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世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第132回 亡国の財政政策()
http://www.asyura2.com/15/hasan98/msg/588.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 7 月 08 日 19:27:15: igsppGRN/E9PQ
 

世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第132回 亡国の財政政策
http://wjn.jp/article/detail/5026868/
週刊実話 2015年7月16日 特大号


 安倍(晋三)政権は6月22日の経済財政諮問会議と産業競争力会議において、6月末に閣議決定を目指す経済財政運営指針、いわゆる「骨太方針」の素案を提示した。

 骨太方針では、2020年度までの基礎的財政収支(プライマリーバランス、以下PB)黒字化を目指し、さらに2017年度までにPB赤字対GDP比を、15年度の3.3%から1%程度に引き下げるという中間目標が設定された。中間目標を達成できない場合は、追加的な措置を講じるという。

 まずは、基礎的な知識を抑えて欲しいのだが、財政健全化とはPBの黒字化でもなければ、政府の負債の削減でもない。財政健全化の定義は「政府の負債対GDP比率の引き下げ」であり、それ以外には存在しない。

 そして、PBの黒字化とは、政府の負債対GDP比率引き下げの一手法でしかないのだ。

 財政健全化するか否かは、
 「プライマリーバランス(PB)」
 「国債金利」
 「名目GDPの成長率」
 の三つの組み合わせで決まる。

 例えば、PBが赤字だったとしても、国債金利が低く、名目GDP成長率が十分であれば、財政は健全化する。

 手段の一つでしかないPBを“目標”に掲げるわけで、現在の安倍政権の財政政策はナンセンス極まりないのだ。

 とはいえ、それ以上に酷いのが自民党で、稲田朋美政調会長が委員長を務める党財政再建に関する特命委員会は、PB目標に加えて「歳出削減の目標」まで「骨太方針」に押し込もうとしていた。

 結果、歳出増加の「目安」という、良くわからない目標的なものが方針に入る、玉虫色の決着となったわけである。

 いずれにせよ、いまだ政府(内閣府)自ら、デフレギャップが存在することを認めているデフレ国において、PB目標や歳出削減の目標を立てようとしているわけで、話にならない。

 結局、安倍政権も自民党も、かつての民主党政権同様に財務省に取り込まれ、亡国の財政政策路線を突き進むことになるわけだ。

 そもそも、安倍政権が根底から間違えているのは、本気でPBの黒字化を目指すならば、短期的な財政出動に踏み切るしかないという事実を無視している点だ。

 京都大学大学院工学研究科の藤井聡教授(現、内閣官房参与)のレポート「デフレーション下での中央政府による公共事業の事業効果分析」において、我が国の過去のデータに基づく限り、中央政府の公共事業1兆円の増加により、名目GDPが約5兆円増加することが証明されている。

 さらに、名目GDPの拡大を通し、GDPデフレーター(名目GDPから実質GDPを算出するために用いられる物価指数)、失業率、平均給与、被生活保護者数がいずれも改善し、最終的に総税収が1.6兆円、出生数が1.7万人増加するという分析結果が明らかにされているのだ。

 おわかりだろうか。公共事業を追加的に1兆円実施することで、税収が1.6兆円増えるのである。理由は、公共事業の乗数効果と、高い税収弾性値が二重で効いてくるためだ。

 公共事業を1兆円実施すると、少なくとも国民の所得が同額増える。所得が増えた国民は、消費や投資を増やすため、日本の名目GDP(消費や投資の合計)は当初の1兆円以上に増える。これを、乗数効果と呼ぶ。

 さらに、名目GDPが増える、つまりは景気が好転すると、これまで赤字だった企業が黒字化し、法人税を支払い始める。加えて、失業者が雇用されていけば、所得税収も増える。

 結果的に、現在の日本では名目GDPが1%成長すると、税収は3%から4%増えることになる。これが、税収弾性値による増収効果だ。

 公共事業を拡大し、名目GDPと税収が増えれば、何が起きるだろうか。

 「歳出が減り(※景気対策が不要になるため)、歳入が増え、PBが黒字に向かう」
 という結果がもたらされるのである。

 ここまで書いたところで、俄かに信じられない読者も多いだろうから、データで示そう。

 右下の図(本誌参照)は日本の一般政府の資金過不足状態の推移を見たものだ。図の「マイナス」方向に棒グラフが伸びているのが、政府の資金不足、つまりはPBの赤字である。

