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中国株急落は想定内である 日本への影響はギリシャ危機より大だが、リーマン未満(Business Journal)
http://www.asyura2.com/15/hasan99/msg/199.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 7 月 26 日 00:55:15: igsppGRN/E9PQ
 

                     中国・人民大会堂(「Thinkstock」より)


中国株急落は想定内である 日本への影響はギリシャ危機より大だが、リーマン未満
http://biz-journal.jp/2015/07/post_10866.html
2015.07.26 Business Journal


 現在の中国株安による日本経済への影響は、「ギリシャ危機以上・リーマンショック未満」と筆者はみる。6月15日に中国の株式相場が急落したことは、ギリシャ危機と比べるとメディアで報道される量は少ないが、日本経済への影響は大きい。一時は時価総額にして約400兆円を失ったのだから、あなどってはいけない。とはいえ、2008年のリーマンショックに比べると、グローバル金融への影響はそれほど大きくはないだろう。

 こうした大局観を持って、「踊れど決まらぬ欧州の会議」や動きの激しい中国株式相場の推移を、一喜一憂せずに見守りたい。

■中国、荒っぽい経済運営

 もともと中国のここ5年ほどの経済見通しは、次のようなものだろう。年8%成長して米国にGDPベースで追いつくことはあり得ないし、リーマンショック並みの世界的金融不安につながる経済崩壊も起こらない。今後5年間で経済成長率は、これまでの年8%から4%前後に落ち着いていくだろう。大きな混乱なくそこに到達する「ソフトランディング」ができれば、習近平政権の経済政策は上出来といえよう。

 とはいえ、先進国からみると、ソフトランディングとは呼びにくい荒っぽいやり方になるだろう。中国の経済政策運営は、先進国のような中央銀行の金融政策によって微妙に調整しながら進める洗練された方法ではなく、素朴で直接的で力強い、言い換えるとやや野蛮な方法で行われる。

 先進国では、旅客機のように水平尾翼の昇降舵の角度をわずかに変えることによって、機体の高度を微妙にコントロールしているのに対して、中国は複数のロケットエンジンの点火とストップだけで高度を調整しているようなものだ。激しく上下動しながら進むため、乗客は骨折や打ち身、ねんざが当たり前で、ずいぶん乗り心地も悪い。命あって着陸できれば、ソフトランディング成功といえる。
 
 今回の中国株安も、この1年弱でロケットの点火とストップが繰り返された結果だった。政府は、借金がかさんで投資を増やせないので、個人投資エンジンに火をつけて株価を上げた。それがあまりに急騰したので、少しエンジンに水をかけた。そうすると、エンジンが止まって高度が急降下したので、慌ててPKO(株価維持対策)エンジンにも点火して高度を保った。当面は上下動が続くが、すぐに「ハードランディング」する状況でもないといったところだろう。

■リーマンショックほど大きな影響はない

 もともと中国経済における株式の重要性は、大きくない。先進国において時価総額は、対GDP比で100%を超えているが、中国のそれは3分の1程度だ。中国企業の資金調達で株式市場からのものはわずか4.2%で、株式投資家は全人口の6.4%にすぎない。上海総合指数は1年間で1.5倍に上昇したが、ほとんど消費拡大につながらなかった。従って株価が下落しても消費への影響は限定的だろう。

 また、株価が下がったといってもまだ今年3月の水準であり、1年前より7割も高い。ただちに中国経済が崩壊して世界の金融不安を招くということはないだろう。リーマンショックほどのインパクトはない。

 とはいえ、経済規模が大きいだけに、短期間に4兆ドルの時価総額を失ったという数字のインパクトは大きく、中国政府がコントロールに失敗すると、当然日本にも大きな影響が出る。

 長期的な視点では、中国に「株式市場によって投資が循環する仕組み」の確立が遠のいた影響は大きい。リーマンショック以後、中国は政府の投資によって高成長を無理やり維持していた。それも債務の膨張により持続困難になってきたので、株式市場を通じて民間の資金を投資に向けようとした。中国の成長エンジンの一つと期待していただけに、火が消えてしまったのは痛い。従って、中国の成長する需要を当てにしていた中国内外のプレイヤーたちは、弱気にならざるを得ないだろう。そういう意味でも、日本への影響はギリシャ問題より大きい。

■ギリシャ問題の世界経済への影響

 実はギリシャの債務問題は、世界中が騒ぐほどのものではない。ユーロ圏のGDPに占めるギリシャの割合は2%程度、年間政府予算は約1.3兆円と日本の1%程度にすぎない。7月末にギリシャが払えなくなり大騒ぎされた債権額が2100億円。一時見込まれていた新国立競技場の建設費(2520億円)より少ない。

 ギリシャが実質債務不履行(デフォルト)になったとしても、周辺のポルトガル、スペイン、イタリアへの飛び火は限定的だ。ギリシャ問題が表面化した数年前はリスクがあったが、ECB(欧州中央銀行)はユーロ防衛の方法として新国債買い切りプログラム(OMT)や債券購入プログラムなど、ギリシャ問題の飛び火防止策をすでに準備している。また、欧州の銀行が保有するギリシャ資産は、ピーク時から80%減少している。

