景気拡大局面であり、当時は税収も大きく増え、非常にうまくいっているように見えていた。少なからぬ人が、増税なしでPB黒字の達成が可能と考えていたのではないか。その後、2008年に「100年に一度の危機」が訪れたから、改革が瓦解したとされているが、それはあまり正確ではない。

2006年の好況継続を前提としていたから財政健全化が行き詰ったのであり、リーマンショックほどではなく通常の不況であっても瓦解は避けられなかったと思われる。また、財政規律を維持するインセンティブ構造も組み込まれていなかったため、いったん頓挫すると、財政膨張も止められなくなった。

当時から、リーマンショックを100年に一度の危機と呼ぶのは大げさだと筆者は主張していたが、そう呼ぶ人が政策当局者に少なくなかったのは、大盤振る舞いの追加財政を正当化するためではなかったか。

今回の財政健全化策も、景気回復が続いている間は、税収は思った以上に増え、歳出削減や増税なしでもうまくいくように一時的には見えるのだろう。しかし、繰り返すが、循環的な不況は必ず訪れる。不況が訪れれば、税収も大きく減る。

GDPの伸びに対する税収の伸び(税収弾性値)を1.0 と見積るのは慎重すぎるとしても、不況期を考慮すれば高く見積るのは大きな問題がある。不況期には、ないに等しい社会保障関係費への縛りである「目安」も簡単に取り払われ、大盤振る舞いの追加財政もすぐに編成されるだろう。

今回の骨太方針には、持続する財政健全化のための各国の教訓が全く生かされておらず、信頼に足る財政健全化プランとは到底呼べない。

*河野龍太郎氏は、BNPパリバ証券の経済調査本部長・チーフエコノミスト。横浜国立大学経済学部卒業後、住友銀行(現三井住友銀行)に入行し、大和投資顧問(現大和住銀投信投資顧問)や第一生命経済研究所を経て、2000年より現職。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKCN0PH0HI20150707
 

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