 1987年から1991年まで、政府の資金過不足がプラス、すなわちPBの黒字になっているのが確認できると思う。

 当時の日本はバブル経済に沸き、政府の税収は膨れ上がっていた。

 同時に、景気対策を打つ必要などなかったため、「=歳入−歳出」で計算される政府のPBが黒字化したのである。

 ところが、'97年の緊縮財政、'98年のデフレ突入以降の日本は、
 「デフレで需要不足であるため、需要創出のための公共事業拡大」
 ではなく、
 「デフレでPBが悪化したため、とりあえずの策として公共事業を削り、PBを悪化させる」
 を続けてきたのである。PBを改善したいならば、公共事業を拡大し、名目GDPと税収を増やさなければならないにもかかわらず、その逆を継続し、PBを悪化させてきたのだ。

 国家というのは「政治」によって衰退すると、つくづく思い知ったのではないだろうか。

 政府が「PBを黒字化したいならば、短期的に公共事業等を増やし、名目GDPと税収を増やさなければならない」という基本を理解しない限り、今年度の我が国は普通にデフレ化し、PBの赤字は、またもや拡大していくことになるだろう。

三橋貴明(経済評論家・作家)
1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、わかりやすい経済評論が人気を集めている。


 

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コメント
 
1. 2015年7月08日 19:56:45 : nJF6kGWndY

>PBの黒字化とは、政府の負債対GDP比率引き下げ

これは、まともな人間なら理解しているだろう
(当然、財務省もそうだ)

>PBを黒字化したいならば、短期的に公共事業等を増やし、名目GDPと税収を増やさなければならない

残念ながら、過去の巨額なバラマキの結果を見れば明らかなように、

こちらは常に正しいわけではない

例えば、戦費を拡大しても、一時的な効果しかなく、最終的には実質GDPは拡大しない

同様に、ムダな地方インフラをばら撒きで作っても、短期間で、富裕層や海外に吸収されるだけだし

社会保障も同じ
(働かず毎日ブラブラしている若者にいくら金をやっても生産は増えない、
つまり実質経済は成長せず、他の人々の消費が減る=インフレ化することは明らかだ)

つまり、投資ではなく消費のために政府がいくら金を配っても財政再建には役立たないということも、ちゃんと理解しないといけない

だから、効率の低いムダな財政支出を削ることは重要だし、

金持ちの老人への年金や医療費の税や現役世代からの再分配は止めた方がいいわけだ

その分は、非正規世帯の子供の教育や、都市インフラの整備に使ったり

法人税や消費税の減税に充てた方が、全体最適となる


2. 2015年7月08日 20:15:02 : nJF6kGWndY

>>1 働かず毎日ブラブラしている若者にいくら金をやっても生産は増えない

補足しておくと

この若者による生産は増えないということで

金を渡せば、当然、その分の消費が増えるから、その結果、生産は刺激される

ただし、その刺激は財政支出によるものだから、

他の人々と企業(つまり社会)にとっては税負担と労働負担が両方増えることになって生活水準が下がる

国内生産が刺激されなければ、その分、価格が上昇したり、輸入が増えたりして、インフレ化するから

いずれんにせよ、他の人々の生活は悪化する

これが実際に、超少子高齢化や、失業の増大によって起こったわけだ

若者に金を渡さず、本人が働いて、自分の消費分を、他の財やサービスの形で、社会に生産して貢献すれば問題はない

つまり、高齢者の雇用拡大は、この意味で正しいことになる

まあ、深刻なデフレである間は、あまり大した問題ではないが、そろそろインフレが日用品や食料から忍び寄って来ているから、早めの対策は重要だということだ

もちろん、それでも貧困化は止まらないだろうが、やらないよりはマシということだな


あと仮に、若者(老人)に金を渡さないと、働いたら負けだから と言って餓死するとしたら、

もちろん、企業による生産や社会の負担も増えないが、憲法の生存権に反することになりそうだし、テロも増えるだろう

やはり本人や一般国民の精神衛生のためにも、できるだけ雇用を増やすことが重要ということだな


3. 2015年7月08日 23:19:20 : FbqCd7Hygg

費用効果のある公共事業ならやるべきだが、景気対策目的の公共事業は投資ではなく土建業者への所得移転であり、そうなると消費に分類される為に乗数もそれほど働かず限りなく1に近くなるだろう。

そもそも変動相場制下では財政政策をするとその結果として実質金利が高くなってしまうので、財政では無く金融政策で対処すべしということがマンデルフレミング理論で、日本でもその通りになった。日本でも、不況になると政治家と財政拡張論者が投資効果無視の景気対策目的の公共事業を求め、その結果実質金利高による通貨高を招きさらに不況が深化するだけになったことは歴史が示す通りで、これこそが亡国の政策だといえる。


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