 EUは、ギリシャの周囲にしっかりと城壁を築き終わっているのである。
  
■ギリシャ問題の答え

 ギリシャ、EU、そして世界経済にとって最善の選択肢は、ギリシャが債務免除を受けユーロ統一通貨から離脱した上で、EUにとどまるというものだ。

 一般的に国家が破産状態になった時は、デフォルトして通貨を切り下げ「一から出直す」のが最も手っ取り早くて効果的だ。アイスランドは自国通貨の管理ができたので、08年の通貨危機から回復した。IMFは、ギリシャが今も自国通貨ドラクマを使っていてそれを切り下げていれば不況を回避できた可能性がある、と認めている。

 ギリシャは、過去に何度もデフォルトと通貨切り下げを行っている。国家が破産して借金を踏み倒し新しい通貨に切り替えるなど、恐ろしい事態だと思われがちだが、これまでデフォルトと通貨切り下げを繰り返してきたギリシャやアルゼンチンにとっては、国を存続させるための調整、すなわち「エコシステム」といえなくもない。ユーロに離脱の手続きがないから離脱できないというのは、本末転倒だ。人間が幸せになるための制度であって、制度のための人間ではない。制度は変えればよい。

 また、ギリシャが離脱すると他に離脱する国が続くリスクがあるというのも、同様に本末転倒の理論だ。離脱する手続きを決める一方で、その国が離脱しなくてもよいようにするのが本筋だろう。DV(家庭内暴力)や夫婦げんかが絶えない時に、どちらかを叱責するばかりで離婚させないのは、人の道から外れている。離婚か別居する方法も整備しながら、DVが起こらないようにするのが、あるべき姿だろう。

■統一通貨の難しさ

 債務減免については、モラルの問題がよく持ち出される。確かにギリシャ政府が09年まで財政上の数字を世界に対してごまかしてきたのは悪い。しかし、その恩恵を受けていなかった世代も含めて、ギリシャ全体はかなりの懲罰をすでに受けている。5年前の取り決め以降、ギリシャ政府は支出を削減し、増税し、そして基礎的財政収支(プライマリーバランス)を240億ユーロの赤字から30億ユーロの黒字に転換した。また、GDPは8年間で25%、輸入は40%減少した。公式の失業率は25%だ。

 仏経済学者のトマ・ピケティ氏は、ドイツは第1次・第2次世界大戦後の対外債務を返済しなかったと指摘して、他の国に説教できるような立場にないと主張している。若干極論の印象が強いが、ギリシャを回復可能性のない状態にしたまま先の見えない制裁を科し続けると、暴走を招きかねず、周辺国にとってもよくない。それは、ドイツが身をもってよく知っているのではないか。

 ギリシャ問題をみてつくづく感じるのは、統一通貨を維持するには、生産性の格差が時とともに変化するのに合わせて所得の再分配が必要だということだ。財政が統一されているなら、高度成長期の日本のように都市から地方に、工業から農業に、財政による所得の再分配ができる。しかし、ユーロのように各国の財政がバラバラのままで通貨を統一すると、財政単位間の所得再分配が必要になる。それをしないと格差が加速度的に拡大するし、モラルハザード的な過大な貸付が起こり、通貨統一が維持できない。

 今回ギリシャをユーロ圏に残したとしても、数年後にまた債務危機になる可能性も高い。ピケティ氏がいうように、ギリシャだけでなく複数の欧州諸国の債務再編をして、所得の再分配をする必要があるだろう。

 また、安全保障上の観点では、ギリシャがユーロから離脱してもEUに残るように手当てしたほうがいいだろう。現在すでにイギリス、ポーランド、スカンジナビア諸国はこの立場なので不可能ではない。ギリシャは、冷戦時代からロシア圏に対抗する西側欧州諸国の戦略上の重要拠点だ。アメリカは経済面以上に安全保障面を気にするだろう。

 そのため、ギリシャは冷戦の頃から今に至るまで「ギリシャ正教を通じてロシアとは宗教上の共通点がある」と匂わせながら西欧諸国から支援を引き出してきた。観光業と並ぶ経済基盤として「戦略要衝業」を据えているといえなくもないが、それによる不幸も引き受けており、EUはある程度はギリシャの「甘え」を許容したほうが得策だ。

■見えないプロセス

 以上見てきたギリシャのユーロ統一通貨からの離脱、債務免除、EUへの残留という方策は、多くの関係者が主張していることだ。実際にECBも民間銀行も、ギリシャのデフォルトを想定しているかのように準備している。

 一方で、結論に至るまでのプロセスが見えない。ヨーロッパ独特のやり方で、各国首脳が集まり、時間をかけてパフォーマンス合戦をやっている。結論を急ぐ米国や交渉下手の日本にはまったく理解不能で、理解できないから次がどうなるか皆目予測できない。

 以上のように、ギリシャ問題は日本にとって重要性が高くなく、結論が見えているのに手続きの予測が困難な問題だ。当面は、ヨーロッパ宮殿での評定を遠目に見ていれば十分だろう。

(文=小林敬幸/『ビジネスの先が読めない時代に 自分の頭で判断する技術』著者)

[参考]
・2015年7月11日号 英エコノミスト誌
 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44307
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NRKDFR6TTDS001.html
http://jp.wsj.com/articles/SB10468926462754674708104581085121389238598
http://jp.wsj.com/articles/SB12090554170328684804804581079512521453834

 

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